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「八犬伝」なぜ信乃はアホなのか?(村雨盗難事件を五行思想で分析します)①

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「南総里見八犬伝」

――最大の謎。

にして最大のツッコミどころ……

 

犬塚信乃が村雨丸(刀の名前ですわ)

を、すり替えられたのをえんえん気づかなかった件につきまして……

 

易、というか五行思想を使って分析していきたいとおもいます。

 

□□□□□□□□

というか、大方の読者の方はこう結論づけて その結論に安心していらっしゃるに相違ない。

・犬塚信乃はアホなのだ。

と……

 

でも、それは違います。

最初に真の結論を書いてしまいますと、

・犬塚信乃(四緑木星)は

刀(金気)が大嫌いなのだ。

(金剋木なので……)

これが答えです。

 

でも、まあ、分析の前に、あらすじをみていきましょう。

 

□□□□□□□□

 

〇あらすじ。

んー というか、まず、

犬塚信乃が パパ・犬塚番作から 村雨を受け継ぐシーンなんですが……

これがあまりに濃すぎて要約しようがない、という……

あと、かっこよすぎだろ、番作パパ……

 

汝が人となるのちに、(くだん)宝刀(みたち)(かむ)殿(どの)[左兵衛督(なり)(うぢ)なり]に、(たてまつら)せて身を立させん、と思ひにければ年あまた、賊を(ふせ)ぎて(ひめ)おきつ。今宵(こよひ)汝に譲るべし。見よや。」とばかり硯筥(すずりばこ)なる、刀子(こがたな)(さぐ)りとり、(うつばり)(つり)し大竹の、筒を目がけて(ちょう)(うて)ば、釣索(つりなは)(ふつ)(うち)(きつ)て、筒はそがまゝ(はた)(おち)両段(ふたつ)に割れてあらはれ(いづ)るは、(これ)村雨の宝刀なり。番作は(いそがは)しく、錦(ふくろ)の紐解かけて、(うやうやし)く額に(おし)あて、霎時(しばし)念じて抜放せば、信乃は間近く居なほりて、(つば)(もと)より刀尖(きつさき)まで、(またたき)もせずうち熟視(まも)る。煌々(くわうくわう)たるかな七星の(もん)照耀(てりかがやき)て三尺の氷寒し。露結び、霜(こり)て、半輪の月かと疑ひ、邪を退け、妖を治めて、千載(せんざい)の宝と称す。唐山(もろこし)太阿(たいあ)・竜泉、我邦(わがくに)抜丸(ぬけまる)蒔鳩(まきばと)、小烏・鬼丸なンどいふとも、是にはまさじと見えたりける。(しばらく)して番作は、(やいば)をやをら鞘に納め、「信乃この宝刀の奇特をしるや。殺気を(ふくみ)て抜放せば、刀尖(きつさき)より露(したた)り、(あた)(きり)、刃に(ちぬ)れば、その水ますます(ほとばし)りて、(こぶし)(したが)(さん)(らく)す。(たとひ)(かの)村雨の、樹杪(こずゑ)を風の払ふが如し。よりて村雨と名づけらる。これを汝にとらせんに、そのざまにては相応(ふさはし)からず。(もとどり)を短くし、今よりして犬塚信乃戌孝(もりたか)名告(なの)れかし。

(岩波文庫「南総里見八犬伝(一)」331ページより)

 

「信乃、おまえが成人したら、成氏さまに献上して就職できるよう、村雨を隠しておいたのだ」

「見よや!!」

と番作、小刀を「丁」と投げると

竹筒が落っこちてきて 村雨があらわれるというかっこいいシーン。

で、村雨がいかにすんばらしい刀かという描写がいろいろありまして……

村雨の特殊ギミックが語られます。

「殺気を含んで抜くと、刃先から水が飛び出るのじゃ!!」

「いまから犬塚信乃戌孝(もりたか)となのれかし!!」

 

これで終わればいいのですが、

・村雨を受け継ぐ。戌孝という名前になる。

・父が自殺する。(切腹・いろいろわけがあるのさ)

・信乃、瀕死だった愛犬与四郎の首を村雨で斬る。(これまたいろいろあったのさ)

・与四郎の首から「孝」の字の玉が玉があらわれる。

・亀篠・蟇六(伯母夫婦)に養われることになる。

これらの事件が立て続けに起きます。

もう、僕には要約する力はありません。

 

というわけで、伯母夫婦に養われる信乃でしたが、

この亀篠&蟇六ってのはとんでもないワルで、

どうにかして村雨を盗って、甥の信乃を殺すか、それしか考えてません。

(それは番作もお見通しだったので警告していた)

 

で、蟇六が村雨をすり替える悪だくみが 岩波文庫の2巻目に語られるのですが、

信乃と一緒に川に漁に行きまして、

で、わざと蟇六、おぼれたふりをする。

それを信乃が助けようとする。当然、刀は岸に置きっぱなし。

ここで共犯者が刀をすり替える。

こんな事件が起きます。(ホントはもう一ひねりあるのだが、まあいいや)

 

で、亀篠&蟇六は、何食わぬ顔をして

就職活動に古河の成氏のもとへ出かける信乃を送り出す、という流れです。

冒頭語りましたが、信乃は刀がすりかわったことに全く気付いてません。

番作が「信乃、おまえが成人したら、成氏さまに献上して就職できるよう、村雨を隠しておいたのだ」

といいましたが、

逆にいうと、村雨がないと、これは何の意味もないのですが……

 
……②に続く。

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