おサレな洋書の紹介。
前々から気になっていたのをとうとう買ってしまった。
ベティ・コーンフェルドさんとオーウェン・エドワーズさんの共著。
どんな人だかは知りません。
カバーについている解説によると ベティさんはエミー賞受賞歴のあるテレビ番組のライターで
オーウェンさんは「ニューヨーク」「プレイボーイ」等々に執筆している批評家だかライターだかであるらし。
なぜ、こんな本を買ったか? といいますと、
板坂元「紳士の小道具」という本の「グルカの鞄」という一節の中で――
何千冊という本を身の廻りに置いて暮らしていても、くり返して何度も読む本というものは余りない。が、何でもないようで製本がくずれるまで繙読する本も、たまにある。『クインテッセンス』は、その一冊で、米国にいたころから机辺に置いていたから、十年以上の馴染の本だ。
アメリカ人の生活の中で、昔から変わらないまま愛用されている品物、それを短いコメントつきで並べた写真集だが見飽きがしない。開巻第一ページはマルティニ、巻尾はチェッカー・キャブ。その間に、クリーネックスのポケット・パックやポラロイドSX-70、ハーレーダビッドソンのバイク、ジッポのライターといった品々が並んでいる。オレオのクッキー、キャンベルのトマトスープ等々、言われてみると「なるほど」と納得する第二の肌のようなものがわれわれの身の廻りにある。それを卒業アルバムでも眺めるように楽しんで読むのだが、飽きることがない。
(小学館、板坂元著「紳士の小道具」36ページより)
こんな風に紹介されていては、読みたくなる。
で、買いました。
なるほど、これはよいものです。
↑グルカのエクスプレスバッグNo.2
↓モンブランの万年筆。
↓↓こういう色っぽいのも……(残念ながら、このページだけです)
フレデリック・オブ・ハリウッドという下着メーカーであるらしいのですが、
それのカタログのイラストを褒めています。
テキトーに翻訳すると……
「カタログを開くとあなたはかつて存在しなかった世界に引き戻される。
ここに描かれた、ドリー・パートンの体型と、バービー人形のヘアスタイルのグラマーガールは、
50年代コミックのヒロインの影響を感じさせる」
どんなものだか、ぜひ拝見したいものです。
日本でいうとピーチジョンみたいなものか?
まあ、文章も写真もおサレでございます。
かっこいい文章を拾っていくと (トマス・ピンコのあやしい翻訳付き)
The Hershey's Chocolate Kiss
The idea of a candy called a kiss--and a candy shapped like a nipple at that--is quite erotic.
(ハーシーズのチョコレート・キス
「キス」という名前、そして乳首の形……このキャンディはきわめてエロティックだ)
The American Express Card
It's hard to imagine,but before 1958 no one could leave home with it because it did't even exist.
(アメリカンエクスプレスカード
今では想像するのが難しいことだが、1958年以前、われわれは外出するときにこれを持ち歩かなかったのだ。
だって存在していなかったのだから)
Levi's Jeans
Their motto is Quality Never Goes Out of Style--and they never have.
(リーバイズのジーンズ
彼らのモットーは「品質はスタイルを裏切らない」 なるほど彼らはそのモットーを貫いてきた)
ついでに書きますと……
……リーバイ「ス」ではなくリーバイ「ズ」と濁るのが本当です。
えー バイエルのアスピリンなんてものもあるのですが……
これで妙なものを思い出してしまった……
(というか、今だと紙箱に入ってますが、昔は瓶入りだったのか)
大昔にブックオフで買った
光文社文庫「世界の傑作品」……
あるねあるね……↓↓
バイエルアスピリン……
そういわれてみると……この「世界の傑作品」
ヘンなチョイスだな、とおもっていたのだ。
ハーシーのチョコレートがあったかとおもうと ハーレーダビッドソンが載っている。
そしてバイエルアスピリンがあったかとおもうと、とつぜん、シュタイフのテディベアが載ってる。
んーこれって 全部「クインテッセンス」じゃん!!
「世界の傑作品」
ポラロイドカメラも ジョンソンのベビーパウダーも コパトーンも、クリネックスも
モンブランも、ケッズのスニーカーも、メルクリン(鉄道模型)も
全部「クインテッセンス」に載ってる!!
ははは。
光文社文庫「世界の傑作品」は――
「クインテッセンス」のまるパクり
なのだ!!
「世界の傑作品」
前書きが笑わせる……
そのとき、僕の頭に浮かんだのは、編集部で以前見せてもらったアメリカ土産の写真集だった。タイトルも作者も覚えていないが、その写真集は一ページに一点ずつモノが紹介されており、いわばアメリカ版世界の一流品カタログという本であった。これは使えると思った。業界用語でいうところの「いただき!」ってやつである。
しかし、まるで真似したわけではなかった。
(光文社文庫「世界の傑作品」4ページより)
光文社さんになんの恨みもないが……
コイツ。
嘘八百というやつである。
タイトルも作者も覚えていないが
――どうみたって「クインテッセンス」だろ!!
おぼえてるもなにもパクりだろ!!
これ見ながら書いたんだろ!!
まるで真似したわけではなかった。
――モノのチョイスまるパクりだろ!!
ま、さすがにあのおサレな文章はパクれなかったようですが。
いや、最後は日本の出版業界のテキトーさに触れる結果になりましたが……
Quintessence これはおもしろいです。
僕も擦り切れるまで読んでしまいそうです。