ああ、おいしい。おいしい。
シーバはおいしい。
ぼくはおもう。
シーバよりおいしいものは、はたしてこの世に存在するのであろうか。
ん?……
何ものかの気配を感じた…
ま。いいや。
はい。今度はなんですか。
銀のスプーン七歳以上用ですか。
うん。これもなかなかいける。
うんうん。
そういや、去年の五月に死んでしまったジャックおばあちゃんは
マグロの刺身をよく食べていたっけ。
ぼくはシーバさまで充分ですよ。
そうそう
ジャックおばあちゃんは
小さかったけど、とてもケンカが強くておっかなかった。
で、
そのジャックおばあちゃんがいなくなって、
ちょっとこの家も落ち着いたとおもったら…
あの金髪突貫小僧がやってきたんだっけ。
おかげで、控えめな僕はいつだって
ナンバー2ですよ。
ナンバー2。
謙虚な人柄というのは損をするものなんですかね。
この世知辛い世の中では。
ところで今日はどこにいるんだろ、あの金髪くんは。
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棚の上のゆりに監視されているのに気づかぬまま
トトやんは外へ出て行きました。
おもうんですが、ネコって上下方向の感覚が
若干鈍い気がする。
それとも気づいていたのか。
トトやんが鈍いだけなのか?