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日本郵船・氷川丸② 一等児童室・一等食堂・Bデッキ

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昨年……2022年12月に撮った氷川丸の寫眞をベタベタ貼っていきます。

あ。「寫眞」ではなくて「写真」か。

漢字変換すると1番目に旧字が出てくるトマス・ピンコです(笑)

たとえば日本郵船の「船」の字も本当は「舩」と書きたいですが、

誰も読めなくなるのでやめます。

 

前回同様、資料は

・横浜市教育委員会「横浜市指定文化財「氷川丸」調査報告書」(以下、調査報告書と略します)

・「氷川丸ガイドブック」(船内で販売されているパンフレット)

を、使います。

「氷川丸ガイドブック」は、値段忘れましたが、(数百円だったとおもう)

とても出来がいいものなので、マニアックなことを知りたい方以外は、

これ一冊で氷川丸のことはあらかた理解できるとおもいます。

 

また、氷川丸に関して

海文堂出版、郵船OB氷川丸研究会編「氷川丸とその時代」

という本がありますが、

この本は「船」それ自体よりも、船を動かしていた「人」がメインの本なので

私の興味からは少しずれるので、こちらは使いません。

逆に、チャップリンが乗船した時はどうだった、とか

秩父宮殿下ご夫妻が乗船した時はどう、とかが知りたい方はこちらを読まれるべきだとおもいます。

ただ……あくまで個人の感想ではありますが

この本、プロの物書きが書いたものではないっぽいので

文章が生硬で内容も薄い気がします。そんないい本ではないです。

(繰り返すが、個人の感想)

 

□□□□□□□□

もとい、氷川丸。

入口にエントランスロビーというのがありまして、

これは新しく作られたスペースなので

1930年代にしか興味のないトマスはまったく写真を撮りませんでした。

 

エントランスロビーの次にあらわれるのが

一等児童室です。

調査報告書では「子供室」

 

セレブのガキ……失礼、お子様方をお預かりするお部屋です。

なのですが、コロナのせいか、部屋の入口に黄色いテープが張り巡らされていて入室できませんでした。

(例えは悪いが、ドラマの犯罪現場とかで貼られるようなああいうテープです)

 

照明、おしゃれ。

カラースキームをみるかんじ、マルク・シモンのデザインに忠実に作っています。

吉田鋼市先生の文章を引用すると

 

天井下の斜めの壁部分の絵は、カラースキームではイソップ物語を素材にしたもののようであるが、実際は日本の児童をモチーフにした絵に変えられている。創建当初からはそれほど変わっていないようであるが、天井のサークル灯の下部にカヴァー状のものが付加され、壁の塗装が変えられている。

(調査報告書、10ページより)

 

えー「カヴァー状のもの」がよくわからなかったのですが、

「調査報告書」の写真だとカバーが確かについてます。

たぶん……吉田先生達の調査をふまえてオリジナルの状態にいろいろと戻しているようです。

(下記、一等食堂でもそのことがわかる)

 

空調の設備が特徴的ですが、これはあとで触れます。

 

↓↓これが日本の児童の絵

 

 

上述の通り、テープに囲まれて入室できなかったので

以下2枚、5年前の画像。

この頃は入室出来ました。

 

ただ、あんまし広い部屋ではないので、

あと、「ここがすごい!」というポイントも見つけられなかったので

あまり写真を撮ってないです。

 

木馬が置いてありました。

なんか西洋のセレブな感じ。

凝った壁の造りなど、よくわかります。

今、マイホームなどでこれをやるとしたら、かなりお金がかかりそうです。

 

えー次、Bデッキの通路のご紹介。

Bデッキは建物の感覚で言うと「2階」にあたりまして……

エントランスロビー、

それから今回紹介する「一等児童室」「一等食堂」がこのフロアになります。

 

Bデッキの御案内↓↓

二等客室がこのフロアなんだろうとおもいます。

が、見学できないのでどんなだかわからない。

 

あと、Bデッキ船尾近くに

二等喫煙室というのがあって、調査報告書によればかなり保存状態がいいらしいのですが、

見学コースには入ってないです。

見学できる機会はあるのか。

(調査報告書に白黒の写真は載ってます)

(吉田先生はここのデザインは褒めていない。そんな大したものでもないのか)

 

Bデッキ通路の様子。

 

これもBデッキ通路。

 

一等客室のAデッキになると、通路が若干広く、

あと照明が 前回の記事の写真にいっぱい出てきた

ピンク色の笠のついたかわいい照明だったりします。

 

そうそう。これが空調の説明。

「パンカー・ルーヴル」という装置。

戦時中は病院船だったりしたこともあるというのに、

こういうものをきちんととっておくという精神。

昔の日本人がなにもかもすごかったわけではないだろうが、

モノを大事にするというのは立派。

 

空調に関しては正直よくわからんのですが……関連する文章を書き写しますと、

 

蒸気発生ボイラー

本船の暖房や厨房用熱源となる蒸気を発生するボイラー。燃料の重油を温めて流動性と燃焼性を改善するのにも使用されるので、2基装備された。

(調査報告書、40ページより)

 

冷温の流水設備は一等船客の各室に、サーモタンク会社設計の換気・電気暖房装置は全客室に設置されています。

(「氷川丸ガイドブック」10ページより)

以上の記述から、

冷房は装備されてはいなかったんだろうとおもいます。

 

あと……↓↓

フレッシュ・エア云々と書いてあるところを見ると 暖気がここから出てきたわけではないのか??

換気……ベンチレーターなのか?

扇風機的に使ってくれ、とも書いてあるな。

でも冷気が出たわけではないよな??

いろいろわかりません、パンカー・ルーヴル(Punkah Louvre)

 

確実に言えるのは――

スコープドッグに似てる。

「装甲騎兵ボトムズ」のファンは確実に萌えるデザインでは、ある。

 

 

 

つづいて一等食堂。

 

 

 

貝殻みたいな照明。

貝殻というとどっちかというと「アールヌーヴォー」な感じがするな。

アールデコではなくて。

 

だからダメだ、とかいうことではなくて。

 

しっとりと落ち着いた雰囲気。

ここで食事したい。

目の前のホテルニューグランドとコラボして なんか上手いことできないのか?

(とか勝手な事言ってます)

 

 

このように↓↓

入れないようになってますが、5年前はこんな柵みたいのはなかった。

 

自分は 昭和3年の「アサヒグラフ」を全部持っているのですが、

昭和3年の一番めでたいニュースは 秩父宮殿下の御結婚なもので

とにかく 当時の「アサヒグラフ」には秩父宮&松平節子姫の話題ばかり出てくる。

 

それもあってこのご夫妻には勝手に親近感があります。

 

はい。例の空調設備。

「パンカー・ルーヴル」

ボトムズみたいな……スコープドッグみたいな装置。

 

ちょっと施工は雑かな。

 

このトップライトは「調査報告書」の頃は塞がれていたらしい。

吉田先生達の調査をふまえて復活したようです。

(2006~2008年に改装工事があったそうです)

 

逆に言うと↓↓ このトップライトはオリジナルではないということになります。

妙にキレイだとおもった。

 

引用。

天井廻りの矩形を交互にずらせた帯装飾、その下の2段の三角形断面を連続させた帯飾り、デンティル風の柱頭装飾、柱形左右の三角形を組み合わせた装飾、扉のガラス文様、壁付灯など、当初の姿をとどめた部分も多い。特に柱形の左右の装飾と扉のガラス文様は典型的かつ上質のアールデコである。

(調査報告書、9ページより)

 

魚眼でいろいろ撮る。

 

吉田先生のいう

「天井廻りの矩形を交互にずらせた帯装飾、その下の2段の三角形断面を連続させた帯飾り」

というのが……例の「パンカー・ルーヴル」のあたりのこと↓↓

 

 

 

以下6枚 5年前に撮影したもの。

今は上述のように柵で囲まれていますが、この頃は椅子に座ったりすることもできました。

 

「デンティル風の柱頭装飾」というのは柱の上部の「歯」みたいな飾り↓↓

勉強になるなあ。

というか、学生時代、当の吉田先生の建築史の授業で「デンティル」教わったはずだが、

完全に忘れてる。

 

トリミングしたもの↓↓

吉田先生、激推し(?)の

「柱形左右の三角形断面を連続させた帯飾り」というやつ。

 

なるほど。そういわれると凝っててかっこいい気がする。

作るのは大変そう。

 

もし……当ブログを読んでから氷川丸を見学なさる方は、

「柱の横の装飾が、マルク・シモンのアールデコデザインのキモですの。オホホ」

などと同行の方にカッコつけてみるのもよろしいでしょう(笑)

 

照明もかっこいいですね。

LED電球でもはまってるのかな? 今は。

 

 

 

 

 

 

この壁は……なんの木材かわからないけど。

おカネかかってる感じ。

素人目にはメープル材……バーズアイメープルとかいうのに見えるが違うか?

(知ったかぶり)

 

棚はザ・アールデコという感じで、名探偵ポワロにでもでてきそうなシロモノ。

角を丸めるのが なにもかも「流線型」というのが流行っていた30年代の特徴。

 

パンカー・ルーヴルがとにかく可愛い。

 

 

以下2枚 昨年(2022年12月)撮ったもの。

時計。

パテック・フィリップのカラトラバという有名な腕時計があるが、

あれと同じようなセンスを感じる。

 

今調べたら、カラトラバは1932年だから、やっぱり30年代ですね。

 

これは当時の用語でいう「電気時計」かな?

(ゼンマイの穴がないので)

ネジがプラスネジになってしまってますが、

メンテナンスの際、いつかはわからないけど、入れ替えられちゃったんでしょうかね。

 

最後。

前回載せた画像をトリミングしたんですが……

 

これも吉田先生激推しの

「典型的かつ上質のアール・デコ」の「扉のガラス文様」↓↓

 

これはシグマの魚眼じゃなく、きちんとツァイスのレンズで撮るべきだったと猛烈に後悔しております。

また行く機会があったら、ぜひ撮り直したい物件です。

 

まだ続きます。


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