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塔の作家・小津安二郎 その6 「非常線の女」②

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ようするに

一番大事なことは常に隠されている――

……わけです。

 

今回のコロナ騒動でも同様で

常日頃報道されている

・首相のカミさんがどうこう、とか

・芸能人の軽はずみな行動・発言、とか

・マスクがどうこう、とか

そういう話題は「表層」にすぎず、

 

最も重要なはなしというのは……

・極東アジアの平和を守っている

アメリカ海軍が機能不全に陥っている。

というそのことなはずです。

 

軍艦というのはアレです。

三密どころの騒ぎじゃない密集度合だからです。

 

ロナルド・レーガンもセオドア・ルーズベルトも(原子力空母)動けない今、

中共海軍は暴れまくっているらしいし……

(中共は人権などないから 軍人に非人道的な扱いができるため

けっこう動けるようだ)

北朝鮮のおデブさんの情報が錯綜しているのも

けっきょくアメリカ海軍がヤバい、ということにすべては起因しているわけで……

(こんなケンカできない状況で 厄介ごとを起してほしくない、ということ。

真相はもう判明しているのではあるまいか?)

 

こういう「一番大事なこと」は 優秀な日本のマスコミは気づくはずがないし、

アメリカとしても報道されたくないわけで――

 

以上、100%兵頭二十八先生の受け売りなんですけど……

 

□□□□□□□□

小津もやっぱり常に大事なことは隠している。

そのことを書いております。

 

「非常線の女」の続きです。

 

田中絹代×水久保澄子のレズ・キスシーンのあと、

 

S86 襄二の部屋

岡譲二の部屋を写す かっこいいショットからはじまります↓↓

 

通風器という「塔」が壁に映っております。

というか、このチラシだか新聞だか、どこから調達してきたんでしょうかね?

 

時子、抽出しの処へ行きピストルを仕舞う。

襄二、ギョッとし、

お前、

「下らねえ真似したんじゃ

あるめえな?」

時子笑って

「お前さんがあの子好きになった

気持分るわ」

 

↓↓岡譲二、田中絹代の分身である「白いポット」に触っております。

これも「塔」なんじゃあるまいか? などと前回書きました。

 

「でも、あたいだって、

ああ言う女に

なれないことないんだよ」

言いつつ紙包みを開ける。

パンや罐詰めが出る。

「どう?」と見せる。

襄二、無言で見返す。

彼女、続いて次の紙包みから、毛糸と編棒を出す。

 

ここで小津が隠している「大事なこと」は

BLACK&WHITE

 

白と黒、でしょう。

白と黒の毛糸。

白と黒のストライプの服。

岡譲二もやっぱり白と黒の組み合わせの格好です。

 

BLACK&WHITE には生涯こだわったのではあるまいか?

 

「彼岸花」(1958)の S56 バア・ルナのシーンですが↓↓

襄二の部屋のセット同様

まあ、どこから見つけてきたんだというポスターが貼ってあります。

 

にしても、画面手前の電話機の「赤」が強烈。

(佐分利信の家のラジオも真っ赤なんだよな)

 

ああ、そうそう、「彼岸花」

小津安っさん最初のカラー作品ですね。

 

1933年の作品に戻りまして――

背景の「鏡」にもご注目↓↓

どうも小津作品において「鏡」は、

女性の二面性をあらわしている小道具のようにおもえます。

 

一番わかりやすいのは「東京の女」でしょうか。

岡田嘉子がしきりに鏡をみます。

戦後の作品ですと「東京暮色」のネコちゃん。

 

「靴下」という

小津のお気に入りの小道具。

 

真面目に生きて行こうと時子が言い出したことで

ケンカがはじまります。

 

「あたい此頃、

お前さんに荒い仕事して貰うの、

何だか心配になって来たの」

襄二、キッと見返す。

強い調子で

「俺がドヂを

ふむとでも思ってんのか⁉」

「俺が頼りにならねえとでも

いうのか⁉」

 

田中絹代と白いポット――

田中絹代とサンドバッグ――

 

これまた

BLACK&WHITE

 

ポットにしろサンドバッグにしろ 円柱状の物体です。

「塔」かな。

 

岡譲二の背後に通風器(塔)

 

田中絹代と通風器(塔)

 

「どうせあたいは

ずべ公だよ!」

「どうせあたいは

ずべ公だよ!」

 

と2回繰り返されるセリフが強烈です。

 

こんなにかわいい服を着て「ずべ公」と言われても説得力がないのですが、

1930年代の不良娘はこんなかわいい服を着ていたのでしょうか??

 

えーいろいろありまして

田中絹代は社長の息子と一緒に

ホテルの一室におります。

 

S92 ホテルの一室

 

社長の息子(←けっきょくいいヤツ)

田中絹代を口説きます。

 

「君のそのあからさまが

耐らなくいいんだ」

「OKって

言ってくれない?」

時子、薄笑いを浮べたまま見る。

実、「ね」と返事を待つ。そっと抱く。

時子、目をそらし、すり抜けて窓の方へ行く。

 

BLACK&WHITE がしきりに繰り返されます。

 

「黒」に触れる田中絹代。

 

S93 窓

時子、じっと外を見つめる。

 

S94 外景

冬木立。まばらな星。

 

などとシナリオにあるのですが、

じっさいのプリントは 例の「白いポット」――

 

「若き日」の山小屋のシーンに出てきたような煙突(塔)も登場します↓↓

 

これはうまいですね……

長々したセリフで説明するのではなくて、

一瞬のショットですべてを観客にわからせます。

 

田中絹代は……

黒(社長の息子)ではなく

白(白いポット、岡譲二との生活)を選んだわけです。

 

S97 アパート(襄二の部屋)(夜)

 

「白」いポットに「黒」い毛糸がまとわりついています。

というか、どうやって暴れたらこういう状況になるのだろう??

 

女の荷物をはじめ見せておいて

女が戻ってきたことを知らせる……↓↓

 

後年、「早春」のラスト近く、

淡島千景と池辺良のカップルが似たようなシーンを演じます。

 

襄二、起き上がって見迎える。

両人、しばらく無言で見合う。

時子、バッグを置いて、

「あたい、帰って来て

悪かったかしら……」

 

ここでようやく

主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン

 

が、出現します。

「塔」のかわりに出現するのは田中絹代なんですが……

 

しかし

「塔」=田中絹代という公式は前回確認しました。

 

で、そのあと

三井秀夫が 姉・水久保澄子の勤める店のレジから

カネを盗んだことが発覚。

 

そのカネを返すため

自分の勤める会社を襲う田中絹代 そして岡譲二。

 

社長の息子からカネを奪う田中絹代――

 

S112 和子の室を静かにノックして素早く入る

両人、残され見送る。宏、手の中に握らされた紙幣を見る。和子もそれを見る。

姉弟、顔見合わせる。一斉に廊下はずれの窓の方へ。

 

S113 窓

両人、走り来て下を見る。

 

これは例の黄金パターンの変奏曲ですね。

水久保澄子&三井秀夫が見おろすと

「塔」および岡譲二があらわれる、という――

 

に、してもかっこいいショットですね↓↓

 

S115 姉弟、じっと見送る

二人とも涙がにじみ来る

 

S117 襄二の部屋

襄二、せわしなく水をのむ。そして窓を開けて見る。

S118 暗い中に巡査が立っている。

 

さいご、二人が警察に追いつめられるくだりも

発端は「白いポット」が握っています。

 

慌てて逃走しようとする岡譲二の背後に

通風器(塔)

 

クラブ歯磨の看板。

そして煙突(塔)

 

窓から屋根に飛び下りる絹代たん……

 

通風器(塔)がガラガラ廻っています。

 

S135

襄二、時子を立てる様にして屋根より降りる

時子、渋る気持。襄二、うながす。

「オイ! 早く下りねえか!」と言う。

 

主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン

 

あらわれるのは通風器(塔)&田中絹代――

 

二人は仲良く逮捕され、

この作品も終わります。

 


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