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「モボ・モガの時代 東京1920年代」感想

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正式タイトルは
「anan+BRUTUS共同編集 モボ・モガの時代 東京の1920年代」
のようです。
定価950円
昭和58年9月20日発行。

――えー、ということは……1983年かな。

ただのぺらぺらの雑誌です。
「ムック」というようながっちりしたつくりではありません。

なので、一見ちゃちなのですが、

古本価格が、いくらだっけ?
3000円くらいだった。
ということは元の価格の3倍。

――ということは、
・中身が充実している。
・かつ、出回っている数が少ない。

ということを示すわけで、戦前日本好きのあなたは
はやいところ買っておいた方が無難でしょう。

いや、実際、僕は……

「anan+BRUTUS共同編集」
といういかにもチャラそうなところにひっかかって
購入に二の足を踏んだのですが、

これは買ってよかったです。






ポイントは1983年、というところだとおもう。
つまり、1920年代を肌で知っていた人たちが、
けっこう元気で生きていた、ということ。

インタビューは淀川長治先生(↓)
とか、吉行あぐりさんとか、

あと当時のSKDとか宝塚のスターのインタビューもある。

「わー、ヴァンホーテンのココア!」
と、14歳の淀川少年も大人も珍しがった時代である。

(平凡出版「モボ・モガの時代 東京1920年代」11ページより)

だそうな。




あと、三信ビルが現役だった。↓↓

というのがうらやましくてしょうがない。
僕がこのビルの存在を知ったのは、もう取り壊されたあとのことです。




映画ももちろんとりあげられています。

いわく
例えば小津安二郎、溝口健二といった監督のサイレント映画などは、今でも小ホールなどで上映される機会もあります。これらの映画が、20年代の映画を知る少ない接点になるわけです。
(同書115ページより)

1983年。
さっき書いたように、1920年代を知る人たちがまだ生きていたわけです。
が、一方で、
小津の初期作品をみるにはたまに上映される機会を待っているしかなかった。

いまだとDVDでいつでもみれるわけです。

「建築」「映画」ともに
自分としてはそこそこ専門分野ですので……

そういうオタクからみると、少々浅い感じがしますが、
もっと突っ込んだ描写が欲しい気もしますが、

まあ、「浅く広く」――全体的に1920年代を描写している点を買いたいとおもいます。


んー……
もちろんこれは1920年代に関する本なわけですが、

自分としては「1980年代とはどういう時代であったか」
というのもみえてきてひじょうに楽しい。

編集後記の文章がすさまじくて

エェーッと。とにかく、長い期間でした。初めて、1920年代にとりかかってから、はや7ヵ月。もう、どっぷり、頭のテッペンまで、20年代に浸かりきったという感じです。
(同書162ページより)

オメーふざけてんのか。
……今だったら許されんぞ。たぶん。

……

広告もおもしろくて、
「かるすぎるんだよ」
というおっとっとの広告はかっこいい。↓↓

「軽い」というのも80年代か。
そういや高橋源一郎先生がなにかで
イタロ・カルヴィーノのことを「軽ヴィーノ」と書いていたのを
読んだ記憶があります。




ひきつづき80年代広告ですが、
どうもこの雑誌でみるかぎり、

あからさまなエロが多いような気がします。

もうちょっと控えめにしてほしい。という感じの。

↓↓これなどは、ま、一見爽やかなんですが、

おねえさん、
わざわざこんな露出の多い格好をさせる必要があったのか?

あと、「自転車のサドル」という「男根的物体」

WE'RE OPEN と、それと「ドア」 というのはどうみても女性のア〇コを
思い浮かべますし、

あと、あと、自転車を漕ぐという行為はどうみてもセック〇の隠喩のようです。
靴を脱ぐ、という行為も、もう完全に「準備OK」という感じです。

エロすぎです。
とんでもないエロ広告です。
これは明らかに心理学をわかっていて作っています。
ある意味、頭がいい。


あと裏表紙がとんでもなくエロくて……
こんなの。↓↓

これはフロイトうんぬんではなく、
荻野目慶子嬢がエロすぎるという……


んーわたくしにとって
「荻野目慶子」というと、
・荻野目洋子のおねえさん。
・あと、たまにエロいおばさん役でドラマに出てた人。
その程度の認識しかなかったのだが、

若いころからエロかったのね。

ちなみにナショナルヘッドホンラジカセ。42800円の広告。
た、高い……
80年代、やっぱしみんな金持ちだったのか??

「買いかえます」と慶子は言った。こんなに小さくなって、凄いことをやる。

だそうです。

おもしろい本でした。

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