今回はラウンジをみていきます。
建物正面、むかって右側――紳士用ラウンジ。
(現在は東側。かつては南側)
建物正面、むかって左側――婦人用ラウンジ。
(現在は西側。かつては北側)
↓↓赤丸で囲んだ部分となります。
なぜ男女で別れているのか? よくわかりません。
昔は、映画館は男の席、女の席、とわかれていたようですから、
建築法規で、そうなっていたのか?
まずは紳士用ラウンジから。
ここはなにも展示品がなにもおかれていないので、
来る人があまりいませんでした。
こんな、最高の建築空間なのに……
ま、撮影する僕からすると、人が来ない方がいいのですが。
ロビーホールからのぞいたところです。↓↓
そうです。のぞけるんです。
こういうように、空間をチラ見せする、というのをライトはよくやります。
明石信道先生が
「ラウンジの窓は、外側から見れば窓だが内側から見るとガラス壁のようでもあった」
(建築資料研究社「フランク・ロイド・ライトの帝国ホテル」51ページより)
と書いているのはまったくその通り。
で、ロビーホールから階段をのぼりますと、
こんな空間があらわれます。
船底天井で
デザインは山邑邸に似ています。
この空間の複雑さ。
図面でいうと。「中2階」というような中途半端な位置になります。
「1.5階」というのがわかりやすか??
ロビーホール(1階)とティーバルコニー(2階)をつなぐ位置にあり、
ロビーやバルコニーとも空間的にはつながっている。
こういうの、どういう脳みその構造の持ち主が考えられるのか?
イメージできるのか?
少なくとも僕にはできません。
窓を撮ってみます。
アールデコデザイン。
これの廉価バージョン(失礼)が
自由学園のあの美しいホールなのでしょう。
ティーバルコニー(帝国ホテル喫茶室)へ抜ける階段
こうやってトンネルみたいに狭い通路を作っておいて、
で、そのトンネルを抜けると、
「わーっ!」
と広い空間。
ライトのよくやる手です。
でも、誰にもマネができない。
で、↑↑階段の裏側の装飾。
やりすぎですよ。やりすぎ。
しかもゴールドに塗っちゃって。
でもライトがやると悪趣味にならない。なぜ??
この棚↑↑
と……
この穴ぼこの存在価値がよくわからない。↑↑
ネコがよろこびそうなくぼみですが??
花を生けるのなら床面はおかしいだろう。
戸棚は↑↑かなり高い所にあって、
身長2メートルくらいあっても使いこなすのは難しそうです。
脚立かなにか使うのか??
謎がいっぱいです。
下の窓はこんな風に開きます。
上の大きな窓は開くのかな?
もっとよく見てくれば良かった……
これは自由学園、山邑邸にも共通しますが、
やはり、ウィスコンシン州出身のライトは
台風が定期的に来襲する環境というのをあんまし理解できていない感じです。
雨仕舞ということを考えると、
開口の数が多すぎ、あと、窓の構造も華奢すぎる……
ま、今の目からみると、そうおもえる、ということですけど。
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つづいて、婦人用ラウンジ。
基本、デザインは紳士用と一緒ですが、
木の床むきだし。
それと展示品が飾ってあるのでだいぶ雰囲気が違います。
木の床なので 自由学園のメインホールにかなり似てます。
雰囲気が。
当時使われていたもののようです。
いいな。こんな空間で食事できたらな……
ま。食事用のスペースではないんですが。
要所要所にこの「光の柱」モチーフを繰り返します。↓↓
そういえば入口、ポルト・コシェにもありましたよね。
明石信道先生は「光の籠」と書いてますな。
その表現もいいな。
南側の窓(かつて西側)からは日比谷公園。
西側の窓(かつて北側)からは客室棟がみえたはずです。
↓↓左側の階段を降りるとロビーホール。
↓↓右側の階段を登るとティーバルコニー。
西側ギャラリーからのぞきこんだところ。↓↓
次回で帝国ホテル 終わりにしようと思います。