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「色の道商売往来」「ラブ・ヴァージョン365日」感想

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ちくま文庫、というやつは

巨匠先生の全集をばっちり安価に揃えていたりして、

あるいは毛唐先生のけっこうマイナーな作品も網羅していたりして、

「オホホ、わたくしインテリ御用達でございますのよ」

というような顔をしていながら、じつはエロ本の宝庫であったりする。



今回…わたくしがブックオフの100円コーナーで購入いたしました

3冊のちくま文庫

・小沢昭一・永六輔「色の道商売往来」

・小沢昭一・永六輔「遊びの道巡礼」

・ペギー&イヴァン・バーク「ラブ・ヴァージョン365日」


これは3冊とも見事にエロ本であった。

こんな汚らわしいものは上品な当ブログで紹介すべきではないのだが、

たまたま「男のエロ」と「女のエロ」との違いを

この3冊が如実に表していたので、ここに紹介することとする。


ちなみに、結論を先に言ってしまうと

「男のエロはマクロを志向する」

「女のエロはミクロを志向する」

と、こうなります。


この違いをよく噛みしめてから以下の文章は読むべし。


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まず、「色の道商売往来」…

小沢昭一先生は、今でも元気にエロ話やらかしているからわかるが、

永六輔、ねえ…

でもあのヨボヨボ爺さんにも若いころがあったのだな、

ということがよくわかります。


僕は高校時代に身売りをすすめられたことがある。

アルバイトに通信社の原稿とりをしていた時、さる著名な画家のところで、「だまっていうことを聞けばパリへ連れていくという紳士がいるが、どうだろう」と、その旦那にひきあわされ、パリと肛門をはかりにかけて、肛門の方を守ったのである。

(ちくま文庫「色の道商売往来」118ページより)


どんどん引用してみよう。

以下、小沢先生とマッサージ嬢の会話。

太田:アラ、全盲の男性は、女の客にもてるんですよ。顔を見られないから、相当に恥ずかしいことも頼んじゃうんですって……

小沢:わかるね。有名な女優さんで、そういう人がいたよ。男の全盲のあんまさんにいろいろ大切なところをもんでもらうんだ。だれだかわからないから、平気でもだえたりできるわけだ。

太田:ちょっといいわね。美女とあんまがウヒヒヒヒ……。

(同書193ページより)


え~、小沢先生とおかまのおとき姐さん。

(トマス注:初体験について)

おとき:年がわかっちゃう。軍隊よ。わたし、終戦まぎわに行ったんです。高射砲隊よ。

小沢:高射砲…ちょっと似てるね(笑)。軍隊というのは、特殊なところでね、そのケのない人でも、あのあいだじゅうは、まったく代用品として、一時しのぎにその道に入る人が多いんですね。

おとき:将校の人には、好きでない人に無理にやられたこともある。でも、それは本式じゃない。スマタって、またを使ってやられたのね。

(同書226-227ページより)


これで最後にしておきます。

小沢先生とアジアを股にかけた娼婦お照さん。

(トマス注:中国人のセック○)

小沢:まず、どうします。

お照:女の子をまっ裸にして、すっかり見るわけです。それこそ、写真とったみたいに見ちゃうんです。

小沢:なでまわすようにして見る。

お照:こんどは、パッと開かせるんです。そして眺めて、それから舌を使ったり、手を使ったりする。手でも、ガタガタやりやしません。

小沢:日本人は性急でしょう。ただ輪転機みたいに、ガッチャンガッチャンやりゃいいと思っているやつが多いんだな。

お照:あれは、合わせようがない(笑)。

(同書267ページより)


一見…ただのエロ話の羅列のようにおもえてしまいますが、

そうおもってしまったあなたは、

甘い。


実は小沢昭一、かなりクールである。醒めている。

実は…実は…この男、

「エロ業界の文化人類学」

を作ろうとしているのではあるまいか、と僕はみました。

じっさい、ですね、

このたった3カ所の引用からでも

「全盲の男の場合」「軍隊の場合」「中国人の場合」

と3通りのセック○がはやくも分類できてしまっている。

永六輔の「芸能界の場合」というのをいれると4種類。

さらに細かく言えば…

おかまのおときさんの場合「将校の場合」「下士官の場合」

「好きな人の場合」「好きではない人の場合」

それぞれのセック○が分類されてゆく。

この調子で風俗業界関係者へのインタビューが

350ページ続きますので…

まあ、単純に考えて1000種類強のエロが分類されることになる。


□□□□□□□□


つづいて「ラブ・ヴァージョン365日」の感想

…なんですが、内容が

はっきりいって気持ち悪い

ので、ほとんど飛ばし読みです。


引用…の前に

この本のシステムを解説しておくと…

「一年365日。毎日毎日どのようなセック○テクニックを

駆使すれば、素敵な彼氏を籠絡しつづけることができるのか」

という素敵なガイドブックです。


1月28日 グラビア少女

グラビア少女になりましょう!

友人(もちろん、女の)に頼んでポラロイドカメラで、あなたの写真をたくさん撮ってもらいます。できるだけセクシーな写真にしましょう。そして、彼が好きな男性誌の最新号のグラビアページに貼っておくのです。

あとはくつろいで、彼がそれを見つけた時の反応を待つとしましょう。

(ちくま文庫「ラブ・ヴァージョン365日」31ページより)

つっこみどころがたくさんある。

①まず、ある程度スタイルの良い女でないとムリ。大惨事になる恐れが大。

②「彼」が好きな雑誌が「週刊プレイボーイ」「週刊ポスト」だったりしたらいいだろうが、

もっと硬派な野郎だったら、どうするのか?

オタクな彼のお気に入りの二次元キャラの上に「あなた」の

ブサイクな裸像を貼ったりしたら一体どんな惨事が招来されることか?


5月10日 肺炎

肺炎にかかったふりをしましょう!

ひどい肺炎にかかり、胸が締めつけられるようだ、と彼に訴えましょう。胸をさすってくれるように頼み、ローションを渡しましょう。あなたの胸に塗ってもらうのです。そして、ちょっと微笑んだら、嘘をついていたと告白します。

 お返しに、彼はあなたに健康的な愛撫を与えるはずです。

(同書136ページより)

↑と、いうか、ここまでしなけりゃならない仲、ってことは

…もうあんたら終わってる気がするが?


5月16日 トップレスでボトムレス

仕事中の彼に電話をしてみましょう。ちょうど今、フロントレスでバックレス、トップレス、そしてボトムレス、しかもストラップレスのガウンを買ってきた、と言うのです。彼は、そんな服はどう考えても存在しないはずだ、と主張するでしょう。でも、ちゃんとここにある、と言います。彼はそれがどんなものなのか、その日一日中、気になって仕方ないはず。

(同書143ページより)

↑これもまた、つっこみどころが満載。

①そうとうに暇な「仕事」をしている彼らしい。

②誰でも「ようするにスッポンポンなんだろ」とわかるとおもうのだが??

「彼」は相当にマヌケらしい。

③というか、セック○テクニックを磨くくらいしか頭にない

アホ彼女と付き合っておいて、そんなことも頭に浮かばない程度の

阿呆だから、お前、暇な仕事しているんだよね、当然だよね。


と、まあ、こんな本です。というかかなり穏やかな部分を引用してますので、

この場所以外は「フェラチ○」とか「クン○リングス」とか

そのものずばり「膣」「恥丘」「乳首」「ペニ○」とか

ばっかりでてきます。


まあ、どうなんでしょう?おもしろいの?こういうの?

僕はおなごではないのでよくわかりません。


□□□□□□□□


そんなわけで、一番初めに書いた結論に戻ります。

「男のエロはマクロを志向する」

「女のエロはミクロを志向する」


小沢昭一は一見ただのスケベ親父とみえて、

じつは「エロ業界の文化人類学」を志向していた。

エロ、を扱いながら実はその視線の先には

「世界」が…そして「抽象」が横たわっていたのである。


いっぽう

「ラブ・ヴァージョン365日」は、おしゃれ本を装いながら…

ひたすらに「具体的な」「エロ・テクニック」を追及していた。

この本に登場する

「女」も「男」も、「世界」を志向することは一切ない。

彼等は二人ですべて。二人がすべて。

そうして…(おそらく)…子供を作り、育ててゆくのだろう。


僕がおもわず気持ち悪くなってしまったエロ・テクニックの

おそるべき羅列は、放っておくと「世界」を志向して

「女」のもとから(保護下から)飛び立ってしまう「男」を

いかに籠絡し、あくまで「ミクロの世界」に閉じこめておくか…

その結晶に他ならないのであろう。


――――

えー…などといって、「ラブ・ヴァージョン365日」

フォローしましたが、

やっぱり気持ち悪いな。女のエロは気持ち悪い。


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