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ザ・プリンス箱根芦ノ湖(村野藤吾・1978)その1 まとめ。

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5月に続いて 8月も箱根へ行きまして(二泊三日)

 

村野藤吾(むらのとうご)先生の 「箱根プリンスホテル」(竣工時の名前)に一泊したのですが、

その印象を書きます。

 

書きます、と書いたのですが……

 

なにやら凄まじいシロモノで なにをどうを書いていいのかよくわからないので、

まずはじめに 「まとめ」というのか 「総論」というのか、を書きまして、

あとで 時系列で写真を並べていこうかな、という――

 

……安易な手段にでることになりました。

 

↑↑写真は

客室棟の西棟というもので 円筒形の物体です。

一階に 「ル・トリアノン」というフランス料理のレストランが入ってます。

ま。このホテルのメインダイニングですわな。

(これもすさまじかった……建築的に、ね)

 

□□□□□□□□

以下、4項目でみていこうとおもいます。

 

まとめ①自由すぎるぞ、藤吾っち!

まとめ②疲れるぞ、藤吾っち!

まとめ③大事にされてるぞ、藤吾っち!

まとめ④でも、山のホテルのほうが落ち着くのはなぜ?

 

巨匠・村野藤吾をなれなれしく 「藤吾っち」と呼ばせていただきます。

このことに関するクレームは受け付けません(笑)

 

□□□□□□□□

まとめ①自由すぎるぞ、藤吾っち!

 

そもそも、このロビーは一体なんなんですかね?

 

まず思ったのは教会建築みたいだな、ということで……

しかし、

それにしては、エロティックな曲線。艶めかしすぎる照明。

 

しょっぱなからホテルホテルしていない気がしました。

ホテルホテルとはいったいなんだ、ということになりますが、

 

「ホテルのロビー」とはだいたい~というものだ。

という物語があるわけです。

「制度」といってもいい。

「定型」といってもいい。

 

でも、このロビーを作った人は そんな物語から出発していない気がしました。

まあ。作ったやつは藤吾っちなのですが。

 

自由すぎるぞ、藤吾っち。

 

↑↑僕の泊まった東棟の平面図ですが、

 

バカにしてますね。

円ですよ。円。

円筒なわけですね。

 

廊下に出ると、自分がどこにいるのかわからないんですよ。

ホテルの方には

「廊下をぐるっとまわれば エレベーターにでますから」と言われました。

バカにしてますね。藤吾っち。

 

子供みたいな発想力です。

80過ぎのジジイがね……

 

藤吾っちが完全にイカれているというのは

この美しすぎる螺旋階段をみて もう明らかですね。

 

天才ジジイが西武グループのカネで遊びまくってる、ということでしょうか。

 

あ。ついでにいうと、

右隅に僕のカメラバッグ(ドンケ)が写りこんでますね。

ついでのついで

↑の ロビーの写真にも T子さんの手やら頭やらが写りこんでますね。

魚眼レンズ難しいですね。

 

もとい、藤吾っちなのですが、

 

木材のあたたかいテクスチャー&レンガ壁の固い冷たいテクスチャー この組み合わせ。

窓の大きさ・位置。

それから照明の位置。

 

なにもかも完璧ですね。

 

この美しすぎる螺旋階段を

フロント脇の……どうでもいいような位置に――

藤吾っちは配置していました。

 

お客の大部分はこの階段に気づかず……

気づいたとしても上り下りすることなく……

通り過ぎるでしょう。

 

仮に、仮に、ですよ。

僕がこんな美しいものを作ったとしたら、

 

この階段を通らないとメインダイニングに行けない、とか。

この階段を通らないと大浴場には行けません、とか。

そういう唯一無二の場所に設置するとおもいますね。

 

ところがそうしない。

自由過ぎる、藤吾っち。

 

まとめ②疲れるぞ、藤吾っち!

 

えー↓↓

 

TOTO通信という TOTOさんのHPにあった平面図をお借りしたのですが、

 

頭のおかしなジジイが、

客室棟を円筒状にして独立させたせいで

レストラン、大浴場、フロントに行くにはけっこう歩きます。

 

大浴場と、レイクサイドグリルというビュッフェ形式のレストランは別館にあるのです。

 

↑↑左側の〇に書いてあるレストランは ル・トリアノン

まんなかの〇に書いてあるレストランは なだ万です。

 

とにかく歩く、という意味の「疲れる」というのもあるのですが、

別の意味でも疲れます。

 

西棟を撮ったのですが↓↓

 

凝りに凝っていて 部材も様々で……

隅から隅までチェックしないと 気がすまなくなってしまうのですよね。

 

↓↓こんな風に真下から上を見上げて写真を撮ってみたり

 

それで絵になってしまうのだからとんでもないです。

 

藤吾っち。

村野藤吾というと、個人的には 広島の世界平和記念聖堂なのですが。

あの教会を見て、

「村野藤吾スゲエ」「藤吾っち、スゲエ」

と感動したのですが、

 

――といって、そのあと村野建築を追っかけなかったのは

この「疲れる」が原因ではないでしょうか?

 

あまりに見所が多過ぎて疲れるのです。

 

まとめ③大事にされてるぞ、藤吾っち!

 

これはなんというか、

菊竹清訓の東光園と好対照だとおもったのですが……

 

ザ・プリンス箱根芦ノ湖のHPでは「村野藤吾」にまったく触れられていません。

「まったく」というのは言い過ぎで

どこかにはこの名前が書いてあるのかもしれませんが、

ホテルとしては「村野藤吾」というビッグネームには寄りかかりたくないという姿勢がみえています。

 

しかし、

客室の……このオリジナルのままとおもわれる木のドアノブなどみますと、

ほんと大切にされているな。とおもいます。

 

オートロックじゃないんです。

オートロックにするとこのノブを壊さざるをえないのでやらないのでは?

とか、勝手に想像しています。

 

あとロビー下に↓↓

 

おそらく公衆電話があったのではないか? という謎のスペースがあるのですが、

 

これ。電話はもうないので

なぞのスペースなのですが、

 

なにかに再利用することはありません。

たぶん、藤吾っちリスペクトのためなのでしょう。

 

 

東光園

→全面的に「菊竹清訓」を打ち出している。

→だが、建築を大事にしているとはとても……

 

ザ・プリンス箱根芦ノ湖

→「村野藤吾」という名前は出さない。

→だが、建築をすごく大事にしている。

 

この好対照はおもしろいとおもしろいとおもいました。

まあ、天下の西武グループなので、

しっかりメンテナンスするカネがある。といっちゃそれまでなのですが。

 

まとめ④でも、山のホテルのほうが落ち着くのはなぜ?

 

この愛らしいスワンチェアの並ぶ 壮麗なロビーよりも……(魚眼ばっか)

 

この。

疑似アールデコの山のホテルのラウンジのほうが落ち着くというのはなぜなのか?↓↓

 

かたや、「巨匠」村野藤吾

かたや、設計者よくわからず。

 

二泊目。山のホテルだったのですが、

このラウンジで 名物のジンジャーエールを飲みながら

 

「はあ。やっぱし山のホテルは落ち着くねぇ」

とT子さんと話しあったのは

心底そんな気持ちだったからです。

 

「ホテル」としてこなれているのは山のホテルだとおもいます。

サービスその他において。

あとホテルとしての伝統とか。

 

なので、建築は関係ないのかもしれません。

 

あと、客層ね。

ザ・プリンスはお金持ちそうなガイジンさんばかり。

 

山のホテルは日本人が多いかんじです。

 

あと。個人的に。

5月にはじめて箱根へ来て。

まず落ち着いたのが山のホテルだった。そのせいかもしれません。

 

落ち着く、落ち着かないは

藤吾っちには関係ないのかもしれません。

 

もとい、その2に続きます。


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