②です。前回の記事が 文字数制限を超えてるとかなんとかいうので
記事を分けます。
――もとい、「村雨盗難事件」の続き。
義理の伯父の蟇六(すごい名前……)の陰謀で 名刀・村雨をすり替えられてしまった犬塚信乃……
このシーンの直後の馬琴先生の説明。
されば亦、犬塚信乃は、その思慮才学人に超たり。片時も由断せしにあらねど、蟇六が入水せしは、計りてわれを溺らせんとて、楫取の土太郎を、予て窃に相譚て、如右せしならん、とのみ思ひて、船中に在る左母二郎が、村雨の名刀を、搨替んとは思ひもかけず。船の寄るを待つけて、わが衣を取て穿け、わが両刀を取て、腰に帯たるのみ。事倉卒の間にして、しかも夜中の事にしあれば、抜放ても見ざりけり。嗚乎惜むべし、親も子も、年来護し宝刀なれ共、只寸隙の由断によりて、他手に落るは、時運なるべし。
(岩波文庫「南総里見八犬伝(二)」75ページより)
この説明もすさまじい。
というかツッコミどころ満載。
「信乃は片時も油断していなかったのだが、蟇六が入水したのは
自分を溺死させようとしてそうしたのだろう(!?)
とおもい、名刀をすりかえるところまで頭がまわらなかった」
自分を殺そうという陰謀はサラッと流してしまう……そんな信乃でありました。
(さいごの「時運なるべし」ってのもなんか笑える……)
えー、物語はこのあとすさまじい急展開で……
肝心の村雨は 蟇六とグルだった 左母二郎(さもじろう)ってチャラいやつが奪い取りまして
だが、それを初登場の犬山道節(忠の字の玉をもつ犬士)がチャラ男をあっさり殺して奪う というお話が続きますが、
(さらに亀篠&蟇六もあっさり斬殺されたりします。道節とは関係なし)
肝心の信乃は 村雨がすり替わっていることをご存じなく、
のんきに許我(古河)の御所に就職活動にいっちゃってます。
はい。
で、成氏という偉いやつに 村雨を見せに行くという段取りになりました。(最終面接みたいなものである)
が、以下、
信乃=アホ
が明らかになる決定的場面です。
が、これまた文字数制限にひっかかるので③につづく。
(岩波文庫の「南総里見八犬伝」をワードでおこしまして、それをコピペしているのですが、
どうもそれが莫大な文字数を食うらしいです)