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エッティンガー 二つ折り財布(BILLFOLD3C)

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結論からいいますと、二つ折り財布が好き、ということです。


だが、世間様では、

「長財布」>>「二つ折り財布」

という価値観であるらしい(??)


僕はこの価値観についていけない。

いえ……

はじめからついていこうとしていないです。


「長財布」というのは、

僕の勝手な印象だと

チャラそうな男子が……

おしりがみえそうなほどズリ下げたジーンズのチャラ男が……

尻ポケットにこれ見よがしにつっこんでいる印象があるわけです。


あ、すみません。

男ではなく女の子だと別。――


女性が、バッグからひょいとおしゃれな長財布をとりだすのは

かわいいもの。

女の子は長財布持っていてほしい。

女の子の長財布は萌えます。


ん。

でも、男の長財布は、かってにチャラいイメージを持っておるわけです。はい。


長財布愛用者の方、すみませんね。


あ、あと、僕は普段スーツを着ないので、

長い財布は収納場所がないんですね。そういうのもありますね。


もとい、

わたくしの二つ折り財布遍歴。

勝手に語ります。


□□□□□□□□


①グッチのもの(たぶんカーフだとおもう)


母がミラノのグッチの本店(たしか??)で買ってきてくれたもの。


――というと、大金持ちのようだが、

母にとってハワイの新婚旅行以来二度目の海外でありました。



はい。完全ボロきれです。

つぎにとりあげるキプリスの財布もそうなんですけど、

「革には定期的に栄養をあげないといけない」

ということを知らなかったんですね。わたくし。


定期的にメンテナンスしてれば相当今頃いい感じに育ってた気がします。

「グッチ」と主張しているところがまったくない、

シンプルデザインがよかったです。

イタリア製カーフの手触りもたまらなかったおぼえがある。


箱もリボンもとっておいてある、というのが自分らしい。


②キプリスのコードバンのもの。


国産です。

たしか上野の松坂屋で買ったとおもう。


これも、グッチ同様酷使しまして、

なんですが、約1年前、レッドウィングのブーツを買って、

で、

ようやく、「革は定期的にメンテナンスするものだ」

ということを学びまして、


で、それからようやく、デリケートクリームを塗られたり、

湿気にあまりあてないようにしたり、

大事にしはじめたんですが……


んーまあ、こんな感じです。

立派に現役ですが、革としては半分死んでます。

きちんと手入れしてれば……と悔やみます。


コードバンですからね~残念。


きれいに写ってますが、ツァイスレンズの魔力です。




はい。で、

キプリスのコードバン、

まだ使ってるんですけど、

気に入っているんですけど、

立派に現役なんですけど、


よそ行きにはちょっとボロい気がしまして、

おしゃれな店ではこの財布恥ずかしい気がしまして……

(そんなとこめったに行かないけど)


んで、

こないだ購入しましたのが、


③エッティンガーの二つ折り財布


銀座のエッティンガーで購入。

正式名称はBILLFOLD3C

とかいうものらしい。

素材はカーフ。手触りたまらんです。


はい。銀色です。

チャコールグレーとかいってますが、

「銀」だとおもう。


いろいろ色があって悩んだのですが、

どれもよかったのですが、


この「銀色」が、銀座店限定で(百貨店では扱ってないということ?)

36個しか入荷しなかった(3ダースかね)

とか店員さんにいわれるとやられた。

他の色よりちと高かったんですが……

ん。ちょっと他にみたことない色だし。


内側はブラック。なんですが、この黒もキラキラ輝いてる……


左、カード入れ。右、コイン入れ。


しかし、買っておいていうのもなんだが、

銀色のチョイスはおもしろいな~


以下、ロンドンのエッティンガーの工房での会話を勝手に想像してみる。


「銀色財布誕生秘話 at 倫敦」


職人A:こんど日本さ、送るセイフ(財布)どうすべ?

職人B:そうさな~困ったな~

A:トーキョーのギンザっちゅうところにオレらの店があるそうな。

B:そのギンザっちゅうのはなんかきいたことがあんな。

A:にぎやかなとこだっちゅうぞ。

B:リージェントストリートよりにぎやかかね?

A:どうだか。なんでもサムレエ(サムライ)の時代に銀貨を作ってたそうな。

B:ほう、じゃ、銀色のセイフ作るべ。

A:ははぁ。そりゃおめえ、いい考えだ。そうすべそうすべ。


――ということでこのカラーリングになりました。(完)


まだ、一回しか使ってません。

純正のクリームも一緒に買ったので、大事につかうとおもいます。


んーというか、ETTINGER はまりそうな気がします。

銀座のお店、

いろいろ目移りしました。


MARSTON というブリーフケースが非常に気になっております……

あーー……かばん。

ブライドルレザーのかばん……


エッティンガー、やばい……


清水宏と小津安二郎 そして「塔の思想」

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あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

はじめに、今年は、ですね。
……昨年末より小説を書きはじめましたので、

更新頻度が落ちるだろうとおもいます。
小津安二郎関連の記事は、書くとしたら、
たぶん7月以降になるかとおもいます。

「彼岸花」以降の感想書きたいとはおもうのですが、
いかんせんシナリオ・関連書物を読んだり、
小津関連の記事はいろいろ時間がかかるもので。すみません。

あと、昨年末、
急に自宅PCのインターネットエクスプローラーが起動しなくなりまして、
いろいろやってみたのですが、ダメで、
でグーグルクロームを使い始めて、「こりゃIEよりいいや」などとおもったのですが、
アメーバ記事の投稿がすごくやりにくいことがわかりまして、
最終的にファイアーフォックスにたどり着いたのですが、
で、今、それで書いてるんですが、

これもやっぱり
画像を貼るのがめんどくさかったりします。


いや、とにかく今日は「天才」清水宏のことを書きます。

DVDのBOXセットが 2つ松竹から出ています。

第一集は映画ファンなら買うべきだとおもいます。
文句ない傑作揃いです。

第二集は作品のクオリティがかなり落ちます。
こっちは見なくても、いいかな。

何処で読んだか忘れたんですが、山中貞雄が
「清水は天才や。小っちゃんは職人や」
といっていたそうで、
(なぜか山中は清水のことを呼び捨てにしていたそうな)

小津、溝口にとってもやっぱり「清水=天才」であったそうで……

このクオリティの波、というのも天才の証かもしれません。


第一集の
「有りがたうさん」
「按摩と女」
「簪」
この三作品は日本映画史上最も美しい3作品かもしれんです。

それと、サイレントの「港の日本娘」
これは画面の作りとかシナリオとかがちょっと雑ですが、
「悪夢」めいた強烈なイメージの羅列にやられる人は多いかも?

ともかく天才でしかない作品群。


第二集は、
「風の中の子供」
「信子」
「みかへりの塔」
「子供の四季」

いわゆる「児童映画」ばっかしです。
僕にはあんまりおもしろくなかったです。
というか映画として「子供」あるいは「動物」が出てきたら、
それはある程度泣ける作品ができることは明らかで、
(実際、泣いた……)

はっきりいってずるいとおもいます。

あ。「信子」は大・大・大好きな高峰三枝子たん主演ですので、
僕にはおもしろかったですが、
(高峰三枝子が九州弁で大暴れする!!)
あと撮影・厚田雄春でこれまたおもしろいんですが、

ま、一般的にはイマイチな作品なんでしょう。はい。

どうもかなり調子の波がある監督らしいんですわ。清水宏。


えーそもそも清水宏作品とはなんなのか?
というのをひとことでまとめてしまいますと、

◎「天才と放浪する女のつかのまの出会い」

ということになります。
さらにこまかくいうと、

・天才(男根そのものの男)
・放浪する女(男根をもっている女)

となぜか、「男根」っぽいものに清水宏は固執するんですね。

あ。すみません、新年早々から「男根」「男根」……

でもま。最終的に
マグダ・レヴェツ・アレクサンダー著「塔の思想」
という真面目な書物につながっていきますんでご安心を。

えー、具体的にBOX第一集をみていきますと――

・「有りがたうさん」
上原謙は、「めちゃくちゃ優しい」&「かっこいい」(上原謙なので)
という「天才」なのですな。

あと異常なまでに礼儀正しい。

で、街道中の女は彼が好きなわけです。


彼が「男根」だというのは、

トンネル(女陰)の中を彼の運転するバスが突っこんでいく、
このシーンで明らかでしょう。


さらに 彼は石を投げる……shotするわけです。
(ん、というか清水作品の登場人物は男女関わりなく石を投げたがります)



放浪する女――
桑野通子が男根をもっている、というのは、

タバコを吸うシーンで明らかです。
というか、「畜生!」とかいったりする桑野ミッチーたまらんです。

デビュー直後でこんな仕事してたのね。


はい。お次。
・「按摩と女」
主人公の徳大寺伸は、視覚障碍者なのですが、
健常者より歩くのがはやく、
ケンカも強く、等々、

異能の人、として描かれます。
やっぱり「天才」なわけです。

さらに
「杖というアイテム」
「目がない、という属性」
「首を振るクセ」
が、「男根」そのものです。


で、放浪する女、高峰三枝子は
「傘」という男根をもっているわけです。

というか、この作品の高峰三枝子たんはやばすぎる……
今のところ、私の中で、
日本映画史上最も美しい最も美しいヒロインは誰か?というと――

「按摩と女」の高峰三枝子、ということになりそうです。


・「簪」
の主人公、笠智衆は傷痍軍人。
で、どんな才能、天才かというと、
異様に頑張る、という天才です。

温泉地で、歩くリハビリをしているんですが、
彼の異様なほどの頑張り、泣けます。

いや、別に泣けるから、いい、というんじゃ全然ないんですけど。

で、
「松葉杖」
「ぎこちない動き」
が、「男根」してるわけです。

さらに射的というのが、「男根」要素を強めています。


で、ヒロイン。放浪する女は田中絹代……
「傘」です。
あとタイトルにありますが、「簪」も男根アイテムとみたい。

いいな~、30年代の絹代たん……
ロリータフェイス&低いセクシーボイスの無敵の組み合わせ……

ただ、「簪」の場合。ヒロインの情報があまりに多すぎる気がする。
あまり謎めいた雰囲気はない。
「按摩と女」のヒロインの謎めいた雰囲気がよかったのだ、僕は。

ま、清水宏。田中絹代の元ダンナということもあるか??


で、さいご、サイレントの
・「港の日本娘」

右が「隣の八重ちゃん」の逢初夢子。
左が主人公の及川道子。

これはちょっと変わってて、
及川道子が「放浪する女」かつ「天才」
と一人二役のような感じがあります。

善の道にも悪の道にも純粋に邁進(?)するというような
――なんか日本離れしたヒロインです。

あ。当然「傘」です。


あと、斎藤達雄ね。
これが――この作品ご覧になった方しかわからんのですが、

及川道子と同棲してるんですけど、
なんか家来みたいな召使いみたいな不思議な存在です。
あからさまにいうと、
どうも「性的関係」にはないっぽいんですな。

ご覧になってない方。
そりゃないだろう。とおもわれるでしょう。
でも作品みるかぎり、そんな風な描かれ方です。

あ。↓↓
船の煙突と共に登場するのっぽの男。
もろに「男根」です。

んー、ほんとみょうちきりんな映画なんですよ。これは。


はい。こんな感じでして。

清水作品というのは、

◎「天才と放浪する女のつかのまの出会い」
で、
しかも男も女も「男根」を持っている、のですな。
「男根」映画なのですな。

これは一体なんなのか?
清水作品……どう解釈すべきなのか?

とおもっていたトマス・ピンコの前に
こんな書物があらわれたわけです――
マグダ・レヴェツ・アレクサンダー著「塔の思想」


彼女にとって「塔」というのは――

塔を建設することは、人間の抗しがたいひとつの衝動のように見える。それは何よりもまず、何らかの形で自己の生活感情を具体化したいという要求なのであり、現実的なさまざまな要求を基礎にしているのではない。
(河出書房新社「塔の思想 ヨーロッパ文明の鍵」29ページより)

……そこにはっきりわかる目的とか必然性があるわけではなく、内在するエネルギー自体が目的なのであり、独特の躍動的精神力自身が芸術形式になっている。
(同書30ページより)

塔はいわば、首尾一貫した運動の、つまり唯一の垂直方向へのうごきのにない手であり、けっして止むことのない高所への展開のひとこまなのであり、象徴的に表現され、芸術的に実現された垂直上昇の理念の純粋な具体化なのである。
(同書33~35ページより)

……無限への願い、逸脱したいという衝動……
(同書166ページより)

として描かれます。


いっぽう、おもしろいことに
ギリシア建築、ローマ建築、そしてイタリアルネサンス……
いわゆる「クラシック」な建築には「塔」は存在しない、というんですな。

ギリシア芸術が塔を除外するか、あるいはすくなくともよけいなものだとした点については、まだ他に本質的要因がある。そのようなひとつの本質は、すべてのギリシア芸術に見られる統一性と独立性である。そもそも、この芸術は自己の内部に沈潜する、原則的には外界から切り離された芸術なのである。孤立したそれ自身の世界、小宇宙(ミクロコスモス)なのであり、自己の限界を打ち破って伸展することなく、それ自体で解決し、完成する。
(同書117ページより)

(トマス注:ルネサンスにおいては)
節度と平静が、活力と垂直力学のかわりに登場した。集塊と平面の水平分割が強調され、横方向の新しいリズムが誕生した。規範と法則を求めようとする傾向、単純で偉大な基本形式と威厳に満ちた品位に対する嗜好とが、塔建設の抑止力としてはたらいた。
(同書142ページより)

ん?……「統一性」「自己の内部に沈潜」「ミクロコスモス」
「節度と平静」「規範と法則」……

これって小津じゃないですか??

笠智衆・佐分利信といった自分の「分身」を主人公にすえて、
で、いっつも同じ内容の作品ばっかり撮っていた。(ミクロコスモス!)
あの男。

「規範と法則」大好きな、あの男……



反対に――
清水宏が「塔」の作家だということも明らかでしょう。

つまり「男根」という「塔」

↑「港の日本娘」ではじっさいに「塔」が描かれ、
(汽船の煙突もそうね)

さらにそのものずばり「みかへりの塔」

「塔」というタイトルの作品まである。
(えーそれほどおもしろくないんだけど……異様な迫力がある作品です)


「塔の思想」のことばを引けば、

「人間の抗しがたいひとつの衝動」
「独特の躍動的精神力」
「無限への願い、逸脱したいという衝動」

これが「天才」ばかり出て来る清水作品の特徴であることも、うなずける。


まとめると、
・小津安二郎=古典様式(クラシック)、塔がない。
・清水宏=ゴシック、塔がある。


うーむ。
しかし、こんな二人がおない年で、同じ撮影所にいて、
しかも大親友であったとは……

□□□□□□□□

清水宏作品。個別に感想も書きたいのですが、
最初に書きましたように、時間があまりなく……

小説書きに行き詰まったら書くとおもいます。

RED WING9022,RED WING9011,RED WING9870

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今年はあまり更新しない、とか書いておいて、さっそく更新してますが……

レッドウィング関連で検索して、当ブログに来る人も
いるようなので、レッドウィングの記事。

何か月か前。
この秋に9870も買っちまいましたので……
その子の写真ものせます。

最近はエッティンガーにもはまりそうだし……
革製品はやばいですね……

はぁーーー

もとい、
まず。一番のお気に入り。
RED WING9022 から。


はじめて買ったレッドウィング。
というかはじめて買った革靴。

購入から1年が経とうとしておりますが、
なんの不満もない。です。

モゥブレィのクリームで月3~4回ペースで磨きたてた結果、
こんな感じです。

過保護に育っております。
休日に履くだけ。
履いたら、シューツリー入れて休ませる。


9022
どうもレッドウィングのホームページに載らなくなったので
廃番? ですかね~??

廃番(?)の事情はわからんのですが、9022の「セトラー」という革、硬いです。
ことに「フェザーストーン」が
柔らかくてかつ艶がある、という完璧な革ですので、
人気がなかったのか?
クレームとかあったのか? とか考えてしまいます。

「セトラー」革。
なんせはじめての革靴なので
「う。なんか痛いけど、こんなものか」
とかおもってたのですが、

9011 9870と履いてみると、やっぱり硬い革だったことがわかりました。
なじむのにやけに時間がかかりました。

こないだ9870買った、イケダヤ靴店(アメ横)でも――
(というか、わたくしレッドウィングは全部ここで購入してる)

美人店員さん(僕の9022をみて)「あ。それ慣れましたか?」
トマス「はい。いい感じですよ」
美人店員さん「わたしもそれ気に入って買ったんですけど」
トマス「あ。そうなんですか」
美人店員さん「はじめ、硬くて硬くて……」

という具合で、9022ユーザーは
皆さん苦労されたのかもしれません。


セトラー革。硬い、とにかく硬い。
でもこのツヤはいい……

あと、この明るい茶色ってのはレッドウィングには他にないですよね。


おつぎ。
RED WING 9011


9022同様、過保護に育っております。
この子はモゥブレィのバーガンディのクリーム使ってます。

これまた不満はないです。
強いて言うと、
色が暗いせいか、9022より傷が目立つ、ということがあるか。

クルマの運転をすると、クラッチを踏む左足が
ちょいと傷つくんですよね。(つま先が)

だったら運転のとき履くな、ということですけど。
それにクリーム塗って、ブラシかければ傷は消えるんですけど。


世の中の風潮として……
「ワークブーツなんだから、手入れなんてしなくていいのだ」
「手入れするんなら年に1~2回」
とかいうのがかっこいい、のかもしれんですが、

僕としては「ああ。そうですか。ご勝手に」という感じです。

たぶん、
「手入れしなくていい」「傷のひとつふたつ、ワークブーツにはあたりまえ」
ってのは
「売る側の論理」だとおもいます。
消費者側はそれにすなおに従う必要はないとおもいます。

ちょっと考えてみてください。

逆に売る側が
「手入れはこのクリームを使って、シューツリーも入れて」
「傷がついた場合は補色のため、このクリームを使って」
という具合に攻めたとする、と――

一般の買い手側は「ええ~、めんどくさい。じゃ、スニーカー買います」
ということになるのではありませんか??

つまり、スニーカーユーザーをワークブーツユーザーにとりこむための論理として……
「手入れしなくていい」「傷のひとつふたつ、ワークブーツにはあたりまえ」
という論理が出てきたのではあるまいか? と。

それで、雑誌だのネットだのに

「手入れしなくていい」「傷のひとつふたつ、ワークブーツにはあたりまえ」
という情報があふれるようになった。
とか推測してるんですが……

はい。
1年前にはじめて革靴を買った人間が偉そうに書いてますね。


ん。まあいいや。
とにかく僕はお手入れが好きなんですよ。

9022の赤茶色もいいけど、
9011のブラックチェリーもまた……不可思議な、いい色だなーー


はい。で、
RED WING 9870

いわゆる「アイリッシュセッター」とかいうやつ。
買っちまいました。
RED WING教団 おそるべし!


この、なんだっけ。白い靴底。
トラクショントレッドソール、いいですね。

いままでベックマンブーツの固い靴底に慣れてましたので、
柔らかい……
歩きやすい……
ふわふわだ……

ただ、リノリウムの床だとすべりやすい気が。



モダンなルックス。
無駄がなくて、機能的で、よけいなものがなくて、

というか9870みてからベックマンみると……
ベックマンってけっこう野暮ったいブーツですな……


本来、オイル塗るべき革ですけど。

はい。トマス流にクリーム塗ってピカピカに仕上げますよ。
すみませんね。


あ。画像は買った直後ですが。


↑例によって、クラッチを踏む左足がハゲましたが……

なんか「アタリ」がでた、とかいって世間的にはかっこいいものらしいですが、
わたくし、この後、
容赦なくモゥブレィのブラックで補色しました。


レトロな箱がかわゆいです。
ベックマン7D履いてまして、で、アイリッシュセッターも7Dでぴったりでした。

僕はどういうわけなのか?
足の形が西洋人じみているのか?
(洋服も日本サイズでは肩・胸がピチピチで入らず、アメリカサイズがしっくりくる)
レッドウィングで靴擦れはしないんですよねー

あの硬いセトラー 9022でも靴擦れはしなかった。
(痛かったけど)

なので靴擦れ関連のはなしは書けません。

次はたぶん9871……買ってしまいそう……

佐藤忠男「増補版 日本映画史Ⅰ」「増補版 日本映画史Ⅱ」感想

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佐藤忠男ジイさんをバカにするな!
とわたしは主張したい。

たしかにサヨク臭ぷんぷんで、批評方法も古臭いけど。
バカにしてはいけませんよ。このジイさんは。

僕が最近読んだ、
「日本映画史」ですが、
「岩波書店」+「佐藤忠男」ですので、
まーイヤァ~な予感がするわけですけど。

たぶん、アレなんだろうな。とおもうんですけど。

で、読んでみますと……
予想通り
「反戦」「労働運動」「下層労働者」を描いたつまらなそうな作品が
無条件に高評価をうけ、
(良心作、正しいテーマ、とか意味不明なコトバがでてくる)
ブルジョワなものは低評価。
(正しくない、のでしょうね)

「侵略」「戦争責任」「なんとか大虐殺」「戦場の狂気」とか
最近NHKもあんましいわなくなってきたコトバが頻出する。

戦時下の日本映画はのきなみ低評価。
また黒澤明の『一番美しく』(一九四四)では、レンズ工場で兵器としてのレンズを磨く作業に熱中する若い女性の姿がいちばん美しい姿として讃えられる。
(佐藤忠男著、岩波書店「増補版 日本映画史Ⅱ」51ページより)

クロサワとはなにか、を語るうえで、
ひょっとしたら一番重要な作品かもしれない傑作「一番美しく」は
「戦意高揚だからダメ」とたった二行で切り捨てられます。

あとは、まーいろいろダメな点があって、
例をあげると、

(トマス注:円谷英二の「赤道を越えて」という作品について)
この作品にはひとつ、歴史的資料としてたいへん貴重だと思われる点がある。この練習艦には、若い皇族の海軍将校が二人も同乗して任務についており、それで行く先々で日本人たちが集まって熱烈大歓迎をするのである。たぶん、皇族たちがいなくても、日本の軍艦は海外同胞たちに歓迎されたと思うが、それがもうじつに熱烈で、当時海外にあって孤立感を味わいながら頑張っていた日本人たちの、母国によせる想いの強さがそこでくっきりと分かるのである。
(佐藤忠男著、岩波書店「増補版 日本映画史Ⅰ」438ページより)

この短い一節だけでもダメポイントがたくさんあって、
①「海軍将校」という日本語は存在しない。(海軍士官です)
②さらにいうと、練習艦に乗るのは「少尉候補生」である。
③海軍、および練習艦隊の重要性がまるでわかっていない。

③の帝国海軍の練習艦隊についてフォローしておきますと、
私たちのころ、昭和六、七年時代は、日露戦争時代の旧式巡洋艦(磐手、浅間)で遠洋航海に出たが、「国際法規」によって定められているとおり、軍艦はその国の国土の延長であり、国を代表している。外国の港に入るたびに、その国の元首にたいして礼砲を交換し、表敬訪問使を送る。
(吉田俊男著、文春文庫「日本海軍のこころ」101ページより)

という感じです。
国家的行事といってよろしいでしょう。

昭和五年生まれの佐藤忠男先生、
太平洋戦争以前の日本における「海軍」の位置、というのを
もうちょっと勉強していただきたい。
あの……
「たぶん……歓迎されたとおもうが」とかじゃないんです……



ん、でも佐藤忠男はやっぱりすごいんだ。
サヨク忠男ジイさんをなめてはいけない。
――というのを以下主張していきたい。

忠男ジイさんの仕事というのはなにか?
一言でまとめると
「映画を民俗学の方法で分析するという無謀な試み」
だとおもう。
民俗学というとあれです。柳田國男とか折口信夫とかのあれ。
昔話とか、民具とか、風習とかを分析する、あれ。

具体的にみていきましょう。

江戸時代の日本には、技巧をこらした手作りの遊びが豊富にあった。そのひとつが影絵である。
(佐藤忠男著、岩波書店「増補版 日本映画史Ⅰ」3ページより)

しょっぱなの文章がこれなんである。
どうです? 民俗学してますでしょう?
で、影絵→写し絵→パノラマ→覗きからくり
と、民俗学っぽい解説がありまして、

一九四七年の小津安二郎の『長屋紳士録』の中には笠智衆がこれを歌ってきかせる名場面がある。
(同書5ページより)

と、このでっかい書物の一番最初に登場する監督名が
「小津安二郎」というのはトマス・ピンコを泣かせる。
と同時に「ははん、長屋紳士録は映画の根源への旅であったか」
などとおもったりもする。

で、トマス・ピンコらしく
小津関係を引用しますと、

一九二三(大正一二)年に小津安二郎という青年が撮影部の助手として蒲田に入ってきた。彼は裕福な家庭の息子だったが、中学時代にアメリカ映画のマニアになって勉強を怠り、上級学校の進学に失敗して、伝手をたどって撮影所にやってきたのだった。
(同書216ページより)
いかにも小説の主人公のような書き方でまた泣かせる。
(あ。ご存じのように、忠男ジイさんの代表作は「小津安二郎の芸術」です)

あとあとみていきますが、こういう主人公めいた扱いを受けているのは
もうひとり、黒澤明だけです。
(忠男ジイさん「黒澤明の世界」という著作もあり)
忠男ジイさんにとって、日本映画というのはオヅ&クロサワ
この二人につきるのかもしれない。

あ。あと、忠男ジイさんの書き方の特徴として、
「出身階層」「学歴」これを必ず書いていくのもなんか民俗学的几帳面さ。
(――んー、でもジイさん自身の学歴コンプレックスをみるべきか?)

ヘンリー小谷がハリウッドの映画監督術と称して松竹蒲田撮影所に伝えた俳優を操り人形のように動かす方法をいちばん極端に実行したのは一九二七年にデビューした小津安二郎だった。
(同書235ページより)
(トマス注、小津安二郎のことです)無声時代の一流監督でこれだけ多数の作品が保存されている人は他にいない。日活などは戦後に現像所の火災によって戦前のフィルムの大部分を失ってしまったのだが、おなじ松竹蒲田の同時代の五所平之助も、私によく、口惜しそうに語ったものである。僕や斎藤寅次郎君の作品はみんなヒットしてフィルムがボロボロになるまで商売に使われたから残っている作品は僅かしかないが、小津君の作品は評判は良かったけれども興行的にはいまひとつだったので、フィルムはきれいなままに残っているんだよ、と。
(同書239ページより)

どちらも小津に関して「なるほど」というところです。
・小津の方法論のルーツはヘンリー小谷。
・小津作品は売れないので後世に残った。

あと、忠男ジイさんのおもしろいところは、
当時の「常識」を後世に残す、というところです。
五所平之助の証言は、たぶん同時代の人には「常識」だったことでしょうが、
今の人間にはこういう感覚はつかみにくい。(五所作品なんてみたことない)

「常識」ほどどんどん消えて行くものです。
大事件、特別な出来事は書き残しますが、「常識」は書き残さない。
忠男ジイさんの仕事は民俗学なので、
こういう「常識」をきちんと書き残すのです。

 サイレントからトーキーへの転換の時期にハリウッドでは、既成の映画俳優や映画監督は使いものにならなくなるのではないかと考えられ、ニューヨークのブロードウェイの演劇界からたくさんの俳優や監督たちがハリウッドに招かれた。しかし日本ではそういう現象は生じなかった。はじめ、セリフのまずい俳優は没落すると心配されたが、田中絹代の下関なまりが案外愛嬌があっていいと受け容れられたのをはじめ、発声に極端なクセがあって初期の幼稚な録音装置ではしばしば聴きとれないことさえある大河内伝次郎が、むしろその異様なイントネーションが怪物的キャラクターにマッチして評判になり、声帯模写の芸人がいちばん喜んで真似る人物になった。
(同書331ページより)

はい。これも当時の「常識」
でも今の人間にとってはわからない感覚。



一九三三(昭和八)年に、トーキー専門の映画会社として出発したP・C・Lが、一九三六年に最初の助監督募集を行った。五〇〇人を越える応募者のなかから五人が採用されたが、会社の方針によって、東大出、京大出、慶大出、早大出が各一名で、もうひとりは京華商業出身でプロレタリア美術同盟に属して絵を描いていた黒澤明という青年だった。結局、のちに監督として成功したのは黒澤明ひとりだった。
(同書333ページより)

クロサワ登場。
小津に続き、ここも小説の主人公してます。
で。また大好きな学歴。
学歴のないヤツが東大卒に勝つ、という。

あと忠男ジイさんのいいところ。
むやみに人物の内面描写をしない、というところだとおもいます。
『自伝「蝦蟇の油」によると、~である』
とか書きたくなるところですが、ジイさんは書きません。

学歴・経歴、と履歴書風データをたんたんと書けばそれでよいのです。
このクールさは(忠男ジイさんに限らず)サヨク知識人の良い所でしょう。

日本映画の歴史の上で、もっとも対蹠的に違った作業のすすめ方をした両極端は小津安二郎と溝口健二である。
(同書370ページより)
小津の映画には、一糸乱れぬ整然とした秩序があった。いっぽう溝口の映画にはしばしば破綻があった。しかし成功した溝口の映画には比類ない力強さと燃えたぎるような美しさがあった。
(同書371ページより)
小津や溝口は、自分のねらいどおりのショットが得られるまで何十回でも撮影のやり直しをしたので、俳優たちは極端にあがり、また、その神経を苛立たせまいとして撮影現場では余計なもの音ひとつたてられないような緊張感がみなぎった。その逆に、撮影現場では俳優たちを意図的にリラックスさせるようにしたのが島津保次郎だった。
(同書372~373ページより)

ここらへんも「常識」でしょう。
「常識」をきっちり書き残す。これ大事。

2巻目もみていきましょう。
松竹大船の女優陣を列挙しております。

可憐でしかも明朗で芯の強そうな田中絹代、いつも不幸な運命に泣いて耐えているかのようなメロドラマのヒロイン専門の川崎弘子、美人薄命を絵に描いたような清純な乙女で実際に肺病で夭折した及川道子、とってもモダーンでしゃきっとした桑野通子、モダーンさに知的なスマートさがプラスされていた高杉早苗、エキゾチックな小妖精ふうの逢初夢子、白人との混血で本当にエキゾチックな井上雪子、明るくて堅実で育ちの良さそうな三宅邦子、良家のお嬢さんふうで大輪の花のようだった高峰三枝子、くったくのない爽やかな個性を持って小生意気な役にも重宝された木暮美千代、……(以下省略します)
(「増補版 日本映画史Ⅱ」14ページより)

ここも当時の常識。

僕個人のことをいうと、小津作品だけでなく、
清水宏とか島津保次郎とかにも目を向けた、最近になって
ようやくこういうことがわかってきたとおもいます。
ようするに、ですね。
現代の人がこれだけの情報を得るには、
相当の枚数のDVDをみて、で、はじめてわかる、というものなわけです。
でも、昭和初期の映画ファンには
こんなこと「常識」で、わざわざ書くまでもないことだったでしょう。

はい。感想、ちょっと長くなったので、
これで最後の引用にします。
この一節は、忠男ジイさんの良い所と
サイアクな部分が混在していて興味深い所です。

 黒澤明の作品では、その主人公たちは、しばしば周囲の人物たちから、あなたの独特な生き方はわれわれ平凡な人間には理解し難いと言われる。(中略)
彼らは誰とも連帯しようとせず、自分の生き方を自分できめ、自分だけの苦悩を自分ひとりで苦しむ。彼らは自分の生きる意味を自分で発見する人間であり、その極端に閉鎖的な態度自体、ふつうの人々からは異常に見える。おそらくそこには、日本人の大勢順応的傾向と呼ばれるものに反対しなければならないとする黒澤明が第二次大戦の経験から学んだ強い主張がこめられているのである。
 第二次大戦最末期の一九四四年に黒澤明は、彼の唯一の戦争協力映画『一番美しく』で、疑うことを知らずに夢中になって全員で兵器生産に働く少女たちの集団を描いた。それは大勢順応の極致とも言える姿だった。その否定は、一本や二本の作品でケリをつけられるものではなかったのである。

(同書264ページより)

良い所は、はじめの一文。
「黒澤は英雄の映画だ!」とスパッと歯切れよく描写してしまう。
このあたりさすが忠男ジイさん。

ただ後半あやしくなってくるのは――
忠男ジイさん自身の勝手な理論でものを歪めて語ってしまっている点で……
つまり
「戦争協力映画は皆愚作である」
という理論のことです。
つまり「戦争協力映画」=「戦争犯罪」=「侵略行為」
という理論のことです。
(僕自身は「戦争犯罪」というコトバの法的根拠に疑問をもっていますが、ま、それはおいておいて)

この理論を守るためになにもかもを歪めてしまっている忠男ジイさんがあわれです。
つまり……黒澤は太平洋戦争の苦い経験から、
誰とも連帯しようとせず、自分の生き方を自分できめ、自分だけの苦悩を自分ひとりで苦しむ
こういう人物を描くようになった、というのですが、
黒澤は、戦時中のデビュー作「姿三四郎」から一貫して
こういう英雄的な主人公を扱ってきたのであって、
戦争は関係ありません。

あと、「一番美しく」は、大勢順応の極致、というのですが、
これも……ご覧になった方ならお分かりなんですが、
「姿三四郎」同様の
誰とも連帯しようとせず、自分の生き方を自分できめ、自分だけの苦悩を自分ひとりで苦しむ 
こういうヒロインを描いているわけです。

さらにさらに……

その否定は、一本や二本の作品でケリをつけられるものではなかったのである。
黒澤は「一番美しく」を否定するために
戦後作品を作ったというのですが、
黒澤ファンならだれでもご存じのように、

「一番美しく」という作品は、小品ではあるが、私の一番可愛いい作品である。
(黒澤明著、岩波現代文庫「蝦蟇の油」259ページより)

と黒澤自身断言しており、
あこがれの入江たか子と一緒に仕事ができたし、
ヒロインの矢口陽子とのちのち結婚する、ということもあり、
「否定」などできるはずのない作品なのです。

□□□□□□□□
えー、というわけで、
ほめてほめて、で、最後けちょんけちょんにやっつけてしまいましたが

……
しかし、忠男ジイさん。
なんといいますか、やっぱり「映画に対する愛」というのは
この人が一番なんじゃないでしょうか?

そう。映画への愛が、やっぱり凡百の批評家と、
忠男ジイさんの違いなのでありましょう。

エッティンガー(ETTINGER) マーストン(MARSTON)

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最近、浪費ブログになりつつあるな……

前回 二つ折り財布購入の時、
みかけて、手にとってしまったのが運のつきで――

今度はブリーフケースを買ってしまった……
銀座のエッティンガーにて。

エッティンガーのHPだと
T45 MARSTON
と商品名がでてますが、

商品のタグについていた名前は
T45 Mayfair Briefcase
となっている。このあたりの違いはよくわかりません。

ま。MARSTONちゃんということにしましょう。

ネット上での情報があんまりないし、画像もしょぼいのが多いので、
自分が書いてみようとおもいます。






MARSTONちゃん。

ご覧のとおり、まったくなんの装飾もありません。
ETTINGER というブランド名は、外側には書かれていません。
(内側にペン立て部分に刻みこんである)

Less is more. というわけです。
素材で勝負してます。

色は「ダークハバナ」にしました。
コットン製の収納袋。あとショルダーストラップ(革製)がついてきます。

収納袋の意味はよくわかりません。
「箱」が付属していないので、袋に入っている、という感じです。
箱好きな僕としては箱が欲しいです。

いや、この袋かわいくていいですが。
ん。それとも……
革のバッグは皆こういうコットンの袋に入ってくるものなんですか?
立派なバッグを買ったのは生まれて始めてなのでわかりません。




グレンロイヤルとかなんとか、
他のブランドと比較して購入するのが普通のようですが、
僕は全くそういうことはなく……
一目ぼれで買ってしまいました。

色は「ブラック」「ネイビー」「ダークハバナ」の三色。

銀座でみせてもらって、悩みました。

ネイビーは女の子が持ったら素敵だろうな、という感じ。
男なら黒か茶、だろう。(ネイビーお持ちの男性すみませんね)

黒とこげ茶で悩んで、
こげ茶にしました。



革はブライドルレザーというもので、
乗馬の「鞍」に使う革だそうです。

印象は
「粉を吹いたチョコレート」あるいは「シュトーレン」(ドイツの菓子パン)
のようで、たいそうおいしそうです。

白い粉っぽいのはロウ……ワックスだそうで、
だんだんとれていって、ピカピカになるそうな。

というか、エッティンガーの売りはこの「ブライドルレザー」だそうです。

こないだ買った限定品の二つ折り財布は「カーフ」でしたが、
定番の財布の素材はやっぱり「ブライドルレザー」だそうです。

んー個人的にはカーフのぷにぷに感が好きなので
後悔はしてませんが……

となると、ブライドルレザーの財布も欲しいな……



えー、で MARSTONちゃん。

ネット上の情報では「縫い目が歪んでいる」「イギリス人テキトー」
とかいうことですが――

なるほどこういうわけか↓↓

まっすぐ、ではないねーー



不良品をつかまされたわけじゃなく。
銀座の直営店で買って、これですから。
あとは推して知るべし。

気になる人は買わない方がいいです。
たしかに日本人とかドイツ人とかの仕事ではないなーー

でも、このシンプルなデザインで、縫い目もまっすぐ、
なにもかもきちんと作ってたら、逆に冷たいモノになるんじゃなかろうか?

このかばんがどこか温かみがあるのは、
この歪みのせいではなかろうか、などとおもったりする。




ファスナーは riri という会社のモノ。
はじめてみたが……

YKK(日本製・精密機械)とタロン(アメリカ製・ザラザラ)
の中間みたいなファスナーです。
いい感じのザラザラ感があります。



ショルダーストラップ。
地べたに置く、とか僕は出来なそうな気がするので……

なにかの本で、
「日本人はカバンをネコみたいに大事にするが、まちがってる。
ヨーロッパではカバンを、番犬を扱うように地べたに置くし、キズも気にしない」

というようなことを読んだが、
出来そうにないので、ま。ショルダーストラップ使うでしょうね~

んー、しかし。
立派すぎる……(むろんブライドルレザー製)
あと、収納性が悪そう……

いや、もともとショルダーストラップなんか使うべきではない、と
わかってますよ。
ショルダーバッグじゃないんだからね。

念のための装備だとは、わかっているのですが……



……というのは、カメラを入れたいわけですよ。

購入時。D800の本体を試しに入れてみましたが、
すっぽり入りました。ということはたいていのカメラは入るでしょう。

収納スペースはけっこうあります。
ノートPCはたいていのモノは入るはず。
マウスとか電源コードとか一式入りそうです。



はい。
MADE IN ENGLAND
と誇らしく書いてあります。



ケア用品。
こないだの銀財布とMARSTONちゃん用に新しいのを買いました。

・コロニル 1909ファインポリッシングブラシ
山羊毛でたいそうやわらかいです。すこぶる良し。

・コロニル 1909シュプリームクリームデラックス
・エッティンガー レザーバーム

財布に使った感じでは、コロニルの方がいい。

エッティンガーのはペーストっぽく、あとに粉っぽいのが残る。
あと「いかにも靴墨」というニオイがする。
コロニルはジェル状で、ニオイはきつくない。
むしろ僕はこのニオイ好きです。
あとさらさらして、磨いてもあとが残らない。

エッティンガー純正はあんまり良くないような気がしますが……
好みの問題か?
ま。長年使ってみて結果が出るモノなので、
まだわかりません。



えー最後に
MARSTONちゃんの使用感ですが――

じっさい使ってみて、どうか、というはなしですが――

すみません。
目下、観賞用です。

日々、撫でさすっております。


会社勤めに……使わないな~
トートバッグで十分。
というか、もったいない。
スーツも着ない、ネクタイもしない、という会社なんで……

たぶん、そのうち、カメラと文庫本でもいれて、
お出かけに連れ出そうとおもいます。

坂倉準三 神奈川県立近代美術館 その1

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坂倉準三作「鎌倉近代美術館」(1951)です。


わたくし、

見に行こう、見に行こう、とおもっていたのですが、

今まで見に行かず、


7年間横浜に住んでいたのにかかわらず、

見に行かず、


イバラキに帰ってからも

鎌倉に行く機会は

小津安二郎先生のお墓参りなどで何度もあったのに、


「カマキン」は見に行かず――




気付いたら、もう、最後の展覧会だという。
「カマキン」なくなってしまう、という。
(建物自体は残すようですが??)

でやっと、
去年の十一月に見に行きました。


平家池にサギがいました。



11月の体験をようやく今になって書こうというのですが、


んーさっさと書けばよかったです。

記憶があいまいになっている。


「すばらしかった……」

という以外、あんまし憶えていない……

 


あと、天気が最高によかったことはおぼえてます。


今まで見に来なかったわけですけど、で、

それが最後になってしまいそうなわけですけど――

(上記のとおり、建築自体は残るらしいので?? わかりませんが??)


一番いい気候の時に、

こんなすばらしいものがみれたというのは、

ま、逆に良かったかな、などともおもいます。




↑エントランス部分は、ボロくて、

「あれ?」という感じでしたが――


一歩、中に入ると……



至福の空間が広がっている。


大谷石というのはなんでしょうね。

ライトの自由学園もそうだが、

気分が落ち着くね。


しかし、大谷石+ガラスブロック。


ちょいとクセのある素材をこう組み合わせるか!


もさもさっとちょっと野暮ったい手触り(大谷石)

つるつる都会派の手触り(ガラスブロック)


で鉄骨構造も(柱ですね)なにげなくみせる、という。





イサム・ノグチ「こけし」という作品だそうですが、



「建築」に「彫刻」って……


たとえ高名な建築家の作品でも

「なに気取ってんの?」

「なにもない方がいい」

というものが多いような気がするのですが……

(そう感じるのはわたくしだけ?)


この子は、かんぜんにカマキンの主ですな。

この建築の住人ですな。



1階テラスはとにかく至福。

見飽きない。


光の角度によってくるくる姿を変える。

池も姿を変える。


展覧会場内の液晶モニターで、

このテラスの四季折々の様子を紹介してましたが、

(記憶があいまいなので……正確じゃないかもしれませんが、

梅雨の雨の頃、雪が降っているところ、など映像があった気がする)


それがすばらしくて……




春来ればよかった。
夏来ればよかった。

あ、今度は冬に来よう。
閉館前に来るんだ。

――とかおもったのですが、
けっきょく行かずじまい。




平日でほとんど人がいなかったというのも良かった。





とにかくこの子が好き。








階段の側面部分をわざとみせる。

手すりのエロいカーブを楽しみましょう。




そして、鉄骨、大谷石の壁といった、

構造部材(重力を支える部材)を露出させる。


そしてそして……



構造部材が
風景をみせる「額縁」「フレーム」になっているという――

ものすごさ。





影もまた美しい。


その2につづく。

坂倉準三 神奈川県立近代美術館 その2

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その2です。

坂倉準三について――すみません。よく知りません。
カマキン以外作品をみてません。

僕としては
「坂倉準三=パリ万国博覧会日本館(1937)」
とかってにおもっている。

丹下健三よりずっと前に、世界デビューしていた建築家、というイメージ。

藤森照信先生の「日本の近代建築(下)」(岩波新書)では、
日本建築のモダニズムの構図を
①アントニン・レーモンド
②前川國男&坂倉準三(ル・コルビュジエの弟子たち)
③丹下健三
この三段階でとらえていらっしゃいます。

はいはい。
カマキン、お師匠のコルブ御大も見に来てたみたいです。↓↓



上の藤森先生の構図で面白いのは……
僕が勝手におもしろがっているだけかもしれんですが……

・坂倉準三(1901年生まれ)
・前川國男(1905年生まれ)
と建築界のモダニスト二人と……

・小津安二郎(1903年生まれ)
・清水宏(1903年生まれ)
彼ら映画界のモダニスト二人の生まれた年が似通っていること。
1900年代生まれだというのはおもしろい。
ついでにいえば、4人とも裕福な家庭の出身。
モダニズムというのはカネがかかるのか??

さらにおもしろいのは、
・丹下健三(1913年生まれ)
・黒澤明(1910年生まれ)

世界のタンゲ、世界のクロサワ
彼等が1910年代生まれだということ。

つまり、1900年代生まれのお兄さんたち、
・コルビュジエの事務所で働いていた坂倉&前川
・松竹蒲田撮影所でばんばんサイレントを撮ってテクニックを磨いていた
小津&清水

――を、尊敬し、かつ嫉妬する立場にあったというのも似ている。
丹下はコルブの直接の弟子ではないし、(前川國男の事務所出身)
黒澤が映画界に入った頃はサイレントの時代は終わっていた。

しかも彼らが建築家・映画監督としてそれぞれ出発したのは
戦時中です。
1910年代生まれ、けっこう大変です。



坂倉準三のはなしに戻ります。

↑はい。中の様子。
たしか、坂倉準三の使っていた机なんじゃないか、とおもうけど……
忘れちゃった。
間違ってたらすみません。

造り酒屋の息子、坂倉準三は東大の文学部出身。(工学部じゃないんだな。美学とかやってたらしいです)
1931年~1936年 コルビュジエの事務所勤務。

官僚の息子、前川國男は、東大の建築出身。
坂倉より年下ですが、
1928年~1930年 コルビュジエの事務所勤務。

と、コルブの事務所にいた時代は重なりません。
でもパリ時代に交流はあったようで、

人間関係という面でパリ在留中のことを補足すると、文学部美学美術史学科出身の坂倉準三が、建築家をめざしたその初期に、そしてル・コルビュジエの門を叩く前に、前川國男とコンペへの応援という形で交流が始まったこともおもしろい……
(宮内嘉久著、晶文社「前川國男 賊軍の将」34ページより)

名古屋市庁舎コンペというのに
前川國男は坂倉準三と一緒に参加しているようです。

建築の知識・経験は
工学部出身でコルブの事務所の所員の前川の方が豊富だったでしょうから
前川國男主導だったのではないかとおもいます。

けっかは落選だったようですが。

しかし、建築学科出ていない坂倉準三。
「おれ、建築家になる」

「よし。コルビュジエの事務所で働くか」
この、決断力はすさまじい。
金持ちだったのでしょう。

あ。今急に思い出したんだけど、

・久生十蘭(1902年生まれ)
の、パリ時代は1929年~1933年。

お金持ちのボンボンのおフランス留学というのは、
そんなに珍しいことではなかったか?
というと、
坂倉準三の決断もそんなにすごい飛躍ではなかったのかもしれない。

んんーしかし、錚々たるメンバーです。
1900年代生まれ。

トマス・ピンコはどうも1900年代生まれに魅かれるようです。
そういえば、ジュゼッペ・テラーニは1904年生まれだったりする……

そうか、坂倉&前川とテラーニは同世代か。
そして小津、久生十蘭も同時代人、と。



↑旧館から新館をのぞむ。
新館はなんだか、震災のダメージがでかかったらしく、
公開していません。
今後みる機会があるのだろうか。

というか、3・11以前に行っておくべきだった、と悔やみます。

こうやって新館の……ちょっとミース・ファン・デル・ローエっぽい外観をみたり、
あるいは前回紹介したテラスの鉄骨部分をみたりすると、
坂倉はどうもコルブのやり方を素直には受け継いでいない気がします。

日本建築の繊細さを重視していたようにおもいます。

その点、コンクリートの量感を重視する前川國男、
コルブにあくまで忠実な愛弟子の前川國男、
彼とは対照的で……

なかなか一筋縄ではいかない二人です。


カマキン、夕方から夜にかけて、とんでもなく美しかったです。
11月はじめ。
まだ寒くなくて、よかったな~
秋の夜というのもいいな~





磯達雄&宮沢洋の「昭和モダン建築巡礼・東日本編」では
坂倉準三=水の建築家
という風に説明していて、なるほど、とおもいました。


坂倉の出身地、
岐阜県羽鳥市は木曽川と長良川に挟まれた
水の豊富な地域だそうです。

それが坂倉=水の建築家
としたのではないか、と磯さんは解説してました。





なるほど、カマキン、もやっぱし
水ありき、な建築なわけで……



まっくらになって、カマキンの照明が消えるまで、
平家池のそばにいました。

帰り道。
マクロプラナーで鎌倉の街を撮りました。





横浜でもツァイスレンズ使ってみる。
以下3枚、馬車道にて。


伊勢佐木モール。
↓この不二家はたしかアントニン・レーモンドの作品ではなかったっけ?


いいな~
マクロプラナー。
夜の描写がいい感じです。


また、暖かくなったら、
マクロプラナー持って出かけたいと思います。

DOMKE(ドンケ)F-2 ワックスウェア その2

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ドンケF2 で検索して当ブログに来る方もいらっしゃるようなので
書いておきます。

購入から約1年半。

結論からいえば、大満足。大正解。
カメラバッグに関していや、これ以外はもういいや、という感じ。

ま。僕なんぞがいうまでもなく、
万人が認めるスタンダード商品、なわけですが。



一言でいうと、「古き良きアメリカ製品」といったところです。

ジープ、
ジーンズ、
それからコルト・ガバメント(ピストル)
なんてものが思い浮かびます――

無骨だけど、頑丈で、地球上のどこでも、いつまでも使える。

そうそう。ダナーライト(ブーツ)もそうだな。

ドンケについているMADE IN U.S.A.のタグと
ダナーライトのタグがおんなじだったりする。
↓↓

ま。ドンケとダナーがグルだ、とかではなく、
工業組合かなんかで決められたものなんでしょうが。



とにかく、見かけから想像がつかないほど、
積載量があります。

ただ、ドンケのカタログでは
「35mm一眼レフを2台+レンズ4本+ストロボなど、基本的な機材一式を収納可能」
とありますが、
一体いつのはなしだ!?

現代の巨大化したカメラ、レンズではこれは不可能な気がする……

自分は――
・Nikon D800 (900g)――カメラ本体
・AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR(680g)――広角ズーム
・AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR Ⅱ(1540g)――望遠ズーム
・ZEISS MAKRO-PLANAR T*2/50(510g)――標準レンズ

つまり
35mm一眼レフ 1台
レンズ3本
を入れますが、これで限界です。

ん、でもすごい量はいることには変わりありません。
それで、ビクともしません、このバッグは。
1年半酷使して、まったく故障なし。

あ。画像は↓ フィルムカメラのFM2です。









えー、ドンケF2ワックスウェア
ほめてばかりいるのも何なので、
1年半使ってわかった欠点をいろいろ書いていこうとおもいます。

欠点①肩・腕が痛くなる。

んー、というか、これは
「ドンケF2」というか、ショルダーバッグ型のカメラバッグ全部にいえる欠点なんですけどね。
上記の装備、全部の重量を足すと、3630gなんですわ。
それにドンケ本体の重量は1200gなので、
足すと、4830g
その他いろいろスマホだの、財布だのつっこみますので

ざっと……5kgの重量になるわけです。はい。
これは、一日かつぐと、肩、腕痛くなります。はい。

だったら、バックパック、リュックサック型のにすればいい。
というはなしですが、
これだと機動力がないわけ。
すぐにカメラをとりだせないわけ。
すぐにレンズ交換ができないわけ。

――で、これに関連して次の欠点が浮かび上がります。

欠点②もうひとつのバッグ選びが難しい。

で、あんまり肩・腕が痛くなるので、
もうひとつバッグを持てばいい。
という話になります。

機動性は妥協して、
1.5kgの望遠ズームは背中のバッグに入れましょう、
とかいう風にすれば、重量を分散できる。
パーフェクト。

だが、ここでドンケF2ワックスウェア最大の弱点が明らかになる。

F2のワックスコットンの個性が強すぎるので、
どのバッグを持ってきても、なんか似合わない、ということです。
(その点、バリスティックナイロンにすれば、この問題は生じないでしょう)

ナイロン系のバッグは完全に合わない、とおもいます。
F2ワックスウェアのただならぬヘヴィデューティ臭がそうさせるのでしょう。

だったら、ドンケのワックスウェア(F2以外のもの)を
もうひとつ買えばいい、ということになるのですが、
僕はバックパック型が欲しい訳です。
しかしドンケはショルダーバッグしか選択肢がない。

いろいろ探して、
とうとう出会ったのは――

L.L.ビーンのミリタリーっぽいバッグ。
コットンワックス製。
吉祥寺の本店でみつけたもの。

左、ショルダーバッグ型
右、バックパック型

これだと、F2ワックスウェアとしっくり似合う気がしました。


L.L.ビーンのバッグ。
メイドインチャイナで、
ドンケに比べると唖然とするほど華奢ですが、
(ドンケが頑丈すぎるのである)

望遠レンズ1本をつっこんでおくくらいは大丈夫そうです。

なので、今は
L.L.ビーンのバッグを背中に
ドンケのバッグを肩に
という感じに重量を分散させています。




続きまして、
欠点③油ジミができる。

誰もが心配するのは……

一日F2ワックスウェアを背負って、撮影して、
で、帰ってきて、
「や! 服に油ジミが!!」
という点だとおもいますが、

僕の経験だと、そういうことはないです。
その点、非常によくできているバッグです。

ただ……ただ、ですね。
F2ワックスウェアの上に、なにげなく洋服をわさっと放置しておく、と……
とくに深い考えもなく、脱いだものをホイッと放り投げておいたりすると……

2,3日後、確実に油ジミができます。はい。
なので使用しない時は隔離しておいた方がいいです、この子は。



あと、ワックスコットンの問題点として……

欠点④ネコの毛がつきやすい。

というのが、あります。
動物飼っていらっしゃる方、毛つきますよ、これは。

犯人はおまえだ!!
↓↓



えーで、最後の欠点。
これは――
「欠点②もうひとつのバッグ選びが難しい」

というのと関連しますが、

欠点⑤服装選びが難しい。



んーというか、
普段、化繊のテロテロした服しか着ないような人だったら、
ワックスコットンじゃなくて、バリスティックナイロンを選ぶでしょうが……

とにかく服装を選ぶカメラバッグのような気がします。

なんかREDWING9022 と一緒に撮ってますが↑↑

レッドウィングなんぞにはまってしまった理由も、
こうやって考えると、
「F2ワックスウェアにスニーカーは合わないなー」
とかいうのが出発点だったのかもしれません。

んー今の季節だと……
「F2ワックスウェアにテラテラしたダウンのコートは合わないなー」
ということになりまして、

コットンキャンバス地のジャケットを着てみたり、
バブアーのワックスコットンのジャケット欲しいな、とか
あ。アクアスキュータムのトレンチコート欲しいな、とかおもってみたりするわけです。

以上。
完璧なバッグです。
ただ、ワックスコットンの個性が強すぎるので、
問題も色々発生します。

小津安二郎の世界 VICL-40023~24

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毎年やってる予防接種をサボったせいで、
6年ぶりにインフルエンザかかりまして、
今は
すっかり平熱なのですが、

高熱の余波か、
読書するのも長続きせず、
といって寝ころんでいても眠れず……

なのでCD「小津安二郎の世界」の
小津安二郎自身の証言のところだけ書き起こしてみることにしました。

ひじょうによいCDです。2枚組。
「一人息子」以降の主要作品の音声による抜粋。
(「長屋紳士録」の笠智衆のノゾキ、「麦秋」のアンパンシーン等々)
それに小津安二郎自身と、
飯田蝶子、笠智衆、杉村春子、岸恵子等々
出演者のインタビューの組合せです。

難点は……↓↓
この渋い「民芸調」みたいなジャケットかな。

たぶんジャケットデザインしたやつは
小津作品とか見たことないのでは?
みたことあるにしても
「東京物語」と他に2,3作品しかみてないのでは??

オヅらしくもっとモダンにかっこよく攻めてほしかったものです。


以下にやってみます。
小津安っさんの声は、鼻にかかった太めの声でけっこう早口。
ばりばりの下町っ子というトーンです。

――こっちはこの、ニワトリ描いてんのにね、
「山描きゃいいじゃないか」「山の方がスケールが雄大だよ」
なんつったってね、こっちはニワトリが描きたいんだから
そういう批評はね、いくらいわれても
「山は他の人の山をみてくれ」
とまあ、いうことになりましてね、
これはあまりに痛くもかゆくもないんですがね。


――だいいちね、僕はそうなんだな、
僕は天ぷらが好きだというのにね、
「おまえウナギを食え」という。「ウナギがうまいんだ」と。
僕は天ぷらが好きなんですからね。
それはやっぱり天ぷらの中でうまい天ぷらが食いたい。
「そうかい」つって、
「じゃおれもウナギを食おうか」なんて食ってみるとうまくない、と。
これは意味がないとおもうんですよね。


「山」とか「ウナギ」とか
どうみてもクロサワとしかおもえませんが……

つづいて「喜八もの」に関する証言。

喜八ものだとか、かあやんだとか、あの一連の長屋ものですね、
あれはまあ、僕は深川で生まれて、ま、うちの近所にその、
ああいうようなモデルになるような人間をたくさん知ってましてね、
それがやっぱし、この戦争後ああいう種類の人間はたいへんいなくなりましたね。
そう、今だったらそうほかでも違いやしないじゃないんですか。
深川と荏原中延と、「それは違う」っていう風なものがね。
あまり、この、目立たなくなってきましたね。
昔、半纏着て、朝風呂入ってるようなのが、
今、ズックの靴はいてジャンパー着てね、
昔は毎日ヒゲ剃ってたような大工が
今無精ヒゲ生やして、どうでもいいやってな格好してますがね。
(中略……ちと聞きとれないところがありまして)
よほどその空威張りっていうのか、そういう持っている清潔感というのか
そういうものが失われてきていますね。



以下シナリオ書きの苦心について

――それまあ、二人でね、野田と書かなきゃいかんといって、
このストーリーもなんにもないしね。
ま、世の中たいへん文明になってね、
時計のくっついたライター。あ、そりゃデパート行きゃある。
霜がとれる冷蔵庫ができた、とか。
ああ、ま、いろんなものがね、その、
ソ連の(アハハ)でかい打ち上げ花火ができるような世の中で
シナリオ買いに行こうったって、デパートにも売ってなきゃどこにも売ってない。
こっちでこしらえなきゃならんのだから、
これはしんどいとおもいますがね。
それはまあ実によく……
一体これはなにをやりゃいいのか?
なにからやらなきゃならんのか?
どうすりゃいいのか? と。
大変その、四十年やっててやっぱし暮夜ひそかに汗かいたりね。
まあ、なかなかしんどいことだとおもいますわ。
野田さんも僕もね、ひとつのなんというか、こう、
愛情の持てないものはあまり取りあげたくないわけですよ。
まあ、一年に五百本も映画が出来る中でね、
一本ぐらいそういうシャシンがあったっていいじゃないか。



収録されている中では
森繁久弥のスピーチが爆笑なんですが、
(小津安二郎一周忌の集まりの時のものだそうで)

もう疲れ切ったのでムリです。
ま、文章にしちゃうとね。森繁さんの話術の魅力は消えますよね。

まあ、とてもよいCDです。

(承前)森繁久弥のスピーチ(小津監督一周忌の席にて)

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前回。CDの森繁さんのスピーチが爆笑だ。
だけど疲れ切ったから書かない。

とか、思わせぶりで終わってしまって――

でも疲れて眠ってみると、
ここ数日、寝過ぎたせいか4時間くらいしか眠れず、
(体力がないせいか)

ま、とにかく目が覚めてしまって元気なので、
森繁さんのスピーチを書き写してみます。



森繁さん、スピーチ中、小津安っさんのマネをするんですが、
それが驚異的にうまいです。
以下、小津監督のマネで「はい、カット!」というところがあるんですが、
小津組の現場の雰囲気が伝わってきて、
僕的には、涙が出てきそうになるところでもあります。

――監督さんの中で一番、映画監督というのはこの方じゃないかというようなご風貌の方で、
えー、ちょっと日本人離れもしておられるようでございますけども(会場笑い)
たいへんおしゃれで、監督らしい格好はこの格好だといって
歩いていらっしゃるようなご風貌でございます。

で、小津さんのそばへきまして、
「一遍ぐらいわたしもだしたらどうだ」
「安く出るから」
っていったんですけども、
「あ。オマエ、きらいきらい」(小津)
オマエ、きらいきらいって……(会場笑い)
全然わたしは嫌われておりましたが――
縁あって「小早川家」に一役いただきまして……

場所は宝塚でございます。取り囲んでおりますものは東宝勢でございます。
いっちょこの際ここでやっつけようというようなことになりまして
「今晩飲みにこい」(小津)
毎晩飲みにこい、でございますけども、今晩のみにこい。
ゆうべも飲んだじゃないか。
「いやいや今夜も飲みにこい」(小津)
え、山茶花と二人で行きまして、
「なんで五秒や十秒のカットばっかり撮るんだ」
というのを酔いにまぎれていいました。(会場笑い)
「松竹じゃ大根がそろっているから五秒や十秒でいくかもしれんが、
東宝はいい役者がそろっているから、二分や五分はもつんだ」

(会場笑い)
わたくしが言ったんじゃございません。
山茶花が言いました。(会場爆笑)
よほど癇に障ったらしくて、山茶花が便所行ってから
「あいつはバカだ」(小津)
(会場爆笑)
「あいつはバカだよ」(小津)
っていっておられましたけれども
内心、山茶花の意見も正しい、とわたしはおもっておりました。(会場爆笑)

そのあくる日、
今日はいっちょうあの監督を驚かしてやろう、とおもって
手ぐすね引いておりましたが、立ちあがると、
「はい、カット!」(小津)
とこういうんで、(会場爆笑)
わたしとしてはなんにもやりようがないんで――
「どうだい。困ったろ、オマエ?」(小津)
(会場爆笑)
「困ったろ。やってみろよ。俺は写さねえから」(小津)
(会場爆笑)
癪に障りましたから、カットのあとも全部芝居をいたしました。
こんなのもある。あんなのもある。というのをみせましたが、
そっぽをむいてタバコ吸いながら
「フン……フン……」(小津)
って笑われただけでございました。


以上。
森繁……すげーな。
立川談志が、どこかで
「美空ひばりのエロ歌、森繁のエロ話を生で聞かなかったのは悔いが残る」
と喋ってましたが、
そうだな、この調子でエロ話、すごいでしょうな。

□□□□□□□□
さて、「小早川家の秋」(1961)の森繁久弥ですが、
オープニングを飾る、実にいい役です。
出番が少ないのに目立つ、という。
ま。大スターにふさわしい扱いです。

原節子の未亡人と再婚しようと狙っているのですが、
森繁久弥と原節子、二人が同一カットに映ることは一切ない、
というので、二人は結ばれない、というのが観客にすぐわかります。

それから小津マニアは、二人の顔の大きさの違いに気づくでしょう。


森繁は小さく、原節子はデカく映します。
完全に森繁さんが原節ちゃんに圧倒されている感じ。

「お茶漬けの味」の木暮美千代と佐分利信の対話のシーンが有名ですが、
親子、夫婦、といった間柄の対話では
各ショット、各ショット、
几帳面に頭の大きさを揃えるのが小津流です。
(とうぜん、俳優と女優さんでは頭の大きさが違うので、普通に撮ると頭の大きさが違ってしまいます。それをカメラからの距離を変えることで、頭の大きさを整えるのです。遠くから撮れば、頭は小さくなり、近くから撮れば、大きくなる。それで男女の頭の大きさを几帳面に揃えます……ちょっと文章で説明するのが難しいですが)


あと……
森繁久弥の背後に
「彼岸花」以降おなじみの

BLACK&WHITE

森繁さんの服装も「黒白」といっていいか。


あとは……
「東宝勢」のくせに小津組常連のような顔してる加藤大介にむかって
(森繁はちょっと嫉妬してたかな??)

「火」がもろに……
「男根」――

灰皿がなんかかっこいいな。


「小早川家」
わたくし、じつは一二回しかみてないんですが……

オープニングちょろっと見返しただけでこの濃度……
すごいな、やっぱし小津安っさん。

SM WHOLESALE タンカースジャケット 初期型パッチポケット

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中田商店で買ったタンカースジャケットがとても良かったので
ほめます。

SM WHOLESALE という会社の製品。
MADE IN USA

僕ごときがほめたところで なんですが、
ネット上の情報があんまりなかったもので、
書いてみようか、と。

↓↓こんな感じのモノです。

第二次大戦のアメリカの戦車乗りが着ていたジャケット。
「タクシードライバー」のデ・ニーロが着てたのは
こいつの子孫なのでしょう。
デ・ニーロってベトナム帰りって設定でしたっけ?
(ジョディ・フォスターがかわゆかった以外、あんまり覚えてない)




まず――
非常に個人的なことから書きますと、
以前もどこかで書いたような気もするのですが、

わたくし、肩幅ひろく、胸板厚く、腕まあまあ太く、あとお尻もでかく、
ひとことでいや、がっちりしていて、
日本の会社の企画した服が、ピチピチで入らないことが
往々にしてあるんですわ。
(デブではない……デブじゃないです……)

その点さすが、アメリカ製。しっくりきました。
逆にいうと、標準スリム体型の方には、ちとダブダブかもしれないです。

お次。
中田商店で、服買ったのはじめてなんですが、

アメ横好きなので、ちょいちょいのぞいてはいたのですが、
――ちょっとしたバッグとか買っただけで、
服ははじめてだったのですが、

んーいままで軍モノ バカにしてたようです。
「どうせ、頑丈なだけの安物だろ」
と勝手にイメージしてたんですが、

これは着心地よかった。
今の時期にぴったりだし。

まーアメリカ製の若干お高いモノということもあるんですが、

中田商店、はまりそうな気がしてます。
(ん。というか革ジャン……A2ジャケットが気になっている……)




それからネット上の情報ではわからなかったことを書きますと……

↑この肩章?(なんというのか)
が派手じゃないか? という危惧があったのですが、
1枚目の画像でおわかりの通り、肩章は側面にあるので、
そんなに目立ちません。

ちなみに「第2機甲師団」の「2等軍曹」ということのようです。
というか、Furyとかいう映画でブラピが着ていたものだそうです。
……が、そっちは僕は興味がないのでよくわかりません。

あ。時計は、手持ちの ハミルトン カーキ・フィールドです。

あと、中田商店のタンカースのレプリカだと、
セスラーという会社のものがありまして、
ネット上ではSM WHOLESALEとの違いがよくわからないのですが……

実物をみると、もうはっきり別モノでした。

さすが、値段が3倍違うわけです。

セスラーは中国製だそうです。
SM WHOLESALEはアメリカ製。

布地が違うのか、縫製の問題なのか?
なんだかわかりませんが、あきらかにセスラーは安っぽかったです。
安いので、サバイバルゲーム用にはいいでしょうね。



38を着てます。
タグはこれだけ。
ふつう、コットン100%とか、洗濯はこうしてください、とかありますが……
どこにもない。
ようするに「1942年のジャケットのレプリカです」としか書いてない。

なので、裏地のモコモコ部分の素材がよくわからんのですが、
ネット上の情報では、
「ウール70% ポリエステル30%」
とのことです。
一言でいって快適です。
関東の冬はこれで十分のような気が。



タロンのジッパーです。

ご存じの方はご存じ。例のヤツです。
独特のストレスがあります。

YKKの「サラサラ」と比べると、
「ザラザラ」……妙な引っかかりがあります。

僕は以前から大好きです。


レトロな雰囲気がたまらんです。

この金属の輪っか。
「いくらなんでも??――」
とはじめはおもいましたが、
これが使ってみるとひじょうに良いものです。

指をちょろっとひっかけて、でジッパーを閉じたり開けたり。
使い易いです。



ななめ後ろからみるのがかっこいいような気が。

いままで「ミリタリーっぽいもの」ならいくつも買ったことがあるのですが、

今回のタンカースみたいな「バリバリ軍モノ」は
これがはじめて。

上記のように、

「どうせ、頑丈なだけの安物だろ」
という思い込みがあったわけですが……

それが見事に崩れ去りました。

中田商店、はまりそうな予感。

あ。バズなんとか、とか なんとかマッコイとか、
日本の会社のバカ高い軍モノは今のところ興味がないです。

置塩章 旧茨城県庁(1930)感想 その1

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さいきんはじめて行った、
水戸駅近くの旧茨城県庁(現・茨城県三の丸庁舎)が
すばらしかったので、
いろいろ書きます。

というか、過小評価されているとおもいますので、
大いにほめてやろうとおもいます。

わたくしにとって
水戸=水戸芸術館(イソザキ)
でしたが、こんなすごい建築を隠してやがりました。

設計したのは置塩章(おしおあきら)という人。
(はっきりいって有名な建築家ではない)
帝国陸軍の技師だったそうです。

こんな子です。↓↓



はじめに結論を書いてしまいますと、

◎旧茨城県庁=「火の鳥」(1978)の由美かおる

ということになります。
はい。
みなさんご存じ(?????)
市川崑の「火の鳥」です。
手塚治虫の「火の鳥」を超豪華スタッフ&キャストで映画化して
佐藤忠男等々に酷評された(らしい)「火の鳥」です。

というか、最近、日本映画専門チャンネルでやってるのをみて
「こ、これ……」
「ひょ、ひょっとして日本映画がつくり出した最高傑作では??」
とトマス・ピンコが感動した、あの「火の鳥」です。

鉄腕アトムがとつぜん登場したりする、あの「火の鳥」です。



で、由美かおるちゃん演じますウズメなんですが――↑↑

ジンギ(仲代達矢)という騎馬民族の連中に、住んでいる国を滅ぼされるんですわ。
それで、由美かおるなので、セクシー美女ですので、
男どもに襲われないために、生き残るために
わざと醜い化粧をするんですな。
へんてこな髪型をするのですな。
へんてこな衣装を着るのですな。

ま、のちのちダンナの猿田彦(若山富三郎先生)とナギ(尾美トシノリ君)
この二人を逃がすために
本来の美しい姿に戻ってジンギを誘惑する……
「お、おまえはそんなに美しかったのか」
「ワシの妃になれ!」
とかいうシーンもあったりするのですが……

□□□□□□□□

――前置きがやけに長くなってしまいましたが、繰り返します。

◎旧茨城県庁=「火の鳥」(1978)の由美かおる

この法則を以下に証明していきたいとおもいます。
あ。そうそう、もちろん、
水戸→水戸黄門→といや、由美かおる
という連想もあります。

ようするにですね――
赤丸で囲んだところが↓↓ 由美かおるしているところです。



えーこの子はわざと醜くなっているのです。

正面玄関は、これ厚化粧なんですわ。
あと、塔はへんてこな髪型ですね。

由美かおるがわざと醜女に化けたように――

旧茨城県庁は「県庁」として生きていくために
わざとこんなに醜い玄関。そして醜い塔を身にまとったのです。

1930年代ですからね。当然のことです。ファシズムするより他ないのです。

なのでわれわれは由美かおるの……
あ。失礼。
旧茨城県庁の真の姿。
美女としての姿を見抜かなければならない、とおもいます。

はい。そこでまず見ていきたいのは
南側立面。



どうです?
美しくないですか?
シンプルで気品があって……

3階中央の半円形の窓が、たまらなくかわいいとおもいます。
正面の威圧的な雰囲気とは真逆の……
ニコッと微笑むやさしさが、この窓にこもっています。


CG風にいじってみたりする。


中に入ってみます。


と、あらわれるのは明るく、静謐な 至福の空間だったりする。



で、3階までのぼりますと、
あの愛らしい半円形の窓に出会えます。


たぶん、この子は産まれる場所を間違えたのです。

丸の内にでも生まれていれば、
「県庁」ではなく「〇〇ビルヂング」として誕生していれば――

1階は、ブティックだの、レストランだの、喫茶店だのがはいり、
2,3階はオフィス。
屋上からは東京駅がみえる。

で、空襲に耐え、21世紀にまで生き残り、
現代のOLさんたちに
「きゃーレトロですてき!」
「きゃーあの窓かわいい!」
等々ちやほやされていたはずなのですが……

あいにく、水戸に「県庁」として生まれてしまったわけです。
トマス・ピンコがただひとり、
「きゃーあの窓かわいい!」
とちやほやしているだけなのです。

ま。そんなかわいそうな由美かおるなのです。


旧茨城県庁の美女ポイントは南側ではないです。
東側もすごいです。美しいです。

例の正面玄関。
威風堂々の「ヤローテメー文句あっか?」的なファシスト玄関は西側なので、
その真裏にあたります。

たぶん、県庁の職員の通用口だとおもいます。



置塩さんのほんとに作りたかったのは
このおとなしい玄関なんじゃなかろうか?
などと勝手におもったりする。



はい。
こんな感じですわ。

色づかいのセンスが、なんか北欧っぽいんだよな。



白壁。
チョコレート色のモダンなドア。
黒タイル。
大理石。

この組み合わせがなんとも……


壁。凝り過ぎ!
美しすぎ!

トマス・ピンコくらいだよ、気づくのは。
わざわざ写真撮るのは。

はい。緑の……マットどかして撮るべきでした。
ここらへんがアマチュアカメラマンの限界でしょう。



この白いドアがたまらなく美しい。
北欧モダンの香り。
置塩さんの経歴がいまいちわからんのだが。
勝手に北欧モダン好きにしてしまっているが。

んー、そうか。

日があたる時間帯。
朝、午前中来るべきだな。
時計ご覧になるとおわかりのように、夕方なんですわ。


で、この美しい玄関ホールをくぐりぬけると――

出会うのがこんな壁だったりする。

おいおいおいおい……


美しすぎだろ。
1930年。
アブストラクトの時代でもあったわけです。

――どうです?
醜女だとおもってたら、じつはとんでもない美女でしょう??

その2につづく。

置塩章 旧茨城県庁(1930)感想 その2

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その2です。

旧茨城県庁は意外にもかっこいい!
という記事なのですが……

こういうのは一気に書かないといけませんね。
見に行ってから1か月たった今、

感激はそうとうに薄れている……

だが、必死にあの感動をおもいだしてみると――

中央階段がすさまじかった。というのがあります。

はい。こんなのです。
イバラキの田舎にこんなゴージャスな空間があるのです。はい。


とくに↓↓

赤丸で囲んだ部分がすさまじいとおもいました。

手すりの端っこの部分。



赤丸のところを
マクロプラナーで撮ってみる。

んーこのディテールの凝りっぷり、わかりますかねぇ??

壮絶な凝りようですよ。はい。

なめらかな曲線の処理。
隅から隅までデザインしているこの力量。

……といって、「頑張ってます」感がまったくない。
さりげなさ。

優雅な曲線。




というか、このパーツの名前がわからんので
どなたか教えていただきたい。

「ニセ手すり」
と、とりあえず呼んでおくか??

実用的な機能は一切ないわけです。この曲線パーツは。




凄腕の石工の仕事ではないか、とみましたよ。僕は。



実用的な機能はなにもない、と書きましたが、

じゃ、一体この「ニセ手すり」は何なのか?

というと、視覚的な機能……

空間を引き締める機能を担っている、と僕はみました。




つまり、ですね。
設計者、置塩君としては、

こういうやり方もあったはず、です。↓↓

凝りに凝ったパーツはとっぱらって、
直線のみで「ニセ手すり」を作る、というやり方が。

だって、誰もこんなところ見てませんもの。
マニアしか見ませんもの。
第一、コスト削減になりますもの。



でも置塩君は
この曲線が欲しかった。

メインの中央階段にはこの無意味で贅沢なパーツが欲しかった。



この「ニセ手すり」の重要性は……

他の……メインじゃない階段をみてみるとよくわかる気が。
(以下、2枚↓↓)

木の手すり。ニセじゃない手すりがついていますが、
これは置塩君のデザインではないでしょうね。
後世の追加でしょう。



はい。
明らかにメインの階段。
中央階段を差別化しようとしています。置塩君。




また中央階段にもどりましょう。



中央階段には「ニセ手すり」がある。
なんの意味もない、純装飾目的のパーツがある。



けれど、視覚的には心地よい。
この「うねうね」が気持ちいい。



そうそう。
ちょっとエッシャーじみているような気もします。


この照明も工業製品臭がまったくなくて……

いかにも手作り、で良かった。



「迷宮」みたいです。


えー、階段をほめ終わったので、
次は廊下もほめておこう。


旧社会主義国の映画をみると、

タルコフスキーの「鏡」とか
ワイダの「大理石の男」とか……

まっすぐでやたらと長い廊下が出てきて、
おそろしくなることがあるんですが……
(そう思いません??)

あのおっかない廊下がなぜか水戸にあります。

えー無人でこわいです。

もちろん天井のパイプ類は1930年代にはなかったでしょうが。



ちょっとおっかない雰囲気にいじってみる。
なんなんだろう、置塩君。

「北欧風、おしゃれ玄関」といい、
「意味なしゴージャスニセ手すり」といい、
この「ひたすら長い廊下」といい、

日本人離れしたセンスを感じます。

置塩章。
メジャー建築家じゃないんですが、
他の作品がすごく気になります。

んーー 実はものすごい建築家なのではあるまいか??

「天才」じゃないにしても「鬼才」みたいな??

ちょうど同時代の小栗虫太郎みたいな
そんな位置づけをしてみたくなります。



はい。
いいかげん眠くなってきましたので、
これで終わりにしときます。

自販機コーナーがめちゃくちゃゴージャスだった!!!!




はい。もちろん置塩君は「自販機コーナー」なんて想定してなかったでしょうが。

しかしなんだ、この石造りの豪華な空間は。



例によってマクロプラナーで床を接写してみます。

このブルーと白という色彩センスが
やっぱし置塩君のただならぬ実力を感じる。

ちょっとくたびれてますが↓↓

豪華ですよ。これは。




あ。
僕のブーツが写りこんでいますが。

旧茨城県庁の感想、以上です。


牛久シャトーの桜 その2

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異動で、憂鬱なトマス・ピンコであります。

仕事をしないことで名高い上司の下に配属。

まあ、通勤時間が短くなったことだけが救い。

どうしましょう??

ねえ、トトやん。





去年にひきつづき、牛久シャトーの桜をば。

遠くに出かける気などおきないので。

あ。でも……

去年は↓↓ こんな風に梱包されていた牛久シャトーが、





梱包がとれていました。

御花見シーズンにあわせて工事完了させたか。




建築的にはそうたいしたものではありません。

が、古いレンガ壁などの風合いなどはたまらんものがあります。

こればっかりは短時間で作れるものではないからな。



小さな頃から見慣れている建物ですが、
中に入ったことは一度もないので、
いつかは入ってみたいとおもいます。

まーしかし、明治・大正のいわゆる「西洋館」ってやつは――

たいがい中身はたいしたことないので……

はは。

たいしたことない、たいしたことない、と書きながら、
たくさん写真撮ってますが。




さくらみるには良いところだとおもいます。

ですが、「水」要素が欲しい。

ぜひ池を作っていただきたいとおもいます。





枝ぶりがおもしろかったので、

色鉛筆風にいじってみる。



桜というと……

最近見た 市川崑の「細雪」(1983)のオープニングが
京都の桜で

――四人姉妹が
岸恵子
佐久間良子
吉永小百合
古手川祐子

と――……

あまりにヤリすぎですさまじい映画でした。

美しすぎで胃もたれする、という。

美しすぎるのもほどがある、という。

まー原作もヤリすぎ小説だからな~
「美」の押し売りみたいな。



えーとくになにがいいたいわけでもないです。

のんびりしようとおもいます。

「モボ・モガの時代 東京1920年代」感想

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正式タイトルは
「anan+BRUTUS共同編集 モボ・モガの時代 東京の1920年代」
のようです。
定価950円
昭和58年9月20日発行。

――えー、ということは……1983年かな。

ただのぺらぺらの雑誌です。
「ムック」というようながっちりしたつくりではありません。

なので、一見ちゃちなのですが、

古本価格が、いくらだっけ?
3000円くらいだった。
ということは元の価格の3倍。

――ということは、
・中身が充実している。
・かつ、出回っている数が少ない。

ということを示すわけで、戦前日本好きのあなたは
はやいところ買っておいた方が無難でしょう。

いや、実際、僕は……

「anan+BRUTUS共同編集」
といういかにもチャラそうなところにひっかかって
購入に二の足を踏んだのですが、

これは買ってよかったです。






ポイントは1983年、というところだとおもう。
つまり、1920年代を肌で知っていた人たちが、
けっこう元気で生きていた、ということ。

インタビューは淀川長治先生(↓)
とか、吉行あぐりさんとか、

あと当時のSKDとか宝塚のスターのインタビューもある。

「わー、ヴァンホーテンのココア!」
と、14歳の淀川少年も大人も珍しがった時代である。

(平凡出版「モボ・モガの時代 東京1920年代」11ページより)

だそうな。




あと、三信ビルが現役だった。↓↓

というのがうらやましくてしょうがない。
僕がこのビルの存在を知ったのは、もう取り壊されたあとのことです。




映画ももちろんとりあげられています。

いわく
例えば小津安二郎、溝口健二といった監督のサイレント映画などは、今でも小ホールなどで上映される機会もあります。これらの映画が、20年代の映画を知る少ない接点になるわけです。
(同書115ページより)

1983年。
さっき書いたように、1920年代を知る人たちがまだ生きていたわけです。
が、一方で、
小津の初期作品をみるにはたまに上映される機会を待っているしかなかった。

いまだとDVDでいつでもみれるわけです。

「建築」「映画」ともに
自分としてはそこそこ専門分野ですので……

そういうオタクからみると、少々浅い感じがしますが、
もっと突っ込んだ描写が欲しい気もしますが、

まあ、「浅く広く」――全体的に1920年代を描写している点を買いたいとおもいます。


んー……
もちろんこれは1920年代に関する本なわけですが、

自分としては「1980年代とはどういう時代であったか」
というのもみえてきてひじょうに楽しい。

編集後記の文章がすさまじくて

エェーッと。とにかく、長い期間でした。初めて、1920年代にとりかかってから、はや7ヵ月。もう、どっぷり、頭のテッペンまで、20年代に浸かりきったという感じです。
(同書162ページより)

オメーふざけてんのか。
……今だったら許されんぞ。たぶん。

……

広告もおもしろくて、
「かるすぎるんだよ」
というおっとっとの広告はかっこいい。↓↓

「軽い」というのも80年代か。
そういや高橋源一郎先生がなにかで
イタロ・カルヴィーノのことを「軽ヴィーノ」と書いていたのを
読んだ記憶があります。




ひきつづき80年代広告ですが、
どうもこの雑誌でみるかぎり、

あからさまなエロが多いような気がします。

もうちょっと控えめにしてほしい。という感じの。

↓↓これなどは、ま、一見爽やかなんですが、

おねえさん、
わざわざこんな露出の多い格好をさせる必要があったのか?

あと、「自転車のサドル」という「男根的物体」

WE'RE OPEN と、それと「ドア」 というのはどうみても女性のア〇コを
思い浮かべますし、

あと、あと、自転車を漕ぐという行為はどうみてもセック〇の隠喩のようです。
靴を脱ぐ、という行為も、もう完全に「準備OK」という感じです。

エロすぎです。
とんでもないエロ広告です。
これは明らかに心理学をわかっていて作っています。
ある意味、頭がいい。


あと裏表紙がとんでもなくエロくて……
こんなの。↓↓

これはフロイトうんぬんではなく、
荻野目慶子嬢がエロすぎるという……


んーわたくしにとって
「荻野目慶子」というと、
・荻野目洋子のおねえさん。
・あと、たまにエロいおばさん役でドラマに出てた人。
その程度の認識しかなかったのだが、

若いころからエロかったのね。

ちなみにナショナルヘッドホンラジカセ。42800円の広告。
た、高い……
80年代、やっぱしみんな金持ちだったのか??

「買いかえます」と慶子は言った。こんなに小さくなって、凄いことをやる。

だそうです。

おもしろい本でした。

沖積舎「小栗虫太郎全作品」(全9巻)感想

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感想。

ようするに――
「大切なのはシステムだ」
などとおもいました。

キャラクターの魅力とか
誰も知らない分野に関する知識とか
サスペンスとか
考え抜かれたプロットとか
そんなのは実はどうでもよくて、
大切なのはシステム・仕組みだけだ、ということがようやくわかりました。

小栗虫太郎(1901~1946)
このように生年・没年を書いてしまうと――

わたくしなんぞはどうしても
小津安二郎(1903~1963)
おなじ1900年代生まれの彼のことを思ってしまいます。

かたや、
「システム」を捨て去って以降、駄作・珍作しか書けなくなった天才作家。

かたや、
頑固におのれの「システム・仕組み」を守りきり、
「僕はトウフ屋だからトウフしか作らない」
と言ってのけた映像作家。



全9巻なんですけど
1「紅殻駱駝の秘密」→つまらん。
2「完全犯罪」→最高。「青い鷺」大好き
3「黒死館殺人事件」→もう最高。どうにでもして。
4「二十世紀鉄仮面」→もう最高。小栗虫太郎あんたはトマス・ピンチョンのお師匠だったのか??
5「成吉思汗の後宮」→つまらん。
6「人外魔境」→もう、つまらん。
7「屍体七十五歩にて死す」→やけにつまらん。
8「航続海底二万哩」→つまらん。つまらん。あーなんでこんなの読んでんだろ。
9「成層圏魔城」→ああ、つまらんつまらん。やっと読み終わった。

おもしろいのは9巻中3巻だけ。

なぜこうなったか?
「黒死館殺人事件」を書いたあの男が、
なぜこの体たらくなのか?

――答えはたぶん、冒頭に述べました、「システム」にあるのだとおもいます。

ま。誰もがおわかりかとおもいます……「ヴァン・ダイン・システム」の採用です。

・ファイロ・ヴァンス(探偵)→法水麟太郎
・ジョン・F・X・マーカム(検事)→支倉検事
・アーネスト・ヒース(刑事)→熊城捜査局長

この三角形の採用です。
ま。このことは小栗自身が法水の口を借りてこのように書いてますが……

ヴァンダインは、如何に因数(ファクター)を決定する事が、切実な問題であるか教えているんだ。だからさ。何より差し当っての急務と云うのが、それだ。因数だ――さしずめその幾つかを、このモヤモヤした疑問の中から摘出するにあるんだよ
(沖積舎、小栗虫太郎全作品③「黒死館殺人事件」54ページより)

ところが、「黒死館殺人事件」のたった二年後、
「二十世紀鉄仮面」で、このヴァン・ダイン・システムをみずからぶっこわしてしまう。
冒頭のシーンが支倉、熊城との別れ、というのがすさまじい。

「いよいよ、二人を失って、この法水も、街頭に立たねばならぬか。もともと私立探偵は、公けの機関で認められているものではない。この二人がいたからこそ、これまで司法権と、腐れ縁を続けて来たのだ」
(沖積舎、小栗虫太郎全作品④「二十世紀鉄仮面」11ページより)

「それでは、此処で別れることにしよう。お名残惜しいが、公式に君たちと手をつなぐのも、今夜限りだよ」
(同書12ページより)

そして……二人と別れた法水の前にあらわれるのが……

 最初の三字は、どうやら、VANとも判読出来るが、さて、終りのWには、一体何の意味があるのであろうか。
「フウム、VANWか」

(同書14ページより)

「ヴァン・ダイン」のVAN であるのは興味深いところです。
(作中ではファン・ワルドウ号という船につながるので、もちろんヴァン・ダインとは関係ないのですが……)



で、「二十世紀鉄仮面」でヴァン・ダイン・システムを
放棄して以降、
小栗虫太郎はダメダメになっていく。
その過程がこの全集を読むとほんとによくわかります。

「システム」なしの情報の羅列。
ほんとつまらない。

ではなぜ大切な「システム」を捨てたのか?

――さあ、わかりません。

推測するに……
①所詮アメリカの作家の借り物のシステムにすぎんじゃないか、とイヤになった。
②とにかく家族を養っていかなきゃならんので、(あと、いろいろ遊びたいし)作品の質とかどうでもよくなってしまった。
③システムの重要性を理解していなかった。

④として、時節柄、探偵小説が書けなくなってきた。
というのを当然思い浮かべるところですが……

だったら横溝正史はどうなんだ? というところです。
戦後「本陣殺人事件」で華々しく「金田一耕助」をデビューさせた
横溝正史(1902~1981)は、
やっぱり1900年代生まれだったりする。
(小栗に比べると失礼ながら格下のような気もしますけど……)

④は言い訳にすぎんとおもいますよ。はい。



僕なりにおもうことは……
たぶん、ですけど、
小栗虫太郎、自分のヴァン・ダイン・システムの独創性に
気づいてなかったのかもしれない。

んーというか、「小栗・システム」というべきか?

「ヴァン・ダイン・システム」は上記のように……

・ファイロ・ヴァンス(探偵)
・ジョン・F・X・マーカム(検事)
・アーネスト・ヒース(刑事)

この三角形なんですわ。

ところが、「小栗システム」は……「黒死館殺人事件」で明らかなように
・法水麟太郎(探偵)
・支倉検事
・熊城捜査局長

・紙谷伸子(美しき殺人者」

この四角形なのです。

あるいは「聖アレキセイ寺院の惨劇」であれば
最後の一項目は
・ジナイーダ(美しき殺人者)
となるし、
「潜航艇「鷹の城」」であれば、
・ウルリーケ&朝枝
となる。
とにかく四角形です。

ヴァン・ダインにおいて、女性キャラはなるほど登場しますけど、
「グリーン家」のアダにしろ、
「僧正」のベルにしろ、
やっぱし影が薄い。
(というか、ファイロ・ヴァンスってホモっぽくないか?)

「黒死館」の伸子のように――
もう私には、自分が犯人でないと主張するのが厭になりました
(沖積舎、小栗虫太郎全作品③「黒死館殺人事件」187ページより)

こんな魅力的なセリフはヴァン・ダインのヒロインたちには
無縁なわけです。

さらにいうと、「黒死館殺人事件」全体が
法水麟太郎と紙谷伸子の恋愛物語とも読めるわけで……

――あーなにが言いたいんだろうか?

ようするに小栗虫太郎君には
小津安二郎のようにシステム・スタイルを大切にして書いてもらいたかった。
あと、3,4作は「黒死館」レベルの作品が生みだせたはず。
などとおもうのであります。

トトやんのすべて その73

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久しぶりにトトやんの写真をのせます。

あいかわらずクルマの上が好きです。


トトやんの視線の先には――


くろがいます。
くろ、最近痩せてきました。
あと、色が茶色っぽくなってきました。

クロネコってやはり年とると色が変わるのか??


トトやんはあいかわらずぷくぷくしていますが。


というか……
マクロプラナー素晴らしすぎる。

これははやく買うべきだった。
(えー 正式名称 MAKRO-PLANAR T* 2/50mm ZF.2 カールツァイスのレンズです)

というか、ギリギリ生産終了前に買えてよかった。


この記事の写真、全部マクロプラナーですが、

背景のボケ具合がたまらんとおもう。

フツーの民家のフツーの駐車場ですが、
なんかおしゃれに撮れた気がする。
(自画自賛)

とうぜんマクロなので、
↓↓近寄れますしね。



絞りの設定を開放寄りにしとけば、(F2~F2.8ぐらい)
まあ、間違いはない、という感じ。

ピント合わせが(マニュアル)若干大変ですが、
さいきんのカメラは
フォーカスエイドなる機能もあるわけなので、それほど苦労はしない。



逆に
F8前後に絞れば――

細部までシャープに写してくれるし……

日比谷公園の首賭けイチョウを撮ってみました。↓↓

これはF7.1


最近は、
望遠ズームも、広角ズームも
あまり活躍の機会がありません。

なんだか最後はカメラ(レンズ)の話題になりましたが。

市川崑「金田一耕助の事件匣」 感想

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石坂浩二主演の金田一シリーズ、
DVDのBOXセットです。

自分が契約している
「日本映画専門チャンネル」というやつで
「市川崑特集」というのをやってまして、

で、「犬神家の一族」「女王蜂」
これは録画して見たんですけど、他のは見逃しまして――

で、気になって仕方ないので、購入にいたりました。



「悪魔の手毬唄」「獄門島」「女王蜂」「病院坂の首縊りの家」
+特典ディスク

なので、「犬神家」は入っていないです。

ジャケットはこんな……↓↓
えー、安っぽいな……

なんかエロビデオみたいなレベルだ……


ついでに??
横溝正史の原作も読みました。
(病院坂はまだです)

で、「映画」と「文学」の違いとかいろいろおもったりしたので、
そのことなど、書いていこうとおもいます。

はじめに書いておきますと――

小生、
「日本映画の絶頂期は1930年代である」
「探偵小説の絶頂期もやっぱり1930年代である」
などとおもっていますので、

そこから時期が外れている市川崑、そして横溝の金田一モノは、
「一流」
ではないとおもっています。

二流、ではないにしても、
1.5流くらい? かな??

いや……でも、楽しい体験でした。




以下、感想をば。

①横溝正史=市川崑=近親相姦モノ

市川崑の金田一モノ、というと、
金田一耕助(石坂浩二)にはじめて原作通りの格好をさせた――

原作に忠実な金田一モノ、
というのが、ま、よくいわれることですけど。

でもそれ以上に気になるのは……
横溝、市川崑、この二人がそろって「近親相姦モノ」の作者だということです。

横溝=近親相姦はわかりやすい。
「悪魔の手毬唄」
は、近親相姦の禁忌をめぐって殺人がおこり、

「悪魔が来たりて笛を吹く」
は、兄妹の近親相姦から生じた悲劇の物語、です。

でも市川崑もそうなんですよね。
「おとうと」
――岸恵子と川口浩のラブラブ姉弟。

「太平洋ひとりぼっち」
――石原裕次郎と浅丘ルリ子のラブラブ兄妹。

横溝も市川も、そろって男女の正常な愛は描けない。(描かない?)
あたたかい感情が通い合うのは家族の間だけ。

で、このBOXセットもやっぱりそうで、

この世界には
母=娘パターンのラブシーンがあるだけです。

「病院坂」の佐久間良子と桜田淳子ですが、


完全にラブシーンです。

横溝=市川の世界において
男―女は暴力的に結びつくか、すれ違うか、しか、ないわけです。
(上に述べたように兄妹、姉弟のみが例外である)

(――んーというか、「細雪」の古手川祐子とか、
市川崑が若い女優さんに青いセーターを着せたがる理由はなんなのだろう??)



「手毬唄」の岸恵子&仁科明子も
疑似・母娘みたいな感じでしょうか。

殺人者&被害者の要素もあり、ラブシーン要素もある。



そして「獄門島」の
司葉子&大原麗子

母娘ラブラブシーン。



で、「女王蜂」
岸恵子&中井貴惠

疑似・母娘ラブシーン。



セリフもたしか
「どうして急にいなくなったりしたの?」
「どうして九十九(つくも)のところに行ったりしたんです?」

とかいってますので、ラブシーンしてます。



②横溝正史≠市川崑

市川崑が
横溝作品のどこを削って、どこを改変して
映像作品に変えていったか?

それをこまかくみていくと、いろいろ勉強になりそうですが、
ちとキリがなくなりそうなので一点だけ。

「獄門島」の、
金田一と鬼頭千万太との関係です。

「獄門島」はこの千万太の遺言をめぐって動くはなしなのですが、

原作は、金田一と鬼頭千万太は「戦友」で、
千万太の死を看取り、
千万太の遺言を直接金田一が聞いています。

ところが……
市川版「獄門島」は、
金田一と千万太の関係が間接的になっています。
名前は忘れちゃったんですが、
なんとかいう男から聞いた話、ということになっている。


わたくし、
横溝の原作を読んでから、市川作品をみたので、
この点、がっかりしたのですが……

BOXの特典ディスクをみて、市川崑の意図はわかりました。

市川崑にとって
「金田一耕助=神」
の構図があるようです。

つまり、「神」である人が、
徴兵されて、戦場に行って、戦友の死を看取る、
……これはおかしい、という意味での改変だったのでしょう。

まとめると、
横溝・金田一=俗人
 パトロンがいて、住む場所も決まっていて、学歴も明らかである。
 そして軍隊経験もある。
市川・金田一=神
 どこに住んでいるかわからない。経歴不明。
 ただし、探偵料・諸経費はきちんと依頼人からもらう。

このあたりに「文学」と「映画」の差がありそうです。

③小津リスペクト

市川崑が小津安二郎をどうおもっていたのか?
評価していたのか?
そのあたりよくわからんのですが、

こうも立て続けに小津作品のヒロインを殺人者にするというのは??

・高峰三枝子(「戸田家の兄妹」)


↓↓ はい、もちろん「犬神家」の殺人者です。

(この画像は「女王蜂」からとりました)


・岸恵子(「早春」)


↓↓

「悪魔の手毬唄」の殺人者。


・司葉子(「秋日和」「小早川家の秋」)


↓↓
「獄門島」の殺人者


んー、以上。
ですね。

「それは単に小津がヒロインに使った女優が、市川崑の金田一モノの時代にちょうど脂ののった大女優になっていた、それだけのことじゃないの?」

ともおもえますが、

・佐分利信(「戸田家の兄妹」以降、小津作品の常連)


↓↓
「獄門島」の殺人者。


さらに……
「秋日和」で共演した 司葉子と一緒に死ぬ……


そして、そして、

・佐田啓二(小津安二郎と親子のような関係があった男)


↓↓

・中井貴惠(佐田啓二の長女。小津安二郎が孫のようにかわいがっていた)

を「女王蜂」のヒロインに起用する――……


となると、もう完全「小津リスペクト」としかおもえない。

しかし、こう並べてみると、お父さんに似てるな~
中井貴一はそれほどでもないが。

④大原麗子&坂口良子

感想これで最後ですが……

大原麗子、坂口良子、
どっちも、

「名前はきいたことがある」程度の認識しかなかったのですが、



うわー、こんなきれいな女優さんがいたのか……
と知りました。

坂口良子、かわいい。
というか、


この子のやってる床屋さんならぜったいに行きたいよな。

「いつもお客さんがいない」という設定、
説得力ゼロ……















エッティンガー(ETTINGER) ダブルペンケース

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またもやエッティンガー。
またもや浪費です。

エッティンガー銀座店で、
かっこいいペンケースを買ったので、見せびらかします。

――というのは、
モンブランのシャープペン&ボールペンを長年愛用しているのですが、

モンブラン純正の
ペンケースが完全にヘタってきてしまっておりまして……

底の方 穴があいているわ
なんかカビだか汚れだかわからんが黒ずんでいるし ↓↓


そんな中、エッティンガーのHPみたら、
ダブルペンケース入荷とある。
画像をみたらかっこいいではないか。

電話でうかがうと、入荷数そんなに多くないからお早めに、といわれる。

はい。で、お店でみて、即購入となった次第。




正式名称は「OH189 ダブルペンケース」というものだそうです。
色は、
黒、茶色、ネイビーブルー、グリーン
が、ありました。

どれもキレイでしたが、精悍なブラックに一目ぼれしました。

マーストン(ブリーフケース)は、茶色を購入したわたくし。
茶色好きなので
お店に行く前は「茶色」がいいかな、と思っていたんですが、

じっさいお店でみてみると、
マーストンの「ダークハバナ」よりも
赤みが強い茶色……
いわゆる「赤茶色」で、
ちょいとイメージしてた色と違いました。

やはり実物をみるのがいいようです。


ペンを差してみたところ↑↑

あつらえたようにぴったりでした。

――逆に言いますと、
万年筆とかは入らないとおもいます。



愛用のペンが入るかどうか?
これはさすがに通販ではわからんので、
実物をみて買った方がよさそうです。



例によって、まったく装飾要素がない。
だから好きさ、エッティンガー。

素材は表がブライドルレザーで、
裏はスエードです。


意味もなくマーストンの上においてみる。
ブライドルレザーの輝きがたまらんです。

マーストンですが、購入後、月三~四回ペースで磨いてます……
ペンケースも、たぶん、そうなるでしょうな。

両者おんなし「ブライドルレザー」ですが、
なんとなく触感が違う感じがします。

僕のあくまで想像ですが……

かばん用には硬めの革
ペンケース、財布用には柔らかめの革
というように使い分けているんじゃなかろうかとおもわれます。


さいごに――

正直、ただのケースですので……
ただの「いれもの」ですので……

「見る人がみればわかる」というような地味なものだし……

そんなモノにけっこうなお金を払うことに、ちょっとためらいはあったのですが、

「そういや、昔のサムライは刀の鞘だの柄だのに凝ったものだよな」
とかおもってみたり、

あと、クロサワの「椿三十郎」の
「いい刀はみんな鞘に入ってるもんだぜ」
(不正確ですが、たしかそんなセリフ)
とかをおもいだしたりして、

うん。

ようやく愛用のモンブランにぴったりの「鞘」をみつけた。

とおもっております。

上野動物園のレッサーパンダ その1

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この暑い中、
上野動物園へ行きまして――




ジャイアントパンダ

を見まして――





ケープペンギンも見まして――



ガラパゴスゾウガメも見まして――



ハシビロコウも見まして――


異国のおねえさんも見まして――



……まあ、いろいろ見たのですが、

とくに面白くもなく――

やはりインテリが動物園なんぞで得るものはなにもない。

とおもい、帰りかけたのですが……

「いそっぷ橋」
という、ちょっと渡るのに体力がいる橋の(勾配がきつくないか?)

隙間に……

非常にわかりにくい場所に……

わざとわかりづらい場所に(?)……


なんだ、おまえは!!――




おっそろしくかわいい動物を発見!!



これがわたくしとレッサーパンダとの出会いでありました。

帰宅してから調べて分かったのですが、
写真はアンアンちゃん、という子です。女の子です。

以下レッサーパンダ画像をひたすら貼っていきます。



あーこっち見とる見とる。

うんちがきちんと揃っているあたり、
几帳面な生きものではあるまいかとおもいました。

ジャイアントパンダのうんちは臭くないというはなしですが、
この子のはどうなのか???


表情が豊か、というのも――

写真撮っていておもしろい。

(というか、あとあとわかるのだが、アンアンちゃんがそういう性格らしい)


水、というかミストをブワーッとかけていました。↓↓

レッサーパンダ、もともと高地の生きもので
暑さには弱いらしいです。

右上に、カメラのレンズが写りこんでいますが、↓↓
この人は柵の隙間から撮っているようです。

レッサーパンダのおうちのまわりは透明アクリル板で囲んであるのですが、
黄ばんでいて(わざとなのか? どうなのか?)
すこぶる見にくい。
撮影しにくい。

それで隙間から撮るという手段をとっている人が多いようです。

動物園側の意図としては

上からみろ!
写真撮影も上から!


ということのようです。
おそらく……

まーしかし、
僕も上からの撮影は飽きたので、
マネをして、下へ……



で、アクリル板越しに撮ったのがこれ↓↓

案の定、ぼやけてます。

ほかの方のブログなど拝見しますと、
「ピントが合わせずらい」
などという話もありますが、

絞りを開放近くにセットしておくと(被写界深度を浅くする)
そういう問題は起らないのではないか?

少なくとも僕はピントの問題は感じませんでした。
すいすいオートフォーカスが作動しました。

(コンデジの場合は「絞り」とかどうなってるのか、よく知りません)


あと、現像処理でどうにか乗り切るより他ないでしょう。

コントラストを強めにすると、↓↓

アンアンちゃんがきれいにうかびあがってきます。



しかし、見づらい……


写真はあとで処理できるからいいけど↓↓

じっさいに肉眼で見えにくいというのは欲求不満です。



そうそう。

ずっと見ていると……

あれ?
なんか違う子がいる??



この子が黄太郎くん、だそうです。男の子。

あとで調べたところ、
どうも雄雌ペアで飼うというのが主流(?)のようです。

黄太郎くん、
どうもずっと寝ていて、
夕方になって起きだしてきたようです。

まぶしい……↓↓




アンアンちゃんに比べて、
無表情ですが、

お客にサービスしてくれませんが……

なんかこのマジメくさったところがかわいいです。

――というか、まったく予備知識なしで動物園に来て、
で、
3、40分かそこらみていて……

そんなレベルのレッサーパンダ初心者が

・アンアンちゃん→おてんば。愛敬がある。活発。舌を出してます。
・黄太郎くん→まじめ。ちと神経質。ぐうたら。

などと簡単に性格が見分けられる。

なんだこのわかりやすい動物は!?
どこまで個性豊かなのか!?




んー この感動を
なんか、うまく書けないんですけど。

(以下、ふたたびアンアンちゃんの写真。やはり写真写りがいい)



レッサーパンダにはまってしまいそうな予感がしております。



クマみたいな、
ネコみたいな、
イヌみたいな、
アライグマみたいな……

なんかよくわからんところといい。




さっき書いたように
それぞれキャラが立っているところといい、



とてもおもしろそうな予感がします。

レッサーパンダ目当てで
いろいろ動物園をみてみようかと考えております。

ざざっと調べて感じでは、
上野はやっぱりとくに見づらいようです。
(それはそれで動物のためをおもっての処置なのでしょう)



いやーー
しかし、上野いくたびに見に行ってしまいそうだな。

アンアンちゃん、黄太郎くん。

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