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「宗方姉妹」(1950)のここが大嫌いだ!

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「晩春」すきすき、だぁーーーーーい好き!!!!


という記事をいくつも書いてしまった反動なのだろうか。


「晩春」の次の

「宗方姉妹」は大嫌いなので、

その大嫌いポイントを7つ書いていきたいと思います。



・ここが嫌い①

「つながったお沢庵」がない!


カットカットカット

あのぶつ切りのショットをぶっきらぼうにつなげていく

「つながったお沢庵」がありません。


しょっぱな、京都の笠智衆の家のシーンですが、



比較的長めのショットを

たんたんとつないでいくだけです。


「晩春」ではカメラがセット内のあちこちを移動しましたが、

(撮影位置のはなし。カメラ自体はむろん固定です)

「宗方」では、同じ位置から動こうとしない。


途中デコちゃん…高峰秀子がお茶をくみにいくのですが、


「晩春」では電気屋さんに踏み台を渡す宇佐美淳を

律儀に追っかけていったカメラが……


「宗方」では一切追っかけようとしません。

デコちゃんが台所にいるというショットは皆無。


も…

もどかしい……


こうなると…高峰秀子、上原謙、笠智衆……と

大物揃いなのに

なんかダラーーーッとしてる。

小津っぽくない。


うーん……手抜き???


それとも……


巨匠小津、とはいえ、

はじめて松竹を離れて、他社(東宝)で撮った作品。


遠慮しちゃったのでしょうか??


カメラマンはいつもの厚田さんじゃなく

小原譲治という人。

あまりよく知りません。

溝口の「雪夫人」とか撮ってるらしい。

どんな映画だったっけ?

久我美子の入浴シーンとかあったような気が。


ま、この人のせいではないでしょうが。



注目したいのは……

背後の家紋……みたいなやつ。


○が…たぶん9個。



これが次作「麦秋」

間宮家の○が8つ。に、酷似していて……


もう安っさんの心は「麦秋」に――

原節ちゃん主演作に完全にイッちゃってたのではなかろうか、


などとおもわせます。


(↓↓以下二枚の画像、「麦秋」です)




ちなみに「8」および「○」は「麦秋」を支配する数字・図形なのですが……


「宗方」 しょっぱなに提示される「9」はなんの意味もありません。


このあたりもダラけた映画です。





・ここが嫌い②

宏さんの家が気持ち悪い!



「晩春」のアヤちゃんちが美しかったので、

誰か洋館に関する優秀なブレーンでもついたのか??

それとも建築学科出の大道具さんでも入ったか??


などと想像したのですが、


また安っさんがやらかしてます。

趣味悪ぅ~…………


神戸のボンボン、宏さん(上原謙)の家。


このゴテゴテ趣味はなんなのだ??


うーーーー……

吐き気がする……


デコちゃんが「ああすてき」「いいわねえ」などといい、

上原謙が「そうだろう」といわんばかりにニコニコ微笑んでおります。


バッッッッカじゃなかろうか。


コイツ……

いや、失礼、上原謙はフランス留学経験あり、という設定なのだが、


これはロシアの野蛮人あたりの趣味である。

フランス留学、とかいって、実はモスクワでスパイ活動でもやっていたんじゃなかろうか……


ちなみに…教養をひけらかさせていただきますと、

ロシア人がかっこいい、最先端の建築を作ったのは

ロシア革命直後のわずか十年ちょっと…

「ロシア構成主義」の時代、それだけです。

(タトリン、リシツキー、メルニコフ、レオニドフ等々)

その微かな輝きも……

独裁者スターリンのゴテゴテ主義に掻き消されます。


大学で教えてもらったが……

帝政時代だってひどいもので、

エルミタージュとか……

ほとんどニセモノ大理石だそうな……

模造よ、模造。


その点、奈良時代あたりから現在まで、

建築先進国家であり続けた日本とは

レベルが違う……


すなおに和風建築のセットを作れ、安っさん。


あああーーー気持ち悪い映画だ。

(いつのまにか、ロシアの悪口になっているが)




・ここが嫌い③

デコちゃんの衣装が気持ち悪い!


ファッション知識は

わたくし

はっきりいってありませんが……


とくに女性の服はわかりませんが……




このポケットはあり……なんですか?


見ていて気持ち悪いんですが……


こんなへんなもの剥ぎとって

ブローチつける、とか。

花でも挿しとく、とか。


他にやりようはなかったんでしょうか?




なんでもかんでも服にポケットをつける、というのは

アメリカ人がやりはじめたことだ、


というのはなにかで読んだことがある。


でもそれって……


ピストルをつっこんだり、銃弾をいれておいたり、


そのための野蛮な習慣だという……


ま、ポケット以外にも

なんかもっさりした服だなー、とおもいますが。


・ここが嫌い④

坪内美子が一瞬でいなくなる!


「風の中の牝雞」「晩春」に登場した謎の建築……


「宗方」にも登場。


あ。やっぱし、アントニン・レーモンド先生の教文館ビルだった。


ま、いやーーーーな作品ですが、

そのことがわかっただけでも良しとしよう。




田中絹代のやってるバーは、銀座にあるという設定。


で、共同経営者みたいな役で坪内美子が登場するのだが……


僕は「浮草物語」から、

この人のおっとりした雰囲気・たたずまいにはやられっぱなしで……


とくにトーキーになってからは喋り方も好きなので……


楽しみにしてたんだが…


なんと、一瞬でいなくなる、という。


「晩春」でも同様だったが、

それはそれで理由があるからで……


もうちょっと見たかったなー、美子たん……




えー、看板も手抜き。

「晩春」のBALBOA そのまんま……



△だらけなんですが……


こんなの中学生でも思いつくわ!!

だってだって

田中絹代―上原謙―山村聰

この三角関係の映画なんですもの……


小津安っさんがやるべき仕事ではない……


あーあ……

この看板はテンションだださがり……



・ここが嫌い⑤

山村聰が気持ち悪い!



山村聰がムカつく……


いや、失礼、山村聰が演じる、三村というヤツがムカつく。

(ええ、ええ、そうです。「3」村なんです)


ネコ好きという設定もムカつく。


↑飲食店にニャンコ連れてくるなーーーーー

わたくし、ネコ好きだからこそ、これはムカつく。

ニャンコぜったいイヤがってる。


いやーー、この甘えきったインテリ、という設定。

太宰治あたりの影響もあるのかしら?


とかおもうが、わたくし、太宰治も大・大・大嫌いなのであった。

イナカモンがブンガクやるな!! という感じ。


うん、うん……

わかりますよ、ムカつくキャラクターが必要不可欠な映画。

いやぁーーーーな悪役あっての映画。


そういうのありますよ。

ヒッチコックとかの得意分野。


でも小津安っさんがそれをやっちゃいけない。

明らかに得意分野じゃないんだもの。


うん。

ただ山村聰がうまい。というのはよくわかります。



・ここが嫌い⑥

クロサワ組のキャストが気持ち悪い!



気持ち悪い、っつーか……


藤原釜足、千石規子、このコンビ見ちゃうと、


どうしてもクロサワ・ワールドに誘われる……


ミフネ・シムラタカシが今にも顔を出しそうな……


でも小津安っさんがクロサワやっちゃいけないよ。


ま。おもしろいけどね……



ん。でもこうやってみると千石規子。

けっこうかわいいなーー


声はヘンテコだけど。



・ここが嫌い⑦

高杉早苗の家が気持ち悪い!



はい。高杉早苗は芦屋あたりの奥様なんでしょうか。


和風モダン、で、一瞬かっこいい、

んですが……


ま、元ネタは当ブログで2月~3月にご紹介した

前川國男邸あたりか、とおもうんですが、


いいね、いいね~

「宗方姉妹」…唯一の見せ場かも……


などとおもって油断していると……


でたよ、気持ち悪いポイント!!!!




このドアはなんなんだぁーーーーーー!!!!!!


へんなとこに壁作るなぁぁぁーーーーーー!!!!!


ヤロー……壁をできるだけ消そう、ってのがモダンなの!!!!!


構造上・機能上どうしても必要、ってとこだけ使うの!!!!


で、その壁はできるだけプレーンに仕上げるの!!!!


前川邸をみて! この官能的な白を!!!!


あーー気持ち悪いドア。


このドアひとつで、芦屋のお屋敷が

安普請の工場の事務所レベルに落ち込みます。


お着物きた奥様ではなくて、

こりゃ、作業着きたおっさんがくわえタバコでくぐるドア、です。


あーあ、小津安二郎ともあろうものが……


どういうわけか……

このお屋敷で、デコちゃんのセクシーショットがあるんですが↓↓


あまりに醜いものをみせてしまった、そのお返しでしょうか???


というわけで…

本当に嫌いな作品です。


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