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置塩章 旧茨城県庁(1930)感想 その1

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さいきんはじめて行った、
水戸駅近くの旧茨城県庁(現・茨城県三の丸庁舎)が
すばらしかったので、
いろいろ書きます。

というか、過小評価されているとおもいますので、
大いにほめてやろうとおもいます。

わたくしにとって
水戸=水戸芸術館(イソザキ)
でしたが、こんなすごい建築を隠してやがりました。

設計したのは置塩章(おしおあきら)という人。
(はっきりいって有名な建築家ではない)
帝国陸軍の技師だったそうです。

こんな子です。↓↓



はじめに結論を書いてしまいますと、

◎旧茨城県庁=「火の鳥」(1978)の由美かおる

ということになります。
はい。
みなさんご存じ(?????)
市川崑の「火の鳥」です。
手塚治虫の「火の鳥」を超豪華スタッフ&キャストで映画化して
佐藤忠男等々に酷評された(らしい)「火の鳥」です。

というか、最近、日本映画専門チャンネルでやってるのをみて
「こ、これ……」
「ひょ、ひょっとして日本映画がつくり出した最高傑作では??」
とトマス・ピンコが感動した、あの「火の鳥」です。

鉄腕アトムがとつぜん登場したりする、あの「火の鳥」です。



で、由美かおるちゃん演じますウズメなんですが――↑↑

ジンギ(仲代達矢)という騎馬民族の連中に、住んでいる国を滅ぼされるんですわ。
それで、由美かおるなので、セクシー美女ですので、
男どもに襲われないために、生き残るために
わざと醜い化粧をするんですな。
へんてこな髪型をするのですな。
へんてこな衣装を着るのですな。

ま、のちのちダンナの猿田彦(若山富三郎先生)とナギ(尾美トシノリ君)
この二人を逃がすために
本来の美しい姿に戻ってジンギを誘惑する……
「お、おまえはそんなに美しかったのか」
「ワシの妃になれ!」
とかいうシーンもあったりするのですが……

□□□□□□□□

――前置きがやけに長くなってしまいましたが、繰り返します。

◎旧茨城県庁=「火の鳥」(1978)の由美かおる

この法則を以下に証明していきたいとおもいます。
あ。そうそう、もちろん、
水戸→水戸黄門→といや、由美かおる
という連想もあります。

ようするにですね――
赤丸で囲んだところが↓↓ 由美かおるしているところです。



えーこの子はわざと醜くなっているのです。

正面玄関は、これ厚化粧なんですわ。
あと、塔はへんてこな髪型ですね。

由美かおるがわざと醜女に化けたように――

旧茨城県庁は「県庁」として生きていくために
わざとこんなに醜い玄関。そして醜い塔を身にまとったのです。

1930年代ですからね。当然のことです。ファシズムするより他ないのです。

なのでわれわれは由美かおるの……
あ。失礼。
旧茨城県庁の真の姿。
美女としての姿を見抜かなければならない、とおもいます。

はい。そこでまず見ていきたいのは
南側立面。



どうです?
美しくないですか?
シンプルで気品があって……

3階中央の半円形の窓が、たまらなくかわいいとおもいます。
正面の威圧的な雰囲気とは真逆の……
ニコッと微笑むやさしさが、この窓にこもっています。


CG風にいじってみたりする。


中に入ってみます。


と、あらわれるのは明るく、静謐な 至福の空間だったりする。



で、3階までのぼりますと、
あの愛らしい半円形の窓に出会えます。


たぶん、この子は産まれる場所を間違えたのです。

丸の内にでも生まれていれば、
「県庁」ではなく「〇〇ビルヂング」として誕生していれば――

1階は、ブティックだの、レストランだの、喫茶店だのがはいり、
2,3階はオフィス。
屋上からは東京駅がみえる。

で、空襲に耐え、21世紀にまで生き残り、
現代のOLさんたちに
「きゃーレトロですてき!」
「きゃーあの窓かわいい!」
等々ちやほやされていたはずなのですが……

あいにく、水戸に「県庁」として生まれてしまったわけです。
トマス・ピンコがただひとり、
「きゃーあの窓かわいい!」
とちやほやしているだけなのです。

ま。そんなかわいそうな由美かおるなのです。


旧茨城県庁の美女ポイントは南側ではないです。
東側もすごいです。美しいです。

例の正面玄関。
威風堂々の「ヤローテメー文句あっか?」的なファシスト玄関は西側なので、
その真裏にあたります。

たぶん、県庁の職員の通用口だとおもいます。



置塩さんのほんとに作りたかったのは
このおとなしい玄関なんじゃなかろうか?
などと勝手におもったりする。



はい。
こんな感じですわ。

色づかいのセンスが、なんか北欧っぽいんだよな。



白壁。
チョコレート色のモダンなドア。
黒タイル。
大理石。

この組み合わせがなんとも……


壁。凝り過ぎ!
美しすぎ!

トマス・ピンコくらいだよ、気づくのは。
わざわざ写真撮るのは。

はい。緑の……マットどかして撮るべきでした。
ここらへんがアマチュアカメラマンの限界でしょう。



この白いドアがたまらなく美しい。
北欧モダンの香り。
置塩さんの経歴がいまいちわからんのだが。
勝手に北欧モダン好きにしてしまっているが。

んー、そうか。

日があたる時間帯。
朝、午前中来るべきだな。
時計ご覧になるとおわかりのように、夕方なんですわ。


で、この美しい玄関ホールをくぐりぬけると――

出会うのがこんな壁だったりする。

おいおいおいおい……


美しすぎだろ。
1930年。
アブストラクトの時代でもあったわけです。

――どうです?
醜女だとおもってたら、じつはとんでもない美女でしょう??

その2につづく。

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