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明治村 帝国ホテル(フランク・ロイド・ライト)その2

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帝国ホテルその2 です。
記憶が薄れないうちにはやく書いておこう。

□□□□□□□□

わたくし、勘違いしていたことがひとつありまして……

明治村の帝国ホテルって
オリジナルのパーツを……部材をそのまんま使って作った、
かぎりなくホンモノに近いレプリカだ、とおもっていたのです。

というのは、
建築資料研究社刊
「フランク・ロイド・ライトの帝国ホテル」という本に……
著者の明石信道先生の日記の引用で……

(1967年)12月6日 明治村移築のためロビーの実測図を鹿島建設の石井重役より求められる。

12月29日 明治村移築用として山野企画部長にロビー詳細図3通渡す。

(1968年)2月21日 もうホテルには建物は残っていない。梱包された明治村行きの荷もない。


(以上、「フランク・ロイド・ライトの帝国ホテル」160~161ページより)

こんな風に書いてあるから、
「ああ。ほぼオリジナルなのだな」
とおもっていたわけ。
「解体現場から100%近くパーツを持っていって組み立てたんだな」
と。

が――……

実際に行ってみると、
建物の脇に、オリジナルパーツが展示されている。↓↓




こ、これが、
かの有名なポルト・コシェのつぼか!!

キャ――!! すてき!!

と感慨深いものがあるわけですが……





というと、これは
オリジナルのつぼではない、ということになる。↓↓

レプリカなわけです。





この「オリジナル」「レプリカ」問題はすごく気になったので、
ガイドのおじさんに確認してみましたところ、

このポルト・コシェのあたりだと
オリジナルのパーツは↓↓ この2本の柱だけだそうです。


というのは、タイルの厚みがけっこうあるらしくて、
で、鉄筋を通すことができないらしい。

なのでホンモノの、荷重がかかっている方の柱は(両脇の太い柱)
レプリカのタイルが貼ってある。とのこと。

(わからない方のために補足すると、赤丸で囲んだ柱は荷重がかかっていない。飾りの柱のようです)

あと、「つぼ」も大谷石製ではなく、コンクリート製だそうです。



うーむ。オリジナルの柱を撮ってみます。

ほぼ100年前のタイルです。




このオリジナル、レプリカ問題についてですが、
帰宅後読み返しました……赤瀬川原平&山下裕二「日本美術観光団」に……

山下 明治村がなかったら、フランク・ロイド・ライトの帝国ホテルだって跡形もなくなっているわけです。きょう案内してくださった建造物担当部長の西尾さん、「内装とかは写真から私が復元しました」って。あとで照明の本物が出てきて、「実物はもうちょっと大きかったけど、私はこれがちょうどいいと思います」って。
赤瀬川 あれ、いいね。信念があって。

(朝日新聞社「日本美術観光団」54ページより)

などとありまして、
どうも当事者はそのあたりアバウト、というか、
「オリジナルに忠実に作るぞ」とは別におもっていない、らしいな。と。



ま、いいや。
今回は外観のディテールの写真をべたべた貼っていきます。



ライトの建築って、自由学園もそうなのだが、
なんと呼んでいいのかわからんディテールが満載です。

↑これは……庇? ルーバー?
にしては自己主張しすぎでしょう。

↓ルーフガーデンの「つぼ」ですが、

なんで「つぼ」ばっかりごろごろ置いてあるのか?



↓ポルト・コシェの柱。

はい。やりすぎです。

どうも、明石先生の「フランク・ロイド・ライトの帝国ホテル」を読みますと、

施工当時。
ライトのデザインの意図が石工にうまく伝わらず、
で、何度もやり直しがあった結果、
手間賃が膨大になり、
で、予算超過。

ということがあったらしい。

そうだよな。
今の目で見たって、完全SFの世界の柱だもんな。

大正時代の職人さんに理解できる世界とは思えんな。


はい。これもやりすぎ。
でもこの触感が快感になってくると、

もうフランク・ロイド・ライト・ファンになっているという……


大学の建築学科に入ると、最初の方に
部材のテクスチャーうんぬん、ということを言われたりするんですが、

もう、みるだけで、
テクスチャー……触感が伝わってくる。

木材のぬくもり、石の冷たさ、タイルのざらざらした感触等々。

こうやって書くと誰にでも出来そうですが、
テクスチャーを感じさせつつ、幾何学的にも力学的にも美しく構成する、
というのはとんでもない難行です。




クロースアップしてみると、
けっこうかわいかったりします。↓↓




↓これは北東の隅です。

明石先生が
「ロビーのおしゃべりコーナー」と書いているのはこのあたりか?



東側立面のディテールです。

この、なんていうんです?
正方形のプチ・ステンドグラスみたいのがやはりかわいい。

それとも、
隅から隅までデザインしてやる、という執念をみるべきなのか?



次回以降、ようやく建物の中に入ります。
まだまだ続きます。


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