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大倉陶園・黒猫親子 聖パウロカトリック教会(アントニン・レーモンド・1935) 白糸の滝

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10月の軽井沢旅行の記事をえんえん書いております……

今回は雑多な内容です。

 

□□□□□□□□

わたくし、

旅行に行くと、まず 母へのお土産を買おうとするので

T子さんに

 

マザコン マザコン

などと毎回罵られているのですが。

 

↑↑母に、この暴れ者の世話をお願いしなければならないので、

仕方ありません。

 

今回のおみやげは 旧軽銀座の大倉陶園アウトレットで

以下の品々を購入↓↓

 

けっこう気に入ってもらえたのでよかったです。

(まあ、猫グッズを買っておけばまちがいないのである)

 

レシートを見ると

「豆皿 黒猫親子Ⅱ 金魚」

「黒猫親子Ⅱ 小槌マグ」

などと書いてあります。

 

豆皿は こんな感じで柄がかわいいので↓↓

もう2,3枚余計に買ってくればよかったとおもってます。

(パルミジャニーノ的でもあるな。デザインした人すごいですね)

 

マグカップは軽くて使いやすかった。

 

帰宅後、

「はて、正規品はいくらぐらいするのか?」

とおもい、調べてみたところ、

アウトレットの2倍の値段で ゾッとしました(笑)……

 

すごいな、大倉……

 

しかし、「アウトレット」とはいえ、

どこか欠けてるとか 傷ついているとか……

目に見える欠陥はどこにもないので

(たぶんシロートにはよくわからんレベルの違いなのでは??)

半額で買えてよかったとおもっております。

 

□□□□□□□□

1日目。万平ホテルのアルプス館にチェックイン後。

まず出かけたのは

アントニン・レーモンド先生の 聖パウロカトリック教会。

 

けっこうあれですね、アジア系の外国人観光客の姿が目立ちました。

 

で、彼ら、建物のまわりを所在なげにうろうろしていたのですが、

僕とT子さんが遠慮なく ずかずか建物の内部に入ると (われわれは献金しました)

その真似をして 建物の内部におずおず入ってきました。

(もちろん教会なので 誰が入ってもよろしい)

 

やはり 「教会を見よう」とか考えるような人たちは 奥ゆかしい性格のようです。

 

↑↓内部の様子。

 

んー どうなんだろう。

スゲー! 圧倒される!

というのは、ない。

 

まあ、サイズがあまりに違いますが、

丹下先生の 東京カテドラル聖マリア大聖堂みたいな

茫然としちゃうような圧倒的な空間というのは、ここにはない。

 

ただ、そんなものが必要な建築なのだろうか?

いや、そんなことはまったくない。

 

X形のトラス構造 とでもいうのか?

 

木材を「生」のまま、 ざっくりと荒々しく仕上げております。

なにか参考にしたものとか、あるのかな?

 

レーモンド先生、たしか コンクリート打ち放しをやったのもすごくはやかったよね。

 

圧倒的な空間というのはここにはない。などと書きましたが、

つまり、

この教会は 毎週毎週 教会に通う人たちにむけて作られている、ということなのでしょう。

 

信者さんには 圧倒的な空間なんてもの必要はないわけで――

 

でも、カトリック教会にしてはさっぱりしすぎてるような気もするな。

 

この青いプレートはかっこいいな、とおもいました↓↓

 

レーモンドとはなにも関係がないですが。

 

「写真」的には

これが気に入ってます↓↓

 

左隅の木は入らないようにすればよかったか……

 

こう、背後に回ってみると……

 

奇妙な「のりもの」というか、

「宇宙船」というか、

 

……メカニカルな印象です。

 

下の部分は鉄筋コンクリート造なのね。

ちょっとわたくしには理解できないほど複雑な構造。

 

構造がどうなっているのかを確認しに、

もう一度じっくり見に行きたくなった。

 

裏側は木製の壁のようにみえるが……

入口側コンクリート壁の部分との境目はどうなっているのか??

なんだかさっぱりわからない。

 

荒々しい仕上げの木材と つるつるのコンクリート部分との対比が美しい。

 

以上。聖パウロカトリック教会でした。

このあと、沢屋さんへ寄って ジャムとかジュースとかを買いまして、

万平ホテルに戻りました。

 

□□□□□□□□

2日目。

三笠ホテルのあとは 白糸の滝へ。

 

駐車場から歩いて……5分かそこらだったとおもいます。

 

リスの案内板。

 

この絵のタッチは、

僕に 瀧原宮の近くで見た案内板を思い出させました↓↓

 

伊勢神宮行ったのって、もう3年前か……

 

70年代か80年代かわからないけど、

この絵のタッチの

なにか図案集とかイラスト集とかがあったのかな? とかおもったりする。

 

まあ、いいや。

白糸の滝はこんなでした。

 

人工、ですよね。

 

 

 

まあ、きれいでしたが、

軽井沢来たら 絶対にみるべき‼ とかいうものでもないです。

 

三笠ホテルに行くのなら、ついでに見に行ったほうがいいかな。

という程度です。

 

ただ、ライトアップとかやってるみたいなので

その時期はいいかもね。

 

近くにリスの置き物があったので

(ここはひたすらリス推しですな)

 

「リスちゃんが滝をみています」風に撮ってみる。

 

 

 

はい。以上。

 

軽井沢旅行の記事はまだ続くんですが……


万平ホテル その4 ウスイ館書斎タイプ・351号室

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10月おわりの軽井沢旅行の記事です。はい。

大雨の中 旧三笠ホテル 白糸の滝を見物しまして

ホテルに帰ってきました。

 

で、ホテル内の熊魚庵さんで

天せいろをいただく。

 

こんなでした。

 

つづいてカフェテラスで 名高いロイヤルミルクティーをいただこうと思ったのですが、

満員で 5分か10分か ロビーで待つことに。

 

そのあいだ シグマの魚眼で撮ってみたのが以下のような感じです↓↓

 

 

 

 

カフェテラスに案内されました。

 

10月24日 大雨。

翌日は豪雨。

 

紅葉もまだまだ先ですね。

つくづくタイミングが悪い旅行でした。

 

中の様子。

 

ロイヤルミルクティーですが、

 

まあ、なんといっても、「ジョン・レノン伝説」のせいで

大げさに語られたり、書かれたりしているのだろう。ははは。

日本人はガイジンスターに弱いね。いやーね。

 

――などとおもってあまり期待していなかったのですが、

 

これがものすごくうまいでやんの(笑)

 

ぜひこれはまた飲みたいものです。

 

あと、右側に写っております↓↓

ジンジャーエールもおいしかった。

(山のホテルのアレほどではないが)

 

たしか正式名称は「ジンジャージュース」とかいったかな??

「ジンジャーエール」という名前ではなかったです。

 

アップルパイです↓↓

 

エスプレッソ……の 飲みかけです↓↓

 

しかしこの旅行に限らず 今年は雨ばっかり降っていた印象ありますな~

 

で、雨降りですので さっさとチェックイン

お部屋でのんびりしましょうということに 当然なります。

 

2泊めは タイトルに書きました通り

ウスイ館の書斎タイプというお部屋。

 

これはすばらしかったです。

 

この部屋に入るなり

T子さんに 「でかした!」と褒められました(笑)

 

万平ホテルにまた泊まるとしたら――

自分なら ウスイ館ですね~

 

アルプス館は一度体験したから もういいや。

 

「書斎」というから

立派なデスクが。

 

 

 

ここで二人で座って

もってきた映画のDVD(ヒッチコックの裏窓)をみましたっけ。

 

せっかく立派なデスクがあったのだから

なにか読んだり、書いたりすればよかった、とかおもいますが――

 

なにもしませんでした。

 

窓から紅葉が楽しめました。

 

 

 

ベッドの様子。

くっつけてダブルのようにもできますし、離すこともできます。

 

「水曜どうでしょう」のヨーロッパ編のホテルによくでてくるようなやつです(笑)

 

アルプス館同様、マニフレックス社製マットレス。

寝心地最高。

 

T子さん 「これを職場に設置しよう(笑)」などといってましたが、

本気でやりかねないので怖いです。

 

あと アルプス館の猫足バスタブに うんざりしていたので(失礼‼)

 

バスルームには感激。

 

そうそう これですよ。

床暖房で タイルがあったかかかった。

 

シャワーブースにお目にかかったのは

ホテルニューグランドのスイート以来だな。

 

そうそうバスタブはこうでなくちゃ。

 

トイレの様子。

きちんと曇りガラスで仕切られてます。

 

これなんですが↓↓

 

イナカものは はじめて目にしたのですが……

 

タオルを乾かす&暖房装置

んー なんかかっこいいな。

 

ぐっすり眠りまして

翌日の朝 撮った写真↓↓

 

 

 

 

まだ続きそうですね~ 軽井沢旅行の記事。

年内に終わるのかな??

万平ホテル その5 夕食(萬山楼)・朝食・史料室

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万平ホテルの記事はこれで最後。

 

まずは2日目の夕食。メインダイニングです。

お客さんがまばら……

ほんとに数えるほどで寂しい限り。

 

旅行中は雨続きでうんざりしていたのですが、

今から振り返ってみると お客さんスカスカの万平ホテルという

珍しい経験をしたのかもしれません。

 

中庭側の席は空っぽ

(1日目はこっち側で食事をした。1日目のほうがまだお客さんが多かった)

 

折り上げ格天井のディテール。

 

木材はなにを使っているのですかね? ケヤキ?

 

夕食は中華を選びました。

 

万平ホテルのHPをみると 「萬山楼」の紹介画像は

このメインダイニングではないので――

(萬山楼は萬山楼で別に場所がある??)

 

お客さんの数が少ないので 「洋食」「中華」一緒に メインダイニングで提供することにしたのかもしれません。

そのあたりの事情はよくわからないです。

あるいは万平ホテルのHPのミスかもしれないです。

 

ご飯の紹介。

メニューカードによると

「鳳凰」というコースらしいです。

 

まず。

季節の前菜盛り合わせ

 

五目フカヒレスープ

秋のキノコとともに

 

上品な味でした。

 

海老と烏賊のクルミ醬炒め

 

海老が大きくてプリプリしてました‼

 

国産牛肉の四川ピリ辛炒め

 

すごいお皿ですね。

何度書いてますが、野菜がとてもおいしかったです。

 

鮭とイクラのチャーハン

 

チャーハンというと 勝手ながら野蛮で男っぽいイメージがありましたが、

なんとまあ繊細な味のチャーハンでした。

 

たぶん……ジャスミンティーだったとおもいます。

 

デザートは2種類。

フルーツ杏仁

 

シャインマスカット等々のっています。

 

金属の器の下部分。

氷水でもはいっているのか?

とかおもったのですが、開けたら空っぽでした。

 

ココナッツまんじゅうとカスタード。

 

以上で夕食おわり。

 

ウスイ館の廊下の様子。

 

アルプス館の 良くも悪くも古い雰囲気とはまったく違います。

 

アルプス館は床がギシギシきしむ感じがありましたが、

こっちはまったくそんなことがない。

 

壁に 昔のポスター等が飾られていました。

 

 

 

一晩明けまして 3日目の朝。

朝食は「アメリカン・ブレックファスト」

 

のみものは

オレンジジュース・グレープフルーツジュース・りんごジュース・ももジュース

から選べます。

 

僕はりんご T子さんは ももだったとおもいます。

 

スモールサラダと フルーツ入りヨーグルト

 

ジャムはなんか変わってて

というか、いかにも万平ホテルというチョイスという気がしたのだが

 

・グーズベリージャム

・信州りんごジャム

・つるこけももジャム

この3種。

 

プレーンオムレツ&ソーセージ↓↓

 

ボイルドエッグ・フライドエッグ・スクランブルエッグ・プレーンオムレツ 卵料理はこのどれか。

あと ハム・ベーコン・ソーセージ のどれか付け合わせをチョイスします。

 

パンは3種類 んーおいしかった。

 

食後のコーヒー

 

これはですね。

史料室の脇のスペース。

 

右側に喫煙所。

左側に 吉永小百合のJRのポスターが飾られてます。

大人の休日俱楽部とかいうので 万平ホテルが舞台のもの。

 

手前側にトイレと史料室があります。

 

史料室にお邪魔します。

 

トマス・ピンコの嫌いな(笑) 猫足のバスタブ

 

右側はなんでしょうね?

食い逃げ犯をつかまえておく檻でしょうか(笑)

 

ステンドグラス

 

明治村にも飾られている、というから、

帝国ホテル見に行った時に見ているのかもしれない。

 

ジョン・レノンが弾いたとか 欲しがったとかいう伝説のピアノ。

 

 

 

 

 

 

万平ホテルをチェックアウト。

そのあと、原広司設計の田崎美術館へ行きました。

 

それは次回ご紹介。

ようやく軽井沢旅行の記事が終わりそうです(笑)

田崎美術館(原広司・1986・軽井沢町)は建築ファンにおすすめ‼

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軽井沢旅行の最終日、

万平ホテルをチェックアウト後 田崎美術館を見学して、帰りました。

 

――10月25日 豪雨の中 帰りました。

 

□□□□□□□□

 

世の中は 建築ファンにはあまりやさしくなくて――

「撮影可」という建築は 案外に少なかったりする。

 

ひどい例になると 建物の周辺をカメラを持ってうろうろしていただけで

「チミチミ、許可はとっているのかね?」

とか警備員がすっとんでくる例まであったりする。

(個人の家ならわかるけど、公共の建物でそういうことがあったりした)

 

当ブログ。

ここのところホテルばっかり紹介していたりするが、

それは……

ホテル=カメラを持ってうろうろしていても誰も文句をいわない建築物。

ということもあったりします。

 

もとい、田崎美術館なんですが――

ここは建築ファンへの扱いがすばらしかったです‼

 

↓↓建物外観の写真はほとんどなし。

 

ガラスにちらっとビニール傘が映りこんでいるが、

T子さんに傘をさしかけてもらって撮りました。

 

入口でチケットを買いまして

建物の写真を撮ってよろしいですか?

ときくと

 

↓↓このような許可証をもらえて

 

「作品を撮らなければけっこうです」といわれました。

 

以下、撮った写真を載せていきます。

 

初めに書いておきますが、

この美術館の主役の 田崎廣助にはほとんど触れません。

 

建築の事だけ書きます。

 

原広司というと 京都駅(1997)なわけで、

というか、原作品というと 京都駅しかみたことがない(笑)ので

 

比較対象は京都駅にどうしてもなっちゃいます。

 

さっそく比較……というか、似たところを探すと

 

「建物内部に小宇宙が広がっている」

というのは似ているかな、とおもいました。

 

ひたすら美しい中庭でした。

 

安藤忠雄とかだと まんなかにかっこいい池を作っちゃったりしそうですが(笑)

 

芝生と、木が生えているだけ、

というのは奥ゆかしいです。

 

枯山水みたいなものでしょうか。

 

……ギザギザのガラス面と

もくもくの屋根の曲線

 

この対比はなんなんですかね?

 

田崎廣助先生というと

「角ばった山&もくもく雲」

そんな絵ばかり描いた人 なので

(じっさいそんな絵ばかり飾ってありましたぞ)

 

田崎先生の世界をあらわしたのかもしれない……などとおもったりする。

 

磯崎新の「モンローカーブ」みたいな色っぽい由来があればおもしろいが、

たぶん、そういうエピソードはなさそうだな。

 

でも ギザギザももくもくもみていておもしろかったです。

リズム感が心地いいのかな。

 

施工はたいへんでしょうが。

 

竣工から30年ばかし経つわけですが

とてもキレイでした。

 

外壁のタイルの一二枚剥がれていてもいいようなものですが、

そういうのは見当たりませんでした。

 

おカネがあるんですかねぇ。

 

渡り廊下を魚眼で撮ります。

 

構造部材のコンクリート円柱が ガラス越しにみえるというのもいいですね。

 

これまた心地いいリズムを感じます。

 

こういう鋭角なディテールって珍しいな。

 

おっそろしく凝った天井。

 

京都駅を 大江健三郎が「航空母艦」にたとえた文章、だったか対談だったかを読んだ記憶があるが、

んー

田崎美術館も航空母艦的なものを感じますな。

 

円柱がぼんぼん立って――

というのは、ジュゼッペ・テラーニの ダンテウムを思い出したりもするわけですが。

 

階段。

 

 

 

階段自体を 見せる、というか 鑑賞させるというか

 

京都駅の大階段の萌芽をここにみるべきなのでしょうかね?

 

とにかく凝りに凝った構造。

どなたか説明してください。

 

建物内部にも もくもく屋根が繰り返されるわけです↓↓

 

ちなみにもくもく屋根の下はトイレとエントランス部分になります。たしか。

 

展示室の様子↓↓

 

「正方形」というのがいかにもポストモダンという感じ。

 

エントランス附近。

 

奥に進むとカフェがあります。

 

ふたたび渡り廊下。

 

渡り廊下から撮った写真。

 

ところどころガラスに「装飾」がある というのも

ポストモダンな感じ。

 

これが京都駅のアート広告(リキテンスタインとか)

に繋がっていくのでしょうか。

 

どこからどこまでも凝りに凝ってます。

 

一番落ち着くのはこのポイントですかね↓↓

 

一番いい位置にソファが置いてあるわけだ。

 

カフェに入ります。

 

カフェの様子。

 

 

 

ガラスの装飾。

 

割ったら大変ですな。

 

いやあ、しかし ほんといい建築でした。

 

季節季節でたぶん表情は全然変わるでしょうねぇ。

次は晴れた日に来たいな。

 

 

 

美しい中庭を眺めながら

レモネード。

 

T子さんは紅茶。

 

飲み終わって見学終了。

受付のお姉さんに撮影許可証を返して さあ、遠路はるばる帰りましょう――

 

と、なったら こんなものを発見↓↓

 

なんだこのかっこいい雨仕舞システムは‼

 

これを見れただけでも雨の日にきてよかった‼

 

どうも8月の

箱根プリンス――

 

村野藤吾っちの豪快な雨の処理方法を見て以来――↓↓

 

雨仕舞はどうしても気になっております↓↓

 

考えてみると どっちも屋根の形状は凝ってますね。

 

いや、でも

田崎美術館の雨の処理はかっこよすぎました。

 

帰り道。

横川SAで――

 

釜めし&ラーメン。

 

豪雨の高速道路。

たいへんでした。

 

今から振り返るといい思い出になってますが(笑)

ぬい撮りは難しい(スヌーピー) 横浜・江ノ島・鎌倉にて

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はい。すぬうぴぃをいろいろ撮ってみました(笑)

 

12月初旬に ホテルニューグランドのベイフロントコーナーダブルに連泊したのですが、

T子さんが スヌーピーのぬいぐるみを持ってきまして

「これをうまく撮れ」

と命じられましたので いろいろ撮ってみたのがこれです。

 

タイトルにも書きましたが、けっこう難しいです。

 

ぬいぐるみは モンチッチとかで有名なセキグチのもので

中に関節が入っていて ポーズがとれるという優れものです。

 

以下、使用レンズは とくに断らないかぎり コシナ・ツァイスのディスタゴン25㎜です。

 

まずは1日目。寝ているところを……↓↓

 

明けまして2日目。

ホテルの窓で撮影会。

 

……というか、T子さんのお化粧タイム

わたくしは暇なので スヌーピーと遊んでるというのが真実に近い。

 

氷川丸と一緒に↓↓

絞り、f/8です。

 

f/6.3↓↓

んー まあまあ良く撮れたようにもおもいますが、

桟が邪魔かな。やはり。

 

あと50㎜でも撮ってみるべきでした。

 

えー その日の夕方。

江ノ島を見物しまして 片瀬海岸にやってまいりました。

 

これは マクロプラナー50㎜です。

こうしてみると ぬい撮りに一番いいのは50㎜のような気もします。

マクロレンズだしね。

 

右端に富士山がボケてます。

f/7.1です。

 

個人的にはこれが今回いちばん良く撮れたかな、とおもっております。

黄昏すぬぅぴい。

 

失敗作(笑)↓↓

 

富士山にピントを合わせるとこうなります。という図。

 

これも50㎜ f/8です。

ひきつづき 50㎜ f/8

 

すぬうぴぃにピントを合わせると 富士山がボケます。

 

これも悪くないかな。

 

↓↓シグマの魚眼15mm 絞りf/8

 

これも悪くないのだが……

写りこんでいるのがオッサン二人というのがねぇ(笑)

 

若い女の子とか カップルとかの後ろ姿が欲しかったかな。

 

これも魚眼。

シャッタースピード1秒なもので スヌーピーがブレました↓↓

 

そうそう思い出したが、

片瀬海岸でこんなことしていると、

中国人だか台湾人だかの女の子に

「ハハ。カワイイデスネ‼」

と声をかけられました。

 

その夜。

中華街の 金香楼さんにて。

水上席というところです。

 

25㎜ f/4

これは失敗ですね。

なんだか意味がわからない。

 

これも25㎜

池? というかなんというか 水面をみてます。

 

しかし、レストランの撮影は 食べ物の脂とかかからないか気を遣いますね。

すぬぅぴい、白いのでね。

 

ホテルに帰って来まして

山下公園のキラキラと一緒に撮ります。

 

f/2.8です。

 

 

次の日。

北鎌倉、明月院にて。

 

去年に引き続き、

台風の影響で 紅葉が変な色でしたな。

 

そうそう。パンフレットの上に座ってますが↑↓

 

ぬい撮り。

なにかお尻の下に敷くものを持っていく必要がありますな。

 

これで最後。

かえりの特急ときわの車内です。

 

どうやら

スヌーピーポーズ撮りコンテストとやらがやっているらしいので

応募してみようかしら??

アルテリーベのおいしい水は、ただの水だった(笑) 

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明けましておめでとうございます。

 

猛獣(ゆり坊)は とても元気にしております。

 

 

□□□□□□□□

昨年(2019年)――12月はじめ。

アルテリーベでランチをいただきました。

 

イチョウ並木の黄葉の季節に、

・アルテリーベでランチ。

・ホテルニューグランドに泊まる。

というのが 恒例行事になりつつある……

 

というか、T子さんは毎年の恒例行事にしようとしているようです。

 

「川のほとりで」というコースをお願いしました。

 

メニューカードは こんな光沢のある紙です↓↓

写真じゃわかりにくいが パールホワイト? みたいな光沢があります。

 

1年前(2018年)もやっぱり イチョウの黄葉がみえましたが、

どうしたわけか、Tシャツ一枚で平気なほどの陽気だったのをおぼえてます。

 

2019年はふつうに寒いです。

 

まず、T子さんの頼んだ

自家製ジンジャーエール↓↓

 

自称・ジンジャーエール評論家としては

イマイチ……

イギリス製のジンジャーシロップの、なんか薬臭さ・えぐみを感じてしまいました。

 

ジンジャーエールはやっぱし爽やかでないと、な。

 

僕は前回同様 凍頂烏龍茶。

安定のおいしさ。

フルーティなお味。

 

もっと量が欲しいが この量ででてくるのさ↓↓

 

店内の様子。

平日昼にもかかわらず かなり繁盛してました。

 

女子会。

カップルのデート。

ビジネスマンの商談。

――と、いろいろな目的に使用されているようです。

ぱっと見の印象ですが。

 

 

ピアニストの兄ちゃんが 演奏が終わるたびに外へ出てタバコを吸うのですが……

その様子がみえるのが 若干興ざめ(笑)

 

というか、そのラテン系っぽい兄ちゃんは

我々が入店するときも 入口の脇でスパスパやってたな。

 

あ。いえ、べつにクレームじゃないです。

 

たぶん大部分の人は タバコを吸うところはみえなかったとおもう。

たまたま僕の席からよくみえただけで。

 

まずは

・アミューズブッシュ

というもの。

 

前菜?

うえにのってるのは白魚。

緑色は アボカド&マスカルポーネチーズだそうで。

 

酸っぱい、なんともいえない味。

爽やかな後味。

 

パン。

かわいい形。

 

・和梨と柿、功刀鱒のタルタル仕立て、セロリのブリュノワーズ

 

えー

わからんことだらけなのですが、

くぬぎ鱒という鱒だとおもいます。

 

ブリュノワーズとはなんぞや?

と調べてみると ああ。さいの目切りのことですか。

 

葉っぱはマスタードリーフだそうです。

上にのってる青みかんを絞ってください。とウェイターがいってた。

 

ウェイターさんは去年と同じ人でした。

なぜ そんなことを覚えているかというと、

知り合いのサイトウさんにものすごく似ている人だったから(笑)

 

えー、で、問題の水です(笑)↓↓

 

2018年から 「アルテリーベの水はうまい」「あれを死ぬ前にもう一度飲みたい」

「死ぬときはあれを飲ませてくれ」

などと言っていたのですが、

 

また飲んでみると やっぱしおいしい。

こんなおいしい水は飲んだことがない。

 

そこでウェイターのサイトウさん(仮)に

これはどこの水なのか? 通ぶってきいてみることにした。

 

はてさて、これはアルプスの水であろうか? それともロッキー山脈であろうか??

あるいは名高い神戸の水か??

 

こたえは??

 

トマス:あの。

サイトウさん(仮):はい。

トマス:つかぬことをうかがいますが。

サイトウさん(仮):なんでございましょう。

トマス:この水は、とてもおいしいのですが。

サイトウさん(仮):は。

トマス:いったいどこの水ですか?

サイトウさん(仮):(苦笑しながら)いえ、その。

トマス:ぬ。

サイトウさん(仮):特別なものではありません。

 

ははは。赤っ恥をかいてしまったよ。

T子さんも笑っていたよ。

 

でもさ、そう言われたあとに飲んでもおいしんだよね。

これ、同意してくれる人いないかね?

 

出所を隠してるんじゃあるまいな、サイトウさん??

 

えー続き。

・紫芋のモンブラン、フォワグラクレムー、パンプキンシード

 

ほわほわした物体はパンプキンシードでつくった蒸しパンだそうです。

串刺しになった物体は お察しの通りギンナンです。

 

まんなかのベージュ色のまるいものがフォワグラクリームで、

これはちと 僕には濃厚過ぎました。

 

あ。紫芋の上に金箔ものってますね。

 

・天然鰤のグリル、黒大蒜のソースと蓼、赤大根、茗荷とともに

 

鰤って「ぶり」ですな。

おいしかったな。

おしゃれに手前側にひろがっているのが黒にんにくのソース。

 

 

えーようやくメインの登場。

・マグレ鴨フィレ肉のロースト、季節野菜を添えて

 

1年前同様 ピーターラビットが食べるようなかわいいニンジンが載ってましたが、

写真だとわからないね。↓↓

 

T子さんは

・ハンガリーの国宝、マンガリッツァ豚肩ロース肉のグリル。

 

ちょっと食べさせてもらったが 鴨も豚もどっちもおいしかった。

 

デザートは

・シャインマスカットとライムのパンナコッタ、アニスの香りを添えて

 

コーヒーと

なにやらオシャレなクッキー チョコレート。

 

窓の外では

絵画教室の写生会かなにかをやってました。

 

そういや、サイトウさん(仮)に

「なにかリクエストはございますか?」

ときかれたが、とっさになにも出てこなかったな。

 

なにか考えておけばよかったな。

 

ごちそうさまでした。

 

瓶にはいっているのは 僕の大好きな「特別ではない水」かな↓↓

 

食後、日本郵船歴史博物館へ。

客船浅間丸の展示をやってました。

 

館内撮影禁止なので写真はなし。

 

 

このあと、

ホテルニューグランドまで歩きまして、

 

はやばやとチェックインしました。

ホテルニューグランド・ベイフロントコーナーダブル1003号室からの夜景。

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前回の記事のつづき。

ホテルニューグランドに泊まるのは3回目。

今回はタワー館10階の角部屋に連泊しました。

 

とても眺めがよかったです。

 

ご覧のように、ランドマークタワーは見切れてしまう感じですが。

大さん橋が見られれば僕は幸せです。

 

□□□□□□□□

えー

正式名称はベイフロントコーナーダブルなる部屋です。

 

以下、部屋の紹介をします。

 

左からクローゼット ドア 洗面台 トイレがかすかにみえますな↓↓

 

 

 

お風呂はシティホテルみたいな感じ。

 

……とか、贅沢なことを書いてしまいますが、

前回スイートルームに泊ってしまったのでね。

 

万平ホテルのお風呂も立派だったし。

 

洗面台はこんな感じです。

 

アメニティ類は、そうか……

ブルガリはスイートルームだけですか。

 

メーカー等はよくわからんですが、ホテルニューグランドのオリジナル(?)のもののようです。

 

水回りを若干けなしましたが……

そんなことはどうでもいいのです。

 

この部屋の最大の売りは 「眺望」ですので。

 

気持ちいいです。

 

まあ、ご存知でしょうが、右側にみえるのが氷川丸。

 

あと、大さん橋に停泊してるのは「銀河丸」という……

将来の船員さんを教育する船であるらしいです。

 

壁の装飾とか、照明とか、

いろいろ凝ってますね。

 

といって、眺望を邪魔しないような あまり主張をしすぎない感じで いいですね。

 

えー デスクの真向かいは 某宗教団体のビル……

いいところにビル持ってるな。

 

↓↓この写真に限らず 洗面台の照明がガラスに映りこんでますな。

ダメですね~ 消してから撮らないと。

 

この角度から撮ると 某宗教団体のビルは消えます(笑)

ランドマークタワーがちらっとみえますね。

 

テレビは小さめですね。

どうしてもスイートルームのでっかいテレビと比べちゃう……

 

この風景は見飽きません。

 

ベッドはこんなでした。

 

ベッドサイドの照明のデザインがおもしろいですな。

 

画像ではわかりにくいですが……

 

ベッド脇、ロールカーテンで仕切ることができるようになっています。

 

天井部分に妙な細長いでっぱりがあるのですが↓↓

それがロールカーテンです。

 

 

えー、以下、部屋から夜景撮影です。

ジッツォ三脚を部屋の中でガシャガシャおっ立てましてね(笑)

 

以下、6枚 マクロプラナー50㎜です。

 

大さん橋。

左の船がロイヤルウイング(いつもいる船)

右が さきほど触れました銀河丸。

 

氷川丸。

シーバス。

あとマリーンシャトル。

 

トワイライトタイム。いい時間帯です。

 

 

 

 

だんだん日が落ちてきました。

 

山下公園のイルミネーション。

毎年こんなのやってましたっけ?

 

上から見てもすごくきれいです。

 

ディスタゴン25㎜↓↓

 

窓枠が写ってますが、山下公園のイルミネーションを撮りたかったのでしょう。

 

えー

シグマの15㎜魚眼です↓↓

 

以下3枚 ディスタゴン25㎜。

もう完全に夜ですね。

 

 

 

 

 

 

こんな感じでした。

夕暮れ~夜の景色はもう立派なエンターテインメントでしょう。

 

ホテルニューグランド・ザ・カフェで夕食・熊魚菴たん熊北店で朝食

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承前――

12月の小旅行の記事をまだ書いてます……

 

ホテルの10階の部屋から見下ろしてばかりいるのも何なので

地上に降りてみました。

 

山下公園のイルミネーションを撮ります。

 

↓↓これはシグマの15㎜魚眼。

 

やはり、コシナ・ツァイスの鮮明な画質に比べると

だるい感じの描写です。

絞りf/8でこれです。

 

氷川丸、なんですが――

 

いつもおもうのだが、

この「横断幕」みたいの、どうにかならないのかな?

どうみてもカッコ悪いですよね。

 

修学旅行の女学生さんがうじゃうじゃとおられました。

 

10代の子は コートなど着なくても平気らしいな。

 

散歩して お腹が減ったので ホテルニューグランドの本館へ。

 

ザ・カフェ。

 

夏頃、月一回ペースで来てたのですが……

大さん橋で船をみる→ザ・カフェでごはん というパティーンが多かったのですが、

 

久しぶりに来ました。

 

いつもレモンスカッシュを頼みます。

いつものパティーン(ゴリパラ見聞録みてる人しかわからんな)

 

コンビネーションサラダ。

 

アールデコしてる店内。

 

いつも上品そうな家族が食事してる席↓↓

 

クリームコーンスープ↓↓

 

おいしかった。

いかにも洋食屋さんのスープという感じ。

 

前々から気になっていた

ステーキピラフを頼みました。

 

すごい肉の量!

 

おいしい。が、

……ちと脂っこいかな。

付け合わせでお漬物とか欲しかったかな(笑)

 

これまたいつものカスタードプディング。

かわいい。

 

部屋にもどりまして

 

天井とか撮ってる(笑)

 

角部屋なので天井の処理とか凝ってるな……

と感嘆してます。

建築学科の製図の授業で泣かされた経験が多々あるので……

隅っこの処理がたいへんに気になります。

 

えー ぐっすり寝まして、

朝食は 熊魚庵たん熊北店。

 

朝食。

いっつもル・ノルマンディで 洋食を選んでしまうので

ここははじめて来た。

 

キャパシティーが小さいせいか(?)

食事まで若干待ちました。

 

窓の外の風景。

ここはあれかな。パーティとかやるスペースかいな??

 

順番がきて 店内へ。

 

熊魚庵、というと

万平ホテルの豪勢な朝食を思い出してしまうのですが――

 

あれと比べるとあっさりめ。

 

え? これだけ……

 

たいへん無粋ながら――

万平ホテルの熊魚庵の朝食はこんなでした↓↓

 

山海の珍味がごっそり という感じ。

 

2019年10月24日撮影。

 

梅干しも豪勢に用意されていたっけ。

 

まあ、万平ホテル、高かったしな。

リゾートホテルと、都会のホテルの違いもあるだろう。

 

(笑)おまえ、

食べ盛りの高校生かよ! というようなクレームを書いてしまいましたが……

 

まあ、量を食べたい人は ル・ノルマンディ(洋食)の朝食に行くべきでしょう。

 

もとい、朝食後、本館の階段の探検。

 

スクラッチタイルを見ただけで胸がときめきますな。

 

もちろんマイナスねじだ!

 

プラスなんて使わないぞ!!

 

んー

階段作らせたら 仁ちゃん(渡辺仁先生)

 

藤吾っち(村野藤吾先生)と双璧ですな。

 

哲学的なことを書いてしまうと――

渡辺仁は形而下にとどまり

村野藤吾は形而上につきぬけてしまっている気がする。

 

どっちが良い・悪いではなく、 両者の性格を示しているだけのことですが。

 

「形而下」というのを具体的に言うと、

 

仁ちゃんの階段は

どこか「大日本帝国」の香りがする……

 

なぜだらう?

 

建築史的にみると、

日本人がようやく 西洋のサル真似ではなく

日本オリジナルなものを作り始めた、その頃の作品だからなのか??

 

あと 「世界」を意識した 壮大な気宇みたいなものも感じるのだが――

 

たんにここが港町・ヨコハマというだけのことなのだろうか?

 

どうしても仁ちゃんの視線は

上海だの マルセイユだの ニューヨークだのにまで伸びていたような気がしてならない。

 

ロマンチシズムなる病に侵されただけなのかもしれんですが。

そのロマンチシズムがパールハーバーにつながっているのかもしれんですが。

 

とかなんとか、偉そうな、中身のない考察をくりひろげたトマス・ピンコは――

 

12月の記事で書きましたように

すぬぅぴいちゃんと遊びまして……

 

銀河丸の出港をのんびり眺めました。

 

 

 

 

 

 

で、

T子さんのお化粧が終わったので 江ノ島方面へ向かいました。


兵頭二十八、他「並べてみりゃ分る 第二次大戦の空軍戦力」感想 

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オタッキーな本です。

でも――

一言でいって名著です。

それもじわじわと効いてくるタイプの名著。

 

自分の中では――あくまで個人的なはなしですが――

マーシャル・マクルーハン「グーテンベルクの銀河系」

クロード・レヴィ・ストロース「野生の思考」

エーリッヒ・アウエルバッハ「ミメーシス」

みたいな……

モノの見方がガラッと変わる本という気がします。

 

「戦争」への見方がガラッとかわります。

(あ。↑の3つの本は戦争の本じゃないです)

 

□□□□□□□□

なのですが、はなはだ「名著」らしからぬ ダサい表紙なのだよな。

銀河出版というきいたことない出版社の本。

1997年7月25日初版

 

なんですか、この色彩センスは……

 

「600機の1/72模型による世界初の立体的比較!

並べてみりゃ分る 第二次大戦の空軍戦力」

 

斎藤幸雄さんという長野のオジサンが作りためた たっくさんの1/72サイズの ヒコーキを目の前に

宗像和広 三貴雅智 小松直之 兵頭二十八

という四人のオジサンがグタグタ オタッキーなことを語り合うという内容です。

 

兵頭先生は、まあ、今そこそこのビッグネームになりましたが、

あとの三人はよく知らない。(有名人だったら申し訳なし)

ただ、宗像和広という人は この本をみてもらえばわかるが すごい人だったんだろうなとおもえます。

残念ながら若くして亡くなったようですが。

 

以下、感想。

□□□□□□□□

感想① 企画倒れ

 

何度となく読み返している本なのですが、

(なんか時間が空いた時に読むのにちょうどいいんですよね)

正直なところ 初読の感想は

「期待外れ……」

というものでした。

 

というのも 「並べてみりゃ分る」というのに

ヒコーキのプラモの写真が小さく、

そして撮り方が下手くそなのか? どうにも比較したいポイントがはっきりしない。

(オレに撮らせろというくらい下手くそな気がする……)

 

この企画を成立させるには

一ページまるまる写真にあてるべきだとおもうのですが、

その予算がなかったのか? 印刷上のなにか問題があるのか?

とにかく写真が小さく なにがなんだかわからん という企画倒れ。

 

あと図面はやっぱしあったほうがいいな。などともおもう。

 

宗像 飛燕はメッサ―のマネだという俗説、あれは、側面図で比較するから勘違いをするのです。側面図で比較していいのは戦艦だけ。戦艦は、片舷砲戦力を比べてみる必要があるでしょう。でも、飛行機はまず上面図で翼面荷重を比較しないと、根本的な性格把握を誤る。側面図はヒコーキ本には無用なんです。むしろ有害。

(銀河出版「並べてみりゃ分る 第二次大戦の空軍戦力」85ページより)

 

などと宗像先生がおっしゃっているのだから 上面図的に撮るべきだろうに

そういうこともしないのが謎。

 

まあ、あと欠点をあげるとすると……

章のタイトルが

「イリューシン4と一式陸攻」とか「イタリアの液冷戦闘機とMe109」

とかいう具合なので ある程度のヒコーキ知識がない方にはチンプンカンプンな内容だとおもいます。

 

ただMe109(ドイツの戦闘機 メッサーシュミットBf109ともいうからややこしい)

などと聞いて燃え上がっちゃうような人は必読です。

 

感想②オタクによるオタクの「戦争論」

 

まあ、第二次世界大戦を語っているわけですが、

ガンダムファンがモビルスーツについていろいろ語る、あのノリでヒコーキを語る。

そうおもっていただいてよろしいでしょう。

 

小松 専用軽量機をあやつる天才的学童パイロット……ってそれ日本のロボットアニメじゃないですか‼ やっぱりあれは戦中の日本より悲惨な話だったのか‼

兵頭 あの「させるかーっ」というセリフを誰が最初に使ったのか、私は知りたい。

(同書105ページより)

とはもちろん 機動戦士ガンダムのはなし。

 

あと、

三貴 ドイツの技術は世界一ィィィィィィ!

(同書118ページより)

これはもちろんジョジョですね。

 

小松 爆撃機は逃げようにも逃げられないところがあるから、そういう戦場でもカモでしょう。傭兵空軍向きじゃないから、昔あった傭兵航空マンガも戦闘機が主役ですね。

(同書13ページより)

これは「エリア88」

 

しかし、考えてみると 

のちに成立する兵頭先生の「軍学」というのは

オタクによるオタクの戦争論であったな、などとおもうわけです。

 

余計なイデオロギーも 余計な神話もなく、

純粋に機械・マシーンを考察することで浮かび上がってくる真実というものがあるはず。

 

自動車評論家の福野礼一郎先生のスタイルにもなんか似てます。

福野先生ファンは読んだ方がいいかも。

 

感想③「1000馬力エンジン」搭載機

 

38ページからはじまる「「1000馬力エンジン」搭載機」なる章。

これがたぶんこの本の中心であり、白眉だとおもいます。

 

トマスの勝手な理解だと

液冷1000馬力エンジンがまともに作れないのだったら

大日本帝国はアメリカと戦争するべきではなかった。

もしくは

アメリカと戦争したいのならば

液冷1000馬力エンジンの開発・生産に全力を注ぐべきで

役立たずの戦艦大和だの 零戦の空冷エンジンだのの生産にかまけているべきではなかった。

むしろ液冷エンジンの飛燕に全力を注ぐべきだった。

 

ということだとおもいます。あくまでトマスの勝手な解釈です。

 

小松 並べてみて気が付いたのは、結局オリジナルの発動機を造れたのは、米、英、独、仏。そこまでで、終りなんです。

兵頭 これは、気付きませんでした。

(↑トマス注:これはアヤシイとおもう。会話をもりあげるために兵頭先生いってる)

小松 日本も液冷は昔から外国製品、空冷もあの誉とていわばワスプの子孫で、1000馬力級でも独自のものを造れたとは言い難い。私はイタリアのエンジンはまったく分からないんですけど、ダイムラーベンツのエンジンをイタリアでも使いましたよね。東欧の機体には、フランスのエンジンを積んでるのが一番多かった。イスパノか、空冷のノーム・ローン。

兵頭 そうか、イスパノスイザはフランスの会社か。私はスペインとスイスの合弁工作機械メーカーかと思っていましたよ。

(↑トマス注:これもわざと道化てる気が)

宗像 イタリアもコピーだよね、イスパノスイザの。空冷はイギリスのジュピターを使っていた。

兵頭 私は漫然と、空冷1500馬力、液冷1000馬力までは、どこの国でもまともな戦闘機エンジンを作れたのだと総括してましたが、それじゃ、オリジナルということになれば、1000馬力でも後進国には設計できないものですか。ソ連も、コピーを使っていたんですね。

(同書38ページより)

 

小松 結局、第一次大戦で飛行機を飛ばした独仏英米だけが、よそのを使わずに1000馬力エンジンをつくれたのは、どうしてなんでしょう。

兵頭 それは精密な工作機械が作れた国、と言い替えたらいい。そもそも精密加工はマスケット銃の互換可能な引金メカを量産しようとして18世紀のフランスで始まり、ついで南北戦争時のアメリカ、さらにドイツと波及していった技術です。プラット&ホイットニー社も初めは小銃の工作機械メーカーだった。明治政府は三八式歩兵銃を量産するためにこの会社に製造ラインを発注しています。だから、機関銃がすぐジャムるような国は、航空エンジンを作っても、やっぱり油漏れがしてしまうという道理なんだよ。

(中略)

三貴 ドイツの精密加工技術はどうだったの?

兵頭 第二次大戦が始まる時に、あと少しでアメリカに追い付くという高水準だった。当時、精密工学といえば、一にアメリカ、二にドイツで、三、四はない状態だったわけです。日本の発動機工場なんか、開戦前にアメリカから買い込んだインチ表示のマイクロゲージを頼りに、終戦まで仕上げの検査をしていた。それで昭和17年改訂の三菱の金星エンジンのマニュアルを見ると、0.05ミリの誤差まで許容している記述が見えますから、日本の精密技術は結局、昭和20年までこの0.05ミリ止まりだったと考えられる。とてもじゃないが、2000馬力エンジンの量産を夢想していいような水準じゃなかった。

(同書39ページより)

 

対アメリカ戦争。

はっきりいうと精神力や根性とか大和魂とかでどうにかなるようなレベルの遅れではなかった、ということでしょう。

これが「許容誤差」という数字ではっきり示されます。

ただ、この高性能エンジンが作れなかったエンジニア達の悔しさが

戦後日本の工業発展を支えていた根本だったのではないか?

とは容易に想像できるところです。

 

あと、「戦争」というと 〇〇元帥が 〇〇中将が 〇〇少佐が――~した。~しなかった。~と語った。

という記述の方法が まあ、一般的ですが、

 

上述のように、ですね。

○○馬力 〇〇ミリ もしくは 「空冷」「液冷」という

客観的な数字 マシーンの比較というのが 兵頭先生の攻め方なわけです。

 

感想④ 神話の崩壊

 

どんな世界にも神話があって、ヒコーキの世界も例外ではないわけです。

それが この本を読んでくとどんどん崩壊していきます。

 

まずはバトル・オブ・ブリテン神話――

そしてスピットファイア……(←このヒコーキの名前は聞いたことがあるでしょう??)

 

兵頭 宗像さんは、バトルオブブリテンはスピットファイアで勝ったのではないという説をお持ちですね。

宗像 ええ。あれはイギリス得意の針小棒大な宣伝なのです。ハリケーンやスピットファイアみたいな旧式機で、どうしてイギリスが救えるものですか。バトルオブブリテンなんて、本当に小規模な局地戦にすぎない。作戦期間は4,5カ月でしょう。失った機数もたかが千何百しかない。それに比べて、日本はソロモンで8000機も喪失しているんですよ。

兵頭 対ポーランド戦で1カ月にドイツが失った機数が600機でしたからねえ。それにしても、ガダルカナルをめぐる航空戦の無謀さにも、改めて戦慄を覚える。

(同書17ページより)

 

お次。零戦神話……

零戦に関しては崇拝者が多いので

心苦しいのですが……

 

宗像 スピットもメッサ―も、全備重量に対して燃料タンクは330リッターくらいしかなかった。大きなタンクになるような主翼にはつくっていないし、主翼にはつくっていないし、主翼をタンクにする発想そのものを拒否した。だから構造的に航続距離を伸ばせない。翼にガソリン入れてまでアシを伸ばすなんてバカなことをやったのは日本だけです。

(同書24ページより)

 

あと、日本海軍の戦闘機部隊――帝国海軍神話……

自分はひい爺さんが 兵学校出のパイロットだったもので

海軍のヒコーキ乗りの本とかをよく読むのだが、

以下の文章は 目からウロコが落ちた気がしました。

 

兵頭 日本海軍では、中攻とか艦爆・艦攻の指揮は良かったけど、戦闘機隊の指揮は最悪だったと思う。特に一騎駆けの戦闘機パイロットを下士官にやらせちゃいけなかった。

小松 大正時代までは日本海軍のパイロットも将校のみだったんですけどね。

兵頭 大戦中、下士官を戦闘機パイロットにしていたことで、海軍の戦闘機隊の命令系統は破壊されていた。兵学校出身の未熟な士官が編隊長になっても、いったん上空に上がったが最後、部下の下士官パイロットはもう命令なんか聞く耳を持っていない。敵を前にした戦場で、実質リーダーが不在なんだから、文字通りの烏合の衆。これで統一指揮された米戦闘機隊に勝てたら、その方がおかしいです。

(中略)

兵頭 当時の海軍の航空隊の下士官が次郎長一家みたいに元気がいいのは、普段でも陸軍よりはメシの良い海軍で、さらに航空増加食を貰って体力が余っているところに、覚醒剤射たれて飛んでたんですよね。だから彼らの語る四方山話には、愚連隊まがいの武勇伝も少なくない。

(同書94ページより)

 

ファンも多いかと思うんですけど……

大空のサムライとか、読んで感じる違和感の正体。

これ読んですっきりしました。

 

けっきょくのところ――

零戦で 坂井三郎みたいな格闘戦をやっちゃった時点で負けだったわけですね――

 

兵頭 戦争をしながら膨らますことのできたパイロットの数で、日本はアメリカに対抗できなかった。これは初めから明かだったでしょうね。だからこそ、日本では戦闘機乗りに格闘戦なんか教えちゃいけなかった。特に対米開戦後は許してはならなかったと思う。貧乏国の戦闘機は、機体も訓練も、一撃離脱に徹するしかないんだ。絶対に補充は利かないんだから。

(同書105ページより)

 

やるべきことは チームプレイ&液冷機(飛燕)で一撃離脱――

零戦(空冷)で格闘戦なんかやるべきではなかった。

けっきょくルフトヴァッフェ(ドイツ空軍)のやり方は正しかったわけか――

 

あと。「風の谷のナウシカ」で

アスベル君が ナウシカ姫さま御一行を一撃離脱で狙うシーンがありますが、

さすが宮崎駿 ヒコーキマニアだなとおもいました。

 

 

 

 

 

 

うーむ、

そういや 「紅の豚」に関しても言及されてましたっけ。

 

兵頭 このレーサー機は?

三貴 これがなければスピットファイアはなかったという話で。宮崎駿の『紅の豚』のキャラクターです。

宗像 シュナイダー杯レースで、イタリアも参加してました。

(同書16ページより)

 

あれは液冷エンジンだったのかな? 今度よくみてみよう。

江島神社・片瀬海岸西浜の夕景。

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行ったのは12月初旬なので

もう2か月経っちゃってます……

記憶があいまいです。

 

えー、以下 るるぶやらまっぷるのおすすめコースをなぞっただけのはなしで

一切みなさまの参考にはならないとおもいます。

 

道のり。

ホテルニューグランドから 徒歩で石川町駅まで

石川町駅から根岸線で大船駅まで

 

で、湘南モノレールで↓↓

湘南江の島駅まで。

 

モノレールという乗り物に 久しぶりに乗ったのですが、

ガタガタ ゴツンゴツンという感じで 乗り心地はよくありませんね。

 

さっそくお昼ごはん。

いろいろとお店を探したりするのはめんどうなので

江の島弁天橋を渡ってすぐ、

さっそく目についた「貝作」さんというところで食べます。

 

食堂の窓からの風景。

 

今はどうかわからんが、

12月初旬、某大陸国家からの観光客がたくさんいらっしゃったようです。

たった2カ月かそこらで 情勢がまったく変わってしまうのだから

病原菌というのはすごいですね。

 

ジャレド・ダイヤモンドの「銃・病原菌・鉄」じゃないですが。

 

るるぶ まっぷる情報で

「とにかく江の島でしらす丼を食べるんだ!」と

T子さんがはりきっていたので――

 

三色丼をいただく。

 

二人の感想は……

 

うん。おいしい。

おいしいが、わざわざ遠出してまで食べに来るようなおいしさではない。

 

……というもの。でした。

 

しらす丼ファンの方には申し訳ないが。

 

江島神社へ。

 

しかし「えのしま」――

「江の島」

「江ノ島」

「江之島」

「江島」

……どれが正しいのでしょうか?

 

さっきのモノレールの駅名は「江の島」

橋の名前は「江の島」弁天橋

 

神社のHPをみると「江島」……

江の島エスカーなるもので

登ります。

 

なんでも、くだりがないから「エスカレーター」ではない。

などというこじつけめいた解説がどこかに書かれていた。

 

辺津宮(へつのみや)をお参り。

 

妙音弁財天 なる、

妙にセクシーなお像を拝観させていだく。

 

肝心なところは見えなかった(笑)

そりゃそうか。

 

写真撮影不可。

 

グッサンさんのブログ記事で見た景色はこれか……

 

魚眼をいろいろ使ってみたようです。

 

 

 

↓↓棚の一番上 まんなかに

例の妙音弁財天のミニチュアがあるな。

 

肝心なところまで再現されているのだろうか(笑)

 

買って確かめてみたいものだが、10万円では買えない……

 

 

 

富士山がよくみえまして……

 

これはいい夕焼けになりそうだと期待が膨らみます。

 

片瀬海岸西浜でジッツォ三脚をおっ立てて

夕景撮影。

 

ディスタゴン25㎜↓↓

 

マクロプラナー50㎜です。

サーファーのお姉さんが いい感じに写ってくれればと 待ったのですが、

こんな感じにしか撮れなかった。

 

海にある黒いかたまりがサーファーのお姉さんです↓↓

わからないですね(笑)

 

ディスタゴン25㎜↓↓

で、シャッタースピード1秒

 

江の島の方角。

ディスタゴン25㎜↓↓

 

ディスタゴン25㎜↓↓

 

シャッタースピード2秒で撮ってこれなので

じっさいは ほぼ真っ暗だったとおもいます。

 

さいごもディスタゴン25㎜↓↓

 

ああ。そういや、

二人連れの女子高生が海岸で撮影会をしていて

ま、お互いの撮りっこなのですが。

 

しかし、近づいてみると 喋っている言語が日本語ではないようだ。

 

T子さんによると、中国の女の子の間で日本の制服が流行っているとかいないとか。

なんのかの「日本」好きよね~あんたら……

日本製マスクも好きだし……

 

――などということを思い出したりもしました。

金香楼で夕食 ル・ノルマンディの朝食 鎌倉・明月院の紅葉

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12月はじめの小旅行の記事がようやく終わり。

 

片瀬海岸西浜で夕景にみとれた我々は

出発した石川町駅に戻って来まして――

 

中華街へ。

あまり寒くなく おだやかな夜

 

金香楼さんの「水上席」というのを予約してました。

 

ヌーベルシノワ(フレンチ中華?) の「風」というコース。

 

↓↓左側にあるのは鉄観音茶。コップはジンジャーエールだとおもう。

 

鉄観音茶

頼んではみたものの……味がなんだかよくわからない。

 

爽快感とかはない。あんまりおいしいものではなかった。

フルーティな味とかではなくて なんか汗臭いような、へんな味。

 

鉄観音がこういうものなのか? ここの鉄観音がこういうものなのか?

 

・フレンチスタイルの四種彩り前菜↓↓

 

ハート型のはカボチャだそうです。

左端は牛肉。

あとは忘れた。

 

・魚の薬膳スープ

 

これはおいしかった。

濃厚で栄養がありそう。

 

水上席の様子。

 

じつは わたくしの横浜在住の大学生時代。

ある日。祖母と母が 横浜に来て

で、お昼をごちそうになったのがここ、で。

 

ずっと「あの時の店はどこなんだろう?」とひっかかっていたのだが、

今回 あらためて調べてみて

「どうも金香楼らしい」となり 来店したという次第。

 

けっこう年月が経っているのですが 雰囲気は当時のままでした。

 

・極上フカヒレの姿煮込み

 

・大海老のチリソース 焼きパン添え

 

焼きパン? なんだかモチみたいなおいしい物体でした。

下に敷いてあるのがそう。

海老はでかかった。

 

・子牛スペアリブ肉の炭焼 黒胡椒ソース和え

 

・季節の野菜とベーコンのいためもの

 

というのだが、なんの野菜だかわからない。

コースの中で この品だけなんかランクが下がるような??

学校の給食にでもでてきそうだな。とかいじわるなことを考えた。

 

・フカヒレ入り蒸し焼売と海老の紙包み揚げ

 

紙包み揚げというのがよくわからないのですが、

春巻きみたいなものだとおもいました。

・特製海鮮黒チャーハン

 

というのですが、これはなんだかよくわからなかった。

なんか変なクスリっぽい味がした。

 

鉄観音茶とかチャーハンとか

どうやってもおいしいだろう というものが なんだかよくわからない味――

というおもしろい店です。

 

デザート

・フレッシュマンゴープリン

 

この杏仁はおいしかった。

 

さいごが……失笑……

 

なんすか、このお寿司屋さんの湯のみは↓↓……

 

まあ、いろいろツッコミどころが多かったですが、

水上席の雰囲気はとてもよいです。金香楼。

 

まあ、これは12月の記事にのっけた写真ですが↓↓

 

ホテルまで歩きます。

 

12月はじめでしたが

もう「春節」の準備ですか。

 

えー一気に夜が明けまして

 

ル・ノルマンディでの朝食。

 

今日もいいお天気……

 

と、小津映画みたいなことをいってみる。

 

小津に言及したついでに 小津先生とニューグランドとの関わりをザザッとみてみると――

 

昭和38年(60歳)

3・6

横浜ニュウグランドで大船監督会の祝賀会

(中村・川津・井上・番匠・堀内・的井・市村・篠田・田畠ら)

(蛮友社「小津安二郎 ―人と仕事―」691ページより)

 

というのだけみつかった。亡くなる9カ月前だな。

 

日記をこまかくみてみるといろいろみつかるかもしれない。

 

 

 

 

いつかここでディナーを。とおもうのだが……

なんのかのよく泊っているから ハードルは高くないのですが、

 

ジャケット着用というのがね。

普段 スーツ着て仕事してないので

ジャケットとか 冠婚葬祭用しかもってないのさ。

 

豪華客船が大さん橋にいるタイミングで行きたいものです。

まあ、今の このご時世だとなんですが。

 

ル・ノルマンディの様子。

内装はあれですね。豪華客船をイメージしてるんですね。

 

というか、ル・ノルマンディというのが有名な豪華客船ですわな。

 

いきなり 鎌倉 明月院。

今年もやはり台風の影響ですか、へんな色の紅葉でした。

 

あの有名な円窓も

なんだかイマイチな紅葉だったので

撮ってません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下2枚。 12月の記事に載せた写真。

 

 

 

八幡様ちかくの峰本さんで

お昼をいただき 帰りました。

 

鴨せいろ。だったとおもいます。

 

 

牛久最強中華は二胡々亭(ニコニコ亭)‼/ つくばぷりん・ふじ屋

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お久しぶりです。

 

ゆり坊は元気にしております。

 

□□□□□□□□

え、さて めっきり出かけることもなくなったため

地元イバラキの話題です(笑)

 

「牛久」「中華」というと、かつて

「甲子亭」という名店が 国道6号沿いに君臨しておったのですが……

 

去年の夏頃だったか、突然閉店してしまい、

牛久市民、いなイバラキ県南の老若男女を嘆かせていたわけなのですが……

 

どうも 甲子亭のお嬢さん夫婦が

あたらしく店を始めたとかいう情報が 甲子亭閉店とともに あちこちで飛び交いまして――

 

まあ、それがタイトルの「ニコニコ亭」なんですけどね。

 

甲子亭はなくなったが、あの味はここで食べられますのでご安心を↓↓

 

わたくしは

月1~2回ペースで通っております。

 

カップルでお腹いっぱい食べて まあ5000円前後。

しかもお味は極上です。

 

かつての甲子亭に比べると

かなり店舗規模は小さいのと、

あと、駐車スペースも小さいです。

 

ただ、夜は右隣のビルの駐車場に停めてOKだそうなので、

僕はいつもそっちに駐車してます。

(くわしくは店舗の方に確認してください)

 

牛久駅からだとけっこう遠いです。徒歩で往復1時間近くかかるのでは??

 

↑ウーロン茶。

↓割り箸。

 

ニコニコ亭の「ニコ」は あれですな。

楽器の二胡ですな。

 

けっこうな頻度で演奏会をやったりもします。

ただ上述のようにですね。店は小さいので

演奏のある日は ゆっくり会話をする、とかは不可能です。

 

え、さて

料理の紹介。

 

前菜の定番は

・棒棒鶏(バンバンジー)!!

 

好きなもので、いろいろなアングルから――

 

甲子亭ファンはこれを頼みますよね。

 

日によって 売り切れて食べられない場合もあります。

バンバンジーに限らず、他のメニューでも 「今日はおしまいです」

というのがあります。

 

甲子亭のはもうちょっとピリ辛だった気がする。

これに限らず

ニコニコ亭の味付けは 辛さは控えめな感じなので……

 

ゴリゴリに辛いのが好きな方は この店だと物足りないかも。

でも絶品。おいしいです。

 

・春巻き。

 

甲子亭の、あの春巻きです。

――っていったって これをお読みの方の大部分はわからないよな。

 

とにかく絶品です。

熱いです。

 

ニコニコ亭では

餃子より 焼売より

まず春巻きを頼むべし!

 

いや、餃子も焼売もおいしいんだけどね。

 

・乾焼蝦仁(エビのチリソース)

 

エビチリです。甘辛。

上述のように辛さは控えめ。

 

・乾焼明蝦(大エビのチリソース)

 

「大エビ」だとこんなです↓↓

 

が、大きなエビがごろっと2つ入ってるだけなので

ふつうのエビチリを頼んだ方が コストパフォーマンスは良いです。

 

とにかくオレは大きなエビが食いたいんだ!

という方はこっちにしてください。

 

スープの定番は

粟米湯(コーンスープ)

 

この量でドカッときますので

家族で食べられますな。↓↓

 

酸辣湯(サンラータン)も絶品。

 

あとで辛さがじわじわくる感じ。

 

甲子亭のはもっと辛くて酸っぱかった、

ニコニコ亭バージョンの方が 僕は好きです。

 

・蟹粉炒飯(カニ入りチャーハン)

 

白飯が200円でおかわり自由なので

悩むところです。

 

白飯を頼むときの注意点ですが……

 

厨房2人 フロア1人 で通常回しているので

白飯は忘れられてしまう場合が多いです。

 

なにも言わないでいると、食事の後半になってようやく

白飯登場!

とかなりますので

 

「あの……」と催促した方がいいです(笑)

 

五目炒飯というのもありますが

頼んだことがないので 今度頼んでみよう。

 

カニ炒飯の写真ばかり 3枚続きます(笑)

 

いつだったか

炒飯のおまけにスープが付いてきたことがあったが、

あれ1回だけだったな↓↓

 

これはおいしかった。

メニューにないものです。

 

あと、

いつも頼むのは

古老肉(酢豚)ですな。

 

サクサクのお肉の食感がたまらんのです。

 

ゴリパラ見聞録でゴリけんさんが 「スーパイコ」と呼ぶのですが、

あれはいったい どういう字を書くのか?

九州では 「スーパイコ」と呼ぶのか??

 

・小籠包

 

これはいつも春巻きを頼んじゃうので あまり食べない。

画面左にちらっと 麻婆豆腐が写ってますね。

 

麻婆豆腐も 僕にはちょっと辛すぎて

いつか台風一過のムシムシした日に食べて 汗まみれになった記憶があるので

それ以来食べてません。

 

辛いモノ好きな方にはおすすめです。

写真撮ってませんですみません。

 

・清炒魷片(いかの五目炒め)

 

T子さんがイカが好きで

僕が野菜が好きなので

 

片方がイカばかり 片方が野菜ばかり

という食べ方をします。

 

・油淋鶏(ユーリンチー)

 

骨付きです。

おいしいんですけど、どうしても エビチリや酢豚を頼んじゃうのでね。

あまり頼まない。

 

肉が若干ぱさぱさしてる気がする。

 

さいご、杏仁豆腐。

 

いちおうメニューに書いてあるんですけど、

いつもサービスで付けてくれる。

 

ただ、たまに売り切れの日もある。

 

日によって量が違うようです。

 

かつての甲子亭は、

北京ダックとか フカヒレのなんとかとか

高級食材のメニューもありましたが、

ニコニコ亭は ないです。

 

あと食後にジャスミンティーが出てきた記憶があるのですが、

ニコニコ亭はそのサービスはない。

 

あとは……

コロナ騒ぎの前は 予約しないで行くと、まあ、入れない店だったのですが、

今だと お客さんの入りは落ち着いているようです。

 

ただ、やっぱり予約は必要なのかな。小さい店ですのでね。

 

□□□□□□□□

ついでに。これもイバラキネタ。

最近行った 「つくばぷりん ふじ屋」――

 

北関東道の笠間PAに行くと、

「カタラーナ」という冷凍プリンがあって、

それを北関東道を通るときは いつもおみやげに買っていったのですが、

 

その本拠地……本丸が、ここ。

 

真壁にあります。

真壁なので 石材屋さんばっかり。

 

小さな店でした。

 

店内にはTVの取材のときの芸能人の写真とかが飾ってありました。

磯山さやかちゃんの写真とかがあった。

 

店の外にベンチがあって、そこでプリン ソフトクリームを食べられます。

 

奥:カタラーナ(冷凍プリン)

手前:ゴールドぷりん

右:生キャラメルぷりん

↓↓

 

 

・カタラーナはなんとも説明できん感じです。

プリンがアイスになったという……

北関東道・笠間PAに寄ることがありましたら 買ってみてください。

 

・ゴールドぷりん

これはよかった。パステルのプリンよりおいしいかも。

 

・生キャラメル

これは甘すぎ。甘党のトマス・ピンコもたじろぎました。

塔の作家・小津安二郎 その1 「若き日」~「その夜の妻」

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さいきん

兵頭二十八・小松直之共著 「日本の高塔」

という本を読みまして――

(古本で購入。図書館の蔵書だったっぽい↓↓)

 

たいそう感銘を受けたわたくし。

1999年初版の本でして、内容は古くなっているとおもうが

(もちろんスカイツリーは入ってない)

日本各地の バカ高い構造物を網羅していてなかなかおもしろい。

 

東京タワーやら横浜マリンタワーだの まあわかりやすい「塔」だけではなく、

「煙突」「架空送電鉄塔」「吊橋主塔」などなど

とにかくバカ高い構造物を集めている本。

 

この本を読んで、

「そういや、小津安っさんの作品には煙突とか東京タワーとかでてくるな」

と、おもったわたくし。

 

――全作品を「塔」「高塔」という視点で、もう一回見直してみたらおもしろいのではあるまいか??

などと、おもいついたわけであります。

 

まあ、じっさいにやってみたのが以下の分析です。

 

※ただし、見切り発車ですので、全作品ちゃんと分析するかどうかはわかりません。

※シナリオは 新書館・井上和男編「小津安二郎全集」(ようやく手に入れた)を参照します。

 

□□□□□□□□

 

1、「若き日」(1929)

 

上記のように、見切り発車でとりあえずやってみたのですが、

想像以上に「塔」が多く、

まったく驚いてしまった 小津安っさん現存最古の作品。

 

はじめに結論を書いてしまいますと

小津作品においては

「塔」=「モダン」

「塔」=「希望」

そういった役割を担ったシンボルとして描かれるようです。

 

S1 早稲田附近の街をパノラミックする

 

しょっぱな 昭和初期のトーキョーを カメラをパンさせて撮っちゃってます。

パンですよ。小津がパンしてますよ。

 

これがみごとに「塔」だらけなんです。

それはまったく意識してなかった……

 

昭和初期のトーキョーは

煙突。電柱。通風筒。等々、「塔」だらけというのがよくわかる。

 

このシーンの主眼は

「塔」だらけのモダン東京―「塔」のない、ダサい東京

この対比でしょう。

 

主人公たちは、「塔」のない、ダサい東京に住み、

モダンな彼女

モダンなスポーツ(スキー)

にあこがれるという構図。

 

ふうむ、実によくできたシーンです。

 

S23 ペンキ、ぬりたて也

 

眼鏡くんは斎藤達雄ですね。

ぬりたてのペンキで手が汚れるという ベタなシーンですが、

これも当時は「モダン」だったのではあるまいか。

 

もちろん 電柱という「塔」が登場するわけです。

 

S25 或る喫茶店

カフェーで彼女とデート というモダンな風俗が描かれます。

さっきのシーンのペンキがカップについてしまって……という描写。

 

カフェーの窓の外は

「煙突」だらけ、というモダン風景。

 

今だと「煙突」=レトロですがね。

 

 

で……以下、「塔」の嵐です。

 

S48 山本の部屋

S49 二階から見た街の風景

カラカラと回転して居る通風器。

風に吹かれて横に流れて行く煙突の煙。

 

まあ、どなたもおわかりのように……

 

「塔」=「男根」なわけですね。

 

ちとしつこいくらいのフロイト的描写。

 

S50 渡辺、山本を見送り

山は雪だぜ

と呟く様に言う。

両人、ゾクゾクする笑い。

 

完全にセクシャルな欲望を表現するシンボルになってます。

 

つづきまして、

S67 吹く風に横に流れる煙突の煙

回転している通風器。

 

おカネがなくてスキーに行けない、という失意の二人。

ですが、

 

外を見ると

堂々と屹立する煙突――

 

なにがなんでも行こう。というシーン。

 

まあ、質屋に行って現金を調達するのですがね。

 

めでたく雪国に到着した後も

「塔」の描写の連続です。

 

S74 雪の妙高

 

こういう壮大なロケシーンは後年まったくやらなくなってきますね↓↓

 

旅館までの距離が 「電信柱」で数えられます。

あくまで「塔」で描写する 小津安っさんです。

 

このころは

ディゾルブなんてやってます↓↓

 

えー、で、いろいろあって フラれた二人。

ブスいヒロインには決まった相手がいるということがわかって失意です。

 

ヒュッテ・アールベルグ というのが登場しますが

「小津安二郎全集」のシナリオには このシーンは登場しません。

 

まあ、とにかく「煙突」です。「塔」です。

 

この煙突の先っぽが二つに分かれちゃっているのは↓↓

失意を表現するのか?

それとも深読みなのでしょうかね??

 

ドイツ趣味の小屋の中には

現存小津作品・皆勤賞の笠智衆!!――(初期作品では脇役です)

 

S101 都は今日も朝から 西風が吹いていた

 

S101 部屋

煙のなびく煙管。通風器。

これを寝乍ら見ている二人。

 

はい。

というように「塔」ではじまり「塔」でおわる。

ひたすら「塔」ばかりの「若き日」でありました。

 

おつぎ。

2、「朗らかに歩め」(1930)

 

「若き日」のあと、

小津安二郎は

「和製喧嘩友達」「大学は出たけれど」「会社員生活」「突貫小僧」「結婚学入門」

という作品を撮りますが、現存しません。

(「和製~」「大学~」は一部は残っている)

 

S1 ビルディング街の裏通り

S2 ビルディングとビルディングの細い道

 

というのですが、

実際に撮られたのは港町・ヨコハマ

 

「煙突」という「塔」がたくさん描かれます。

あとマストとかもありますね。

 

つづいて

大仏のシーン

 

「全集」のシナリオにはこのシーンのかわりに レストランのシーンというのがある。

 

左から 川崎弘子 松園延子 高田稔

 

大仏。

兵頭二十八先生の「日本の高塔」の分類だと 「モニュメント」ということになるでしょう。

 

まあ、巨大構造物ということで

「塔」の一種ということにさせていただきます。

 

「朗らかに歩め」では

「塔」のバリエーションが増えています。

あと……

 

◎主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン。

 

を、律儀に繰り返していることがわかります。

 

以下もそのパターンです。

 

ヤクザから足を洗ってカタギになった仙公(吉谷久雄)

勤め先の社長と 上方をみつめると――

 

これまた更生した兄貴(高田稔)が ビルディングの窓を拭いている。

全集のシナリオだと ホテルのポーターになっている。

だが「塔」という観点からみると、この窓ふきが正解‼ でしょう。

 

ビルディングの屋上のシーン。

お気に入りの通風器がカタカタ廻っております。

「塔」だらけのショット。

 

これはシナリオのS110 ホテルのガレージのシーンに相当するのでしょう。

これまたガレージよりも屋上の方が正解ですね。

 

3作品目。

3、「落第はしたけれど」(1930)

これはあんまり「塔」がでてこないのですが……

 

斎藤達雄が、角砂糖で「塔」をつくるというシーンが強烈です。

 

S37 下宿の二階

 

「塔」をつくるが崩れ落ちます。

わかりやすい失望の表現。

 

しかし「塔」というテーマが首尾一貫していることに

後世のわれわれは感銘してしまうわけであります。

すさまじすぎる、小津安二郎。

 

ラスト……

まあ、斎藤達雄は大学の卒業試験を落第しまして卒業できなかったのですが……

 

卒業した同級生たちは、就職難で、こっちもがっかりしてます。「大学は出たけれど」というわけです。

学生時代は良かったな。というシーン

 

S52 高橋たちの下宿

S53 大隈講堂の時計台が見える

 

左端は笠智衆ですね。

 

◎主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン。

ですが、これは絶望の表現として使われています。

 

4、その夜の妻(1930)

 

ここから、

岡田時彦時代がはじまります。

やっぱりいい役者ですね~

岡田茉莉子のお父さんです。

 

S1 深夜のビルディング街

 

巨大な円柱(塔)

このすさまじい圧迫感……

西洋風の街灯もありますね。

下の方にいるのはお巡りさん。

 

後年の小津安っさんは

画面内に意味不明なモノリス状の物体を挿入して

われわれ観客の感情をモヤモヤさせることに成功するのですが……

 

若い頃からこういうショットを撮っていたわけですな。

ラカンの「現実界」みたいな不気味なショット。

 

巨大資本の権威、権力……そこから疎外された主人公の葛藤、

そういったメインテーマがこのワンショットで表現されます。

 

作品の質、というか感触というか……

後年の「東京暮色」に似てますね。

このひたすら暗い雰囲気。

 

S42 自動電話のある街角

S43 自動電話の中

 

電話ボックスの中から高架線を見上げます。

(自動電話、というのか!)

例の黄金パターンですね。

 

「塔」+「鉄道」というお気に入りのモチーフを撮ってやりたい放題の安っさんです。

 

これは「省線」でしょうねえ。

 

で、ラストもやはり……

◎主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン。

 

S97 病児の部屋

まゆみ、みち子を抱いて這入って来て窓際に駆け寄り、窓をあけて露地を見おろす。

 

おもうのは、

聖母子像のイメージそのまんまだな。ということと、

八雲恵美子 キレイだな……

ということです。

 

S100 露路

周二と香川、立止まって振返り、見上げる。

 

左から 山本冬郷 岡田時彦

 

山本さんというのは ハリウッド映画の経験もある

当時有名な俳優さんだったらしい。

 

 

ふーむ。疲れたので今日はこれまで。

しかし 初期4作品で これだけの「塔」がでてくるとは――

 

はたして全作品制覇できるのか⁉

いつのまにかあやふやになって終わってしまうのか??

塔の作家・小津安二郎 その2 「晩春」壺のショット/「淑女と髭」「東京の合唱」

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――じつは、小津安二郎という映画監督は

ひたすら「塔」を描いてきた人だったのではないか??

 

そんな単なる思いつき(笑)を証明すべく、

1作品1作品 分析しております。

 

前回書きましたように 見切り発車ではじめてしまったのですが――

つらつら考えまするに……

 

これって あの名高い

「晩春」(1949)の壺のショットの解明につながるんじゃあるまいか??

とかいう 予感を抱きまして……

 

ザザッとその予感だけ書いておきますけど……

 

S90 部屋

紀子「……ねえお父さん……お父さんのこと、あたし、とてもいやだったんだけど」

返事がない。

で、見ると、周吉はもう眠りに落ちている。

紀子はそのままじっと天井を見つめて考えつづける。

周吉の静かな鼾が聞こえてくる。

 

とんでもなく美しく 妙にエロい

「晩春」のS90ですが……

 

 

前回の記事「その1」でみえてきたポイントというのはですね。

主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン。

この存在です。

 

小津作品では 主人公が上を見上げると何かが起きるわけです。

上を見上げると物語が急展開する

上を見上げると登場人物の心情に変化が起こる

――わけです。

 

つまり、ですね……

「晩春」の原節ちゃんはですね……

 

「寝てる」のではなくて、

「上を見ている」のですよ!

ここは。

 

「上を見上げる」というと

この角度ほど究極なものはないわけです。

 

「上を見上げる」ショットの究極形が

「晩春」のS90 のこの一連のショットなわけです。

 

そして名高い壺のショット――

 

かつて僕は

2015年6月16日

『小津安二郎「晩春」のすべて その5』なる記事で

https://ameblo.jp/kusumimorikage/entry-12038996925.html

 

この壺の正体は 〇&△ であると偉そうに(笑)喝破したのですが

 

まあ、それは今でも正解だろうとおもっているんですけど、

さらにいうと、

 

主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン。

 

この壺は――

旅館の部屋に置かれた小さな「壺」は、

究極の「塔」なのではあるまいか?

 

小津には この壺のショットの偉大さがわかりきっていたのでしょう。

そしてあとあと 有象無象の評論家どもが このショットに関して ああでもないこうでもないと

論争を繰り広げることも――

ひょっとして映画史上もっとも謎めいた1ショットになるかもしれないことも。

 

「晩春」S90の直後に登場する S91が竜安寺の石庭であることも 「なにか」を暗示しています。

 

つまり、この「壺」は

小津作品史上 最小の「塔」であると同時に、

最大の「塔」でもあるのでしょう。

 

もちろん「天井」をみている紀子(原節子)には

「壺」は見えるわけがないです。

だが、そういう人にはこう反論しましょう。

 

「若き日」の若者二人は煙突を本当にみているのか?

「朗らかに歩め」の登場人物たちは大仏を、ビルディングを本当にみているのか?

 

すべてはわれわれ観客の頭の中にしか存在しないアクションではないですか?

 

原節ちゃんはどうかんがえても「壺」をみているのです。

 

まあ、だいたいの輪郭は書いてしまったのですが、

1作品1作品みていくうちに

また新たにわかることもあるかもしれない。

 

□□□□□□□□

では、分析続けます。

 

5、「淑女と髭」(1931)

 

岡田時彦主演のコメディです。

この作品では

・主人公がヒロインに出会うシーン

・ヒロインが主人公の住むアパートに向かうシーン

という大事な場面で「塔」が登場します。

 

ただ漫然と「塔」のショットを出したりはしませんね。やはり。

 

S3 道

ヒゲムシャの岡島が、行本の家へ行くために歩いて行く。

ステッキをついて――

 

S4 向う

おとなしそうな一人の娘を、洋装のモガが脅迫している。

娘、にげ出そうとする。

モガが追っかけて娘をつかまえる。

 

主人公とヒロインの出会いのシーンが

「電柱」「ビルディング」「煙突」

と、「塔」だらけです。

 

ついでに書いておくと、1930年代はじめの東京は

関東大震災の爪痕で 空き地が多かったようです。

 

主人公、不良一味をやっつけます。

 

S4

おぼえてやがれ!

髯っ面‼

 

立ち去る主人公の背後に

ニョキニョキと電柱の列が。

 

こんどは終わり近く

ヒロインが主人公の住むアパートに向かうシーン――

 

S34 街

浮き浮きした顔をして広子が歩いている。

 

ヒロインの川崎弘子が、

おなじみの見上げるポーズをとります。

 

登場人物がうえを見上げる。

その時なにかが起ります。

 

主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン。

です。

 

ここで注目したいのは、視線の先が

どこか女性的な雰囲気の建物であること。

 

川崎弘子がみる光景が

「若き日」の屹立する煙突や

「朗らかに歩め」のモダン建築では

ちょっと違和感があったでしょう。

 

深読みしてしまえば、この光景は

ヒロイン・広子が 主人公・岡島と一緒に築いていくのであろう「家庭」の象徴なのかもしれません。

 

おつぎ。

6、「東京の合唱」(1931)

 

映画史的にみると、

→気楽に撮ったコメディ「淑女と髭」がけっこうウケる。

→気合いれまくって撮った ハーフ美女井上の雪ちゃん主演「美人哀愁」で大スベリ……

→で、「映画」とはなにか わけがわからなくなってしまった小津安っさんが撮ったホームドラマがこれ。

ということになります。

とうぜんのことながら この「東京の合唱」が、

戦後の傑作ホームドラマ群の先祖・先駆けとなっていくわけです。

 

あ。「美人哀愁」はネガ・プリント現存せず。 小津作品史上最長の作品であったそうです。

 

S1 学校のグラウンド

しょっぱな

すっくと真っ直ぐ立った構造物(塔)だらけです。

 

電柱、街路樹

教師と生徒たち

 

左端は……シナリオでは「肋木」と書いてあります。

運動用の器具です。

 

岡田時彦&斎藤達雄

これもひょろ長く すっくと立っている物体二つ。

 

オープニング近くではやばやと

上方を見上げるポーズが出現します。

 

岡島、肋木の傍で上衣をとり、またシラミを取る。

腰を下ろし、肋木にもたれて、煙草など取り出し、マッチをする。

仲々、火が点かない。

一服して、空を仰ぐ。

 

肋木越しに、大木のポプラの梢が、風にそよいでいる。

 

主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン。

ですので、

木はすっくと塔のように立っていなければならないわけです。

 

S2 岡島の家

 

次のシーンではネクタイを締めようとしていて

おしゃぶりをくわえている……

一瞬で 家庭を持つ勤め人であることが観客にわかる。

 

そうです。もちろん上方を見上げるポーズ……

 

サイレンの音に、ふと窓外を見る。

窓からは町工場の細長い煙突が見え、始業の煙が上り始めている。

 

もちろん 上を見る→塔という

お決まりの黄金パターンですが、

 

なるほど「始業の煙」ですか。

「やれやれ、また一日始まったな……」というサラリーマンの心理描写も入っているわけですね。

 

S20 岡島の家附近の野原

 

S17で岡田時彦は会社をクビになってしまうわけです。

しかし、その朝

息子に「二輪車」を買ってきてやると約束してしまっていた。

(当時、自転車ではなく二輪車といってたのかしら?)

 

で、仕方なく 「スケート」を買ってきた岡田時彦

ぶんむくれる息子というシーン。

 

↓↓このショットはニコニコしてますが、直後ぶんむくれます。

 

背景には塔(電柱)の規則正しい配列。

 

どうも、ですね。

「東京の合唱」にでてくる「塔」は

ビターな味がします。

苦いです。

 

「若き日」~「淑女と髭」の「塔」がもっていた

楽天的で 晴れやかなイメージ、

あれがまったく消えてしまっています。

 

理由は何なのか?

・小津自身の進化がここにあらわれているのか?

・気合いいれまくった「美人哀愁」(井上雪子主演)が完全にコケたせいなのか?

・憧れの井上の雪ちゃんを斎藤達雄にもっていかれてしまったその絶望のせいなのか?

 

「美人哀愁」にはどうも

シナリオを見る限り

岡田時彦が霊柩車の中に入って 自宅まで送ってもらう

完全にイッちゃったシーンなどがあったらしいのですが、

(見たい!)

 

この頃、小津安っさんの中で

「なにか」が死んでしまったことを暗示するのかもしれません。

 

S23 オフィス街

換気の吐き出し口の煙突の向うに、ビル群が見える。

 

字幕が

「失業都市東京」ですからね。

しかし……

コロナ騒ぎの今、

現実になりつつあり、なんともいえませんがね。

 

戦後の作品群にも出て来そうなショット↓↓

 

しかし、戦後のビル群のもっている明るさに比べると……

気のせいか、重いイメージ。

 

S34 医院の前の道

長男を背負った岡島の姿が見える。

去りかけて、上を仰ぐ。長男、窓際のすが子を見つけ、

「ママ!」と手を振る。

 

S35 入院室の窓際

すが子、寂しく微笑して頷いてみせる。

 

例の上を見上げるショットです。

そして「その夜の妻」のラストシーンの変奏曲でもあるわけですが――

 

八雲恵美子が寂しげなのは

ダンナが自分の着物を質に入れて

娘(デコちゃん・高峰秀子!)の入院費を捻出したことを

うすうす気づいているせいなのでしょうか?

 

とにかく苦い味の「東京の合唱」です。

 

S42

芝職業紹介所の表

入口の石段に、失業者らしき人たちが腰を下ろしている。

遠くに、ガスタンクと工場の煙突が見える。

心なしか、煙突の煙も薄い。

 

しかしこのあと岡田時彦は

恩師の斎藤達雄に出会い、

就職先を世話されるという展開ですので……

 

やはり

上を見上げる→塔

という一連のシークエンスは

物語の展開点にあらわれるわけです。

 

このあと、

岡田時彦が斎藤達雄と一緒に 街でビラ巻きをしているところを

奥さんの八雲恵美子に見つかりまして

で、

当時、インテリ階級のものが

ビラ巻きなんぞするのはみっともないということだったらしく、

夫婦喧嘩勃発ということになります。

 

S51 岡島の家

岡島、立って、着替えながら、ふと窓外を見ると、

町工場の細長い煙突から、力なく煙が立ちのぼっているのが見える。

ズボンを脱ぎ、しゃがみ込んで、今度は裏の方へ眼をやると、

ロープに干された洗濯ものの背後に、柳の木が見える。

 

岡島、自嘲するように、

「おれも、近頃は

だんだん

青年らしい覇気が

なくなって来たなァ」

 

にしても、

失業者夫婦の若奥さんにしては

ずいぶん派手でモダンなお着物の八雲恵美子――

 

・上を見上げる→煙突

・上を見上げる→柳の木

と二段構えになっているのが このシーンの特徴でしょう。

 

そして家族は「都落ち」するわけです。

といって栃木県に移住するんですけどね。

 

考えてみると

「東京の女」「東京の宿」

「東京物語」「東京暮色」――

「東京」がタイトルに入る作品では 必ず「東京」は否定的に描かれるわけです。

 

その最初が、この「東京の合唱」でした。

塔の作家・小津安二郎 その3 「生れてはみたけれど」

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小津安二郎というひとは

「塔」――

(塔状の構造物……塔・ビルディング・電柱・巨大な像・巨樹等々)

を描きつづけた人なのではあるまいか?

 

という観点から、小津の全作品を見直してみようとやっております。

その3です。

 

今回は 大・大・大傑作「生れてはみたけれど」なんですけど。

これは正直 心が折れかけました――

というのは

電柱がひたすら出現する映画

だからで……

 

A.この電柱は意図的なのか?

B.それとも、たんに電柱の多い場所をロケ地に選んでしまっただけなのか?

 

この判断に迷うところでした。

が、しかし……まあ、以下、みてみます。

 

□□□□□□□□

7、「生れてはみたけれど」(1932)

 

S1 郊外の道

左の後輪をぬかるみに落したトラック

――タイヤが空廻りしている。

運転手、窓から首を出し、何とか脱出しようと、

懸命にエンジンをふかす。

助手席に乗っていた父親(吉井健之介)、

腐った顔で降り、トラックの前に廻ってみる。

 

S1から電柱だらけなのです。この作品は。

 

スタックしちゃってます。

 

最近、CSでやってた「水曜どうでしょう」のアフリカで

トヨタのランクルがスタックして大騒ぎというシーンを観ましたが――

 

ここはアフリカのサバンナではなくて トーキョーの郊外です。

戦前の日本の道がいかにひどかったか、というシーン。

 

まあ、ご覧のように電柱だらけです。はい。

 

↓↓ 左側:良一君(菅原秀雄) 右側:啓二君(突貫小僧)

 

ただ、シナリオに(小津安二郎全集)

 

やけに電柱ばかりが目立つ新興の郊外の道をトラック遠ざかる。

吉井、微苦笑で見送る。

 

というのがあり、

やっぱり 「電柱」(塔)の群れは

意図的なのだろうな、というのはわかります。

 

S10 原っぱ

 

太郎達、相撲を取ったりして遊んでいる。

良一、啓二と一緒にやってくる。

啓二「あいつ等だよ」と指さす。

太郎、亀吉、鉄坊、その他が近づいて来る。

 

ガキ大将の亀吉君たちの背後は「塔」だらけです。

 

この記事の主題は「塔」なんですけど――

 

履物の種類にどうしても注意がいってしまいます。

 

主人公たち(良一&啓二)は下駄

(この下駄は武器にもなります)

 

亀吉君たちは靴を履いてます。

(亀吉君は長靴!)

 

この違いがなんだか説明がつかず、おもしろい。

 

小津作品に登場する履物の分析もやってみたらおもしろいかもしれない。

 

ちなみに――「生れてはみたけれど」 ご覧になっていない方に説明すると

主人公たち一家は そこそこ大きな会社のサラリーマン家庭なので

 

「下駄」―「靴」 は、社会階層の違いを示しているモノではなさそうです。

 

で、引っ越してきた翌日の朝。

電柱のクロースアップなどあり、

やはり電柱(塔)へのこだわりがわかります。

 

この一連の朝の場面は

全集のシナリオには登場しません。

 

シナリオのS11 S12 あたりになるのでしょう。

 

斎藤達雄はなにをしているのかというと

エクスパンダ―で 体操しているのです。

 

ハリウッド製のホームドラマでこんなシーンがあったりしたのでしょうか?

ともかく

背後には「塔」だらけです。

 

ああ。そうそう、目の前に電車が走っているという設定。

 

踏切――これもお気に入りのモチーフですね。

後年の「麦秋」「東京暮色」……

 

踏切の背後に火の見櫓(塔)

 

これまでの説明で

「なんかこじつけだな……」

「電柱、電柱って 単に1930年代の東京の郊外が電柱だらけだったってことじゃ??」

と思われた方も多いかと思うのですが――

 

S51 で↓↓

主人公たち兄弟が 策略で亀吉君をやっつけるシーン――

 

この物語の展開点で、

実に印象的な送電塔が登場するあたり↓↓

 

もうこれは、確実な証拠と言ってよいのではないでしょうか?

やはり 小津安っさんは「塔の作家」なのです。

 

良一・啓二は 酒屋の小僧の新公に 亀吉君をやっつけてもらいます。

(兄弟のうちは酒屋さんのお得意さんである)

 

しかし……ブサイクな形の送電塔ですなーー

 

ここでも↓↓

「下駄」―「靴」の対比というか 対照というか……

 

なんなのでしょうね?

どなたか詳しい方、教えてください。

「下駄」「靴」問題。

 

えー はなしがわき道にそれました。

 

S59 夜の道

良一と啓二、考え込みながら帰って来る。

 

夜の道のシーンは 電柱の列があらわれます。

 

えー で、

物語もおわりに近づきまして――

ここでようやく……

主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン。

 

この黄金パターンをようやく最後の最後になって出してくる小津安っさんであります。

 

「東京の合唱」では、なにかというと

岡田時彦が上を見上げていたのですが、

 

「生れてはみたけれど」では、

とっておきの場面にとっておいた感じがします。

 

S69 茶の間

英子、お皿にのせた五、六個のおむすびを持って、庭に降りてくる。

子供達、一瞬振り返るが、すぐ又背を向けてしまう。

 

「生れてはみたけれど」では

単に「見上げる」のではなく、

 

振返りつつ、見上げる と、なっているのがポイントで、

ただ単に 前作の繰り返しはしません、小津安二郎。

 

あと、

塔+母

塔+父

というのポイントでしょうねえ。

 

子どものみる「父」「母」は、ほんとに巨大な存在です。

まあ、斎藤達雄なので なおさらデカい。

 

「食べる」という――小津映画では家族同士でしかしない行為。

(学生仲間、軍隊の仲間は「家族」同然であるらしく 一緒に「食べる」シーンがある)

 

 


塔の作家・小津安二郎 その4 「非常線の女」の教会は横浜山手聖公会である。

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えー、順番通りにいくと

「青春の夢いまいづこ」→「東京の女」→「非常線の女」

なのですが、

 

ちと先回りして はじめに「非常線の女」のことを書きます。

というのも……

 

名高き

田中絹代×水久保澄子

の、キスシーンの背後に写っているのは……

 

あれはカトリック山手教会だ、

などと たわごとを書いている人をウェブ上で発見したからで――

 

ちなみに

カトリック山手教会

はこんな↓↓

まったく違いますよね。

 

コロナ騒ぎ以前でしたら、

休日にひとっ走り

横浜に行って

写真撮ってこれただろうに、

それもできないので

グーグル様のストリートビューの画像を拝借しました。

 

撮影したのは2016年7月だそうです。

 

設計者はヤン・ヨセフ・スワガーなる人。

聖路加国際病院もこの人の作品らしい。

(聖路加は「彼岸花」に出てきますね)

アントニン・レーモンド先生の事務所の一員だったとか。

 

この建物は1933年竣工。

何月竣工なのだろう?

「非常線の女」の撮影は1933年の3月です。

 

撮影の頃、完成していたのか、どうなのか?

 

正解はこっち↓↓

横浜山手聖公会

 

これもストリートビューの画像を拝借。

撮影したのは2019年6月だそうです。

 

設計者のJ・H・モーガンというのは

根岸競馬場のあの人だ。

1931年竣工なので

とうぜん1933年3月よりも前です。

 

根岸競馬場もそうだが、デザイン的にはちょっと、単調かな……

 

もちろん立派な「塔」がありますね。しかし……

 

教会の真ん前で

レズ・キスシーンを撮るなんて

なんて不謹慎な‼

 

――と、生真面目なトマス・ピンコは 常々憤慨していたのですが(笑)

 

考えてみると、あれでしょ、英国聖公会って、

なんとかいう王様が カミさんと離婚したいがために作った宗派でしょ??

 

その意味で、このシーンの背後に

山手聖公会が登場するのはふさわしいのかも。

 

あと小津安っさんの英国趣味も考えたいところです。

 

↑↑何度みてもかわいい

水久保澄子たん……

 

□□□□□□□□

もとい、順番通りにみてまいります。

 

8、「青春の夢いまいづこ」(1932)

 

はっきりいって失敗作。

――というか、「生れてはみたけれど」の子役がケガをして

(骨折かなにかか?)

その間 ぽっかり空いた時間に撮られたという……

 

あまり気合が入っていない一作。

 

そのせいか、「塔」のショットも気合が入っていない気がする。

 

しょっぱな、例の

主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン。

 

ですが、

 

だから、何が起きるわけでもない。

しいていえば……

 

上を見上げる斎木(斎藤達雄)の将来の伴侶

お繁(田中絹代)が登場するというくらいかな。

 

↑↑こんなモダンな看板の「ベーカリー・ブルーハワイ」ですが、

 

そこの看板娘の田中絹代たんは

しっかりお着物を着ている。

 

しかし、こうもセクシャルなショットって……↓↓

これより前にあったかな??

 

これも「塔」のショットといえなくもないですね。

 

これは「全集」のシナリオにないシーンですが↓↓

大学の教授たちが上を見上げる。

 

そして「塔」――

 

ですが、これまた何が起こるわけでもなく、

強いていうと、

主人公の江川宇礼雄が、

求婚者・伊達里子のクルマを発見するシーンに繋がるぐらいのことか。

 

「朗らかに歩め」「淑女と髭」では

なんかもっさりした洋装をしていた伊達里子ですが、

 

ちょっと垢抜けた感じ↓↓

 

えー 「青春の夢いまいづこ」というと、

 

S71 空き地

友情の鉄拳だ!

骨身にしみて覚えて置け!

 

という誰しもうんざりしてしまう暴力シーンですが、

 

江川宇礼雄が斎藤達雄をぶん殴るシーンの背後に

 

 

ざわざわと揺れる木。

これは「塔」とみたいところ。

 

だがしかし

転んでもただでは起きない小津安二郎。

失敗作でも なにか見所はあります。

 

S74 ビルディングの屋上

哲夫と熊田と島崎が、屋上の末端に並んで、

遥か向うの高架線を見おろしている。

哲夫が明かるく指さして言う。

「いた! いた!

窓からこっちを見て

手を振っている!」

 

ビルの屋上から手を振る――

後年、「秋日和」で司葉子&岡田茉莉子がやるやつです。

 

左から↓↓

伊集院光……じゃなくて 大山健二

江川宇礼雄

笠智衆

 

主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン。

 

田中絹代が上を見上げれば……

 

「塔」がみえる。

 

1930年代の帝都。

仁壽生命(じんじゅせいめい)本店 内幸町にあったらしい。

 

キャメラマンの厚田雄春が

小津組では

鉄道の場面は実物を使う、といってたから、

 

この客車も実物なのでしょう。

セットではなく。

 

ということは、やっつけ仕事のようにみえて

案外そうでもないのか。

 

「鉄道」というのを大々的につかった初めての作品かもしれない。

まー失われた作品がたくさんあるから、

なんともいえませんがね。

 

「若き日」「東京の合唱」では市電がでてきましたが、

高架線を走る省線がでてきたのは……「その夜の妻」くらいかな??

 

おつぎ。

9、「東京の女」(1933)

 

この作品の制作過程は 「全日記 小津安二郎」で辿ることができます。

1933年お正月から 池田忠雄と「非常線の女」のシナリオを書いていたようなのですが、

1/24(火)次長から「いそぎもの」の撮影を頼まれる、という記事がでてきます。

 

1/24(火) 1/25(水) 湯河原の中西旅館にて

小津、野田高梧、池田忠雄の3人でシナリオ書き

1/26(木)

配役決定

1/27(金)~2/4(土)

撮影 (たった9日)

 

2/9(木)

「東京の女」封切り!!

 

サイレント映画時代のすさまじいスピードがよくわかります。

 

つまり小津安っさんにとってはあくまで

主→「非常線の女」

従→「東京の女」

という意識のようですが、

しかし この映画 よく作りこんであるし、

シナリオも無駄がなくて いい感じ。

 

S1 アパートの一室

 

岡田嘉子のお姉さんが働いて

大学生の弟、江川宇礼雄を養っているという設定。

だが、岡田嘉子は 昼間の会社勤めが終わると

夜はいかがわしい酒場に働きに出ていてーー

 

そのことを知ったウブな江川宇礼雄は自殺しちゃうというはなし。

 

「靴下」「足袋」↓↓

足フェチの小津安っさんには欠かせない小道具類。

 

あ。「塔」のはなしでしたね。

通風器がすぐとなりでカラカラ廻っています。

 

岡田嘉子、上方を見上げる。

 

と、ここにも塔(煙突)が。

 

オープニングにいくつか登場したきり

「塔」はまったく姿をみせなくなり……

われわれをやきもきさせるのですが(笑)

 

後半も後半になって、

突然、岡田嘉子が上を見上げます。

 

S49 家の前 格子先

時計屋の小僧が来て、格子外から言う。

「木下さん! 電話ですよ!」

 

S50 一室

ちか子と春江、その声で顔を見合う。

春江、涙の跡を拭いて、ちか子に会釈して立って行く。

ちか子、その姿をじっと見送る。

 

というこのあたり。

 

部屋に残されたちか子(岡田嘉子)が

ふと……

 

主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン。

 

なのですが、

その視線の先は

なんと

振り子時計!……

 

肩透かしを食らったわれわれはしかし……

絹代たんの背後に映し出される 無数の時計に呆気にとられます。

 

時計屋さんだから当然なのですが――

 

このシークエンスは見事。あざやか。

 

電話の主は 田中絹代のお兄さん役の奈良真養で、

 

S56 警察の電話

木下、ためらいながら決心して言う。

「自殺したんだ」

 

……で、たまらなくエロい 岡田嘉子の泣き姿とかに

つなげちゃうわけですが……

 

絹代たんもかわいいわけですが、

 

時計→時間。

そうか、時間ほど大きなものはない。

そしてあの振り子時計は 弟の「死」をもまた象徴していたわけだから……

 

主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン。

この公式はやっぱり間違っていなかったわけだ。

などと強引に確認するわけです。

 

ラストも「塔」で締めくくります。

 

次回は

「非常線の女」をみていこうとおもいます。

塔の作家・小津安二郎 その5 「非常線の女」①

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で、ようやく……

 

10、「非常線の女」(1933)

なわけですが、

書くことが色々あるので何回かに分けます。

 

「その2」だったか、「晩春」の壺――

あれが「塔」だったんじゃなかろうか?

などとめちゃくちゃな推論を書いたのですが、

 

「非常線の女」では

この白いポットが↓↓

「塔」なんじゃなかろうか? と疑っております。

 

また暴論を吐きます(笑)

シナリオの

S93・S94 あたりで

田中絹代の演じる時子が目にする、あの白いポットです。

金持ちのボンボンに口説かれた時子が

やっぱりケンカ別れした襄二(岡譲二)のところに戻ろうと決心する、

あのポットです。

 

S24 襄二の部屋

一同入り来る。

各自にくつろぐ。

襄二、乱暴にオーバー上着など脱ぎ、放り出す。

時子、ガスストーブに点火してから、襄二の着物を

世話女房らしく片づける。

彼女、ふとみさ子の方を見る。

 

このあたりにはじめて白いポットが登場します。

 

で、小津安っさんがすさまじいのは、

塔=白いポット=時子(田中絹代)

この構図でしょう。

 

田中絹代=白いポット

というイメージ操作をするために、

逢初夢子の黒いドレスは選ばれたのだとおもいます↓↓

 

ちなみに「全日記小津安二郎」には――

 

1933年2月18日(土)

絹代 逢初と大木に非常線の女のドレス注文に行く

 

等々 ドレス関連の記述があり、衣装には気合が入っていることが

うかがい知れます。

 

↑「黒」の逢初夢子

(いかにもワルそうに写ってますが、この何年かあと 「隣の八重ちやん」の

清純そのもののヒロインで大ブレイクします)

 

に、対して、

↓「白」の田中絹代

 

あたいなんかのことで

本気で気をもむ

お前さんかい?

 

今夜もホールで三度も

みさ公の頬っぺたに触った

じゃないか!

 

痴話げんかのシーンで――

 

蓮實重彦先生あたりも お気に入りらしい、

絹代たんのセクシーショット……

 

これも「塔」のショットとみたいわけですよね。

わたくしは。

 

つまり、ものすごい複雑なイメージ操作をしているわけです。

まず逢初夢子と田中絹代の 「黒」「白」の対比で

田中絹代=「白」のイメージを作る。

 

つづいてドレスがはだけてしまう あのセクシーショットで

田中絹代=「円柱」=「塔」のイメージを作っているんだとおもいます。

 

そして観客は無意識に

塔=白いポット=時子(田中絹代)

この構図を植え付けられてしまうわけです。

 

彼女が円柱状のタバコを持っているのも効いています。

 

小津安二郎にリアリズムとか 自然主義とかを求めると痛い目に合います。

この天才は

スクリーン上の幾何学的な操作にしか興味がないのだとおもわれます。

 

逆に言うと――

小津映画をみて

「これは不自然だ」とか 「これはリアルじゃない」とか いう反論は

野暮の骨頂で……

 

小津本人からすれば

笑止

でしかなかったでしょう。

 

で、この

塔=田中絹代

が出現した直後に……

 

重要人物の宏(三井秀夫)が登場するという流れです。

 

S24

宏公の奴、いっぱし与太モンに

なりやがったなあ

 

S25 街(昼)

仙公が、与太モンの一人にそう言って、

一方をアゴで指す。

 

というこのあたり、

街をあるく宏――三井秀夫の背後は

電柱(塔)だらけ。

 

……にしてもオサレな街並みです。

どこで撮ってるんだろ。

 

S26 ショウウインドの前

 

背後の街灯 ビルディングも「塔」とみたいところです。

 

んで、水久保澄子登場!!

「塔」が出現すると、何かが起きます。

 

S28 店内

レヂスターの所に、宏の姉、和子がいる。

真面目な温和しい娘である。

彼女、客を迎える様に立ち上る。

が、弟と分ると、一寸困った顔。

 

以下、書物からの引用です。

 

水久保澄子

 大正五年、東京生れ。洗足高女中退後、松竹楽劇部をへて、蒲田に入社。昭和七年、菊池寛原作、成瀬巳喜男監督の「蝕める春」でデビュー。その名の通りみずみずしい可憐さで人気をよんだ。それ以前の女優といえば、いかにも華やかな美しさを第一条件とするものがほとんどだったが、喜劇や毒婦型、猛女型を別にすれば、物語のヒロインで美人でないものはまずいなかった。そんなところへ、この子供っぽい、事実、まだ女の匂いなどすこしもない少女が、隣り近所の娘さんとつき合う気易さで出現したのだ。

(社会思想社・教養文庫、猪俣勝人・田山力哉著「日本映画俳優全史・女優編」267ページより)

 

小津安っさんはこの人のどんなところに惹かれたのだろう?

以下、「全日記小津安二郎」

 

1933年6月29日(木)

キャンデーでクリームソーダをのんで水久保に会ふ

 

9月20日(水)

昨夜 さむざむとした藁ぶとんの寝台で夢をみた

服部の大時計の見える銀座の二階で

僕がビールをのんで

グリーンのアフタヌンの下であの子はすんなりと脚を重ねてゐた夢だ

 

11月15日(水)

一寸会つて話をしてゐる間に前歯にプラチナを入れたことに気がついた

 

等々……等々……

(クリームソーダなるものはこの頃すでにあったのか……)

 

水久保澄子出演作品をいろいろ見てみたいものだが、

「非常線の女」以外だと、

「玄関番とお嬢さん」(1934)という トーキー映画のほんの抜萃だけしかみたことがない。

 

以下、2枚 「玄関番とお嬢さん」↓↓

 

どうもアイドル女優というような扱いだった彼女を……

 

いたずらっぽく笑っちゃってるこの子を↑↑

 

割烹着なんか着せて、

ひたすら無表情で、

セリフといえば 弟を叱ってばかりというキャラクターを演じさせたのは

ひねくれ者の小津安っさんっぽい。

 

S32 和子と宏のアパート

このごろ

一緒にお夕飯たべた事あって?

 

一日のこと

楽しく話し合ったことあって?

 

で、そんな水久保澄子が

不良化しつつある三井秀夫を 更生させるべく……

 

不良の親分の岡譲二のところに会いに行くという流れですが……

 

まあ、けっきょく岡譲二は水久保澄子に惚れちゃうわけですが、

 

S36 街角

襄二、やって来る。身構えにすきなく、

四辺を見廻す。不審そうな顔。

誰も居ない。

角の反対側に、和子が立っている。

待ち兼ねた様に角へ出て四辺を見る。

襄二、和子に気付く。が売笑婦か何かと思い、

意味なく彼女のアゴなど触り、からかう。

 

このシーンは

たいていどのショットも 円柱状の「塔」があらわれます。

 

街灯だったり、排水のパイプだったり――

 

そしてタバコ。

 

あれでも

私のたった一人の

弟なんですの

 

どうぞ

貴方から

以前の宏になるように

仰有って下さい

 

こっちで引っぱってる

訳じゃないし、

そいつは一寸

お角が違いますね

 

アンチ小津が理解に苦しむ まったく視線の噛み合わない二人……

だが、小津ファンはこれがたまらないのよね……

 

そして、すごい構図の画面ですよ、これは↓↓

 

愛しの水久保澄子たんを真ん中に置かず……

「オレは塔(パイプ)を撮りたいんだ!」

とごねる天才・小津安二郎……

 

しかし、こんな変人では女の子の気持ちはつかめませんなぁ……

 

S38 クラブの外

襄二、宏に、

諦めてまともになれよ

宏、襄二を見る。

 

三井秀夫がベルトを持ってもぞもぞしてますが、

次回作「出来ごころ」で

大日方伝が伏見信子をみながらこんな動作をします。

 

彼らに限らず、小津作品において 手をもぞもぞさせるのは恋愛感情をあらわしています。

 

お前なんかどうせ

ロクな与太者になれっこ

ねえんだ

 

宏、口惜しそうに見る。

何か言おうとする。

と、襄二、いきなり宏をなぐる。

 

つまり――「非常線の女」は

異性愛(田中絹代&岡譲二 水久保澄子&三井秀夫)が

同性愛(田中絹代&水久保澄子 岡譲二&三井秀夫)に勝つ。

 

そういう物語である、という なんかフェミニズム批評めいた見方も可能です。

というか、上野千鶴子あたりがみたら そういう洒落くさいことを言いそうだな。

 

立ち去る岡譲二。

 

パイプだらけ。

なんだか大友克洋のマンガみたいです。

インダストリアルな。

 

たぶんこういうたまらなくカッコイイ画面とかに

山中貞雄は熱中したのかもしれない。

 

えー、で、

前回かるく触れました。

レズ・キスシーン。

 

S85 両人、肩をならべて歩いている。

 

ちょっとわかりづらいのですが……

田中絹代のお尻の左隣あたり↓↓

 

これって 神奈川県庁のキングの塔じゃないですかね??

まあ、なんにせよ、「塔」です。

 

私、襄二の

身内の者なんだけど……

 

和子、「まあ」と見る。がすぐ、親しげに笑って、

 

あの方には弟の事で、

とてもよくして

頂いてますの

 

電柱……木……「塔」です。

 

この映画で水久保澄子が笑顔をみせるのは

このショットだけかもしれない。

いや、たぶん、そうです。

 

時子、苦笑、

だからってあたしまでが

お前さんの味方じゃないわ

 

重ねて、

ことによると

敵同士かもしれないわ

 

で、横浜山手聖公会の登場。

「塔」です。

 

時子の手にピストルが、こちらを向いている。

彼女、やがてピストルに目を落し、

ピストルを和子の方へ差出す。

 

なぜ小津は女にピストルを持たせたがるのか?

 

あんた、これで

あたしを撃ちたくない?

 

和子「いいえ」と首をふる。

時子、「じゃあ……」と持ちかえる。

 

じゃあ

あたしが撃つわよ

 

シナリオでは「手を握る」と書いてありますな~

検閲とかなにかを意識したのだろうか?

 

検閲官「む、こ、これは……けしからん」

小津「なにがです?」

検閲官「キ、キスシーンではないのか?」

小津「やだなー、手を握ってるんですよ。手を」

検閲官「む」

小津「シナリオに書いてあるでしょ。やだなー」

 

とか勝手な会話を想像してしまう。

というか 当時キスシーンがアウトだったかどうか知らないですけど。

 

あたし、

憎いけど

あんたが好きになっちゃった

 

 

のちの大監督の木下恵介が、

この撮影を手伝っていて、

小津の構図への異常なこだわりにうんざりしたらしいのだが――

 

こういうのでしょうねえ↓↓

ロケなのにセットみたいにぴっちり決まってますね……

ああでもない、こうでもない、とキャメラを動かしたんでしょうねえ。

 

おそろしいですね。

田中絹代もこの道を何十回と歩かされたのかもしれんですね……

 

 

 

で、

このシーンのおわりに こんな「塔」が出現するのですが……

 

これってなんですか?

ご存知の方 ご教授願います!!

 

気象台のなにか? ですかね。

なにを測定するんだ?

 

清水宏の「港の日本娘」にも この「塔」は登場していて……↓↓

それによると どうも外人墓地のとなりに この「塔」はあるらしいんですが。

 

これは気象台の施設かな??

 

んー 清水宏は広角レンズが好きなのね~

次回に続きます。

塔の作家・小津安二郎 その6 「非常線の女」②

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ようするに

一番大事なことは常に隠されている――

……わけです。

 

今回のコロナ騒動でも同様で

常日頃報道されている

・首相のカミさんがどうこう、とか

・芸能人の軽はずみな行動・発言、とか

・マスクがどうこう、とか

そういう話題は「表層」にすぎず、

 

最も重要なはなしというのは……

・極東アジアの平和を守っている

アメリカ海軍が機能不全に陥っている。

というそのことなはずです。

 

軍艦というのはアレです。

三密どころの騒ぎじゃない密集度合だからです。

 

ロナルド・レーガンもセオドア・ルーズベルトも(原子力空母)動けない今、

中共海軍は暴れまくっているらしいし……

(中共は人権などないから 軍人に非人道的な扱いができるため

けっこう動けるようだ)

北朝鮮のおデブさんの情報が錯綜しているのも

けっきょくアメリカ海軍がヤバい、ということにすべては起因しているわけで……

(こんなケンカできない状況で 厄介ごとを起してほしくない、ということ。

真相はもう判明しているのではあるまいか?)

 

こういう「一番大事なこと」は 優秀な日本のマスコミは気づくはずがないし、

アメリカとしても報道されたくないわけで――

 

以上、100%兵頭二十八先生の受け売りなんですけど……

 

□□□□□□□□

小津もやっぱり常に大事なことは隠している。

そのことを書いております。

 

「非常線の女」の続きです。

 

田中絹代×水久保澄子のレズ・キスシーンのあと、

 

S86 襄二の部屋

岡譲二の部屋を写す かっこいいショットからはじまります↓↓

 

通風器という「塔」が壁に映っております。

というか、このチラシだか新聞だか、どこから調達してきたんでしょうかね?

 

時子、抽出しの処へ行きピストルを仕舞う。

襄二、ギョッとし、

お前、

「下らねえ真似したんじゃ

あるめえな?」

時子笑って

「お前さんがあの子好きになった

気持分るわ」

 

↓↓岡譲二、田中絹代の分身である「白いポット」に触っております。

これも「塔」なんじゃあるまいか? などと前回書きました。

 

「でも、あたいだって、

ああ言う女に

なれないことないんだよ」

言いつつ紙包みを開ける。

パンや罐詰めが出る。

「どう?」と見せる。

襄二、無言で見返す。

彼女、続いて次の紙包みから、毛糸と編棒を出す。

 

ここで小津が隠している「大事なこと」は

BLACK&WHITE

 

白と黒、でしょう。

白と黒の毛糸。

白と黒のストライプの服。

岡譲二もやっぱり白と黒の組み合わせの格好です。

 

BLACK&WHITE には生涯こだわったのではあるまいか?

 

「彼岸花」(1958)の S56 バア・ルナのシーンですが↓↓

襄二の部屋のセット同様

まあ、どこから見つけてきたんだというポスターが貼ってあります。

 

にしても、画面手前の電話機の「赤」が強烈。

(佐分利信の家のラジオも真っ赤なんだよな)

 

ああ、そうそう、「彼岸花」

小津安っさん最初のカラー作品ですね。

 

1933年の作品に戻りまして――

背景の「鏡」にもご注目↓↓

どうも小津作品において「鏡」は、

女性の二面性をあらわしている小道具のようにおもえます。

 

一番わかりやすいのは「東京の女」でしょうか。

岡田嘉子がしきりに鏡をみます。

戦後の作品ですと「東京暮色」のネコちゃん。

 

「靴下」という

小津のお気に入りの小道具。

 

真面目に生きて行こうと時子が言い出したことで

ケンカがはじまります。

 

「あたい此頃、

お前さんに荒い仕事して貰うの、

何だか心配になって来たの」

襄二、キッと見返す。

強い調子で

「俺がドヂを

ふむとでも思ってんのか⁉」

「俺が頼りにならねえとでも

いうのか⁉」

 

田中絹代と白いポット――

田中絹代とサンドバッグ――

 

これまた

BLACK&WHITE

 

ポットにしろサンドバッグにしろ 円柱状の物体です。

「塔」かな。

 

岡譲二の背後に通風器(塔)

 

田中絹代と通風器(塔)

 

「どうせあたいは

ずべ公だよ!」

「どうせあたいは

ずべ公だよ!」

 

と2回繰り返されるセリフが強烈です。

 

こんなにかわいい服を着て「ずべ公」と言われても説得力がないのですが、

1930年代の不良娘はこんなかわいい服を着ていたのでしょうか??

 

えーいろいろありまして

田中絹代は社長の息子と一緒に

ホテルの一室におります。

 

S92 ホテルの一室

 

社長の息子(←けっきょくいいヤツ)

田中絹代を口説きます。

 

「君のそのあからさまが

耐らなくいいんだ」

「OKって

言ってくれない?」

時子、薄笑いを浮べたまま見る。

実、「ね」と返事を待つ。そっと抱く。

時子、目をそらし、すり抜けて窓の方へ行く。

 

BLACK&WHITE がしきりに繰り返されます。

 

「黒」に触れる田中絹代。

 

S93 窓

時子、じっと外を見つめる。

 

S94 外景

冬木立。まばらな星。

 

などとシナリオにあるのですが、

じっさいのプリントは 例の「白いポット」――

 

「若き日」の山小屋のシーンに出てきたような煙突(塔)も登場します↓↓

 

これはうまいですね……

長々したセリフで説明するのではなくて、

一瞬のショットですべてを観客にわからせます。

 

田中絹代は……

黒(社長の息子)ではなく

白(白いポット、岡譲二との生活)を選んだわけです。

 

S97 アパート(襄二の部屋)(夜)

 

「白」いポットに「黒」い毛糸がまとわりついています。

というか、どうやって暴れたらこういう状況になるのだろう??

 

女の荷物をはじめ見せておいて

女が戻ってきたことを知らせる……↓↓

 

後年、「早春」のラスト近く、

淡島千景と池辺良のカップルが似たようなシーンを演じます。

 

襄二、起き上がって見迎える。

両人、しばらく無言で見合う。

時子、バッグを置いて、

「あたい、帰って来て

悪かったかしら……」

 

ここでようやく

主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン

 

が、出現します。

「塔」のかわりに出現するのは田中絹代なんですが……

 

しかし

「塔」=田中絹代という公式は前回確認しました。

 

で、そのあと

三井秀夫が 姉・水久保澄子の勤める店のレジから

カネを盗んだことが発覚。

 

そのカネを返すため

自分の勤める会社を襲う田中絹代 そして岡譲二。

 

社長の息子からカネを奪う田中絹代――

 

S112 和子の室を静かにノックして素早く入る

両人、残され見送る。宏、手の中に握らされた紙幣を見る。和子もそれを見る。

姉弟、顔見合わせる。一斉に廊下はずれの窓の方へ。

 

S113 窓

両人、走り来て下を見る。

 

これは例の黄金パターンの変奏曲ですね。

水久保澄子&三井秀夫が見おろすと

「塔」および岡譲二があらわれる、という――

 

に、してもかっこいいショットですね↓↓

 

S115 姉弟、じっと見送る

二人とも涙がにじみ来る

 

S117 襄二の部屋

襄二、せわしなく水をのむ。そして窓を開けて見る。

S118 暗い中に巡査が立っている。

 

さいご、二人が警察に追いつめられるくだりも

発端は「白いポット」が握っています。

 

慌てて逃走しようとする岡譲二の背後に

通風器(塔)

 

クラブ歯磨の看板。

そして煙突(塔)

 

窓から屋根に飛び下りる絹代たん……

 

通風器(塔)がガラガラ廻っています。

 

S135

襄二、時子を立てる様にして屋根より降りる

時子、渋る気持。襄二、うながす。

「オイ! 早く下りねえか!」と言う。

 

主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン

 

あらわれるのは通風器(塔)&田中絹代――

 

二人は仲良く逮捕され、

この作品も終わります。

 

”清水宏と小津安二郎そして「塔の思想」”

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リブログなるものをやってみますが――

 

なんと‼

4年前の記事では↓↓

 

・小津安二郎=古典様式(クラシック)、塔がない。

・清水宏=ゴシック、塔がある。

 

などと書いてますね(笑)

今、

「塔の作家・小津安二郎」

などと主張している真逆のことを――

 

このことに対する
言い訳・屁理屈(笑)を書きますと……

小津→クラシック的 清水→ゴシック的

というのは間違ってないとおもう。 これは多くの人の賛同が得られるでしょう。

 

では、小津作品になぜかくも多数の「塔」が出現し、

「塔」を中心に作品が組み立てられているのか?

というと、

おそらくおのれのクラシック的システム クラシック的感性

それではとらえられない「何か」を

「塔」という形で噴出するのかもしれない。

数学・物理学でいう「特異点」が 「塔」なのかもしれない。

 

例をあげれば

「若き日」の二人の若者の性的な欲求だったり

「非常線の女」の岡譲二&田中絹代のカップルの 新しい生活 新しい生き方への欲求だったりするわけです。

それが「塔」という形で結晶化するわけです。

 

□□□□□□□□

まあ、今回は 「非常線の女」が 小津安っさんのまわりにあたえたインパクト・影響を

清水宏「港の日本娘」を中心にみていこうとおもいます。

 

が、一番有名なのは

山中貞雄へ与えたインパクトでしょう……

 

以下、評論家の岸松雄の文章ですが、

 

 山中は私と同様、昭和八年池田忠雄の脚本になるメロドラマ「非常線の女」が大好きだった。田中絹代と岡譲二とがいつか悪の世界から足を洗って狭いながらもたのしい愛の生計を夢みる字幕が出る。

「小鳥が鳴いて」「青い芝生があって」「赤いお屋根のお家に住んで」

――山中はこの字幕を愛誦して撮影をつづけた。 「たのしかったで」と私に言った。

 同じ「非常線の女」で水久保澄子の姉が不良の群れに投じた三井秀男の弟に、「一緒にご飯たべたことあって?」「一日のこと話し合ったことある?」と意見する、つつましやかな場面がある。山中が昭和十一年に作った「河内山宗俊」で、甘酒を売り、駄菓子を商う原節子の姉が、やくざに足を踏み入れた市川扇升の弟に意見をいう場面は「非常線の女」から糸を引いているとみることができる。

(蛮友社・「小津安二郎・人と仕事」169ページより)

 

「たのしかったで」

という山中貞雄のコトバの中には

小津と一緒に横浜あたりで遊んだ、その思い出も含まれているでしょう。

 

しかし、「非常線の女」……「河内山宗俊」……

この……

姉が弟を養うプロット

の、多さはなんだろう?

 

そもそも、映画界の巨匠 溝口健二その人が

お姉さんが芸者さんになって弟を養ったというエピソードの持ち主であった、

そのあたりに由来するのか?

もともと日本文学に多いテーマだったのか?

小津の一連の「東京の女」「非常線の女」に由来するのか?

戦前の日本にこういう家庭が多かったのか?

 

変わり種(?)としては――

制服姿の桑野ミッチーがひたすらにかわいい 「新女性問答」(1939)で、

 

お姉さんの川崎弘子が

妹の桑野通子を育て、

ミッチーは最終的に弁護士になり活躍……というベタなプロットです。

 

監督:佐々木康

原作・脚色:斎藤良輔

 

監督の 佐々木康という人は……

今プリントが現存する作品では

「朗らかに歩め」「落第はしたけれど」「その夜の妻」「淑女と髭」

で、助監督をしています。

 

「小津安二郎―人と仕事―」の証言によれば

「大学は出たけれど」から「美人哀愁」まで

二年半助監督をしていたということです。

厚田雄春によれば

ズーズー弁だったので あだ名は「ズーさん」

 

斎藤良輔。

この人とは「風の中の牝鶏」で組んでます。

あと、ややこしい話になりますが、

シンガポール時代、一緒に過ごした仲間なので

幻の「遥かなり父母の国」でも一緒に仕事をしていたわけです。

 

さて「新女性問答」

監督が小津の弟子筋なので このプロットなのか?

それとも他に理由があるのか?

 

お姉さん(川崎弘子)が滅私奉公で かわいい妹につくす……

「あたしなんかどうなってもいいの!」とかいったりして。

 

おはなしは作りやすいですよね。

ベタなお話ではありますが。

 

 

□□□□□□□□

さて、本題の「港の日本娘」

 

「全日記小津安二郎」をのぞいてみると

1933年 4/30(日) 非常線の女 封切り

1933年 5/28(日) 港の日本娘 試写

とあり、

清水宏の作品のほうが 明らかに後発だとわかるのですが、

手持ちの文献では 二つの作品の関係性に触れたものがないので

自分で勝手にいろいろ想像してみたいとおもいます。

 

・共通点① ヨコハマ

 

横浜ロケのシーンが多いという共通点があります。

 

「港の日本娘」冒頭ですが、さっそく山手聖公会が登場します。

もちろん↓↓

「非常線の女」のレズ・キスシーンのあれです。

 

小津が撮る教会のほうが、なにか「量感」を感じさせてずっしりしています。

なにか得体のしれない巨大な建築という印象。

 

清水のは全景が写ってますので 「あれ、こんな小さな建築だったのか……」と

がっかりします。

 

小津がすごいとか 清水がダメだとかいうことではなく

二人の撮影姿勢の違いがよくみえておもしろいです。

 

そしてヨコハマを山手から見下ろす……

「港の日本娘」↓↓

 

女の子二人は 及川道子と井上雪子。

 

「港の日本娘」のほうがプリントの状態がいいようです。

 

あるいは季節・気候条件によるのか?

しかし背景の木の様子から見ると

どちらも冬に撮影しているような感じ。

 

この冒頭の 及川道子&井上雪子をみると

「非常線の女」の 田中絹代&水久保澄子が

「港の日本娘」を生んだ!

などと想像したくなります。

 

あと、

やっぱりあれですね。

 

「非常線の女」で↓↓

田中絹代のお尻の横あたりに

うっすら写りこんでいたのは 県庁のキングの塔のようですね。

 

こうしてみるとやっぱり二人の撮影スタイルの違いが明らかで

それはどうも カメラの高さの違いに由来するようです。

 

清水宏→カメラは肩の高さくらい(推定)→スカッと町全体を見渡すことができる。明るい。

小津安二郎→カメラはローポジション→町全体は写らない。どこか陰鬱。

 

気象台関係とおもわれる「塔」の登場も共通してます。

 

以下2枚 「港の日本娘」↓↓

 

清水はきちんと

「これは外人墓地のとなりにある施設です」

という撮り方をするのですが……

 

小津安っさんは不親切(笑)で、

どこのどの施設だかわかりません↓↓

 

というか、初期小津の撮り方は

都市にしても 教会にしても 塔にしても

「断片」しか撮らず

「どこでもない場所」というような提示の仕方をします。

 

戦後作品では「東京」「鎌倉」「尾道」……とわかりやすくなってくるのですが、

戦前の作品は 「どこでない場所」を撮っているような気がします。

 

 

・共通点② 女+銃

 

両作品とも

女にピストルを持たせたがります。

 

江川宇礼雄&井上雪子

当時の言い方だと「混血スタアの二人が向かい合い……」といった場面でしょうか。

 

戦前の不良は本当にピストルなんか持ってたのでしょうか?

それとも 単にハリウッド映画の影響なのでしょうか?

 

「非常線の女」では 田中絹代が発砲し、

「港の日本娘」では 及川道子が発砲します。

清純派の二人が発砲するわけです。

 

及川道子は 水久保澄子、逢初夢子あたりと同時代デビューの女優さんですが、

 

及川道子→第一外語卒、築地小劇場で新劇を学ぶ、松竹蒲田入社。

水久保澄子、逢初夢子→松竹楽劇部を経て、松竹蒲田入社。

 

というので、なんだか格の違う インテリ女優、お嬢さま女優というような扱いであった由。

若くして亡くなった人ですが。

長生きしていたら東山千栄子(やっぱりお嬢さま、インテリ女優)みたいな大女優になったのかもしれない。

 

ただ、今みると、

及川道子の演技は 映画俳優としてはなんだか大げさな気がする。

表情とかも大げさすぎる気が。

 

しかし、この制服はどこの制服なんでしょうかね?

帽子がかわいいですね。

校章のワッペンみたいなものがついているのが手掛かりになるか?

 

横浜の女子校出身者のそこのあなた(笑) どこの学校かわかりませんか?

 

・共通点③ 毛糸

 

編み物・毛糸が両作品とも出て来ます。

 

が、「港の日本娘」では

小市民のモダンな生活とか 運命の変転とかを描く ちょっとした小道具という印象。

 

↓↓左側は 人を撃ってしまって売春婦に身を墜とした砂子(及川道子)

右側 ヘンリー(江川宇礼雄)の奥さんになったドラ(井上雪子)

 

幸せな家庭生活を描く上のシーンでは白い毛糸↑↑

運命の変転を描く下のシーンでは黒い毛糸↓↓

 

一方、田中絹代の「黒」「白」の毛糸は

BLACK&WHITE

という 小津の生涯追い続けたテーマ。

 

映画そのものをあらわしているかのような壮大なテーマにつながっているような気がします。

 

だがまあ、トマス・ピンコという人が 小津崇拝の人なので

そういう風にみえてしまうのかもしれません。

 

 

・共通点④ クラブ歯磨

 

「港の日本娘」

華やかな戦前の伊勢佐木町の様子が映し出されます↓↓

 

有隣堂の「有」の字をみただけで ヨコハマの人間はここがどこだかわかるという……

 

で、斎藤達雄は貧乏絵描きの役。

及川道子の召使みたいな なんともいえないおもしろい設定の役。

 

似顔絵描きという商売は昔からあったのだな。

 

斎藤達雄が沢蘭子にむかっていうセリフ――

 

「世の中に人間が多いんですよ」

 

このセリフ、

「一人息子」(1936)のS79

日守新一が飯田蝶子にむかっていう

「やれるだけのことはやったんです――

でもこの人の多い東京じゃいくらあせったって仕様がないんですよ」

 

これに影響を与えているのかな??

 

ちなみに「非常線の女」のクラブ歯磨↓↓

ジャーン! という印象です。

 

このクラブ歯磨とのタイアップは好評だったのか、

「一人息子」には

クラブ白粉(おしろい)の看板が登場します。

 

・共通点⑤逢初夢子・通風器

 

両作品とも

悪い子役で 逢初夢子が登場します。

 

「有りがたうさん」(1936)の桑野ミッチーみたいに

見所のある新人女優は

とりあえず悪い子役で使ってみる――

 

そういう伝統が松竹ではあるのかもしれない??

 

「港の日本娘」ではラスト近くに

通風器が登場。

豪雨の中でガラガラと廻ります↓↓

 

だが、これまた「毛糸」と同じように

運命の変転をあらわすモチーフという感じがする。

 

となると、つまり

小津安二郎という人のモチーフ・小道具の使い方というのは

とことん「通俗的な意味」とは別の意味を追求していたのだな、

と、そんなことを思うのでありました。

 

□□□□□□□□

2016年1月。

この頃は トトやんがまだまだ元気でした…( ^ω^)……………

塔の作家・小津安二郎 その7 「出来ごころ」①(タロットの塔)

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今まで 小津安二郎の初期作品

(「若き日」から「非常線の女」まで)

を、「塔」という観点から分析してきまして、

だんだんわかってきたことは――

 

①「塔」の意味は……

将来への希望、性的欲望のシンボル、若い頃に抱いていた純粋な夢、等々である。

 

と、いうことでした。

 

また描かれる「塔」は、

電柱、時計台、煙突、教会・銀行等の巨大建築物、もしくは樹木

という場合が多いのですが、

例外として

「花火」→「東京の合唱」

「時計」→「東京の女」

「ヒロイン(田中絹代)」「白いポット」→「非常線の女」

が、「塔」として登場するパターンもありました。

 

また、

②主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン。

 

この存在もわかりました。

物語の展開点においてこのパターンが繰り返されるのが小津作品の特徴です。

 

□□□□□□□□

が、「出来ごころ」がすごいのは、

さらに新しい意味の「塔」を小津安っさんが発明してしまったことです。

 

特に何の意味もないのだが――

ひたすらに不気味な「塔」のショットのことです。

 

THE TOWER.

小津ははたしてタロットの「塔」の存在を知っていたのでしょうか?

 

損失、トラブル、災害、事故、病気、破産、精算、崩壊、衝撃的な出来事、考えを一変させる出来事

(ナツメ社、手賀敬介「いちばんやさしいタロット・リーディングの教科書」53ページより)

 

大アルカナの「塔」の存在をまったく知らないで

あの不気味きわまりないガスタンクのショットをしきりに挿入するのだとしたら……

 

ほんとうに小津安二郎という男は天才だったのでしょう。

 

「出来ごころ」

表面上は軽いコメディなのですが、

しきりに繰り返される このガスタンク(塔)のイメージによって

なにか不気味な深淵をのぞきこむような恐怖感があります。

 

あと、ですね、

スラヴォイ・ジジェクというおじさんが映画を批評するときに

ジャック・ラカンの〈現実界〉というコトバをしきりに使うことも思いだしておきたい。

 

どうも、人間の通常の言語・シンボル体系では表象不可能な 現実の裂け目みたいなものを

〈現実界〉

といっているらしいです。

 

・ヒッチコック「北北西に進路をとれ」のラシュモア山

・リドリー・スコットの「エイリアン」

が、その例だと ジジェクは書いております。

 

たぶん

小津安二郎「出来ごころ」のガスタンク

を、そのリストに付け加えてもいいのではないでしょうか?

 

とにかく不気味なことをはじめてしまったのです、この青年監督は。

「全日記小津安二郎」を読みますと、

この頃(1933年)

睡眠薬(ヂャールというもの)の服用の記述が目立ちます。

そして水久保澄子にフラれてしまったらしいのもこの年です。

 

□□□□□□□□

もとい、冒頭からみていこうとおもいます。

 

11、「出来ごころ」(1933)

冒頭、浪花節語りのシーンからはじまります。

演目の「紺屋高尾」は、この「出来ごころ」の冒頭に持って来るのにいかにもふさわしい。

 

S8

小屋の前の立て旗、暗い中にはたはたとゆらめいている

 

のぼり、ですね↓↓

「塔」の一種とみていいかな。

 

S11 その附近

小暗い中に、バスケットを提げたうす汚ない女工風の少女(春江)が、途方にくれたように立っている。

 

うす汚い、といったって小津ですから

さっぱりキレイです。

後年のクロサワなら気合入れて汚しそうですが。

 

喜八、彼女を見ると、すぐ癖を出し、ちょっかいをかける。

次郎「よせやい!」と興味なさそうにたしなめ促す。

春江、当惑した感じで立っている。

 

カメラがローポジションなので

見上げるように写ります↓↓

 

あと、しょぼくれたプロレタリアートの二人

(坂本武 大日方伝)ですが、

この低いカメラ位置からだと実に堂々とした雰囲気になります。

見上げるアクション→塔 というのが黄金パターンですので……

「非常線の女」において

「塔」=「田中絹代」だったように

 

「塔」=「伏見信子」

なのだとおもわれますが……

冒頭のシーンではこの公式ははっきりしません。

 

まあ、あとあとはっきりと

「塔」=「伏見信子」だとわかるのですが。

それはあとで見ていきます。

 

女性のあごの下を触るというセクハラ行為(笑)

前作「非常線の女」で 岡譲二が水久保澄子にやってました。

 

このあと飯田蝶子のめし屋で食事のシーンがありまして……

 

S15 店の外

両人、出て来る。そして、一方を見て「あれ?」となる。

 

S16 小暗い横丁

さっきのうす汚ない少女春江が、まだしょんぼりしている。

 

前作からおなじみの「クラブ歯磨」と一緒に登場です。

これまた 巨大構造物=「塔」とみていいでしょう。

 

まあなんのかのあって、坂本武、

伏見信子を飯田蝶子のめし屋に泊めてやります。

 

S20 めざまし時計

 

「出来ごころ」……ガスタンク同様、時計も頻出します。

 

時計というと、

「東京の女」の岡田嘉子が時計を見上げるショットを思い出します。

振り子時計→江川宇礼雄の自殺

という流れでした。

 

時計はどうも「死」の匂いがする小道具のようです。

「全日記小津安二郎」をみると

30歳になるかならないかの歳で なにか無常観みたいなものにとらわれているようで……

その影響なのか? それとも作品の質の高まりをみるべきなのか?

 

S11 裏長屋風景(朝)

 

ここでガスタンクが登場します。

「塔」です。

 

通風器がにょきにょき。

「塔」です。

 

飯田蝶子に煙管……細長い物体を持たせています。

そして背後にも 細長い物体……(看板かなにかか?)

 

しかし、S11

美しい朝のスケッチです。

ガスタンクも洗濯ものに隠されていて、その不気味さが隠されています。

 

S39 ビール工場内

 

「全日記小津安二郎」

1933年7月16日(水)に

川口のUnion Beer

なる記述があります。

 

深読みするに、ビールが飲めるかもしれねえ

とかいう動機で 喜八たちの設定をビール工場勤務にしたのかもしれません。

 

「出来ごころ」の特徴として――

見上げる

見おろす

という視線の組み合わせで会話を構成する。

 

というのがあるようにおもえます。

 

例の……

◎主人公たち、上を見上げる……

→視線の先には巨大構造物(塔)……

という黄金パターン。

 

これの変奏曲です。

 

喜八(坂本武)が 次郎(大日方伝)に

春江(伏見信子)に惚れてしまった、と告白します。

 

次郎、笑って、

とっつぁん、齢を考えなよ

喜八、

お半長右衛門、知らねえな!

と、うそぶく。

 

大日方伝の背後に電柱(塔)

 

二人の背後に

ビルディング(塔)

 

二人のワークウェアがなんともかっこいいんですよね。

(特に大日方伝の着こなし)

 

小津はアメリカ映画から ワークウェアのかっこよさを学んだんだろうとおもいます。

まあ、本人のファッションはあくまで 英国流だったようですが。

 

上役の背後にも塔。

(一体なんなのかわからないですが)

 

S42 ガスタンクのある風景

 

ガスタンク2度目。

洗濯ものがないバージョン。

 

ね? この無機質・無表情さ、気味が悪いでしょ??

 

S45 店の中

 

伏見信子がひたすらお化粧してます。

「鏡」&「女」

というこれまた小津安っさんの大好きな組み合わせ。

 

カメラのローポジションについて

色々な人が 色々なことを言っているのですが、

 

トマス・ピンコ説は

小津のローポジションの由来

→女優さんの足を撮りたかったから!

ですね(笑)

 

半分冗談ですが、

↓↓こういうショットをみると……真実のような気がする。

 

今まで洋画のポスターばっかし貼り付けていた小津安っさんが

この作品では 和もののポスターばっかしです。

 

田中真澄とかいう人にいわせると

ナショナリズムだ! とか 右傾化だ!

とかいうことになるのですが……

 

そんな単純なことですかね?

 

大日方伝のワークウェアの着こなしとか もろにアメリカンなんですがね。

ガスタンクとか、どうやって説明するんですかね、田中何某は?

(もう亡くなったヒトですが)

 

えー次

塔、と関係ないのですが、

小津が生涯こだわり続けた BLACK & WHITE が出現します。

前作「非常線の女」では 田中絹代が黒と白の毛糸の束を持って登場しました。

 

S49 長屋の路地

喜八つぁん、えらくめかしたなあ

 

喜八「なあに……」とやにさがる。

長屋の衆、

どこの、お葬いだい?

 

喜八、

縁起でもねえ!

と、家へ戻る。

やがて、再び喜八、出て来る。

今度はいなせな格好をしている。そして、おとめの店の方へ行く。

 

「死」と「生」の対比……

「黒」と「白」の鮮やかな変換がみごとです。

 

人生さいごの作品まで、

このテーマにこだわり続けたのだから、

まあ、頑固というか、異常というか……

 

「秋刀魚の味」(1962)

S91 「かおる」の店内

かおる 「今日はどちらのお帰り――お葬式ですか」

 

平山 「ウーム、ま、そんなもんだよ」

かおる 「はい――(グラスを出して)おかけしましょうか、アレ」

平山 「アア……」

 

で、このあと軍艦マーチという 帝国海軍を象徴する音楽が流れます。

「帝国海軍」=「空っぽの、かつて存在した何か」

どこか「出来ごころ」のガスタンクを思い出させます。

 

まあ、ご存知ない方のために補足すると、

笠智衆はかつて海軍の駆逐艦の艦長をやっていたという設定。

あと、このシーンは 娘の岩下志麻の結婚式のあとのシーンです。

 

「出来ごころ」の分析、次回につづきます。

 

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