旧根岸競馬場・一等馬見所跡
その2、です。
「その1」は――
「でかい」「なんかコワイ」「不気味」
「ラピュタみたい」
と、オメーは女子高生か! という内容でしたので、
今回は本来の(??)
トマス・ピンコレベルの記事を書こうと努力してみます。
――というか、あのですね、
「大学ではなぜこの建築に言及されないのか?」
「横浜市はなぜこの建築をほったらかしているのか?」
なる疑問を呈しておきましたが、
さっさと答えを書きますね。
ちょっとキツイこと書きますよ。
それは……
「根岸競馬場はクソ建築だ!」
から、です。
ついでにいうと……
「根岸競馬場はラブホ建築だ!」
ともいえます。
あ、すみません。
勘違いなさらぬよう……
根岸競馬場跡は、おすすめです。
一見の価値がある「廃墟」だとおもいます。
見にいってよかった。楽しかった、とおもいます。
ひょっとして壊されるかもしれませんので
……(そこらへんの情報一切知りませんけど)
はやめに見といたほうがいいとおもいます。
でもそれは……馬鹿でかい「廃墟」としての価値で……
建築としての価値はゼロ、だとおもいます。
以下、なぜこの建築がクソか、みていきますが……
その前に、
横浜市。
↑↓このような掲示板(?)を建物の前に設置しております。
ただわからんのは??
「モーガン広場」??
この広場のことを設計者にちなんで
「モーガン広場」と呼んでいるのだろうか?
いまいちわからない。
ま、いいや、
今からモーガン君を徹底的にいじめますんで――
えー、モーガン君のダメなところ……
箇条書きにしますね。
まず。
①シンメトリーが気持ち悪い!
左右対称が気持ち悪いです。
建築に限らず、どんなものでも、ゲージュツ作品というのは
左右対称にはしないものです。
建築はとくにそう。
左右対称は嫌います。
人間の顔だって、よくきくはなし、
左右微妙に違っているそうです。
左右対称だったら、キモチワルイ、というのは、
CGでこしらえた人間の顔の気持ち悪さを考えればすぐわかります。
え? でも左右対称の建築ってけっこうあるじゃない?
パルテノンとか……奈良・京都のお寺、神社とか……
とお思いの方、するどい。
でもそれって、宗教関係の施設なんですよねーー
荘厳な雰囲気を出したいときは「左右対称OK!」
でもこれって競馬場じゃない?
エンターテインメントの施設じゃないの??
なぜシンメトリーにした? モーガン君……
ちょっとは工夫しろよ……
つづいて、
②「内部」と「外部」の関連がないので気持ち悪い!
これも気持ち悪い。
現状、ですね。この「廃墟」は、窓をトタン板みたいのでふさがれています。
だから、内側がみえないのは仕方ないんですけど……
外壁、柱等々のデザイン、
ちょっとは「内部」と「外部」、関連を持たせてほしい。
具体的にいえばですね……
前回引用した「東京の戦前 昔恋しい散歩地図2」の文章によると
貴賓室・ラウンジ 等々あったといいますが、
そういう華やかな場所は、外側もちょっと華やかな装飾を加えるとか
なにか工夫が欲しかった。
君の建築、華がないし、メッセージもないんだよね~
ようするに、モーガン君のつくったこれ。
「城塞」「要塞」なんですよね。
内部でなにが起っているか? なにも想像が広がらない。
無機質な壁。
建築はエンターテインメントだ、ということがわからないのだろうか。
えー、続き。
③エントランスなし、が気持ち悪い!
エントランスがどこだったのかがさっぱりわからん。
↓たぶん、一階部分の、なんか錆びついた□のところなんだろうが……
モーガン君!!!
「ウェルカム感がゼロなんだよ!! オメーの建築は!!」
もうちょっときちんとエントランスを作れ!
だから怖いの!!
「ようこそ、いらっしゃいませ」
建築がそう囁いているような、すてきな入口を作れ!!
競馬場だろ!
みんなで楽しむ場所なんだろ!!
この入口、倉庫かよ!
このど阿呆!!
なんだこの□は! オメー、バカか!!
手抜き仕事やりやがって!!
あーなんか段々ムカついてきた。
なんでこんなダメなやつに、こんな大きな仕事をまかせたのか……
モーガン君、要塞しか作れないぞ。しかもデザインセンスゼロ……
ついでに書いておきますと、
昭和5年。といいいますと、
日本人建築家は西洋のレベルにようやく追いついてきた頃。
というか、カネと資材が不足していただけで、
頭のレベル……図面レベルでは、世界のトップに並ぼうとしていた、
といって過言ではないかもしれない。
僕だったら、
東京中央電信局(1927)で有名な山口守先生あたりおすすめしたい。
あと、
何か月か前、水戸の気象台を紹介しましたが、
堀口捨己先生だって、いい仕事をしそうだ。
トーハク作った、渡辺仁先生もいるし……
あ、遅れてきたモダニスト、村野藤吾先生もいる……
ともかく、モーガン君なんかおよびもつかない
大巨匠がこの時代、日本にたくさん揃ってた、ということです。
あ。終わってませんよ。モーガン君。
帰らないでね。座ってなさい。
まだ減点ポイントがたくさんあるの……
あのね。
④窓が気持ち悪い!
この○窓のことね↓↓
これですけど……
なんか、ツタで覆われるとかわいいんですけど……
○窓ね……たしかにここは捨てがたい魅力を感じる。
というか、モーガン君、
君のデザインの唯一の工夫よね。
なんか努力の跡がみれる、唯一のポイント。
だったらさーーー
もっと全体のデザインにこの○を生かそうよ。
あと、植物モチーフを全体にちりばめましょうよ。
○窓単体だから、だめなの。
僕ならこうする。
さっきエントランスをきちんと作れっていったよね。
だから、エントランスにこの○窓のデザインを利用しましょうよ。
たとえば――
半円形のエントランス作って、で周縁をおんなじ植物モチーフで囲ませましょうよ。
ね? それだけでどれだけこの建築が愛らしくなることか……
⑤L字パーツが気持ち悪い!
んーこのパーツを見て 「う。気持ちわるっ!」
と思われる方、どれくらいいらっしゃるかわかりませんが――
これは気持ち悪いです。↓↓
「L字形」というか「椅子形」というか
へんなパーツ……
こんな醜い建築ディテールみたことないです。
軽やかさのかけらもない!!
鈍重!!
気持わる!!
はっきりいって何の機能もないし、装飾機能もない。
こここそ、さっきの○窓の周囲を覆っていた
「植物モチーフ」でぐるっと覆うべきです。
昭和5年でしょ?
人件費安かったはずだから、
職人さんに「ちょいとこんな風に……」といえば
すぐやってくれたはず――コストもかからず。
けっきょくモーガン君がだめだめだから
こんな気持ち悪い「L字」の行列ができちゃった……
はい。
ここらで冒頭に申し上げたこと、もうおわかりでしょう。
「根岸競馬場はラブホ建築だ!」
・エントランスがどこかよくわからない。
・内部と外部の関連がない。
・(往々にして)外装が気持ち悪い。
これはもう、ラブホテル、なのです。
これは、ラブホの廃墟、なのです。
なので、
アカデミックな建築教育が根岸競馬場をガン無視する理由も明らかです。
これは「正統派」建築ではないのです。
そしてモーガン君も、三流建築家なのです。
横浜市が、なんか、この廃墟をもてあましちゃってる感じもよくわかります。
あと、「モーガン広場」と書きながら、
モーガン君その人をたたえる写真だのパネルだの
モーガン君の業績だの……
そういうのが皆無な理由もよくわかります。
モーガン君が、無能なエンジニアだということ、
横浜市はよくわかっているのでしょう。
ただ……ただ……ですね、
モーガン君をクソミソにけなしてまいりましたが……
こういうことも考えられる。
前回、ご紹介した文章
「スタンドからは東京湾と三浦半島が一望できた。しかし、このことが災いする。横須賀軍港の動きが探知できることを理由に海軍に買収され、昭和18年6月閉場した」
というのですが――
・根岸競馬場はもともとスパイ目的で建てられた?
としたら、どうなんです??
当時の競馬がどのように経営されていたのか?
JRAみたいな組織があったのか?
そこらへんわかりませんが……
なんで、これほどマヌケな建築が、なんの反対もなく、
作られてしまったか……
当時の競馬に海外資本がからんでいたとしたらどうなのか??
もともとアメリカかイギリスあたりの手が伸びていたのだとしたら、
すんなり理屈は通る。
モーガン君、無能でもなんでもなく、
もともと「スパイ目的の城塞」を作ったのかもしれない。
横須賀軍港監視のための施設であったのかもしれない。
となると、モーガン君みたいな三流エンジニアに
どうしてこんな大きな仕事が与えられたか、という謎も解ける。
(既述のように、日本人の一流建築家に頼むことだってできた)
んー……
横浜市が、この廃墟をほったらかしている本当の理由は
そこらへんにあるかもしれない……
へへ、なんか長編エンターテインメントでも書けそうだわな。