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小津安二郎展(神奈川近代文学館)・横浜都市発展記念館・ロイヤルウイングさようなら

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神奈川近代文学館でやってる「小津安二郎展」の記事なのですが――

 

はじめに、これは重要なことなので書いておきたい。

会場の解説および図録でミスがありましたので……

 

「非常線の女」のスチールの↓↓ 赤丸で囲んだ人物。

「伊達里子」と解説がありますが、この人物は「逢初夢子」です。

 

わたくし、展覧会場で「あの、この方は……」と指摘し、

学芸員の方にも「その通りです。逢初だとおもいます」との答えだったので、

たぶん修正されているとおもいます。

 

トマス・ピンコ以前に会場に行かれた方のために

はじめに書いておきます。

 

というか、絹代ちゃんはかわいいな。(左端)

 

もとい、

元町・中華街駅から

めちゃくちゃ暑い中を歩きまして……

 

歩きまして、

 

歩きまして、

 

歩きまして、

 

大佛次郎記念館のネコ。

今度行ってみようとおもいます。

 

ようやくついた小津安二郎展。

 

はじめにミスの指摘とかしたのですが、

全体にとても良かったです。

まんべんなく全てを集めました! というのがよくわかる。

尖ったところはないけれども「総集編」というのはそういうものだ。

 

ただ、全部が全部撮影不可、というのはいかがなものか。

やっぱしSNSでの発信が最大の宣伝になる、という世の中、

こういう態度は古い。

まあ、いろいろ大人の事情はあるんでしょうが……古いよな。

 

撮影可のスペースをどこかに作ればよかった。

 

図録、買った。

 

各種の本で、その存在を知っていたもの……

たとえば

・小津の日記

・小津のベンソンの懐中時計

・小津のパテック・フィリップの時計

・厚田さんのストップウォッチ(ヴェンダースの「東京画」にでてくるやつ)

こういうものの実物がみれたのはとても良かった。

パテック・フィリップはまあ大きさの見当はついていたけれども

日記も、ベンソンも こんなに小さなものだとは思わなかった。

 

で、問題(?)のこのスチールですが、

こんなのははじめて見た! みれて良かったです。

 

これは欲しいな。

 

しかも……

結ばれなかった二人――

 

おッちゃんとミミ……

小津安二郎と水久保澄子がぴったり肩を寄せ合っているのが

なんだか泣かせるじゃないか。

そういう意味でも欲しい。

 

……でもでも、そんな写真でも一番目立っている田中絹代。

やっぱし大スタアは違う。

 

えーお昼。

お腹が空いたので、ホテルニューグランドへ。

行ったのですが、ザ・カフェは一時間待ち、と言われて諦めました。

 

今回は一人で行ったのですが……

T子さんに 「ニューグランド一時間待ちだからあきらめた」とLINEすると

「あたしなら待つ」などと返事がきました

 

そう言われましたが、諦めて大さん橋へ。

引退したロイヤルウイングがいました。

 

二回か三回か乗ったので、最後に会えてよかった。

さようなら、もう会えないかな。

 

大さん橋で食事。

客船がいないから、誰も人がいないんじゃないか? とおもったのだが、

こういう日でも混んでるのね。

窓際は座れない。

 

真ん中の茶色の瓶に水がはいっている。

ただし――ぬるい。

 

ストローさしてあるのはジンジャーエール。

悪くはないが、ちょっと甘かった。

 

 

 

ハンバーガーはおいしかった。

小笠原祥子さまみたいにナイフとフォークでいただきました。

 

 

横浜都市発展記念館へ。

こんな建物。

 

1929年竣工の「横浜中央電話局」

戦前の上品なオフィスビルです。

交換嬢とかが通ったりしてたのかな?

 

時間がなかったので……というかラッシュアワー前にイバラキへ帰りたかったので、

建築はあまりはみる時間がなかった、

 

が、建築目当てでも行く価値はありそう。

ただ、そろそろ空調の工事がはじまるとか、で、

そろそろ一時休館してしまうらしい。

 

工事終わったら、また見学に行きたいです。

 

展示は、ここも撮影不可なのは不満。

貴重な戦前の資料が撮影不可なのはわかりますが、

最近作った建築模型とかを撮影不可にする意味はよくわからない。

 

たとえば「東京都復興記念館」だと、震災直後の模型なんかが撮影可だったりするんだが――

(というか全館撮影自由だった気がする)

 

しかし、

昭和初期、という人気のない時代にフィーチャーしてくれているのはありがたい。

 

一般に流布しているイデオロギーによれば

「暗黒の昭和初期→戦争→敗戦→GHQ、そして日本国憲法による解放」

という公式があるわけですが――

 

たぶん横浜は占領軍にあちこち接収されたから 他の地域に比べて

このイデオロギーへの信仰心が薄いんじゃあるまいか?

「戦前ってけっこうよかったよね」

「というか、戦前の方がよかったよね」

という、深層心理が、こういう「都市発展記念館」の発生に繋がっているのかもしれない。

 

もとい、グッズがやけに充実していたので、

大人買いしました。

 

↑図録類

↓絵葉書(復刻版)

 

戦前の吉田橋と伊勢佐木町。

もうたまらん。

 

戦前のニューグランド。

 

建物の写真いろいろ。

 

 

これも復刻版の……

吉田初三郎「横浜市鳥瞰図」

1935年のもの。

 

そうそう。

俺はこういうのが見たかったんだ。

 

大さん橋に、「これでもか」と船が碇泊してます。

ホテルニューグランドはもちろん左下にあります。

 

これも……

俺はこういうのが見たかったんだ。というやつ。

 

「大日本職業別明細図 横浜市中区 附磯子区」

1936年のもの。

 

オデオン座があって有隣堂があって 不二家もあって……

そうそう俺はこういうのが見たかったんです。

 

とにかくグッズが充実してました。

ただ、職員さん二人だけで回していたので……

 

爆買いのトマス・ピンコのせいで約十分くらい他の仕事が止まってしまっていたとおもう。

(絵葉書だけで三十枚くらい買い込んだし……)

すみませんでした。


よくみたら「霧立のぼる」だった件 桑野通子のサイン付きブロマイド(戸田家の兄妹)

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前々回の記事で

国防婦人会の、このセエラア服のお孃さんの寫眞。

 

千葉早智子さん、かなぁ……などと書いたのですが、

全然違いました。

 

まあ、おんなじPCLの女優さんではありますが……

 

この人、霧立のぼるさんですね……

大変失礼いたしました。

 

三十坪の秘密基地さん、という方のツイッターに載ってた 彩色バージョンも載せておく。

 

言い訳を書いておくと……

霧立のぼるのチャームポイントは 「ちょっと両目の間隔があいている感じ」なわけよ。

 

それが、このセーラー服の写真だと斜めを向いているんで

わかりづらかったわけだ。

この二枚の対比でよくわかるのではないか↓↓

 

しかし、前回の記事で――

小津安二郎展のミスを……

「この人は伊達里子じゃなくて、逢初夢子です」

などと偉そうに指摘したから、これは、さらに恥ずかしい……

 

わたくしの購入した国防婦人会の写真。

霧立のぼる孃 5種類もはいっていた。

当時の人気がうかがえる。

 

霧立のぼる。「人情紙風船」しか見てないから、他のも見ないと。

 

えー、

あいかわらず、戦前のかび臭いモノ、

紙きれを集めております。

 

桑野ミッチーのサイン付きブロマイドとか買ってしまったりした。

 

はじめは、表情とか、服装とか、あまり気に食わなかったのだが

(ミッチーはモダアンな洋装姿がいいとおもう)

 

よくみると、

「戸田家の兄妹」の時の衣装だったので、即決で買ってしまった。

 

なんだろう、大船撮影所で撮ったのかな?

 

サインはこんなです。

 

最近、池田理代子先生の「ベルサイユのばら」にはまっているのですが、

(アニメ、コミック両方)

あれ見ると、筆跡偽造のオヤジが出てきて、云々、というエピソードがよくある。

 

そんなのを見てしまうと、

保証書みたいのがあるわけでもないから、

これもどうなのか、わからんのだが、

古本屋のオヤジが書いたのではなく、

まあ、ミッチーが書いたのだとしておこう。

 

いや、絶対にミッチーが書いたのだ。

 

この写真、銀浮きがしてて……

(斜め上からみるとこんな風にみえる↓↓)

 

年代物であることは確かです。

 

あと、慰問用絵葉書、というのも

ミッチーとか高杉早苗たんとか目当てで買ってしまっていて……

 

兵隊さんに手紙を送りましょう、というグッズなのだが、

まだ、これは30年代の製品だとおもう。

とても質が良いです。

 

というか、桑野ミッチーに軍服を着せるセンスは↑↑ 如何なものか?

なにかそういう映画があったのか?

 

(おそらく)40年代の慰問用絵葉書、というのも持ってるんですが、

それは紙の質も、印刷の質も劣悪で

「これは戦どころじゃないんじゃないか……」

というシロモノだったりします。

日本郵船・氷川丸③ 一等読書室・一等社交室・一等喫煙室

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氷川丸・つづき。

前回②の記事を書いたのは4月おわりだったので

だいたい2カ月くらい間があいてしまった……

 

とにかくはじめてみます。

順路の通り進みますと……一等食堂の次にあらわれるのは

「一等読書室」です。

 

前回みた「一等児童室」「一等食堂」はBデッキにありますが、

「一等読書室」は、一階上のAデッキ。

 

ここもマルク・シモンのデザインらしいが、地味すぎて見所がよくわからない。

「アールデコ」!! というケレン味に欠ける、というか。

 

吉田剛市先生の「調査報告書」を引用しますと、

 読書室は、1等船客サロンの左舷側後方にある細長い部屋であるが、もともとここもさしたる造形的要素の見られないシンプルな部屋であった。ただし、壁は全面板張りだったようで、決して簡素というのではない。現在は先述のように、柱形と中央天井灯に当初の姿を見ることができる。

(横浜市教育委員会「横浜市指定文化財「氷川丸」調査報告書」10ページより)

 

ということで、竣工当時の写真をみると、たしかに豪華な木材の壁だったようです。

椅子とかテーブルとかも豪華……ちょうど目の前のホテルニューグランドのロビーみたいな、

そんな感じのものが使われていたようです。

 

今はまったくゴージャス感はない。

 

本棚とか撮ってますが、

天井灯の写真は撮ってない……

 

次回行くことがあったら、一等食堂のドア、そしてこの読書室の天井灯は撮らねばならない、

などとおもいました。

 

お次。

一等社交室。

 

「調査報告書」では「1等船客サロン」と呼んでます。

 

「調査報告書」を引用しますと――

 

 天井は中央部を斜めに折り上げたトップライトで、そのトップライトの矩形による枠取り、斜めの折り上げ部分の半透明のガラスの円弧の組み合わせによる華麗な装飾、垂れ壁の下部の円弧と三角形を組み合わせた帯装飾、柱形の柱頭の独特の植物文様、五角形のガラス4枚と周囲にジグザグ文様を施した中央ガラスからなる天井灯、それに入口ドアの鉄細工の文様など、アール・デコの造形の横溢する空間である。天井周囲の玉縁飾りがややクラシックな印象を与えるが、これもまた幾何学的に簡略化されたディテールをもっており、やはりアール・デコ的である。

(同書8-9ページより)

 

「天井灯」がちらっと写ってます。

 

柱の様子。

「独特の植物文様」というやつ。

 

トップライトはこんなです。

 

「華麗な装飾」というが、

けっこうかわいいデザインだとおもう。

 

部屋全体の様子。

 

五角形のガラスを使った天井灯の様子がわかりますが、

これもあらためて撮りにいかないと。というポイント。

 

天井トップライトの折り上げ部分。

 

暖炉の様子。

 

 

以下、5枚。

5年前の画像です。

武漢肺炎パンデミック以前だったので 無粋な立ち入り禁止のテープなどはなかったわけです。

 

暖炉のディテールです。↓↓

凝った造形。

 

かわいいパンカー・ルーヴル(空調の装置)

そして「円弧と三角形を組み合わせた帯装飾」

 

 

 

柱頭の装飾

 

フレスコ画。

なんかアンリ・ルソーっぽいような感じ。

 

吉田剛市先生によると、

「フォーヴィスムというかプリミティヴィスムというか、アール・デコ的な様式とは少し異なる雰囲気をもつが、先述のエル・ジェゼール号のサロンやパストゥール号の食堂でもシモンと共同している画家・漆工芸家ルイ=レイモン・ドレアージュによるものである」

とのことです。

 

個人的には……あくまでわたくし個人の好みですが、

柱頭のデザインといい フレスコ画のデザインといい、

なんかおどろおどろしい……ごてごてした植物文様がどうも苦手。

この部屋はあまり好みではないかな。

などとおもうのですが……

 

なにもない大海原を航海していると逆に、こういうごてごてしたデザインを愛でたくなるものなのかも??

とも思ったりもします。

 

次。

「一等喫煙室」

 

一等社交室があまり好きではないのは、

こっちの……喫煙室のシンプルなデザインが好きなせいか?

 

元々のマルク・シモンのデザインはもっとごてごてしていたらしい。

 

なんかこう、上品な「バー」みたいな部屋だ。

 

このステンドグラスなんかたまらん。

 

トップライトも社交室よりかっこいい。

「空間」としてこっちのほうが迫力があるんですよね。

 

吉田剛市先生も褒めてて

「しかし、3段に折り上げられたトップライトは圧巻であり、その立ち上がり部分の溝掘り状の帯装飾、同様な溝掘りをもつ柱形、そして天井灯など、やはりアール・デコ的な造形が随所に見られる」

 

3段に折り上げ……ねえ。なるほど迫力はそのせいか。

社交室のトップライトはそういわれると平板な印象だな。

 

シンプルでメタリックな雰囲気が良い。

 

暖炉脇の椅子なんて快適そうです。

某国から広まった疫病のせいで座れないことになってますが……

そういうのそろそろ止めましょうよ。

 

……というか、もうこの状態じゃないかもしれないな。

最近氷川丸行かれた方、いらっしゃいます???

 

好みの空間なので

いろいろなアングルから撮ってます。

 

 

 

 

 

 

 

天井灯。

 

これは……どういう扉なのか?

しかしかっこいいっす。

 

暖炉もシンプルで良し。

社交室のはデカすぎる。(個人的な見解)

 

以下4枚 5年前の写真。

さっき書きましたが、暖炉脇の椅子とか座れたんだとおもう。たぶん。

 

時計。

こんな変な時間には行かなかったはずなので

(正午の汽笛を聞いた記憶がある)

時計は止まっているのでしょう。

 

メーカー名不詳だがゴージャスな雰囲気。

黒い丸はゼンマイの穴か??

(……にしては塞がれているように見えるのがよくわからない)

 

マイナスねじにも注目したい。

 

右側の↓↓

 

船のステインドグラスの部分は バー的なものなのかな?

それともタバコとか葉巻とかがしまってあったのかな??

 

酒もタバコも興味がないんですが、

この空間は好きです。

 

まだ……気力があれば続きます、氷川丸の記事。

日本郵船・氷川丸④ Aデッキ・一等客室

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つづき。

今回はAデッキのご紹介。

まあ、一等船客。特権階級のエリアです。

 

まずはAデッキの屋外デッキからみた実物大ガンダム。

最近わたくし、「水星の魔女」(最新のガンダム)ロスなのですが――

 

ここの↓↓ ガンダムベースとかいうのは「水星の魔女」とはあんまし関連がなさそうですね。

だったら興味ないや。

 

そもそも「少女革命ウテナ」みてえなガンダムが始まるらしいぞ、というので見始めたので

ガンダム自体にはあんまし興味はないのだ。

しかし……スレッタちゃんのエアリアルってだいたいこれくらいの大きさなのか……

という感慨はある。

 

実物大エアリアル作らないのかな。

 

――あ。しょっぱなから関係のない話題ですみません。

 

Aデッキの廊下。

広くて、明るくて優雅。

 

これがBデッキになると狭く、

Cデッキになるとトンネルみたいな……暗い通路になります。

 

↓↓左巻きのヒトが見たら、なんらかの感想は言うかもしれないが……

 

まあ、電車で云えば、自由席のお客がグリーン車に入るな、ということで

当たり前のことだ。

 

魚眼で撮ってみたところ。

壁の凝ったデザインがわかります。

 

ここは誰のデザインなのか? 「調査報告書」には何も書いていないのでわからない。

ただ マルク・シモンの中央階段のデザインをそのまま流用しているように感じます。

 

というか、そのまんまですな。

 

屋外デッキをのぞいたところ。

 

屋外デッキ。

チーク材が敷き詰められている由。

 

マリンタワーをみる。

 

みなとみらい側。

 

N1デッキへの階段↓↓

 

なのですが、この日は見られなかった。

 

氷川丸から見た

みなとみらい

大さん橋の様子。

 

船内のご案内。

これがないと今どこにいるのかわからない。

 

氷川丸サイズでこれだから、

現代の巨大客船とかどうなってしまうんだろう。

 

マイナスねじ。

いい具合に変色した板。

シンプルな書体。

なにもかもがいい。

 

 

 

 

 

 

ホテルニューグランド側。

ここは「フォアキャッスルデッキ」というらしい。

 

 

以下、1枚だけ、

5年前撮った写真です↓↓

 

これはAデッキの 一等喫煙室の横の階段。

画面左側に進むと一等喫煙室

右側に進むと一等客室

 

 

 

 

一等客室が並んでいるエリア。

 

一等客室の様子。

シンプルで美しい。

 

中に入ってみたいが、それはできない。

天井は鋼材がむき出しですね。

窓の無骨な感じもよい。

 

解説。お読みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

飾り毛布の説明。

 

 

以下、一等特別室。

スイートルームなんですが……

 

ひとによって好みは違うが デザインが重苦しく、

一等客室のシンプルでモダンな雰囲気と対照的。

 

ちょっとセンスが古めかしい感じがしてしまうな。

 

 

 

 

 

「調査報告書」を引用しますと……

 

まず、特別客室。これは、Aデッキの階段室の左舷側後方にある寝室・居室・浴室の3室からなる部屋で、先述のように川島甚兵衛の設計になるものとされている。非常に保存状態がよく、創建当初の姿がそのまま残されている。壁は花をモチーフとした文様をもつクロス張りで、川島甚兵衛の古代織だという。天井の周囲の額縁と天井下部の帯装飾の花模様は、こうした花模様はアール・デコでも頻用されるが、通常のアール・デコのものより稠密で、クラシックな感じもする。総じて造形要素が細かく密に配されており、アールデコとクラシックの中間のような雰囲気である。寝室にそれぞれ藤・椿・枇杷をモチーフにしたと思われる3枚のステンドグラス、居室にオウムをモチーフにしたやはり3枚のステンドグラスが見られるが、田辺千代氏のご教示によれば、このステンドグラスの施工は天竺鐵五郎が担当したと鐵五郎のご子息が記憶しておられるという。

(横浜市教育委員会「横浜市指定文化財「氷川丸」調査報告書」10ページより)

 

 

 

 

 

オウムのステンドグラスが見えます。

しかし、天井灯のおどろおどろしいデザインとか

豪華なんだろうけど、閉鎖的な壁の雰囲気とか……

ここで過ごしたい、とは思えないなあ。

 

 

以下、5枚

5年前に撮ったモノです。

 

マクロプラナー50㎜で撮ってますが、

魚眼よりこっちのほうがわかりやすいですね。

というか、つくづくいいレンズだ。

 

つくづく美しい一等客室と比べて……

 

特別客室は……どうもねえ……

明治時代の遺物みたいな印象。

 

 

 

全部ステンドグラスで塞いでしまう意味が正直良く分からない。

画面一番右側のはステンドグラスでいいとおもうが、

左側2枚は外の風景がみれたほうがよくないか?

 

設計の意図がよくわからない。

 

まだ続く予定です。

 

ザ・カフェ フラッペフェア・夏季限定カレー(ホテルニューグランド)

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ザ・カフェ(ホテルニューグランド)の ももフラッペを食べに行ったという記事です。

 

結論を云えば、すばらしかった。

はっきりいってデカいので、途中で飽きそうなものだが、

後述するように色々な味が樂しめるので まったく飽きませんでした。

 

□□□□□□□□

かき氷はとても良かったんだが、

今回の橫濱行きは 出だしはあまり良くなかった。

 

中華街の某有名ホテルに 某日午前2時にチェックイン。

このホテルが名前は出さないがイマイチだった。

いつも橫濱行くときは ホテルニューグランドに泊まるのだが

午前2時なんて滅茶苦茶な時間には泊めてくれないので

某ホテルに決めてしまったのだった。

(もし泊めてくれたとしても・・・

ただ寢るだけのために、ホテルニューグランドというのはもったいないだろうし)

 

で、11時にチェックアウトした我々は大變に機嫌が惡かったわけですが――

ザ・カフェで――某ホテルとは違う――細やかなおもてなしを受けて……

 

すっかり機嫌が良くなりました。(特にT孃が)

 

ただ悲報がありまして――

 

我々の愛する、いや愛していた ニューグランド特製のレモンスカッシュは廢止されてしまって

伊太利亞製の市販品になってしまいました。

 

どれもこれも景氣の惡いせいでしょう。

 

レモンティー。

いい具合にぬるい。(熱くない)

 

アメリカンクラブハウスサンドウィッチ。

うまし。

どこがどう美味しいのか僕の能力では説明できないが……

フライドポテトの一本一本までうまかった。

 

アップルパイ。

の、アラモード(ヴァニラアイス附き)

 

ザ・カフェのスイーツがすごいのは、見た目ゴリゴリに甘そうなのだが、

あくまで甘さが上品なことである。

と思います。胃にもたれる感、途中でイヤになってしまう感がないのね。

 

優雅な朝食を終えた我々は――

 

横浜人形の家でシルバニアファミリーなど見たのですが、

大變おもしろかったのですが、

それはそれで別の記事になるとおもいます。

 

ああ、そうだ。

元々の計画では 人形の家の付属のカフェ(エスプレッソが有名らしい)で軽く朝食、という予定だったのだが、

あんまり宿泊した某ホテルにがっかりしたので

急遽ザ・カフェで朝食となったのだった。

 

結果、この日は ザ・カフェで朝食と夕食を食べることになって

気づくと結構な出費になってました(笑)

 

人形の家のあと、橫濱驛へ移動。

 

高島屋地下の千疋屋総本店へ。

昨年末に飲んだ「アップルジンジャー」がまた飲みたかったのだが、

そこはさすが千疋屋で……りんごの季節ではないので

アップルジンジャーは置いてなかった。

 

かわりにマンゴージュースと ミックスフルーツのクープサンデーなるものをいただく。

 

マンゴージュースは、自分としてはなんか薄味におもえた。

が、それだけに本当に100%果汁……マンゴーを絞りました! という凄みがありました。

 

↑↓写真でみると優雅そうですが、

壁際のものすごい狭いスペースで食べてます。

 

小津ファンの方にしかわからないだろうが、

「秋日和」で、佐田啓二と司葉子がラーメンをすする、あのシーンみたいな狭っくるしさです。

 

橫濱驛周邊で何をしたのか、というと。

機動戦士ガンダム・水星の魔女のガチャガチャで(笑)

 

都会住まいのアナは一体なにをしているのだ? と思われるでしょうが、

「水星ってお堅いのね」ならぬ

「イバラキってお堅いのね」で――

 

女の子同士が結婚してめでたしめでたし、などという先進的なアニメのガチャガチャは、

イバラキには置いてないのです。(少なくとも土浦イオンには一つもない)

 

とても氣にいったのは A5のミニポスターがでてくるガチャガチャで

これには散財して全種コンプリートしました・・・・・

 

ビブレとヨドバシ二か所で散財。

 

ノレアの表情がとてもよい。

これは……ニカ姉けとばすシーンだっけ? どこだっけ?

 

もとい、

シルバニアをたくさん見て

水星の魔女のガチャガチャで散財して

 

夕食はまたザ・カフェに戻ってまいりました。

 

↑↓こうしてみると、

渡辺仁って とてもヘン……

異物がアチコチにある建築家だな、とおもう。

 

↑天井の、この装飾とか若干気味が悪いぞ。

 

えー……このすさまじい暑さでは

誰も出歩きたくはないらしく、

お客さんはあまりいなかった印象です。

 

フラッペフェアと夏季限定カレー

どちらも攻略してやります。

 

 

まずはカレー。

 

キーマカレー。

撮り忘れたのですが、玉ねぎのクリームソースがついてくるのでそれをかけます。

 

スパイシーです。

いわゆる「洋食屋さんのカレー」というより、

尖ってスパイシーで立派に辛いです。

 

スパゲッティナポリタン。

 

これは久しぶり。スイートルームに泊まった時(確かコロナとかGoToなんとかで安かったんである)

ルームサービスでいただいたとき以来。

 

ここのナポリタンはあまりに有名なので説明するのは野暮だとおもいますが、

ナポリタンの発祥のくせに いわゆる「ナポリタン」の

トマトケチャップめいた味はまったくしません。

魚介のダシのきいた、まったく別種類のシロモノです。

 

ええと、カレーとセットのポテトサラダ。

うまし。

 

これもカレーとセット。

マンゴーラッシー。

 

これもご覽のようにとてもおしゃれでおいしかったが

これに関しては 水戸のスリランカ料理屋のコジコジさんがけっこういい仕事してるな、とおもいました。

 

コジコジの方が安くて量が多い分、勝ってるかもしれん。

 

しかし、短いストローといい、かわいらしいグラスと云い

カレーのアクセサリーみたいなものでしょう。

浮かんでいるアイスはヨーグルトのアイスだったとおもいます。

 

気取った写真 その1 ↓↓

 

気取った写真 その2 ↓↓

 

など撮っているとようやく もものフラッペがやってきました。

 

とにかくデカい。

桃のエキス入りの練乳クリームが上に乗っているそうです。

 

氷はほろほろととろける様です。

 

ちと汚いかもしれんですが、

かき氷の内部はこうなっております↓↓

ヴァニラアイスが中にいるのね。

 

下の部分、茶色っぽいですが、「アールグレイのシロップ」だそうで、

その中にごろごろとカットした桃が入ってます。

 

なので

練乳クリーム+氷

ヴァニラアイス+氷

桃+氷

アールグレイのシロップ+氷

と色々な味が樂しめる訳でして……

当然、全種類混ぜてもいい訳ですし……

 

いや、これは良かったです。

 

さいご。T子さんの頼んだアイスティー

 

ごちそうさまでした。

朝食と夕食、ザ・カフェに入り浸った一日でした。

 

たいへん滿足しまして

イバラキへ帰りました。

 

次回、人形の家の記事を書く予定です。

横浜人形の家 シルバニアファミリーわくわくフェスタ2023

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7月下旬 横浜人形の家の

「シルバニアファミリーわくわくフェスタ2023」を見に行った、という記事です。

 

行ってからもうひと月近く経ってしまったので記憶が薄くなってしまっている……

ので、何か間違ったことを書いたらすみません。

 

前回の記事で書いたことですが、

中華街の某ホテルにがっかりし⤵

だが、ザ・カフェのおもてなし&朝食に大滿足⤴

 

という流れで人形の家に来ました。

人形の家は、定宿(というのはおこがましいか)のホテルニューグランドから近いので

いつでも行けるだろう、と思って

今迄行かないでおりました。

 

入口にいた(たしか) ショコラウサギのお父さん。

 

入口付近

島村龍児作

「赤いくつの女の子」

 

胸元のブローチがこんなに凝ったものだとは撮ってる時は気づかなかった。

撮った写真を整理していてはじめて気づくという……

 

あ。そうそうフラッシュ使わなければ全館撮影OKとのこと。

横浜はどういう訳か撮影不可の施設が多いので、こういうのは珍しい。

 

どうも人形の家。建物のオーナーは横浜市だが、

管理者は民間らしい。それで撮影に寛容なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

色々展示品がありました。

たしか江戸時代の人形とか 豪勢なひな人形とかあったと思うが

撮ってませんので触れません。

 

いわゆる「人形」だけでなく、

こういうキャラクター商品みたいのもきちんと網羅しているのは偉いとおもいました。

 

モンチッチはうちにたくさんいます。

ああ、これがモスクワオリンピックのミーシャですか。

 

なにかそういうキャラクターがいた、というのは耳にしていたのだが、

(たしか爆笑問題のラジオか何かで聞いたとおもう)

けっこうかわいいじゃないか。

 

一番驚いたのはコレです↓↓

じゃじゃまる・ぴっころ・ぽろりの世界に

突然、色っぽい姐さんが……

 

透け透けのおねえさんが……

 

平田郷陽作「粧ひ」

 

面長の……

戦前の山田五十鈴でも見てるかのような……

 

 

 

熱心に撮っていると T子さんに「こら♡」と怒られました(笑)

 

しかし、夜、ろうそくの明かりの中で見たりしたら

本当に動き出しそうです。

 

以下、恋月姫さんなる作家さんの人形

 

これもキレイだったが、

 

なぜ、「金髪」「青いお目目」でなくてはいけないのか?

という国粋主義的な疑問がどうしても出てきてしまう。

 

それでいうと、日本のアニメ作品全般にも同じ疑問を感じてはいるが……

 

以下2枚。名高いレンチドール。

 

最近――

吉屋信子が渡欧した際に(戦前)

レンチドールを買い求めて、云々。

という文章をどこかで読んだのだが、何で読んだのだか完全に忘れてしまった。

 

部屋の中の本をいくつか引っくり返したがどこにも載ってない。

あれは一体どこで読んだのだろう?

 

フィジカルな本ではなくて、Web上の文章か?とおもったが、

「吉屋信子 レンチドール」などと検索しても何も出てこない。

あれは一体何だったのか?

 

図書館やひとから本を借りたりしないので、

たぶんうちのどこかにある本だとおもうのだが、

あまりに本が多過ぎてなんだかわからなくなっている状況です。

 

もとい、↑↓この目つきがいいですね。

まったくかわいくしようとしてないところが立派。

 

シュタイフのくまちゃんもいた。

 

で、本題のシルバニアです。

 

夏休みなんで お子様がたがうじゃうじゃいるのを想像していたが

平日ということもあってか、

とても大人しい雰囲気の兄妹を一組見ただけだった。

 

以下見て行きますが、とても良い展示内容だったので、

これはちょっと残念だった。

(7月下旬時点のはなしなので今はどうかわかりませんが)

 

ペルシャ猫の女の子がお出迎え。

 

まず。

シルバニアを使ったアート作品みたいなものに圧倒される。

……というかシルバニアでこういうことをやっている人たちがいるのだ、というのに驚く。

 

シルバニア好きな人にはあたりまえのことかもしれませんが、

 

こういう……

背後に壮大な世界が広がっているとは、思いもよりませんでした。。

 

で、一番圧倒されたのが――

以下にみます「ノスタルジック メモリーズ」という作品で――

 

たぶん、というか、絶対。

ホテルニューグランドあたりの雰囲気を再現したのだろうとおもいます。

 

鹿さん一家とほしぞら猫ポーター

 

ブルジョワ一家がホテルに到着した、という雰囲気。

戦前のブルジョワ一家の雰囲気とか ポーターの制服とか、もうたまらん。

 

ホテルの前はトラムが走ってます。

 

トラムは市販品だとおもうが

ホテルの建物はどうなのか? よくわからない。

 

トラムの中からフェネックちゃんがこっちをみている。

 

全景はこんな感じです。

赤い色のアクセントが効果的。

 

マクロプラナーで寄って撮ると、

シルバニアの世界に入り込んだ感じで、もうたまらん。

 

作者の方たち↓↓

 

ありがとうございます。素晴らしいです。

大学で建築模型作るのは楽しかったし、

自分で言うのもなんだが、けっこう上手かったし――

こういうの見ると自分でも作りたくなります。

 

自分はモダニズム建築ばかり作ってたが、

んー 自分ならこう作るとか考えるのも楽しい。

 

 

 

 

 

しかし、お洋服が凝ってますな。

 

フローラウサギ一家がお散歩です。

 

どこから切り取ってもいい雰囲気。

ザ・カフェのあたりのあの雰囲気。

 

ドアマンの制服も立派。

というか、ネコちゃんが経営しているホテル、という設定なのかな?

 

……えー以上でノスタルジックメモリーズ終り。

ホテルニューグランド好きのかたなら、このジオラマはたまらないとおもう。

 

以下、他のジオラマもすごかったんですが、

「ホテルニューグランド」+「戦前レトロ」という

トマス・ピンコのために作られたような作品に圧倒され……

他の作品の写真はあまり撮らなかったし、あまりよく覚えてない。

 

 

 

 

 

 

 

というような感じで シルバニアにまったく縁がない人間が見てもとても良かったです。

ノレアとソフィ(機動戦士ガンダム・水星の魔女)の名前の由来を考察する。

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えー、以下、

水星の魔女ファンか、

もしくは初期キリスト教ファン(そんな人がいるのか)

しか、面白くないだろう記事です。

 

十数年ぶりに グノーシス主義ブームが自分の中でやってまいりまして

でグノーシス関連本を読み漁っていたのですが、

 

(注:グノーシスに関しては一言で説明するのは難しいので

ググっていただくのが一番良いと思いますが……それでもざっと説明しますと、

カトリック教会がキリスト教を、教義とか組織とかを統一する以前は、

色んな派閥があったわけです。

グノーシスはその一派で、今でいうと「アナーキスト」的な、

一切の地上の権威を認めません、的な過激なセクトでした。

かの聖アウグスティヌスもグノーシスの一派のマニ教の信者だったりしたらしいです)

 

で、クルト・ルドルフ先生の「グノーシス」を読んでいたところ――

 

 

まずアルコーンたちは人間に洪水を送る。ノアは「もろもろの権力の頭領(アルコーン)」からそのことの警告を受ける。そこへアダムとエバの娘であり、「人間の世代から世代への助け手」でもあるノーレアが現れて、一緒に方舟に乗せてほしいと求めるが、拒否されてしまう。そこで彼女は自分の息吹でそれを焼き尽くし、ノアにそれをもう一度建造することを強いる。

(岩波書店、クルト・ルドルフ著、大貫隆・入江良平・筒井賢治訳「グノーシス」145ページより)

 

ようはノアの方舟の物語のグノーシス版パロディなのですが……

ノーレアってもろにノレアじゃん……

と、水星の魔女をご覧になったあなたはお気づきでしょう。

 

アスティカシア高等専門学園を「焼き尽くし」た、ノレア・デュノクと

このノーレアはそっくりなんです。

名前だけでなく、行動も。

 

「ノレア」という奇妙な名前の由来はたぶんグノーシスなんじゃあるまいか?

 

(↓↓注:右 百恵ちゃんみたいな髪型のノレア・デュノクさん

左 聖子ちゃんカットのソフィ・プロネさん)

 

 

岩波書店の「ナグ・ハマディ文書」全四冊の注が

ノーレアに関して詳しく書いているので以下、引用します。

 

ノーレア

「アルコーンの本質」§12では、アダムとエバがセツを産んだ後にもうけた娘で、理屈ではセツの妹であると同時に妻ということになる。しかし、同§14(オーレアと表記)と§15ではむしろノアの妻であることが前提されていると思われる。(中略)

(トマス注:ニコライ派とマンダ教の)表象系統では、ノーレアは夫のノアがこの世の支配者であるアルコーンに仕えたのに対して、超越的な神バルベーローに仕える存在であり、ノアが造った方舟に立入りを拒まれると、三度までもそれを焼き払ったという。ヘレニズム期のユダヤ教のハガダー(物語)伝承にも、ナアマという女性が一方ではセツの妹かつ妻として、他方ではノアの妻として言及される。ノーレアという名前は基本的にはそのナアマがギリシア語化したものとする説が有力である。

(岩波書店「ナグ・ハマディ文書Ⅰ」補注・用語解説14ページより)

 

難しいことが書かれているんですが、

水星の魔女のノレアと似ている点としては――

・方舟を焼き払う=アスティカシアを焼き払う

・アルコーンへの憎悪=スペーシアンの憎悪

これがとても似ていて、いよいよモデルなんだろうな、という気がします。

 

アルコーン、スペーシアンそれぞれ解説しとくと、

アルコーン→宇宙の天球を支配している闇の天使みたいな存在

スペーシアン→人類社会を支配している宇宙に住んでいる人たち、アーシアン(地球人)を蔑視している。

というわけで

「グノーシス」と「水星の魔女」

物語の構造もとても良く似ているんです。

 

となると……姓の「デュノク」は何なのか??

 

デュナミス/ホロス

ギリシア語「デュナミス」は通常「諸力」の意味で否定的に用いられるが、ヴァレンティノス派についてのエイレナイオス「異端反駁」第1巻1章1節の報告では例外的に、プレーローマ内のアイオーンの一つで、ソフィアの過失を最小限にくい止める境界(=ホロス、カーテン)の役割を果たす。

(同書、補注・用語解説12ページより)

 

この「デュナミス」から来ているような気がする……

「プレーローマ内のアイオーン」は説明が難しいんですが、

プレーローマは「充満」で……グノーシスの理論では 宇宙の外に光の充満(プレーローマ)があって、

真の神はその光の充満であるらしいんです。

だから、この「デュナミス」もグノーシスが崇拝する、光の存在である、らしい。

 

□□□□□□□□

ノレア・デュノクさんの名前の由来がなんとなくグノーシス由来なんじゃないか?

ということがわかりました。

となると、ソフィ・プロネさんの由来も知りたくなるわけですが――

 

これも当然(?)グノーシス由来のように推察されるわけです。

始めに答えを言ってしまえば、

ソフィ→ソフィア

プロネ→プロノイア

なのではあるまいか?

 

また岩波書店のナグ・ハマディ文書を引用。

ソフィア/ピスティス・ソフィア

ギリシア語で「知恵」の意。「シリア・エジプト型」のグノーシス主義救済神話においては擬人化されて、プレーローマの最下位に位置する女性的アイオーン。男性的「対」の同意なしに「認識」の欲求に捕らわれ、それを実現しようとしたことが「過失」となって、プレーローマの「安息」が失われ、その内部に「欠乏」が生じ、それがやがて中間界以下の領域の生成につながってゆく。グノーシス主義は「認識」が救済にとって決定的に重要であることを強調する一方で、同時に認識欲の危険性を知っているのである。

(同書、補注・用語解説10ページより)

 

プロノイア

ギリシア語で「摂理」の意。ストア哲学では宿命(ヘイマルメネー)と同一で、神的原理であるロゴスが宇宙万物の中に偏在しながら、あらゆる事象を究極的には全体の益になるように予定し、実現してゆくことを言う。あるいは中期プラトン主義においては、恒星天ではプロノイアが宿命に勝り、惑星天では均衡し、月下界では宿命がプロノイアに勝るという関係で考えられる。グノーシス主義はストアにおけるプロノイアと宿命の同一性を破棄して、基本的に宿命を悪の原理、プロノイアを至高神に次ぐ位置にある救済の原理へ二分割するが、文書ごとに微妙な差が認められる。

(同書、補注・用語解説17ページより)

 

どちらも、グノーシスご存知ない方には なにやらチンプンカンプンかとおもうのですが、

ざざっと説明しとくと、

ソフィア(知恵)は、宇宙を股にかける、グノーシス神話のヒロイン的存在

プロノイアは、グノーシス主義者がプラスに考える、至高神の摂理

というような感じ。

 

(注:右 銀髪のネコっぽい方 ミオリネ・レンブランさん

左 赤毛のタヌキっぽい方 スレッタ・マーキュリーさん)↓↓

 

 

では、さて、「知恵」「摂理」こと、ソフィ・プロネさんが

なぜ水星の魔女の主人公、スレッタ・マーキュリーさんを「お姉ちゃん!」と呼び、

妙にまとわりつくのか?

という問題が浮かび上がってくるのですが――

これもグノーシス主義的に読み解くならば……

 

答え:スレッタ・マーキュリーもまたグノーシス主義者であるから。

 

ということになりそうです。

これまた説明が難しいんですが……難しいなりに説明すると……

 

・スレッタ・マーキュリー(水星)は

第三天のアルコーン(支配者):プロスペラ・マーキュリーの娘である。

(プロスペラは皆さんご存知の通り シェイクスピア「テンペスト」由来)

・スレッタ・マーキュリーは自分の出生・ルーツに疑問を持ち、

邪悪なアルコーンに反抗、そして光の充満(プレーローマ)の中の双子の姉妹に出会う。

(データストームの中の姉エリクトに出会う)

 

自分の出生・ルーツに疑問を持ち、探求する……

この実存主義的な問いかけがグノーシスの神髄でして……

 

われわれが誰であり、何になったか、われわれはどこにいて、どこへ投げ込まれたか、われわれはどこに向かって急ぎ、どこから救済されるのか、誕生とは、再生とは何であるか――これらについての知識がわれわれを開放する。

(人文書院、ハンス・ヨナス著、秋山さと子/入江良平訳「グノーシスの宗教」70ページより)

 

つまり、ソフィ・プロネさんは スレッタがモビルスーツ操縦の天才であるとかなんとかではなく、

スレッタ・マーキュリー=グノーシス主義者

という匂いを……自分と同族の匂いを感じ取って

「お姉ちゃん」呼ばわりするのではあるまいか??

 

まとめましょう。

・ノレア・デュノク

ノレア→ノーレア(ノアの妻、ノアの方舟を焼き払う。至高神に仕える)

デュノク→デュナミス(諸力、神的存在)

 

・ソフィ・プロネ

ソフィ→ソフィア(知恵、グノーシス神話のヒロイン的存在)

プロネ→プロノイア(摂理、至高神の摂理)

 

・スレッタ・マーキュリー

→邪悪なアルコーン(支配者)プロスペラ・マーキュリーに反抗し、

己のルーツを探求するグノーシス主義者

 

ソフィとノレアは自分のことを「地球の魔女」と呼んでいますが――

そのあたりもグノーシスを感じます。

初期キリスト教の時代に存在したグノーシスは

正統派……つまりカトリックに徹底的に弾圧されて絶滅させられるわけですが

「魔法」「魔術」の形をとって細々と生き残るわけです。

 

「地球の魔女」「水星の魔女」

どちらも 魔女=グノーシス主義者

と言い替えてもよろしいでしょう。

 

さいごに……

スレッタ&ミオリネの「結婚」がはっきりと描写されなかったことに

賛否両論あるらしく、

とくにLGBTQ界隈の方が批判しているらしいんですが……

それはなるほどそのとおりなんですが、

「水星の魔女」をグノーシスの観点からみると、あれはあれで正解だったような気もするのです。

 

ソフィア神話において具象化されているように、世界と魂の転落はこの統一が攪乱されることによって生じたので、「対」をなす相手あるいは原像の腕の中へ魂が帰還することは、ソフィア自身の範型的な帰還と同じく、決定的な終末時の出来事なのである。これに対応して、新婦の部屋の秘蹟は分かれていたものの統一というプレーローマ理念の完全な表現である。霊的人間(プネウマティコイ)すなわちグノーシス主義者は天使の花嫁として、そして彼らが彼岸に入ることは婚礼の饗宴として解釈される。

(岩波書店、クルト・ルドルフ著「グノーシス」257ページより)

 

どうも……グノーシス主義によると、

死→魂が穢れた肉体を去って、天上の光の充満(プレーローマ)と合体する。つまり……

「死」=汚れなき婚礼

「臨終の儀式」=新婦の部屋の儀式

「死者」=天使の花嫁

と、結婚という用語、

死の匂いがぷんぷんしているんですよね。

 

と、それを考えますと――

ラストシーンは、あれは死後の世界の出来事、

スレッタもミオリネも……それからシャディクガールズの面々も

あれは死者のような気さえしてくるんですよね……

 

データストーム=光のプレーローマの中の出来事なんじゃないのか??

 

以上です。

不吉な感じで終っちゃいましたが、

 

水星の魔女一周年ですよ。一周年。

桑野通子の絵葉書(厚生陶枕?) 京マチ子のサイン入りブロマイド など

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まず。

うちのゆり坊 12歳になりました。

はやいものです。

 

とても元気です。

さすがに年相応に大人しくなってきました。

 

が、暴れる時は暴れます。

 

 

□□□□□□□□

 

あいかわらず古いものを集めてしまいます。

特に戦前松竹のスタア、「桑野通子」「高杉早苗」のものとなると……

ついつい買ってしまう。

 

以下、三枚 桑野ミッチーグッズです。

 

これは皇軍慰問用繪葉書というやつ↓↓

支那との戦争にひきずりこまれてしまった頃のものです。

(支那なんぞに関わると碌なことにならないのにね)

 

なぜ断定口調かというと、太平洋戦争期の慰問用絵葉書はものすごく質が悪い。

これは紙質も印刷の質も高いので、どうみても日支戦争の頃のもの。

 

左から 川崎弘子 桑野通子 高杉早苗……とわかるんですけど、

左端の方はどなたか? お分かりの方、教えていただきたい。

 

面長の色っぽい方。

文明の利器を使えば、すぐにわかりそうではあるが……それはやりたくないんだよな。

琴糸路?? 山路ふみ子??

わからない。

というか、わたくし松竹作品ばっかみてるので

他社の女優さんは知識がほとんどない。

 

入江たか子とか山田五十鈴とか ビッグネーム中のビッグネームならわかるんだけど……

 

ミッチー

かわいいのだが、こういうコスプレはいいからさぁ……

一体何がしたかったんだ??

兵隊さんははたしてこういうコスプレ求めるかぁ??

 

SHUEIDO  MADE IN JAPAN  とあります。

まだ豊かな時代の産物です。

 

↓↓

これは良く分からないことだらけ……

 

主婦の友社が通販みたいなことやってたということなのか?

というか、今もやってたりするのか?

 

ポーラって何です?

化粧品のポーラと関係があるのか?

 

しかし、こんなものが古本屋の商品になって、

しかも、それを喜んで買う客がいるなんて……

当時の人は思いもよらなかっただろう。

 

↓↓これは 三枚の中では一番のお気に入りです。

 

桑野ミッチーの爽やかな雰囲気と

「夏を涼しく」の宣伝文句の組み合わせが良し。

 

「厚生陶枕」

こうせいとうちん……だろうなあ。

ググると、ヤフオクで出品されていたりするから、

まあまあ流行ったのかもしれん。

 

かわいいなあ、ミッチー

ただ、この広告 「桑野道子」と字を間違えてる。

 

そういや浅田真央ちゃんがエアウィーヴの宣伝してたりするが、

やっぱし 寝具の宣伝というと、若くて爽やかなスタアということになるんだろうなあ。

 

 

さいごに……

古色蒼然としてるが、京マチ子だから、戦後のもの。

 

サイン入りですが……何のコスチュームだろうか?

クレオパトラとか、そんな感じですが。

 

 

 

 


北見禮子さん、花柳小菊姐さん、第二十回関東東北医師大会記念写真帖

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えー禮子さん。

「禮」は「礼」の旧字です。

そこをはじめに説明しておかないといけない。

北見禮子さん=北見礼子さん

 

もとい、

前回の記事で 慰問用絵葉書の↓↓

この面長美人の正体がわからない、と書いたのですが、

hiki-take40 さんにいただいたコメントで正体がわかりました!

ありがとうございます!

 

手持ちの

文藝春秋「ノーサイド 1995年9月号 総特集キネマの美女」

の北見礼子さんの写真と 例の写真を並べてみる。

 

・洋装―和装

・微笑んでる―おすまし顔

と、ぱっと見別人に見えたのですが……

 

鼻の形がまったく同じ!

鼻・唇・頬のあたり、同じ!

目の形といい、眉の具合といい、顎の曲線といい、同じ!

 

北見禮子さんで決まりでしょう。

 

□□□□□□□□

次。花柳小菊さん。

これは自力で解明しました。

 

この慰問用絵葉書のロリ顔のお姉さんの正体がわからなかったわけです。

んーなんとなく田中絹代っぽいけど……

絹代ちゃんより目がぱっちりしてる気がする……

 

あと……妙な色気は何だ? 一体……

 

国防婦人会のブロマイドでも多数、この謎の人。

 

下の二枚の写真、悪名高い「千人針」持ってますね。

戦場だとノミだかシラミだかの巣になるとか。

 

おもしろいのは割烹着着ても、この人、主婦っぽくないのよね。

 

さて、誰なのか。

 

それが……

「主婦の友」昭和12年5月特大号を読んでいたところ、あっさり判明。

 

↓↓下の写真をみて、すぐに「あ。慰問用絵葉書の謎の美女だ」と思い出した。

 

小菊姐さん。

「ノーサイド」の記事によると、ロリ顔に似合わず(?)背の高い人らしい。

 

あと妙な色っぽさは芸者さんだったからなのか??

「其れ者あがり」ってこういう人を言うのか。

 

昭和12年の「主婦の友」はこんな感じです。

 

「原節子と高杉早苗の表情合戦」というおもしろそうな企画に惹かれて買ったのですが……

それ以外にも色々面白かったので、

これはこれで後で記事を書くかもしれません。

 

□□□□□□□□

続いても古本。

こんなオシャレな表紙の写真集。

横浜を中心に、鎌倉、江の島、箱根の写真もある。

 

「第二十回関東東北医師大会 記念写真帖」

 

お医者の集まりが横浜であって、で、その時の景品みたいなものなのか?? と推測する。

 

写真はこんな感じです。

大さん橋。

 

夜の伊勢佐木町。

 

たぶん、今の有隣堂のあたりだと思うのだが……

右手のビルが野澤屋(のちの松坂屋)じゃないかとおもうのだが。

野澤屋のならびに「カワイクツテン」があるはずで、写真に「カワイクツテン」の看板があるので。

 

ただ、「近江屋」も野澤屋、カワイクツテンの並びにあるはずなのだが

写真の左側に「近江屋」

両サイドに店があったということなのか?

 

とにかくわからないことだらけ。

しかし、1930年当時の賑わいがわかります。

 

愛しのホテルニューグランド。

このアングルからの写真は初めて見たかも。

 

しかし、雰囲気は変わらないのはさすがである。

ホテルニューグランドは開業から2,3年。

山下公園は出来上がったばかり、という時代だとおもう。

 

写真はしかし、総じて絵葉書的で……

僕個人としては、人々の生活が垣間見れるようなのが見たかったかな、と。

アサヒグラフに出てくるようなスナップ写真ね。

 

□□□□□□□□

さいご。

書物はかび臭い古本ばかり読んでますが――

 

テレビは配信のアニメばかり見てます。

というか、アニメ今まであまり見てこなかった反動が今になってきているのか?

 

「葬送のフリーレン」

あと、ネットフリックスで「ヱヴァンゲリヲン」(今頃??)見てます。

 

戦前女学生の下着事情が謎すぎる件(手持ちの資料だけで検討します)

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戰前女學生の制服の変遷とかは、まあいくつか資料があって

いつ頃セエラア服が流行り始めたか? とかいろいろ手持ちの資料でもわかるのですが……

下着、となると何がなんだかわからない。

 

わたくしの疑問を整理してみると――

以下の3点にまとめることができるとおもいます。

 

疑問①ブラジャーの着用率はどの程度だったのか?

(ブラジャー・乳バンド、どちらの用語が一般的だったのか? という疑問も付随します)

疑問②ズロースはどんなものであったのか?

(これは家庭で自作するものなのか? またパンツという言葉も目にするが、その棲み分けは??)

疑問③靴下(ストッキング)はガーターリングで留めるのか? ガーターベルトを使うのか?

 

それぞれについて補足しておくと・・・

①……ブラジャー・乳バンドですが、

河出書房新社の「女學生手帖 大正・昭和 乙女らいふ」という本を読むと

戦前の女の子にとっては ブラジャー=胸が大きくて困っている人がする矯正器具

という認識だったのではないか?

と思える節があるから、謎なのです。

(女学生向けの雑誌のお悩み相談コーナーに「おっぱいが大きくて困っているが乳バンドをつけるべきか」という悩みが寄せられたりしている)

 

しかし、以下にみるように映像作品に出てくる女優さんはブラジャー的なものをしているように見えるので・・

謎は深まるばかり。

 

たとえば、「隣りの八重ちゃん」(1934)の逢初夢子。

シュミーズの紐とは別の紐がみえるのでブラジャーをしているんだろうとおもう。

ただ、これはリアリズム描写だったのか?

 

「女優さん」はブラジャーをしていたが、「女學生」はあまりブラジャーはしなかった、

ということもあり得るんじゃないのか?

……わかりません。

 

 

②……ズロースですが、

広告をあまり見たことがないので、自作していたのかな?とおもうわけです。

また映像作品にしろ、スチル写真にしろ、シュミーズに隠れてしまって、

どんなものだか見えない場合が多く、謎です。

③……ようは現代のパンストとかタイツとかがなかったわけです。

そして今のように便利な伸縮性のある素材はないので

リングで留めるか ガーターベルトで吊るか ということになるわけです。

 

えー、この3つの疑問を以下、

い、文学作品

ろ、映像作品

は、雑誌等

にわけて、見て行きたいとおもいます。

 

□□□□□□□□

い、文学作品

 

そもそも……ですね。

吉屋信子先生がきちんと女学生の下着事情を書いていてくれればこんなことにはならなかったとおもうわけです。

 

「わすれな草」は、金持ちわがまま娘・陽子が

主人公・学者の娘・牧子を、むりやり自分のお気に入りの格好に着替えさせるというシーンがあるが

(池田理代子「お兄さまへ…」の御苑生奈々子×信夫マリ子の関係にすごく似ている、元ネタか?)

見事なまでに下着描写は省略されている。

そんなお下品なものは書きたくなかったのだろう(?)

 

下着が描写されている作品。記憶にある限りだと

 

 そして、ようやく眼ざめたまゆみは、煤けた柱の一つ家の中に木綿のお蒲団の中にシュミーズだけを着たまま寝せられて居た自分を見出した。

(ゆまに書房、吉屋信子少女小説選「紅雀」221ページより)

 

というくらいのもので(もしこれ以外にありましたら教えてください)

ズロースは? ブラジャーは? 靴下は? という疑問には答えてくれない。

 

一方、現代の作家だと、今野緒雪先生「マリア様がみてる パラソルをさして」で、

福沢祐巳ちゃんのお着替えシーンがあるので、何を着ているかがわかるし

(ちなみに祐巳ちゃんは「シュミーズ」ではなくて「スリップ」を着る)

(「パラソルをさして」では「ショーツ」と書かれているが、「長き夜の」では佐藤聖さまは「パンツ」という)

 

氷室冴子先生の「クララ白書」では、女子校の寮で、下着をどうやって干すか?

という問題が出てきたりするのですが……(氷室先生はひらがなで「ぱんつ」と書く)

ようするに吉屋信子にとっては下着問題は書くに値しなかったのだろうと思います。

 

男の作家だと……思い出すのは

谷崎潤一郎「青い花」(1922)

横浜の婦人服店での若いカップルの買い物シーンですが……

 

「そのくらいは構わないよ、此れから帽子や靴を買って来て、此処で着換えさして貰いたいんだ。洋服は始めだもんだから何も分からないんだけれど、下へ着る物はどんな物を揃えるんだろう?」

「よござんす、みんな店にありますから一通り揃えて上げます。――此奴を一番下へ着てね、(と、番頭はガラス棚からするすると絹の胸当てを引き出して)それからその上へ此れを着けて、下へは此れと此れを穿くんです。こんな風に出來たのもありますが、此奴あ此処が開いて居ないから、此れを穿くと小便が出来なくってね、だから西洋人は成るべく小便をしないようにするんです。此奴は不便だから此の方がいいでしょう。此れなら此処にボタンがあって、ほら此れを外せばちゃんと小便が出来ます。……此のシュミーズが八円です、此のペティコートが六円ぐらいです、日本の着物に比べると安いもんですが、此れだって、こんな綺麗な羽二重ですよ、……それじゃ寸法を取りますから此方へ入らっしゃい。」

(平凡社、モダン都市文学Ⅳ「都会の幻想」39ページより)

 

このおはなしのヒロインの「あぐり」は女学生じゃないんですが、18歳という設定なので

年齢的には近い。まあ、参考にはなるかな。

大正11年当時、女性が洋服を着ようとすると、まず下着一式から揃えないといけないし、

それがまあけっこうお金がかかった、というのがわかります。

あと、ズロース的なものなのでしょうが「こんなものを穿いておしっこをどうするんだ?」というのが

当時の日本人の感想だったのだろうということもわかります。

 

つづいて

我らが久生十蘭先生となると、「心理の谷」(1940)

これまた平凡社・モダン都市文学所収なんですが

ビルの屋上で礼奴(れいぬ)という変わった名前のヒロインが逆立ちするシーン。

 

 しばらくの後、両手の指の隙間からおそるおそるその方を眺めて見ると、礼奴は、両足の爪先をキチンと揃えて空へおっ立て、シンネリと逆立ちをしていた。

 襞の多い、薄沙(ダンテール)のついた朱鷺色の下着(シュミーズ)が、カトレヤの花弁のように優しく四方へ垂れさがり、その中心から、薄黄色の絹靴下に包まれた二本の足が、長い雄蕊のようにすんなりと伸び上っている。その大きな蘭の花がひとつそこに咲き出したようにも見えたのである。

(平凡社、モダン都市文学Ⅱ「モダンガールの誘惑」307-308ページより)

 

このヒロインもまた女学生ではない。

あとあまりにエレガントすぎて、なにがなんだかわからない。(カンカン踊りの描写みたいな気もする)

――谷崎潤一郎にしろ久生十蘭にしろ、

男の作家が女性の下着を描写する時は、どうしても(?)性的なニュアンスを帯びてしまうようにおもえる。

対して

氷室冴子、今野緒雪の下着描写は民俗学的なんですよね。

最近読みました、長谷川時雨「旧聞日本橋」(1935)も……

これは明治の洋装下着事情ですが……民俗学してます。

 

 しかし、その時分のモダンは、四布(よの)風呂敷ほどの大きさの肩掛けをかけたり、十八世紀風のボンネットや肩に当ものをしたり、お乳にもあてものをして、胸のところで紐を編上げたりするシミズを着て、腰にはユラユラブカブカする、今なら襁褓(おしめ)干しにつかうような格好のものを入れて洋服を着ていた時代である。

(238-239ページより)

 

シュミーズではなくて「シミズ」ってのがいいです。

「紐を編上げたり」というのは今週の「葬送のフリーレン」15話で

フェルンちゃんが着ていたようなあれだろうか??

 

…‥‥というか、これはコルセットか?

もとい、

長谷川時雨の少女時代(明治)はブラジャー的なものはなかったというのがわかります。

あいかわらず(?)ズロースに関しては答えてくれません。

 

ズロースにはっきり言及されるのは……

獅子文六の「悦ちゃん」(1936)で、主人公悦ちゃんは10歳の女の子ですが……

 

やがて彼女は、ドレスを脱ぎ始めた。クリッパーも脱いだ。最後に、おズロも脱いでしまったのは、まァ子供だと思って、大目に見て頂きたい。

(ちくま文庫、獅子文六著「悦ちゃん」30ページより)

 

ズロースを「おズロ」と呼んでいます。

今だと「おパンツ」「おパンティ」と呼んだりするのと一緒か。

 

……とまあ。長々あっちこっち引用しましたが、

女学生の下着事情は、さっぱりわからない。

という現状です。

 

もし、詳しく書かれた文学作品ありましたら、教えていただきたいです。

できれば女性作家のほうがいいかな。

男の作家が書くと余計な願望とか欲望とかが混じりそうで……

 

□□□□□□□□

ろ、映像作品

 

映像作品も、まあ肝心なところははっきり写してくれませんので

あてになりません。

 

あてにならないし、以下紹介する三作品とも男性監督の作品で、

男中心の世界が生み出した作品なので、

余計な「願望」「欲望」が反映されている可能性もある。

ただ、映画という大衆的メディアなので あまり突飛なイメージは押し付けてこないだろう、

その点、或る程度のリアリズムは担保されているとみていいのではあるまいか?

 

というわけで、あてにはならないのですが……

まずは「隣りの八重ちゃん」(1934)の逢初夢子。

お隣の美少女は高杉早苗。

 

 

楕円の鏡、というのがエルンスト・ルビッチっぽい、と思ったのですが、

次にご紹介する「玄関番とお嬢さん」にも楕円形の鏡が出てくるんですよね。

単に流行っていただけか??

 

どちらも松竹作品だから

同じ鏡を使いまわしている可能性もあるな。 

 

 

 

 

 

 

これはこの記事の最初に出した画像↑↑ですが

以上の着替えシーンからわかること・わからないことを書き出すと

 

・ブラジャー・乳バンド的なものをしているようだと推測される。

・ズロースを穿いているっぽい。

・シュミーズ・ズロースどちらもシンプルなデザイン(レース等は使っていないようだ)

・靴下に関してはなにもわからない。

 

ただ、上記のようにシンプルな……清楚な下着、というのは作り手の願望が混じっている可能性もある。

 

お次。

「玄関番とお嬢さん」(1934)の水久保澄子ちゃん。

ブルジョワ、わがままお嬢さんという設定。

 

こちらのシュミーズは

八重ちゃんのとは違ってセクシー要素があります。

逢初夢子→コットン

水久保澄子→シルク

かな? なんにせよ薄手の生地。

 

やっぱりブラジャー・乳バンド的なものをしているような気がする。

 

 

あらためて見て……

はじめて このネズミに気づいた↓↓

本題とまったく関係ないですが……

 

映像作品最後は

エルンスト・ルビッチ「陽気な中尉さん」(1931)

 

日本の女学生の下着事情とはまったく関係ないが、30年代当時の最新の……

ア・ラ・モードの下着事情は何かしら伝えてくれるだろうとおもいます。

 

まずミリアム・ホプキンスの、ひざ下までくるズロース。

 

クローデット・コルベールのは太股が丸見え。

 

ミリアム・ホプキンスはどこかの王家の姫様で

権力を使って イケメン・プレイボーイのモーリス・シュバリエと結婚するんですが、

シュバリエにはクローデット・コルベールという ミュージシャンの恋人がいる。

 

細かいあらすじは忘れたが、クローデット・コルベールはシュバリエを諦めて

ミリアム・ホプキンスの姫様に現代風のお洒落を伝授する、というシーンです。

 

捨てられ、焼かれるミリアム・ホプキンスのズロース。

なんともフロイト的な。

 

で、エロく完成した「ジョージア・クイーン」こと、ミリアム・ホプキンス。

まあ、ルビッチはホプキンスに惚れていたらしいから、

単にこういう恰好をさせたかっただけという可能性もある(笑)

 

本題に戻ると……

・やはりシュミーズ(これはスリップか)に隠れてしまって肝心なところはわからない。

・ブラジャーはしているのかわからない。

・ズロース、パンツ的なものの形状もわからない。

・靴下(ストッキング)をどうやって固定しているのかもわからない。

(たぶん、ストッキングはいているとおもうのだが)

 

わからないことだらけですが、

ハリウッドの最新形態、最新下着はこんなものだったようです。

(あるいはローレン・バコールの自伝とかを読みなおせば、詳しく書いてあるかもしれない。バコールはモデルさんもやっていたし)

 

□□□□□□□□

は、雑誌等

 

手持ちの戦前雑誌をひっくり返します。

 

まず「少女畫報」 畫は「画」の旧字です。

昭和三年十月号。これは「女学校新流行語集」目当てで買ったのですが、

(とても高かった)

(表紙は高畠華宵先生である)

 

下着関係の広告はなかった。

かわりといってはなんだが「ビクトリヤ月経帯」の広告。

十月号なので秋っぽいイラストです。

 

ちなみに戦前の女性向け雑誌には各社の「月経帯」の広告が多いです。

これは自作できるものではなかったからか。

 

次。

昭和十二年 婦人俱楽部六月号付録 

これは桑野通子が表紙だというので買ってしまったのだが、

実物は カラー印刷が気持ち悪い感じのシロモノ。

(まあ、たしかに桑野ミッチーではあるが……なんか北朝鮮のポスターみたい(笑))

 

だが広告はおもしろかった↓↓

・「乳バンド」「乳房バンド」ではなくて「ブラジャー」と書いている。

・やはり、ズロースに関してはわからない。

・コルセットにストッキングを吊るすパーツがついている。

 

ズロースはやはり家で作る物なのか??

あと「ブラジャー」ですが、

現代の広告でも「ショーツ」「パンティ」などと書かれるが、

実際に口にする場合は「パンツ」だったりする。

つまり、「ブラジャー」はファッション業界の用語ではあったのだろうが、

一般的にどの程度普及した言葉だったのか? そこらへんもわからない。

 

お次。

前回の記事でも登場した

昭和十二年五月特大号の「主婦之友」

(ちなみに姉妹雜誌「少女之友」はこの時代、中原純一の表紙でめちゃくちゃ高い。とても手が出ない)

 

巻末の主婦之友の通販コーナーみたいなところに

「夏の下着」が特集されていて興味深い。

 

〇婦人女學生用新型スリツプ……八十錢

胸の線が美しくでるやう特別の工夫がこらされてゐる今年の新型です。キヤラコ製で衿にはレースの飾りをつけてあります。丈は二尺七寸、八寸、九寸の三種ございます。

〇婦人女學生用新型シユミーズ……五十五錢

本年は特に保ちのよい極上メリヤスを選び入念に仕立てました。伸縮のきく上等地なのでそれは着心地のよいものです。どうかお試し願ひます。

〇特選乳バンド

絹ポプリン製……五十五錢

ベンベルグ製……八十五錢

掛け具合のよい點や仕立の入念なところをぜひ見ていただきたいと思ひます。お洗濯も充分ききます。

 

そもそもスリップとシュミーズの違いだが、ググってみると

スリップ→ドレスの下に着る。

シュミーズ→普段着の下に着る。

ということらしいが、「マリみて」の祐巳ちゃんが「スリップ」を着ていたように、

一般にはそんな厳密に使い分けているわけではない言葉ではあります。

が、昭和12年当時はきちんと使い分けていたのかもしれない。

 

スリップ・シュミーズはコットン製

乳バンドはシルクもしくはベンベルグ(高級な化繊?)

にしても、谷崎潤一郎の「青い花」の下着が滅茶苦茶高価なものだというのはわかる。

「羽二重」というからもちろんシルクで、しかも外国製品だったから高かったのでしょう。

 

乳バンドはサイズは特に書いてないのが謎。

ワンサイズ・フィッツ・オールか??

 

つづきを見て行きます。

 

〇新案ズロース

厚地メリヤス 一枚五十七錢 二枚一圓十錢

夏向メリヤス 一枚四十五錢 二枚八十五錢

新案パンツ

(スムース織)一枚四十錢 二枚七十五錢

どちらも脱がずに用便をたせる新型です。布地をたっぷり使つてあるので、丈夫ですし、格好もよろしうございます。以上の送料は各三枚まで内地十錢、植民地四十二錢。

〇特選コルセツト

八吋幅 實用型一圓十錢 特製一圓五十錢

十吋幅コルセツト 二圓五十錢

ゴム質を特に吟味して特製したもので、ガーターの具合も充分試驗濟みです。よそではこの程度のお値段では到底購められぬ格安品です。『十吋幅コルセツト』は自由に坐ったりかがんだりできるやう中央に特別のゴムが入れてあります。

 

今迄あまり登場しなかった「ズロース」「パンツ」が登場します。

「パンツ」は我々がお馴染みの形をしているやつで 「ズロース」は太股あたりまで覆うものでしょうか??

やはりおしっこ問題が問われております。

コルセットで、「ガーター」うんぬんと書いてありますから

上記のKMコルセットと同様の形状なのでしょう。

 

わからないのはコルセットは「吋」インチ単位なのですよね。

 

お次。

エロティック・シネマ・アルバム

という謎の本。

 

出版社、出版年月日不明。

おそらくアメリカの出版物を丸パクリして 日本の女優さんの写真をちょっと付け足したものではあるまいか。

収録されているメンツから判断するに

20年代終り~30年代初めの本だと思われる。

 

んーしかし男性視点な感じで

よくわからない。

 

ガーターベルトを調節しているようにもみえるし、リング、バンド的なものをいじっているようにも見える。

 

「陽気な中尉さん」のミリアム・ホプキンス同様、

丈の長いズロースは履いていないようです。

といって、どんなものを……

現代の「ショーツ」にあたるものはどんなものなのか? わからない。

 

日本の女優さんのページもいちおう見ておく。

五味國枝さん。

 

峯吟子さんは戦前のセクシースターだったというが、

下着事情は何もわからない。

 

ルパン三世の峰不二子の苗字はこのあたりから来ているのか??

 

長い記事。

ようやく最後です。

おなじみアサヒグラフ 昭和三年八月一日號

 

海外の漫画を紹介しております。

端艇競漕を見物なさる御婦人

……實に盛大な光景だつしやろ……

 

まあ、1928年当時の下着事情はわかるか、と。

 

皆さんズロースをはいておられますが、

靴下(ストッキング)の固定方法は人それぞれだというのがおもしろい。

(というか、いちいち描き分けているのがすごい)

 

ガーターベルトかコルセットみたいなもので吊るす人もいるし、

リング・バンドで留める人もいる。

 

以上、長い記事だったですが、

結論は「わからない」という一言につきます。

 

お分かりの方、ご教授願いたいです。

黒船亭は何もかも最高だが客層が悪い /神田まつや/水戸コジコジ

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今年は前半とても忙しいので

放っておくとブログの更新が止まりそうなので

 

とりあえず外食の記録を書いておこうとおもいました。

 

ゆり坊はとても元気です。

 

まず 某日。

水戸へ免許の更新に行った帰り。

茨城大学近くの スリランカ料理店「コジコジ」へ。

 

まずラッシー。

カレーがとにかく辛いので、頼みます。

いや、水ももちろんいただけますが、ラッシーの甘さが必要になります。

 

辛さに強いあなたは必要ないかもしれませんが、

辛さに耐性のないあなたは頼むべき。

 

来たぁ。

金属の容器に入っているのカレー。

 

色々ごちゃ混ぜにして食べる。

「ナン」はない。スリランカ料理なので。

ひたすらおいしく、ひたすら辛い。

 

ごはんの上に乗ってるのは ライスクッキー? おせんべいみたいなもので、これまたおいしい。

おいしい、しか書いてないが、おいしいのだから仕方ない。

 

一年ぶりくらいに来たが、甘い系の食材が多くなっていた気がする。

↓↓9時の方向あたりにあるのはパイナップル。

↓↓3時の方向あたりのあるのはさつまいも。

 

カレーは 左側、タコのカレー 右側、鮭のカレー

 

追加で頼んだチキンのカレー。

辛い辛い。

 

わたくし、消化器系あまり強くなく、あと、口の中も……ちょっとしょっぱいもの食べるとすぐに荒れる。

(スナック菓子とか食べると荒れる)

だから辛いモノ あまり食べないようにしてますが。

なのですが、

コジコジのひたすら辛いカレー。

どういうわけか、お腹やられないし、口の中も荒れない。

不思議。

 

たぶん質の良い辛さというのはそうなのかな。

 

 

食後、マサラチャイを必ず頼む。

これまた いろんなスパイス入りのミルクティで……

 

説明のしようがない。

↑↓ノリタケの食器も好きだ。

 

以上、コジコジ。

定期的に行きたくなる場所。

水戸は道がごちゃごちゃしてて嫌なのが欠点。

コジコジ近辺も道が狭い。

あと学生が多いので運轉には注意。

 

コジコジ行った次の日。

正反対ベクトルの食べ物を食べる。

 

ご存知、神田まつや。

数年ぶり。

 

まず焼き鳥(塩)

 

ごまそば。

シンプルイズベスト

コジコジとは正反対だ。

 

自分は ごまそば+焼き鳥 という外道な(?)食べ方が好きです。

 

まつやに行くと「並木藪とどっちがおいしいだろう?」と思い、

並木藪に行くと「まつやとどっちがおいしいだろう?」と思います。

 

双璧です。まあ、誰もが言ってることでしょうね。

 

不思議な事。

数年ぶりに行ったのですが、

僕の記憶の中のまつやは ↓↓このサイズの2~3倍の大きさでした。

でも建て替えたという話は聞かないし……

なぜだろう。

吉祥寺の支店の記憶とごっちゃになってるのかな??

 

んで、その日。夕食は 上野・黒船亭。

 

記事のタイトルに書いたのですが、客層が悪いので

どうしたわけか、二回に一遍は ヘンな奴のとなりに座るので……

 

怖々行ったのですが、時間帯が早かったのが正解だったのか、(5時半ごろだったとおもう)

両隣、上品そうなマダムで助かりました。

 

まず。オーガニックジンジャーエール。

 

黒船亭ウィンターコース というのを頼んだ。

 

T子さん 一皿目 クラムチャウダー

 

わたくし オードブル盛り合わせ 手前カモ肉おいしかった。

 

二皿め わたくし カニコロッケ。

単品で頼むと蟹のハサミがくっついて可愛いのだが、

残念ながらコースにはついてなかった。

 

でも濃厚でおいしい。

 

T子さん。

エビ&カキフライ

 

三皿目は 二人とも 海老とホタテのグラタン。

濃厚なダシがたまらん。

 

美人のウエイトレスさん曰く

「わたしはグラタンが一番好きです。おいしくみえるように撮ってくださいね」

(トマスの野郎がバカでかいカメラで マニュアルフォーカスで撮っていたりするので……)

 

このウエイトレスさんは、

トマスが頭痛薬を飲もうとしていると「お湯をお持ちしましょうか」と言ってくれたり

すばらしかった。

 

この記事、「黒船亭は客層が悪い」といっているのだが、これからそのことを書こうというのだが。

味は素晴らしいし、従業員の方たちは素晴らしいし、

ほんと黒船亭は素晴らしいんです。

 

三皿目についてきたパン。

 

パンはねえ、ホテルニューグランドという絶対王者がいるのでねえ。

あと、T子さんは 黒船亭の濃厚グラタンより

「ザ・カフェ」のドリアのほうが好きらしい。

 

まあ、どこかで読んだ知識によると(合ってるかどうかはわからんが)

日本の洋食の二大系統は 「ホテルニューグランド」系か「帝國ホテル」系だというのだが。

 

僕はニューグランドのドリアはちょっと薄味な気がして

黒船亭の濃いのが好き。

このあたり好みが分かれそうです。

 

最後はジュエルケーキ。

テイクアウトもできます。

 

今日はみはしのあんみつを買う予定だったので諦めた。

 

□□□□□□□□

で、本題。黒船亭さんには申し訳ないが 客層が悪い。

だが、要因は別にもあって……

 

・トマスの野郎があまり喋らず、人の話を聞いたり観察しているのが好き。なおかつ人の好き嫌いが激しい。

・黒船亭、となりの席との距離が近い。

 

というのはあるとおもう。

以下の画像は去年9月……真夏みたいな暑さだった9月の画像なんですが、

斜め隣の「先生」が酷かった。ひどかった。

 

今でも、あいつは あの「先生」は何者だったのか? とたまに話題に出るのだが……

 

・五十代男性(自分でしきりに「五十五の俺が」と言っていた)

・声がデカい。

・声がやけにとおる。

・まわりは「先生」と呼んでいる。

・とにかく偉そう。

 

僕は斜め後ろだったので外見はあまり見ていないし、見たくもなかった。

 

「先生」は、二十代~三十代の女性 三人に囲まれて 接待の様子だったが、

今考えてもよくわからないのは 「先生」の相手をするのはひたすら一人の女性で

(こいつも声が甲高くてうるさかった)

あとの二人は二人で大人しく会話をしていたところ。

となると、接待ではないのかもしれない。

 

先生。

ウヰスキーの「山崎」を偉そうに頼んでいた。

「俺みたいな五十五のジジイが言うのはなんだけどさ」「五十五」「五十五」

「そりゃあ仕事は成功している。金はある」

……のだが、あまり人間関係はうまくいってはいないような感じではあった。

 

まあ、とにかくうるさかった。

一体 何の「先生」なのか? そこだけは興味があったがけっきょく最後までわからなかった。

 

今から考えると、

「あの先生は何者だったのか?」

とおもしろくはあるのだが……

 

食事の現場ではおもしろくもなんともない。

 

黒船亭ではモンスターみたいな奴に出くわす確率が妙に高く……

 

武漢肺炎パンデミック直前。横浜の客船でどうこうやっていた頃、

・爪の長い魔女みたいな女(五十代?)

・東京マラソンが中止になること。東京オリンピックは問題が起こることは

わたしのオラクルカードの予言に出ていた、等大声で喋る。

 

こまかくは書かないが、なんかすごい女と隣り合わせになってうんざりしたことがあったっけ。

 

すみません。

「上野」という土地柄なのかな?

黒船亭さんはほんと何も悪くないんです。

スペースは小さいから、座席の間隔を広げる、とかできないだろうし。

 

今回は両隣上品で良かったのだが……

帰る間際 行列に並んでいたのは

五十代男性(五十代に何か恨みでもあるのだろうか(笑))+キャバクラのお姉ちゃん

の組み合わせで……

(トマスが勝手に想像してるんじゃなくて、キャバクラ云々の会話をしているんだもの)

んー、そうなんだよな。そういう土地なんだよな。

 

以上です。

「だから、もう黒船亭なんか行かない! プンプン!」ということじゃないんです。

通い続けます。通い続けますが、こういう店なんだよ、という不満を書いてみたわけです。

サンデー毎日(水久保澄子離婚の記事)・映画ファン(淡島千景が表紙)

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あいかわらず古い本をあさっております。

 

「サンデー毎日」昭和12年11月21日號

まず……デカい。

 

↓↓右隣の水色の冊子の大きさがA4なので……

B4かな。戦前サンデー毎日は。

 

当時のアサヒグラフも同じサイズです。

 

カラー印刷ですが、

「カラー写真」ではなくて「印象派の絵画」ですね。このタッチは。

 

ちなみに江川なほみさんという方。新興キネマの女優さんらしい。

 

内容。

水久保澄子の離婚について触れてまして……

というか、これ目当てで買った。

 

最近の有名な野球選手の結婚とかにはまっっっったく興味がないのだが、

小津安二郎が惚れていた女優の離婚問題はすごく気になるわたくし。

 

水久保澄子と赤ちゃん、そして元ダンナ。

こんな写真ははじめて見ました。

 

不届きなダンナはタンフッコとかいう野郎らしい。

(フィリピン人である)(日本帝國に醫學の勉強に來ていたんである)

この名前も……はじめて聞いたかも。

 

こやつとはダンスホールで会って知り合った由。

フィリピンの大金持ちとかいう触れ込みだったのだが、

いざフィリピンに渡ってみたら掘っ立て小屋同然の家だったという。

 

小津安っさんがもうちょっと頑張っておれば、こんな結果にはならなかったはずだ。

が、彼はあまりにシャイすぎたのだ。

 

まあ、この話題は興味がある人もいるかもしれないから

あらためて記事を書くかもしれません。

 

お次。

「映画ファン」昭和28年3月号――

 

これはジャケ買いです(笑)

淡島千景さま目当てで買った。

 

15~6年のカラー印刷の進歩が見えます。

戦前の「サンデー毎日」は印象派の絵みたいでしたが、

戦後はちゃんと「カラー写真」になってます。

 

髪型は完全にサザエさん(笑)

 

ジャケ買いだったが中身も凄くて……

 

というか、日本映画の黄金時代で、凄くない訳がないわけで……

 

デコちゃん。(高峰秀子)

いかにも「カラー写真」用の衣装という気がする。

 

ひたすらに可愛い香川京子ちゃん。

 

(「切に自重を望みたい」って偉そうなコメントは……???ですが)

(スキャンダラスな子なら分かるが、香川京子に??)

 

岸恵子ちゃん。

と、ビッグネーム揃い。

 

(この写真は背景の模様が若干気味が悪い)

(モノクロ写真の感覚で撮っているんだろう)

(そういう目で見ると、薔薇の色はルージュの色と揃えた方が良かった)

(その点 ↑のデコちゃんの写真はうまくいっている)

 

記事。

「お茶漬けの味」はけっこう流行ったらしい。

まあ、こうスター揃いでは流行るのは当たり前か。

 

小津監督の次回作は「東京物語」という作品らしいです。

皆樣、期待いたしましょう(笑)

 

となりの写真は小津組とは関係なし↓↓

 

さいごに

日本織物出版社「和服のスタイルブック」(1951)(昭和26年)

というのも女優さんの写真勢揃いで凄かった。

 

やっぱり綺麗な淡島千景さま。

 

↑表紙、誰だろう。

原節ちゃんにしてはふくよかすぎるし……

 

桑野通子「新女性問答」スチール・戦前のホテルニューグランドのパンフレット

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桑野ミッチーのスチールとなると買ってしまう。

 

スチールだのブロマイドだの買いあさっていると、

たまに「これは複製だろ……」というのをつかまされることもあるが……

 

これは睫毛の一本一本まで写りこんでいて、逸品。

複製品ではない。

よい買い物をした。

 

ただ……弁護士の格好よりも

女學生姿……あの制服姿のミッチーなら何倍も良かったのに……とおもう。

(「新女性問答」お姉さんの川崎弘子が藝者さんになって、桑野通子の妹の学費を出して弁護士にする、とかいう話)

(偶然というか、何というか、NHK朝のドラマ 日本初の女性弁護士なんとかかんとかいう話らしいですね)

 

桑野ミッチーグッズ

増えていくけれども、可愛いけれどもキレイだけれども――

これだ! という一枚にはなかなか出くわさない。

 

軍事慰問葉書の桑野ミッチーはどういうわけか軍人コスプレをしていたりするし。

(画像をご覧になりたい方は何回か前の記事をご覧ください)(いつだったかは忘れた)

 

次。

戦前のホテルニューグランドのパンフレット。

 

ホテルニューグランドに関しては

「ホテル・ニューグランド50年史」

「ホテル・ニューグランド八十年史」

という立派な本が出ていて、どっちも購入済みなんですが、

戦前の様子についてはいまいちよく分からない。

 

(50年史、八十年史、なんで数字の表記が統一されていないのか? トマスのミスではない)

 

ので、買ったのですが、

これも良かった。

 

というか、戦前のホテルニューグランドを調べるには

こういう戦前のグッズを集めて行くより他なさそうです。

 

まあ、わたくし以外にそんなことに興味を持つ人が はたして幾人いるかわかりませんが。

 

紙質がしっかりしていて、

大切に保管されてきた、というのもあるでしょうが、とても綺麗。

 

今の……現代のわれわれにとって ホテル・ニューグランドというと

「伝統の……」「シックな……」「質実剛健……」「歴史ある……」

というイメージですが、

 

戦前パンフレットで使われている形容詞は

「チャーミングな……」「ラブリーな……」

というもので、

南国のリゾートホテルでも紹介しているイメージです。

 

その違いがおもしろい。(まあ、出来たばかりだから歴史も伝統もアピールしようがないのだが)

 

パンフレット、機会があればこまかく紹介しようとおもいますが、

「鎌倉に近いです」とか「東京からも近いです」というアピールもしており、

このあたりも現代の感覚とは違います。

 

さいご。

戦前にばかり浸っているわけではないぞアピール。

 

「デューン パート2」みました。

 

パート1のほうが良かったかな。

 

ただし……パート1は TBSラジオの「アフターシックスジャンクション」でちょっと情報を入れただけの状態で見たんですよね。

それに対して 今回パート2は がっつり原作読み込んでから行ったので……

 

原作はガーニイ・ハレックが ポール・アトレイデスのママの命を狙うシーンがあるんですが、

そのあたりばっさりカットされてたりして……

その他いろいろ原作と違うので……

 

「原作との違い」にばかり注意がいってしまったので

あまりよく映画が見れなかった気がします。

 

「原作通りにやれ」というのではないです。

「デューン」みたいな、あんなモンスター小説。原作通りに映像化できないのはわかりきっているんですが……

 

ただ映画館で アイマックスでちゃんと見れたのは良かった。

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