以下、トーハク平常展の感想
…というほど熱心には見てませんでしたが、
雪舟の「破墨山水図」が今、見られます。
平日に行きゃ、国宝を独り占めできます。
僕は十分かそこら見てたが、飽きないな、これは。
フラッシュたかなければ撮ってもよろしいとのことだったので、
撮ってみたが、ま、全然よくないですね。
ググっていただいた方がはやいか、と。
↑この画像の上には雪舟先生ご自身が書かれた文章が
ゴニョゴニョ書かれている。
いわく、
「余かつて大宋国に入り、北は大江をわたり、斉魯の郊を経て…」
ようするに中国にまで行って
絵のお師匠さんを探したが、大した奴はあんまりいないね。と。
こういう…ガラクタみたいな絵を何百年も保存し続けてきた日本人は
けっこう偉いとおもう。
しかも、実物をみてもらえばわかるが、新品同様である。
ものすごく大事にされてきたらしい。
しかし…こんな墨をグリグリぬりたくった絹地が…
なぜこうも感動的になるのでしょうか?
ロールシャッハの模様に似てる…
などというのは、う~ん、安易な気がする。
ジャック・ラカンのいわゆる「現実界」とか、ね。
全然理解もしていないくせに。
「このリズムがいい」とか「ライブ感がある」とかいうのも安易な気がする。
それは所詮、
音楽雑誌から借りてきたボキャブラリーに過ぎない。
サッカー選手の身体能力にたとえてみる…という
村上龍みたいな方法も考えてみた。
メッシだのクリスチャーノ・ロナウドだののゴール前の絶妙な動き…
だがそれは単に僕が最近
リーガ・エスパニョーラばっかりみている、ということを証拠立てるにすぎない。
……などということをくどくど考えているうちに十分くらいは
あっという間に過ぎてしまいます。
駄菓子菓子
けっきょく、さいごは小津安二郎にもどってきてしまうのが
トマス・ピンコの思考システムの常でありまして…
ようするになにがいいたいかというと
小津の「一人息子」(1936年)にでてくる
「とんかつ」の旗のルーツって
じつは雪舟の「破墨山水図」なんじゃねえのか?
ということなのです。
これです。
↓↓ここですよ。ここ。
えー以下、わかる人だけわかればよろしい。
笠智衆の学校教師が東京へ出て一旗揚げるとかいって
けっきょくうだつがあがらず
とんかつ屋さんやってるでしょ。
で「とんかつ」という旗がクロースアップされる。
あのシーンですよ。あの美しいシーン。
ね?――そんな気、しない?……
(「とんかつ」画像も載せられればよいのだが、
やり方がよくわからないし、著作権とかももっとわからない)
だがここでもっともな疑問が浮かび上がる。
「そもそも雪舟が描いたのは『旗』であったのだろうか?」と…
それについては帰ってから読んでみた
赤瀬川原平・山下裕二共著「雪舟応援団」に
きちんと答えが書いてあった。
右下の濃い墨が、屋根と塀だろう、ぐらいは想像がつくが、そこからピュッと突き出した線が、旗であることがわかるのは、相当な玄人だけだ。
上の方は、岩なのか樹なのか、影なのか、私もあらためて考えると、よくわからなくなってくる。
(中央公論新社「雪舟応援団」95ページより)
ううむ、そうか。
僕は「相当な玄人」の域にはやくも達してしまったか…
いやいや「一人息子」をみていたからわかったんだな…
いやいやそもそも小津は…トーハク好きだった小津は
雪舟からあのイメージをパクったに相違ないわけだから…
ああ、もうなにがなんだかわからない。
無限のスパイラル…
そうそう、飛行船(?)みたいのが
飛んでいた。
スヌーピーを一番愛している国民って
じつは日本人ではあるまいか?