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ジュゼッペ・テラーニ(1904~1943)

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上野にて。


トトやんのすべて


タミヤ様…


ただ商品の内容は、

接着剤とかパテとか1/35のドイツ兵とか…


ではなく、ふつーにジュースでした。清涼飲料水でした。


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□□□□□□□□


神保町にて。


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三省堂の古書のコーナーで

・INAX出版「ジュゼッペ・テラーニ 時代を駆けぬけた建築」

を買った。


それがきっかけで色々とテラーニ関連の書物を買った。

前々からこの「ファシスト建築家」はすごく気になっていたので

この際いろいろ調べてみることにした。


↓・「GA No.74〈ジュゼッペ・テラーニ〉カサ・デル・ファッショ1932-36・アントニオ・サンテリア幼稚園1936-37」


表紙は名高きカサ・デル・ファッショ…「ファシストの家」

はい。ヤバいです。

ファッショです。ムッソリーニです。黒シャツ隊です。ローマ進軍です。

ヒトラーのお師匠です。日独伊三国同盟です。悪の枢軸です。

これはコモという伊太利北部の町のファシスト党の本部です。

なんでそんなヤバいものが…壊されず残っているのか?


それは…たぶん…


…美しすぎるから、です。


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↓中身はこんな…なんか、宝石箱みたいな建物。

行ってみたい。見てみたい…触ってみたい。

そんな「ファシストの家」


中身は色々危険な要素がいっぱいらしいです。

ケネス・フランプトンの「モダン・アーキテクチャー②」を引用します。


これら鉄製の枠を持ったガラスのドアは、ファシスト団が広場という政治的アリーナに、颯爽と登場する時のために、電気仕掛けで一斉に開くものである。

(「MA②1920-1945」156ページより)

カサ・デル・ファッショに意図された政治的イデオロギーは、内部、特にホールの「正義、秩序、祖国」と銘された飾り板(これは完成されなかった)、総裁室の壁面いっぱいに引き伸ばされた、マリオ・ラディチェによる抽象化したムッソリーニの写真に示されている。

(同書157ページより)


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こういう人なので…

僕はてっきり、アルベルト・シュペーアのイタリア版のような人だと

思いこんでおりましたが…全然違いました。


アルベルト・シュペーアってのはナチの建築家で、

かのアドルフ・ヒットラーのほぼ唯一の友人…であったといわれてる人。

軍需相なんかもやってたそうな。


しかるに…

このテラーニは、別にムッソリーニとは個人的な関係もない。

テラーニ自身は熱烈なファシストであったらしいが、

ファシスト党の御用建築家…みたいのでは全然…ない。


そうか…考えてみるとイタリアには

ファシストが好きそうな巨大建築がゴロゴロしてるからな…

べつに新しく作る必要もなかった。


なにより頭の固いファシストのお偉いさんたちには

テラーニの軽やかで美しい建築が理解できなかったに違いない。


…もとい、


ジュゼッペ・テラーニのもうひとつの代表作が、

↓↓「アントニオ・サンテリア幼稚園」

というなんとも詩的な建築であることは…

子どもたちのためのやさしげな建築であることは…


この建築家の器量のデカさ、

「ファシスト建築家」とかいうレッテルにおさまりきらない

とんでもない才能をうかがわせるものがある。


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テラーニの生涯はずいぶん短かった。

39歳…というから、普通の建築家ならようやくデビューしようか、という

年齢です。


1940年、徴兵されて、ロシア戦線へ…

ロシア戦線…おそらく人類史上最悪の戦場を、

この宝石のような建築を作る男が体験してしまったわけです。

彼は精神を病み、病院列車で本国へ送還されます。


1943年1月20日、極度の疲労から病院列車に乗せられて、テッラーニは帰郷する。

彼の最後のプロジェクト、「カテドラルのためのスタディ」

その数日後、彼の許嫁のマリア・カサルテッリの住宅の階段室で死ぬ。7月19日のことであり、ムッソリーニ失脚の6日前であった。

(鹿島出版会・B・セーヴィ編「ジュゼッペ・テッラーニ」242ページより)


この…彼が精神を崩壊させていくあたり、

何冊か本を読んでみましたが、

どうもわからない。

どの本でも数行で片づけられている感がある。

時代のあまりの激動のせいで、資料もなく、

誰も記憶がないのかもしれません。


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