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「雨」(1932)ルイス・マイルストン監督・ジョーン・クロフォード主演

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小津安っさんが影響を受けたハリウッド作品も見なきゃな――

……と、小津作品の分析をするのなら

あたりまえすぎることを ようやくやり始めました。

 

まずはじめは ルイス・マイルストン「雨」なんですけど……

いやぁ すんばらしい作品です。

 

・「母を恋はずや」(1934)のチャブ屋↓↓

・「一人息子」(1936)の主人公の家のふすま↓↓

に、ジョーン・クロフォードのポスターが貼ってあるんですけど

うん。

「雨」見たら、誰もが夢中になってしまいますな。この人には。

 

□□□□□□□□

以下、作品の感想を書くんですけど

まあ、「小津への影響」ということばかり書くとおもいます。

というか、

それが主要目的ですので、ね。

 

しかし……

まずはじめ、大プロデューサーのシェンクの名前よりでっかく

Joan Crawford  ↓↓

 

このあたりの経緯……

買ったDVDに淀川長治先生の解説がついてたんで 書きおこしますと……

 

この「雨」を、ジョーン・クロフォードがやったんですね。

当時、ジョーン・クロフォードは、こんな「雨」のサディをやるような女優じゃなかったんですね。

もっともっとモダンな、チャールストンダンスをやるような女だったんですね。

女優だったんですね。

それが「雨」で一躍サディをやるというんで

「えー!」ってみんなびっくりしたくらいの、サディは大役なんです。

で、皆さんはご存知だと思いますが、

「グランドホテル」でガルボとケンカしたんですね。

それで泣いて、サミュエル・ゴールデンのところ行きまして――有名なプロデューサー――

「わたしね、どうしても立派な役やりたいんです。お願いします」

「それではサディ・トンプソンをやろう」

「まあ!」

ジョーン・クロフォード泣いて喜んだんですね。

それが「雨」ですね。

(淀川さんは「サデー」と言っているように聞こえるが、「サディ」と書きました)

 

に、しても名調子ですな。。。

突然「わたしね、どうしても立派な役やりたいんです」 となるあたり。話芸ですな。

 

ついでに……

序に嫌いなのも云わして貰おう――グレタ・ガルボにカザリン・ヘップバーン。

(泰流社、田中眞澄編「小津安二郎全発言 1933~1945」138ページより)

 

安っさんがガルボが嫌いというのは、

「グランドホテル」をめぐるいざこざを知ってのことなのか?

オレのジョーンをいじめやがって! と。

もしくは役者として嫌いなのか??

 

タイトルは実にシンプル。

買ったDVDに THE RAIN とありましたが、違いますね。

 

ただの RAIN ですね。

 

しょっぱな驚かされるのは↓↓

もくもくした入道雲に ティンパニ(?)のドロドロした音……

 

これって「となりの八重ちやん」(1934)のラスト……

佐藤忠男大先生はなんか性的な解釈をされてましたけど……

 

なんだ、島津保次郎、

マイルストン「雨」のまるパクリじゃんか‼

 

つづいて雨の表現↓↓

これは小津安っさん 「東京の女」(1933)で なんというかオマージュ的なことをやっているとおもうのですが、

ややこしくなるのであとで触れます。

 

そして サディ・トンプソン――ジョーン・クロフォードの登場シーン。

 

強烈。

両手→両足→顔

とアップでつないでいきます。

 

小津ではこんなの、ないよな。

でも、あれか。

「非常線の女」(1933)のキスシーンは、これの影響なのか?

 

網ストッキング=セクシー

というのはいつからなのかな?

 

黒ストッキング=娼婦

というのはどこで読んだんだっけ?

19世紀はそういう意味があったようなのですが。

 

 

 

濃ゆーいメイクで ジョーン・クロフォード登場。

ギンギラギンです。

 

さきほどチラッと触れました

「非常線の女」(1933)のキスシーン↓↓

 

まず足のアップ

で、田中絹代→水久保澄子

というシークエンス。

 

はたして影響はあるのか、どうなのか?

そういう気でみていけば

田中絹代の足の動きはなんとなくジョーン・クロフォード風でもある。

 

問題は、ハリウッド作品がどのようなタイミングで日本に輸入されていたのか?

ということなんですけど……

(「小津安二郎戦後語録集成」の田中眞澄の注によると 1933年日本公開らしい)

 

あとあと見ていくように「東京の女」(1933)は 「雨」の影響が明らかなので

同時期に撮影された「非常線の女」(1933)も やっぱり「雨」の影響をみるのが自然のようにおもえます。

 

もとい、「雨」に戻りますが↓↓

 

「タバコ」&「チェックのタイトなスーツ」という公式なんですが……

 

ハワード・ホークス「脱出」(1944)

ローレン・バコールたんがそのまんまの格好・スタイルなんですよね。

 

これは「雨」の影響なのか?

それともそもそも 「タバコ」&「チェックのタイトなスーツ」というのは

映画とは関係のないところで

「あばずれ女」のユニフォームだったのか??

 

ローレン・バコールの自伝を読み返せばなにか書いてあるとおもうが

(バコール自身は全然こんな役柄の人ではない純情なお嬢さんで

ハワード・ホークス夫妻の言うままに不良女キャラを演じたというのは読んだ記憶があるが

「雨」のジョーン・クロフォードの影響とかはまったく記憶にない)

 

バコールたんの自伝は 本の山のどこかに埋もれて

どこにあるのか、現在捜索中です。

どなたかご存知の方は教えてください。

 

……にしても、クロフォードもバコールも かっこいい……

うしろ姿はボギー……ハンフリー・ボガードです↓↓

 

まあ、伝説的カップルですわな。

ねっとりした「黒い」画面がいいな……照明が完璧。

 

わき道ばかりそれてますが……

あと。淀川長治先生が「原色」のスーツといっているんですよね。

モノクロ画面だからわからんのだが、

何色なんだろうか?

 

黄色?

赤?

 

んで、ジョーン・クロフォードが宿敵のウォルター・ヒューストンに出会うシーン。

ここのカットバックはすばらしいです。

 

ディゾルブでつなぎます。

清水宏みたいな感じ。

 

おおまかな「物語」の構造を書いてしまいますと――

 

ウォルター・ヒューストンは宣教師でして、

ジョーン・クロフォードのあばずれ女に「悔い改めよ」と迫って来るわけです。

 

ウォルター・ヒューストン→宗教的権威も世俗的な権力も持っている・長身の白人男性

ジョーン・クロフォード→権力も金もない無職の女性

 

――と、どうやっても勝ち目がない戦いに ジョーン・クロフォード演じるサディ・トンプソンが勝つ。

という、実にシンプルで スカッとした内容です。

 

小津の「淑女は何を忘れたか」(1937)の分析で

「対角線」を利用した構図がやけに多いな、とおもったのですが、

 

以下にみるように 「雨」も対角線が多いです。

ジョーン・クロフォードの表情の変化が実に見事。

 

この……

 

対角線はルイス・マイルストンの特徴なのか?

そもそも「映画」の画面作りの基本なのか?

どっちなんですか?

 

あと小津の有名な

視線の噛み合わないカットバック。

 

「雨」の ジョーン・クロフォード&ウォルター・ヒューストンもやっぱり視線が噛み合いません。

 

ここらへんで 小津と マイルストン「雨」との関わり

文献上でわかることをまとめますと――

 

(高橋通夫の証言・助手時代のはなし)

マイルストン監督の「雨」でシークエンスによって雨の性格を変えた技術設計の見事さなどを話題として、酒を飲み、映画を語り、饒舌と駄弁に明け暮れした、小津ちゃんをリーダーとした硬派……

(蛮友社「小津安二郎・人と仕事」131ページより)

 

「小津安二郎戦後語録集成」464ページによると、

「雨」の日本公開は昭和八年で 上記の証言はおかしい、と田中眞澄は書いているのだが、

(たしかに1933年、小津は助手ではなく監督としてもうすでに独り立ちしている)

小津の周辺で話題になったらしい、ということは事実ではないか?

 

清水宏:小津君なんかがひどく賞めていたので遅蒔ながら『私の殺した男』と『雨』とを見て来たが。

岸松雄:どうでした。

(中略)

岸:なるほど。マイルストンの『雨』などは、清水さん好みだと思うがな。

清水:ああいった題材は、とても好きなんですが、あの映画を見ていて、ぼくは外国語にもっとよく通じていたら違った面白味が判るのじゃないかという気がしてならなかった。

(泰流社、田中眞澄編「小津安二郎全発言 1933~1945」78ページより)

 

――というような感じでして、

実は 小津自身の「雨」への評価はまったく残っていない。

という実情です。

ただ、まわりの人の証言から 「雨」を褒めていたというのがわかるだけ。

あとは彼の作品をみていくより他ないでしょう。

 

わたくしの見るところ、「東京の女」は

マイルストンの「雨」の影響が明らかだとおもいます。

 

彼女のほくろ↓↓

これも「東京の女」に影響を与えているとおもうのですが……

あとでみていきます。

 

あとあとこれはつけぼくろだと分るんですがね。

えー、で……

おはなしの流れですが、

トマス・ピンコは正直 「あらすじ」とかどうでもいいですけど……

いちおう説明しておきますと、

 

ウォルター・ヒューストンの宣教師が 島の総督を動かして

ジョーン・クロフォードに退去命令を出そうという流れになります。

だが、ジョーン・クロフォードは 故郷、サンフランシスコに帰りたくないという事情があるらしい。

 

で、そのあたりの苦境を、

彼女に好意を持っている軍人さんに話しているというシーン。

とくに有名な俳優さんではない、とおもいます。

役名はオハラ伍長とかいう アイリッシュらしい名前の海兵隊の下士官です。

 

ラストはこのオハラ君がサディ・トンプソンを オーストラリアのシドニーに連れて行く、という筋です。

 

ですが、このシーンは―― 

 

「ブレードランナー」(1982)の

あの暴力的なキスシーンを思い出させます。

 

「雨」のオハラ君はまったく優しい人物なんですけどね。

 

↓↓わたくし手持ちのスチール写真はこんな。

ハリソン・フォード&ショーン・ヤング

 

スチールのほうが「雨」っぽいな。

実際の作品は「雨」っぽくない。

 

はたして影響はあるのか?

 

「雨」に戻ります。

以下、「階段」での事件が続きます。

 

見事に対角線。

 

「階段」+ジョーン・クロフォード

こういうきっちりした構図。小津は好きそうです。

 

しかし、これを↓↓ カメラを動かしながらやるんですからすごいです。

 

ひきつづき

ジョーン・クロフォード×ウォルター・ヒューストンの「階段」での対決。

これができる役者は日本には……いなかったのではないか?

 

なめらかな移動撮影といい、役者のレベルといい、

小津は絶望しちゃったかもしれない。

きっちりと対角線。

 

ジョーン・クロフォードは「男根」のような「乳首」のようなものを掴み……

 

ウォルター・ヒューストンの背後には 裸婦の彫像。

これが、まあ、彼の本質を暴いているわけですが。

 

小津のずっと後の 「風の中の牝鶏」(1948)は明らかに 「雨」の影響下にあるでしょう。

 

あと「母を恋はずや」(1934)のチャブ屋の壁に 「雨」のポスターが貼ってあると 冒頭近く書きましたが、

小津が「階段」を描き始めるのもまた、「母を恋はずや」以降となるわけです。

 

小津の「階段」のルーツは ルイス・マイルストンの「雨」にあるのかもしれない。

 

 

 

このお話がすごいのは……

 

サディ・トンプソン……ジョーン・クロフォードが

宣教師の望む通りの「聖女」へと変貌を遂げるところでしょう。

 

このあたりは移動撮影ですさまじいです。

ここから外の雨の光景にむけてカメラが滑らかに移動します。

これは実物をみていただきたいところです。

 

移動しながら、きっちり対角線。

んで、突然良い子になってしまったジョーン・クロフォード。

 

驚くオハラ君。

あごの脇のあれは つけぼくろだったのか、とわかります(笑)

 

んで、破滅へと向かう ウォルター・ヒューストンでありました。

 

聖女、になってしまったジョーン・クロフォードに段々誘惑されていきます。

 

ひたすら美しいジョーン・クロフォード

 

 

 

欲望の視線。

 

このカットバックもまったく噛み合わない。

小津安っさんにとっては「同志よ!」というところかな。

 

んで、どういうことになったのか、明確には描かれないのですが、

 

ジョーン・クロフォードの部屋にウォルター・ヒューストンが入っていく→カット

 

次のシーンで

ウォルター・ヒューストンの死体らしきものを観客は見せられます。

自殺です。

 

そして再び……

ギンギラギンのジョーン・クロフォード。

 

対角線。

つけぼくろもしっかりあります。

これも対角線の構図ですな↓↓

で、おはなしは終り。

ジョーン・クロフォードはオハラ伍長と一緒にシドニーへと旅立ちます。

 

ラスト。

あれほどジョーン・クロフォードにきつくあたっていた

ウォルター・ヒューストンの奥さんが 妙にしおらしいのですが

(↓↓左側のバアさん)

 

ネット上で、

「ウォルター・ヒューストンの宣教師は過去に女性問題がいろいろあったのではないか?」

とかうがった見方をしている人がいたりして、おもわず爆笑してしまったのですが……

(だったら自殺するわけないだろ)

 

それではまったくこのお話に説得力はないので、

ただ単に

キリスト教世界の文脈では 「自殺」は大罪である、ということをいっておけばよろしいかとおもいます。

 

□□□□□□□□

で、以下、

ルイス・マイルストンの「雨」(1932)が

小津安二郎の「東京の女」(1933)に与えた影響を見ていきたいとおもいます。

 

というか、「東京の女」

「非常線の女」の撮影途中に

当時・松竹蒲田の筆頭監督であった野村芳亭に田中絹代を持っていかれてしまって

で、そのぽっかり空いた時間に作ったという作品だったりします。

 

急ぎで作らなくてはならない作品で 「さてどうしよう」となったときに

「そんならマイルストンの『雨』をマネしてやってみよう」となったのではあるまいか?

(↑トマスの勝手な想像)

 

岡田嘉子のキャラクターの持つ二面性。

 

弟おもいの真面目な職業婦人。

 

だが、じつは……娼婦。というのは

 

どうみても 「雨」のジョーン・クロフォードでしょう。

 

彼女のつけぼくろもまた 「雨」の影響のしるしでしょう。

 

微妙に位置が違うあたり……小津のプライドでしょうか。

プライドがあまりない(?)島津保次郎は まるパクリしちゃってますが。

 

対角線構図もマイルストン作品からの影響なのか??

 

 

 

絹代ちゃんも

 

対角線です。

 

それから江川宇礼雄の自殺がわかるシーン。

(とうぜん「自殺」というテーマも「雨」と同じ)

 

岡田嘉子が外をみる。

たらいの水が揺れている。

(地震らしい)

 

この水の表現は、

雨の冒頭の↓↓ 波紋からきているのではないか?

(深読みですか?)

 

 

 

 

 

 

 

□□□□□□□□

えー

以下は完全に付け足しです。

 

 

論旨がめちゃくちゃになってしまうんですけど。

エルンスト・ルビッチの「私の殺した男」(1932)もみましてね。

(1932年という年がどれだけすさまじいかわかりますが)

 

そこに「時計」……

 

「死」の匂いのプンプンする「時計」

 

そして「階段」

 

「階段」

 

「階段」

 

「東京の女」の映画館のシーンにあらわれるのは……

 

「百万円貰ったら」というオムニバス映画の

ルビッチ監督の部分らしいのですが……

 

やはり「階段」……

そのうち「私の殺した男」の感想も書くとおもいます。

 

しかし、知識を得れば、また疑問も多くなってくるという具合でして――

・小津の「対角線」のルーツはどこにあるのか?

・小津の「階段」のルーツはどこにあるのか?

・小津の「時計」のルーツはどこにあるのか?

といった具合。

 

まあ、ひとつ確実なのは

「東京の女」(1933)の岡田嘉子のキャラクターの二面性は

「雨」(1932)のジョーン・クロフォードに由来している。

ということでしょうか?


Go To Eat でがっかりした件。にっぽん丸・飛鳥Ⅱ 等々(横浜市)

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武漢肺炎パンデミックの影響で ほぼ一年ぶりの横浜――

 

タイトルで書きました件とは別にいろいろとがっかりしました。

がっかりというのか、まあタイミングが悪かった、

運が悪かった。

というのが正解です。はい。

 

まず 野毛山動物園ですよ。

皆、やる気がないです。

 

(以下、動物の写真は 70-200㎜ 望遠ズーム)

 

↑らいよん、爆睡。

となりで虎さんも寝てた。

 

↑ワニ、動かない。

(逆に活発だったら怖いわな)

 

↑キリンさん、小屋の中。

やる気があるのか!

 

(いろいろ都合があるのです)

 

↑アリクイ、爆睡。

はじめからやる気なし!

 

レッサーパンダさんが孤軍奮闘しておられました。

 

表情が豊か。

 

レッサーパンダというと、

那須どうぶつ王国の あの近さ、

何頭もいらっしゃる贅沢さ、

さすがおカネをとるところは違うな、とおもいました。

 

野毛山動物園は一頭ずつ 活躍しておられました。

 

しかし、動物園ではりきって撮った写真よりも

帰り道 野毛山公園の池でなんとなく撮った

カモちゃんの写真の方が

よく撮れたような気がする。

 

それも人生か。

 

続いて――

最近、豪華客船が動き始めたので、

見物しに行く。

 

赤レンガ倉庫側から はじめてみました。

マクロプラナー50㎜で撮影。

手前の柵が妙にきっちり揃っているのは小津作品の影響です(笑)

 

三脚なしでこれができるのは筋トレの効果か(笑)

 

突然、モノクロにしてみたりする。

ディスタゴン25㎜で撮ったのをトリミングしました。

 

大さん橋

レモンスカッシュをのむ。

 

あと エスプレッソ

 

にっぽん丸 飛鳥Ⅱ

二隻入港しておられました。

 

シグマの15㎜魚眼で撮る。

大さん橋 人出はあきらかに少ないです。

17時

にっぽん丸出港の様子。

以下3枚。ディスタゴン25㎜

 

他の港はどうだか知らないですが、

横浜・大さん橋のスケジュールをみると

「17時出港」というパターンが多い。

 

日が長い時期だと 17時はまだまだ明るい時間帯なのだが

今の時期(11月)だと

17時がちょうどトワイライトの時間帯なのだな、とはじめて気づきました。

(日没は16時半ごろだったとおもう)

 

出港を美しく撮りたいのなら

今の時期がベストだな、とようやくわかりました。

 

もっとも 当ブログではフネ関係の記事のアクセス数は

ものすごく少ないのですが。

 

港に行けば、タダで見られる光景ですしね。

港町の人にすれば、なんということもない光景なのかな。

 

以下、70-200㎜で にっぽん丸を追いかけます。

 

しかし、巨大な物体が エンジン音をあげてぐんぐん動く様子――

毎回毎回たまらんです。はい。

 

↓これはトリミングしてます。

 

↓これもトリミングしてます。

 

つづいて飛鳥Ⅱ

 

船+イルミネーション+月(左側になにかある物体)

そして大さん橋の曲線。

 

ディスタゴン25㎜

 

↓↓これも月が浮かんでます。

ディスタゴン25㎜

飛鳥Ⅱのおしりと みなとみらい。

50㎜です。

 

ついでに↓↓

これは 2019年5月17日に撮った

ぱしふぃっく・びいなす なのですが、

(25㎜で撮ったのをトリミングしてます)

 

この時みたいに 乗務員のお姉さんがあらわれてくれたりすれば、

画面は華やかになるのですが、

今回の飛鳥Ⅱは

修理中だかなんだかで なんとも男くさい雰囲気でした。

 

乗務員だかなんだか、おじさん達数名が甲板上でジョギングしてたりしました。

 

あと、溶接してるんだかなんだか、

やけにうるさかったです。

それもがっかりした点。

 

お前らの来るタイミングが悪いんだよ、ということです。はい。

 

15㎜魚眼↓↓

山下公園から撮ったもの↓↓

 

で、問題の ザ・カフェですよ。

ホテルニューグランドですよ。

 

いや、ホテルニューグランドはまったく悪くないのだが。

 

いつも平日夜は 空いているのだが、

かなり混んでいて 入口付近の席しか空いてなかった。

 

しかたなく入口近くの席につきました。

 

メニューはスマホでQRコードを読みとって、という方法が推奨されているようなのですが、

雰囲気がでないので 紙のメニューを出してもらった。

 

いつものレモンスカッシュを飲み始めると、

 

となりの席の若者四人組(大学生くらい?)

のもとに 若者二人組が近寄って来て

大声でおしゃべりをはじめる。

 

意味不明。

ヴォキャブラリー貧困。

うるさい。

 

すぐにいなくなるかとおもったのだが、おしゃべりは終らない。

 

僕とT子さん

二人でウェイトレスさんに断って

もうひとつ空いていた席(これも入口)へ移動。

 

ザ・カフェのマネージャー(?)とおもわれる女性がすかさず登場。

謝罪の言葉がありました。

(このすかさずの登場は偉かった)

 

こちらとしても 「いえ、こちらのわがままで申し訳ないです」と恐縮。

レモンスカッシュ お冷 パン をあらためて持って来て貰うという始末になる。

 

ザ・カフェとしてはそのまま無駄になるわけで、とんだ災難である。

Go To Eat  こんなことになっているとはおもわなかった。

 

ザ・カフェで何度も夕食をいただいているが、

あんな品のない連中、はじめて見た。

 

となりで我々がバタバタやってるのだから 気づきそうなものだが、

バカ者……ではない 若者の集団はまったくおしゃべりをやめない。

 

このガキども以外にも まわりをみていると Go To Eatのお客さんが多いようだった。

下品なのは 例のガキどもだけで 皆さんちゃんとしていらっしゃったが。

 

僕は、というと、

仕組みがイマイチよくわからなかったので まったく利用しないまま、終わってしまったクチなんですが。

 

もとい、

クリームコーンスープ↓↓

 

安定のおいしさ。

 

パンは ニューグランドのが一番好きです。

固いのが好きです。

 

ハンバーグステーキ オニオンソース↓↓

 

独特の コクのあるソースでした。

 

アップルパイ アラモード

 

T子さんの頼んだ 限定メニューのモンブランパフェ↓↓

 

個人的に 栗の濃厚な甘さは苦手なので これはパス。

 

コーヒーで締めくくりました。

 

今月は日帰りだったですが、

来月は ホテルニューグランドに二泊する予定。

また不愉快な思いをしなければいいんですけど……

 

この調子だと、

きちんと予約をしとかないとダメですね。

 

レストラン・食堂の側も こんな調子だと対応が大変だろうな。

お客が来ないよりはずっといいだろうけど。

 

電車での帰り道。

東京駅に着くと サンライズ出雲・瀬戸がいたので――

 

撮りに行ってしまう。

 

しかし……二年前、僕が乗った時より

明らかに 乗客数は少ないようでした。

 

なくなったり……しないよね……

また乗りたいな。

ルビッチ「陽気な中尉さん」(1931)は小津「非常線の女」のキスシーンのルーツである①

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ジュネス企画なるところが出している

エルンスト・ルビッチの5枚組DVDというのを買ってしまいまして――

(「陽気な中尉さん」(1931)「私の殺した男」(1932)「極楽特急」(1932)「天使」(1937)「生きるべきか死ぬべきか」(1942))

 

すっかりルビッチファンになってしまったトマス・ピンコであります。

小津安っさんが「ルビッチ」「ルビッチ」言っているのはもちろん知っていたのですが……

まさか、こんなすさまじい巨匠……天才だとはおもわなかった……

 

□□□□□□□□

もとい、、、

エルンスト・ルビッチ「陽気な中尉さん」(1931)のキスシーンと、

小津安二郎「非常線の女」(1933)のキスシーンの比較をしようとおもいます。

 

はっきりいってしまいますと、

「非常線の女」の

田中絹代×水久保澄子のキスシーンの元ネタは

「陽気な中尉さん」の

クローデット・コルベール×ミリアム・ホプキンスのキスシーンである。

ということです。

 

では――「陽気な中尉さん」

どんなおはなしなのか?

若干ながいですが、淀川長治先生の紹介を引用……

いろいろ事実誤認が多いですが、

なんといっても数十年前にみた映画の細部を こうも記憶して、

かつ、滑らかにおしゃべりできるというのは……ホントすごい人。

 

 そう。ミリアム・ホプキンスがいいとこの、貴族のお嬢ちゃんで、モーリス・シュヴァリエのプレイボーイの中尉さんと結婚さすことになんのね。政略結婚いうのか、この両家の申し合わせでね。(トマス注:この説明は間違い。あとで説明します)

ところがミリアム・ホプキンスがもっさりしてんの。いいとこのお嬢ちゃんだから、色気がないのね。だからシュヴァリエは決められた相手だけど、この女があまり好きでないの。でも結婚せんならん思ってんの。で、女に対して冷たいの。この中尉さんは女のオーケストラバンドのバイオリニストが好きなのね。それがクローデット・コルベールなの。彼女にしょっちゅう会ってるの。でも結婚しなくちゃならないの、つらいなあって、女のほうが言ってるわけね。それをミリアム・ホプキンスのお嬢さんが勘づいちゃったのね。で、とうとう思いあまってクローデット・コルベールに会いにいくの。どうしてあんたはあの人に好かれるのってね(笑)

(中公文庫、淀川長治、蓮實重彦、山田宏一「映画千夜一夜(上)」29ページより)

 

ミリアム・ホプキンスは貴族どころじゃなくて 某王家の王女さまで

いろいろあってモーリス・シュヴァリエの中尉さんに一目惚れしちゃった、というのが本当。

やんごとなきお方に一目惚れされちゃったので 一介の中尉のシュヴァリエは

どうしても結婚しなくちゃならなくなってしまったというあらすじです。

あと、「どうしてあんたはあの人に好かれるの」

とかいうのどかな理由ではなくて――

 

王女さまがライバルを殺そうとして 王宮に誘い込む、というのが実際の筋――

 

恋人のモーリス・シュヴァリエに呼ばれた、とおもって

お化粧しているコルベール嬢↓↓

 

ドアをあける。

 

表情が固くなる。

 

冷たく睨みつけるミリアム・ホプキンス。

 

この二人の対照が見事。

 

グラマラスでブルネットのコルベール

やせっぽちでブロンドのホプキンス

 

もちろんこの対照が 田中絹代×水久保澄子に受け継がれるわけです。

 

はじめは 王女さまの方が精神的に優位にたっているんですけど、

(自分のホームですので)

 

一瞬で「この小娘は野暮で、純真で、なんにも知らないらしい」と見抜いたコルベール嬢が

段々精神的優位にたって行きます。

このあたりの筋も 次第次第に水久保澄子がリードしていく「非常線の女」に受け継がれていきます。

「非常線の女」の場合、純真な水久保澄子が優位に立っていくんですけど。

 

段々王女さまをなめてきたコルベール嬢。

 

ミリアム・ホプキンス クローデット・コルベールをひっぱたく。

 

クローデット・コルベール ミリアム・ホプキンスをひっぱたく。

 

二人そろって泣く。

 

泣くミリアム・ホプキンス

というか、笑っているようにもみえるんだよな。

 

↓静止画だからそうみえるのではなく、

動画でもそうみえるんです。

 

「キャ、すてきなお姉さま」……という百合シーンなのだろうか??

 

泣くクローデット・コルベール。

コメディ作品なので コミカルな演技です。

 

「暴力の後の和解」

というのも、小津っぽい。

ただし、ルビッチのこのオシャレなのを見ちゃうと、

小津はなんとも……後進国家ニッポンのダサさしか感じないわけですが。

 

ミリアム・ホプキンスのお姫様が

Did I hurt you?

と甘ったるく言います↓↓

 

「痛かった?」という字幕ですが、

直訳すれば 「私はあなたを傷つけたか?」

ということで 肉体的な意味もあるし、精神的な意味もあるわけです。

 

ここは重要なところで、

今まで観客は 堅苦しい冷たいミリアム・ホプキンスしか見ていなかったので

ここではじめて かわいいミリアム・ホプキンスを目にすることになるわけです。

 

あとはカットバックですね。

重要な転換点なので カットバックを使います。

 

エルンスト・ルビッチ。

テクニック面でいうとなんだか清水宏に似ています。

カメラはきちんと動かしますし、

ディゾルブの多用とか

カットバックは大事な面だけで使う、とか。

 

小津安二郎は、ディゾルブは嫌ってましたし、

このあと 田中絹代×水久保澄子のキスシーンを見ていきますが、

重要なシーンだろうがなんだろうが、

とにかくカットバックで映画を組み上げていく人です。

 

二人のやり取り。

Did I hurt you?

No.

Did I hurt you?

Yes!

 

Yes! というミリアム・ホプキンスは もちろん精神的ダメージのことを言っているんでしょう↓↓

字幕だとちょっとその雰囲気はでませんが。

 

以降、だんだん百合シーンになっていきます。

 

失礼を承知で書くが、

クローデット・コルベールは横顔のほうがキレイかも。

 

はい。

この「殺したくて」を 小津安っさんはいただいたわけですね↓↓

田中絹代がピストル持っていくという 実に高尚なパロディを思いついたわけですね。

 

王女さまを

poor little thing  かわいそうなおチビちゃん、などと呼ぶクローデット・コルベール↓↓ 

 

このあとでは foolish little thing おバカちゃん、などとも呼びます。

 

I love him so dearly.

 

I'm just wild about him.

 

都会的な彼女は love なんぞという野暮なコトバを使いたくなかったか。

なんにせよ、好対照なセリフ。

wild というから「精神的に」というより「肉体的に」という表現か。

 

はい。ふたたび淀川先生の引用。

繰り返しますが、数十年前にみた映画を記憶ですらすら語ってます。

すさまじいおじちゃんです。

 

 そしたらクローデット・コルベールがあんたみたいなタイプって男に好かれないよって言うの。「もっと色気をださないとだめよ」って。「どうすんの?」ってミリアム・ホプキンスが訊くのね。すると、「まず髪を切りなさい」なんて言ってやるの。ピアノを弾くのにもこういう形で弾きなさいとかさ。脚を組むときにもこう組みなさいとかね(笑)、教えるの。この映画、ずいぶん無責任でね、そうやると、モーリス・シュヴァリエがそのミリアム・ホプキンスをだんだん好きになるの(笑)。でね、ミリアム・ホプキンスもいい女になっていくの。つまりテンプテーションが出てくるのね。で、それを見て、これなら二人がいっしょになっても大丈夫だろうと思って、クローデット・コルベールが去っていくとこがいいのね。「あばよ」って、二人に挨拶しながらね。(トマス注:二人相手ではない。ミリアム・ホプキンス相手に別れの挨拶をする) ミリアム・ホプキンスは「どうもありがとう」と言ってね、「あんたのおかげでこの人をつかめました」って。

 その前に二人の女がおたがいにモーリス・シュヴァリエを讃美するとこが面白いのね。「あの人っていい人でしょ」ってクローデット・コルベールが言ったら、ミリアム・ホプキンスも「ほんとにあの人、いい人ね」と言うの。で、「あの人、タキシードを着たらよく似合うでしょ」って、「いいわねえ、天下一品です」なんて二人で言ってんの。その次にコルベールが思わず、「パジャマを着たら一番いいよ」と言ったの(笑)。そうするとミリアム・ホプキンスがワーッと泣き出すの(笑)。

(同書29~30ページより)

 

以下、淀川先生が語っている部分なんですけど。

 

相違点、というか、淀川先生が盛っている部分がおもしろい。

 

淀川先生が「パジャマうんぬん」と記憶している部分、

じっさいは……

 

コルベールは口ごもってなにも言わないんですよね(笑)。

こっちのほうがエロいな。

 

あとミリアム・ホプキンスはさっきのひっぱたきあったところで泣いてますので

もう泣きません。

 

で、淀川先生がいう 「もっと色気をだせ」という部分につながります。

ここはどうやっても小津は真似できなかったところですけど……

しかしあとあと触れますが 一番影響を受けたところなのかもしれない。

 

脚……足……

足フェチなんですよね。ルビッチ。

 

「極楽特急」(1932)では ケイ・フランシスというとんでもなく美人な女優さんがでてきて

画面いっぱいの足のアップがあります。

とんでもなくエロかったです(笑)。

 

このあたりも淀川先生語っていて――

(今回は淀川先生の引用ばっかりです)

 

淀川:エルンスト・ルビッチぐらいになってくると見せかたが少し変わって、お風呂に入るときにガウンを取ったら、上を見せないで腿から下を見せるの。それも太腿の裏というかうしろのほうを見せるの。足首の裏が見えるの。それがとてもエロチックなの。

山田:ああ、やっぱりルビッチあたりからなんですね、ガウンとか下着とかをスルッとぬぐと足もとを見せてエロチックな感じをだすようになったのは。

淀川:ルビッチは、そういう粋なことをするのね。たとえば、それまでディートリッヒでもどんな女優でも、ベッドのなかでは、綺麗な羽根ぶとんで身体を包んで、笑うだけだったけど、ルビッチがベッドシーンを撮ったら、ディートリッヒなんか、ふとんのなかで片脚を上げるの。それがエロチックなの、身体をモゾモゾと動かして脚を上げるということがね。ルビッチいう人は女の人が好きやから、ディートリッヒに「あんたの脚、ほんまに綺麗やから上げなさい。長くて綺麗やから」って、だまして上げさせたのね。その上げかたが、どう考えてもワイセツなの(笑)。

(同書144ページより)

 

のだそうです(笑)。

かねて小津安っさんは「足フェチ」だ。足ばっかり撮ってる、とおもってたのですが、

お師匠のルビッチからして そうだったわけですね。

 

あと……「或る夜の出来事」でも クローデット・コルベールは脚線美を見せつけますが……

後年のあれよりも過激ですね……↓↓

 

段々ミリアム・ホプキンスの視線が

「お姉さま……」という感じになってきます。

 

女優さん同士の絡みが大好き、というと 市川崑を思い出すのですが、

彼もルビッチ好きだったりするんでしょうかね??

 

で、クローデット・コルベールの歌。

というか、この映画、ミュージカルなんですよね。

 

歌うのはランジェリーの歌……

当時の日本人、ついていけたのかしら??

 

 

 

で、二人の別れのシーン。

すっかりモダンな容姿になったミリアム・ホプキンス。

 

あとこの場面のクローデット・コルベールの衣装が

「非常線の女」の田中絹代の衣装に影響を与えているようにおもえるんですが……

あとで書きます。

 

に、しても、いきなり二人の衣装が変わっているのが不思議。

何日か経ちました。

ということなのかな。

ひたすらイチャイチャが続きます。

 

なんというか左翼的な見方をすると

クローデット・コルベールは 体制側に屈服するわけです。

 

「王家」という支配階級だったり

「結婚」という制度であったりに 抵抗することなく潔く身を引く、というわけです。

 

ですけど、クローデット・コルベールのキャラクターが

まったくイヤなキャラクターにならないというのは、

 

「王家の姫」であり、かつ「愛人の正妻」である、という優位な立場にあるはずのミリアム・ホプキンスに対し、

完全に優位に立っている。

まったく卑屈にならない。というあたりにあるでしょう。

このあたりシナリオの処理の仕方が実にうまいとおもいます。

 

そして名ゼリフ……

 

のあと、

 

キス。

 

 

 

 

二人のニキをお願いね。

 

……このセリフはいいです。

泣けます。

 

 

 

 

 

グッバイ、アンナ。

グッバイ、フランジ―。

で、淀川さんのいう、「あばよ」のシーン。

 

じっさいは、

クローデット・コルベールは無言で去っていきます。

 

□□□□□□□□

という、すさまじいシーンを

小津安っさんはどのように料理したのでしょうか?

 

次回見てまいります。

 

馬鹿ねえ

あたし……

 

このセリフ。小津からルビッチへむけてメッセージとも思えてくるから不思議。

 

はっきりいうと

予算の規模が違う。

俳優のレベルが違う。

機材のレベルが違う。

 

そんな中で無謀にも巨匠ルビッチに

挑戦状を叩きつけたわけです。

小津安二郎は。

ルビッチ「陽気な中尉さん」(1931)は小津「非常線の女」のキスシーンのルーツである②

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◎小津安二郎「非常線の女」(1933)の

田中絹代×水久保澄子のキスシーンのルーツは、

エルンスト・ルビッチ「陽気な中尉さん」(1931)の

クローデット・コルベール×ミリアム・ホプキンスのキスシーンである。

――という記事です。

 

はじめに 東西二つのシーンの 似ているところと相違点を書き出してみますと、

・にているところ①:対照的な女優二人

・にているところ②:ある女がもう一人の女を殺そうとするというシチュエーション

・にているところ③:「足」へのこだわり

・にているところ④:暴力の後の和解

・にているところ⑤:キス

・にているところ⑥:(淀川長治先生のいう)あばよ

・にているところ⑦:衣装(クローデット・コルベールと田中絹代)

 

・ちがうところ①:Gun (小津作品に登場するピストル)

・ちがうところ②:セット(ルビッチ)とロケ(小津)

・ちがうところ③:長まわしのショット(ルビッチ)とカットバックの多用(小津)

・ちがうところ④:移動撮影(ルビッチ) 移動しないキャメラ(小津)

・ちがうところ⑤:三角関係(ルビッチ) 三角関係ではない(小津)

 

というところでして――ようするになんだ、というと

小津は ルビッチの「二次創作」をしようとはしていない。

小津はあくまで 小津のオリジナルを作ろうとしていた。

ということがいえるとおもいます。

 

「にているところ」は7つと多いのですが、しかしいずれも表面的なモチーフにとどまっているようにおもえます。

反対に 「ちがうところ」は5つですが、

①のGunという小道具は強烈ですし、

③のカットバック ④の移動しないキャメラ からわかるのは、

あくまで小津は小津の手法を貫いた、ということでしょう。

 

小津は小津の手法を貫いた。

……――これは、今の……

「世界的な映像作家・小津安二郎」という見方が常識な2020年からみていると

あたりまえのことのようにおもえるのですが、

1933年当時。ものすごいことをやったようにおもうわけです。

 

極東の後進国家の二十代の映画監督(小津)が

ハリウッド一の巨匠(ルビッチ)の、当時最高の映画芸術(「陽気な中尉さん」)の

パロディを作ろう、というのに、

あくまでおのれのスタイルを貫いた、というわけですから、

んー こいつはやっぱりちょっと頭がおかしいとしかおもえません。

 

□□□□□□□□

以下、「非常線の女」 こまかくみていきます。

まずは 不良カップル、岡譲二と田中絹代の痴話喧嘩からはじまります。

 

岡譲二はどうも水久保澄子に気があるらしいというあたりからのケンカでして、

田中絹代は 「あたい、その人に会って見ようかしら」

などといってピストルを取り出すという たいへんに物騒なシーンです。

 

S80 抽出しの前

襄二、「なあ……」と寄って来て、「よしなよそんな……」となだめる。

時子、「いいじゃないか!」とつっぱねて尚もコルトをみがき、弾丸をつめる。

コルト。

 

と、コルトのリボルバー(回転式拳銃)の登場です。

Gun です。

しょっぱなにこの小道具を登場させることは

サスペンス要素を高める 小津の独創かとおもうのですが、

 

彼の十代のころのアイドル パール・ホワイトはよくピストルを持ってスクリーンに登場したようですし

(淀川長治さんがなにかで言ってたのを読んだだけですけど)

「その夜の妻」では八雲恵美子にピストルを持たせた小津安っさんです。

本人にとってはあたりまえの思いつきだったのかもしれません。

 

↓↓とうぜんセクシャルなイメージでもありますな。

 

S81 レコード・ルーム

時子が中でレコードを聴いている。

彼女、焼きつく様な目差しで和子の方を見ている。

 

和子(水久保澄子)はレコード屋さんで働いている、という設定。

 

時子――絹代ちゃんの服装は、

上記、「にているところ⑦」で書きました通り――

 

丸い形の帽子&黒の革手袋

というのはクローデット・コルベールのファッションからいただいたものではあるまいか?

 

とくに革手袋は確信犯でしょう。

 

S82 店

お客のいない午後の店。

しとやかな和子。

そっと編物などしている。

 

えー、ここなんですけど、

小津安っさん、すさまじいイメージ操作をしているような気がするんですね、はい。

 

なんということもないシーンなんですが、

 

水久保澄子のお着物の柄なんですけど、

 

↑↑これって リボルバー(回転式拳銃)の シリンダーをあらわしているのではないか?

拳銃の、弾丸をいれる なんというか蓮根みたいなパーツがあるんですけど。

そのシリンダーの断面によく似ているんですよね。

この柄でさらにGunという要素を強調しているような気がする。

 

深読みかな??

 

S84 和子、目を上げ、慌てて編物をかくして立上る

 

時子が、じっと立って見つめている。

 

犬(ニッパー君)はなんなんでしょうね?

あたかも水久保澄子を守護するかのように 敵である田中絹代をみつめています。

 

今回紹介するシーンには登場しないんですが、

主人公の岡譲二 彼の前職はコロムビアレコードの宣伝部長だったそうで

ライバル会社・ビクターのシンボル ニッパー君はなんか深い意味がありそうです。

 

↓↓こんなことを言われて のこのこついていってしまう水久保澄子。

そうとうに退屈していたのか(笑)

 

それとも昔の日本人は皆、善良で人を疑わなかったのか(笑)

 

えー、で、以降ロケシーンです。エキゾチックな横浜で撮ってますね。

 

普段セット撮影ばかりやってる小津安っさんがロケというのは

やっぱりルビッチを意識してのこと、というような気もする。

ルビッチ先生がセットなら、俺はロケでいくぜ。というような。

 

S85 両人、肩をならべて歩いている

 

上記「にているところ①」対照的な女優二人です。

 

ただ、小津安っさんがひねくれているのは

グラマラスな水久保澄子に お着物を着せて清純なキャラクターを演じさせて

スリムな田中絹代に 洋装させて不良キャラクターを演じさせるという……

 

時子、和子をしきりに眺める。

和子、ひどく気になる様子。

 

 

 

水久保澄子は オーバーでなく抑制された演技で素晴らしいようにおもいます。

蓮實重彦先生は 後年の「東京暮色」の原節子は

「非常線の女」の水久保澄子の再来だ、というようなことを書いておられました。

 

小津安っさんがここでもひねくれているのは(笑)

「東京暮色」の原節子の役名は「時子」ということで……

つまり「非常線の女」の田中絹代の役名を引き継がせている、というところです。

 

このシーンの田中絹代

背中をみせておいて、振り返る、というアクションを二回繰り返します。

このあと、教会の前でもう一度 背中を見せる→振り返る を繰り返します。

 

そのことで二人の別れのシーンを強調しているのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

時子、片頬で笑う。

「私、襄二の身内の者なんだけど……」

和子、「まあ」と見る。がすぐ、親しげに笑って、

「あの方には弟の事で、とてもよくして頂いてますの」

 

 

 

 

時子、苦笑。

「だからってあたしまでがお前さんの味方じゃないわ」

 

 

 

 

とにかく「カットバック」「カットバック」です。

田中絹代→水久保澄子→田中絹代→水久保澄子……

 

ルビッチ作品の二人が

同一画面上に登場していたのとは対照的に↓↓

 

田中絹代と水久保澄子は同一画面上にはほとんど登場しません。

 

カットバックで微妙な表情の変化を表現する小津安二郎↓↓

 

もちろんあのルビッチの華やかさ、流麗さというものはないわけですが。

 

このカットバックというグリフィス以来の古典的な手法を

小津安っさんは貫き通したわけです。

 

 

 

「ことによると敵同志かも知れないわ」

(トマス注:「同士」が正しいですよね)

和子、ハッとなり見返す。

時子、バッグへ手を入れたまま横へ切れる。

 

微妙にキャメラの位置を変えてますね。

実に丁寧な仕事。

 

しかし、この「丁寧さ」は現場のスタッフには拷問だったわけで、

 

寒い真夜中の横浜ロケの辛さ、鼻水と涙が一緒に出た。そんなある日、私はロケの出発に遅れてしまった。もう今度こそ会社を辞めてしまおうかと思った。その時、石山竜二という古参の俳優さんが、「私はこれから出発するから」と声をかけて呉れて――。

 小津さんはニヤニヤして私を迎え入れてくれた。「寝坊したのか、疲れたんだろう」と言った。性に合わない世界で、私が最初に出会った暖かい人情である。

(蛮友社「小津安二郎・人と仕事」208ページより)

 

と語るのは、のちの巨匠、木下恵介で……

水久保澄子をみつめるキャメラの向こう側に 新入社員の木下君はいたんでしょうねえ。

 

↑↓ 二人の白目が光っているのが気になる。

今だったら特別に照明を当てたりするんでしょうけど。

この頃はどうだったのかな。

 

なんにせよ、おっそろしく丁寧な仕事、ということです。

 

山手聖公会のシーン。

また背中を見せる田中絹代です。

 

 

 

和子、「ね、御用は……?」と訊く。

時子、けわしく振り向く。

和子、驚く。

時子の手にピストルが、こちらを向いている。

 

 

彼女、やがてピストルに目を落し、ピストルを和子の方へ差し出す。

「あんた、これであたしを撃ちたくない?」

 

ルビッチ「陽気な中尉さん」のビンタ、というあまりに可愛すぎるバイオレンスシーンに

凄みの効いたバイオレンスをぶつけてきた小津安っさんであります。

 

 

 

 

 

このきりっとした表情がなんともかわいい水久保澄子。

 

和子「いいえ」と首をふる。

 

 

 

時子、「じゃあ……」と持ちかえる。

「じゃあ あたしが撃つわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい。あくまでカットバックで処理します。

 

和子、驚き見つめる。

時子、睨んだまま。

両人、見合ったまま。

ややあって時子、急に笑を浮べる。

ピストルを下げてしまう。

 

 

 

 

 

「馬鹿ねえ、あたし……」

そしてピストルをバッグに入れる。

和子、ほっとする。

と、時子、いきなり近付いて手を握る。

「あたし、憎いけど、あんたが好きになっちゃった」

 

――と、シナリオは「手を握る」になってますが、

これは検閲対策なのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

足だけでキスシーンを描く、という……

 

↑↑このショットの田中絹代の足のうごき――は、

 

「雨」のジョーン・クロフォードの足のパロディじゃないか?

とおもうんですがね。

 

 

つまり「雨」+「陽気な中尉さん」

お気に入り二作品のパロディを 渾身の一作にぶっこんできたわけです。

小津安二郎。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、淀川長治先生のいう「あばよ」――

 

 

 

田中絹代は手を振りませんが、

そうですね。いらないですね。

もしくは手を振らせてはみたが、

クローデット・コルベールみたいにかっこよくはいかなかったのかもしれない。

 

はい。

以上キスシーンの分析でした。

 

□□□□□□□□

以下、完全に余談なんですけど、

「非常線の女」といえば、キスシーンとあとポロリなわけです。

 

絹代ちゃんのドレスの肩がめくれちゃうという↓↓ これです。

 

このポロリのルーツって……

セシル・B・デミルの「男性と女性」なんじゃあるまいか??

 

左側の女性 ライラ・リ―という女優さんらしいですが、

おっちょこちょいのメイドさん役で

なにかというとポロリしているんです。

 

そしてグロリア・スワンソンのお嬢さま。

(孤島に漂流しちゃったというお話なので こんな野蛮な格好なのである)

 

――も、やっぱりポロリ。

 

1919年の作品。もちろんサイレントです。

淀川先生によると相当にヒットしたようだから

小津安っさんも見ていたんじゃないかな?

 

ちなみに

小津安二郎 1903(明治36)年生まれ

淀川長治 1909(明治42)年生まれ

二人は6歳年が離れてますな。

ホテルニューグランド・プルミエスイート1707号室(グランドスイートとの比較など)

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12月は ホテルニューグランドに泊まることになっているわけですが、

いつの間にやらそういう決まりができているわけですが、

GoToトラベルで安くなっているので

せっかくなのでプルミエスイートに泊まってみました。

 

武漢肺炎パンデミック以降――

今年6月 うちの母と妹が 山のホテル(箱根)へ行ったのですが

客室への御案内はなかったらしい。

んで、今年9月 ブログにも書きましたが

わたくし 那須の山楽へ泊まりにいきましたが、

これまた客室への御案内はなかったわけです。

 

いずれも一流の宿泊施設でそんなですから、

世の中、そんなものかとおもっていたら、

さすがホテルニューグランドで、従前どおり、きちんと客室への御案内がありました。

さすが老舗のプライドとでもいいましょうか。

 

17階。

客室としては最上階。(18階は結婚式場らしい)

 

なんというか説明しにくいが スイートルームの入っている階は

スイートルームの鍵を持っている人だけが入れる仕組みになっています。

(エレベーターの階数ボタンの上に 鍵穴があり、

そこに部屋の鍵をさしこみ、ひねりつつ階数ボタンを押すという仕組み)

 

この仕組み。去年の3月 グランドスイートに宿泊した時以来なので

とてもなつかしい。

 

平面図↓↓

赤い□が1707号室。

 

左側の大きな部屋は一番高いプレジデンシャルスイート(山下公園側になります)

 

外から見ると↓↓

タワー館の赤丸をつけたあたり、だとおもいます。

(この画像だけ2019年8月 ロイヤルウイング船上から撮ったもの)

 

じゃらんで予約しただけだったので……

ホテルに直接かけあったりしたわけじゃないのですが……

「最上階」「みなとみらい側」「山下公園近く」

と一番いい部屋だったのでよかった!

 

コロナ禍で、宿泊者が少ないからじゃないか?

ともおもえるんですが、

スイート専用ラウンジの「ザ・クラブ」へ行ってみたところ

けっこうにぎわっていたので(3・4組いらっしゃった)

少ないわけでもなさそうでした。

 

スイートルームは

お花がお出迎え。

 

ただコロナ前の2019年 グランドスイートの時は

支配人さんの手書きの文章でした。

今は印刷ですな。

 

入口付近の様子。

 

この花瓶(ですか?)が気に入る。

だが、壊したりしたら大ごとになりそうなので

おそるおそる撮影。

 

色合いといい、セクシーなフォルムといい、たまりませんな。

 

ソファ、とても座り心地がよかったです。

 

地域共通クーポンなるものをどっさりくれました。

宿泊料が安くなる上に こんなものをくれるという仕組みになっているというのは

現地についてはじめて知りました。

(九月の那須のときはなかったな)

 

テレビ、はあんまし大きくないです。

 

グランドスイートのテレビは壁掛けになっていて、かなり大きかったです。

 

窓際の様子。

大さん橋がみえます。

大さん橋には飛鳥Ⅱがいます。

(豪華客船のいる日を選んだわけです)

 

ランドマークタワー方面をみる。

 

去年の12月泊まった 10階のベイフロントコーナーダブルは角部屋でとてもよかったんですが、

目の前に某宗教団体のビルがあるのだけ目障りでした。

 

プルミエスイート……17階は

その某ビルの真上にあって まったく目障りになりません。

とてもいいです。

 

飛鳥Ⅱの白い船体がわかりますかね。

天気だけが残念。

朝のうちは晴れてたんですが。

 

ベッドルームの様子。

 

ちらっとみえていますが引き戸を引くと

リビング部分と空間を仕切ることができます。

 

とにかく「白」でまとめられた部屋です。

ベッドルームの窓。

ドアがあるから、外へ出られるのかな? などとおもったのですが、

非常用に出られるだけで 通常は出られないようになってました。

 

寝室のカーテンは電動になってまして――

はじめはそれがわからず 一生懸命引っ張ってしまって(でも動かず)

あやうくぶっ壊すところでした(笑)

 

ベッドルームの窓からの眺望。

イチョウ並木もいい感じです。

 

ベッドサイドの様子。

えーと、時計の左側のボタンが たしか例のカーテンを操作するボタンです。

 

ベッドの様子。

奥がバスルームです。

 

ベッドに寝ころびながら外をみるとこうなるという図。

 

あいかわらずぬいぐるみを持ち歩くわれわれ。

スヌーピー&ぬんちゃん(可愛い嘘のカワウソ)

 

寝室にもテレビがあります。

 

「ケンカしても大丈夫だな」などとT子さんがいうのですが、

そういう理由ではないとおもう。

 

↓↓鏡にちらっとトマス・ピンコの野郎が写ってますな。

ずいぶん太い腕ですが、広角レンズだからです。

たぶんそうです……

 

また入口付近にもどります。

真ん中に写ってるのはトイレのドア。

右側クローゼット。

 

入口の方のトイレには洗面台と鏡があります。

バスルームの方のトイレにはありません。

(洗面台のすぐとなりなので)

 

われわれが泊まったときは こっちのトイレはT子さん専用になりました。

(一緒のトイレを使うのを嫌がるため)

 

引き続き トイレの様子。

 

ついついこういうディテールが気になってしまうわけです。

メインの洗面台じゃないのに凝ってます。

 

HORUS オリュス社というところの水栓金具。

今チラッとしらべたが

水栓金具だけでかなりのお値段……

 

ちなみにグランドスイートの水栓金具は レバー型だった(十字型じゃなく)

たぶんおなじオリュス社製なんだろうとおもいます。

 

クローゼットの様子。

キャリーバッグ、三脚、バカでかいカメラバッグ。

 

バスルームのご様子。

でましたっ!

ブルガリのアメニティグッズ。

懐かしい。

 

お持ち帰りしたので使ってません。

 

トイレとおなじ オリュス社の水栓金具。

グランドスイートは洗面台が横に二つ並んでましたっけ。

 

ここは一つ。

 

かわいい花が生けられております。

 

鏡張りのお風呂。

 

バスルーム内のトイレ。

左側がシャワーブース。写真ありません。

 

えー プルミエスイート内をひととおり紹介しました後、

2019年3月に泊まった グランドスイートの画像を二枚載せまして↓↓

 

似たような価格帯の二つのスイートルームの比較をしようとおもいます。

(若干グランドスイートのほうが高いようだ)

 

大まかに特徴を書くと、

 

〇プルミエスイート

・タワー館高層階

・眺望がよい

(ただマリンタワー側の眺望はわかりません)

・白基調の明るめの内装

 

〇グランドスイート

・本館

・眺望はほとんどのぞめない。(イチョウ並木の向こう側に氷川丸が見えるというだけ)

・シックな内装(若干豪華な印象)

 

グランドスイートのほうが高めの年齢層の嗜好を狙っているのかな? という印象。

1920年代から ほぼ100年残っているクラシックホテルに宿泊している、という満足感があります。

あと、月並みな用語でいうと 「都会の中の隠れ家」みたいな落ち着いた雰囲気があります。

 

プルミエスイートは、なんといっても眺望でしょうなあ。

 

えー

以下、飛鳥Ⅱの出港風景を

17階のスイートルームから高みの見物、という画像です。

 

ベッドルームにがしゃがしゃ三脚を立てまして

夜景撮影。

 

15㎜魚眼で撮るとこんな感じです。

あまりおもしろくはないですね。

 

出港の予定時刻は17:00

だんだん近づいてくる。

 

スイートルームにカップルで宿泊、というと、

たいそう優雅な印象ですが、

 

実際にやっていることは

男(トマス):真っ暗なベッドルームでひたすら写真をとっている。無言。

女(T子):テレビでエリザベス・テイラーの出ているクレオパトラの映画をみつつ、「腹減った」と呟く。

 

という殺風景なものでした(笑)

となりの部屋の光がはいりこんでくると撮影の邪魔なので

部屋の間はきっちりと仕切られております(笑)

 

飛鳥Ⅱ&ロイヤルウイング

望遠レンズからみると

なんかおもちゃの光景のようです。

 

70-200㎜レンズで 200㎜にするとこんな感じです↓↓

 

「見ろ! 人がゴミのようだ!」……

いえ失礼、レゴのお人形のようです。

 

17時になったのだが、なかなか出港しないな、とおもっていると――

数分後。

 

ブオー!!

と、汽笛の轟音。

 

二隻揃って動き出します。

 

この距離、肉眼だと 動いているんだかなんだかわからない。

撮影してみると、光跡が……

 

上の画像をトリミングしたもの↓↓

わたくしとしてはおもしろいものが撮れた、とおもってるのですが……

ごちゃごちゃしてるだけですかね?

 

飛鳥Ⅱいっちゃいました。

巨大な光跡を残して――

豪華客船がいなくなったが 町の夜景は華やかです。

 

大さん橋は寂しくなりましたが。

 

夜景撮影後、中華街の某有名店に行ったのですが、

あんましおいしくなく……

 

で、21時半ごろだったとおもいますが、

「水曜どうでしょう」のベトナム横断をみてたのですが、お腹が減ったので

ルームサービスを頼むことになりました。

 

スパゲッティナポリタン!↓↓

 

ザ・カフェに何度もいっているのですが、どういうわけか頼まなかった一品。

まあ、ナポリタンはナポリタンだろう、

ケチャップかけたアレだろう、

という理由だったのですが、

間違ってました!

絶品!

魚介のダシの効いた、なんだろう、この上品なお味は!

単に「ケチャップかけたあれ」、ではありませんでした!

 

クープ・ニューグランド!!

 

これはルームサービスでないと頼めない一品。

アイスクリームの中に洋ナシがはいってます。

なんだ、この上品な甘さは!

 

ルームサービスの二品は(もちろんこれ以外にもたくさんある)

大正解でした!

また頼んじゃうなぁ……これは……

 

えーおまけ。

17階のエレベーターホールにかかっていた絵が

なんか気になったので。

 

髪型がすんごいんですけど、

まあ、それよりお顔が個性的でいらっしゃる。

 

一度見たら忘れられない種類のお顔。

 

LADY BETTY DELME

で、調べると どうもこれは ジョシュア・レノルズの絵のレプリカらしいとわかりました。

 

足もとのもしゃもしゃは長毛のワンちゃんです。

 

翌朝の光景です。

 

曇ってるなあ。

ベッドルームの絵なんぞ撮ってみる。

 

ベッドの真上の絵。

 

ベッドサイドのかわいい机(化粧台?)

 

というような豪華な部屋でした。

また泊まりたいものですが……

GoTo いつまでやるのかね?

割引のあるうちに行ってみるのも手かとおもいます。

江之島亭(寅さん映画の舞台)・湘南江の島クリニックで予防接種

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12月はじめ 二泊三日で旅行に行きまして

撮りまくった画像を載せます。

 

二泊ともホテルニューグランドで、

二泊め泊まったのが、前回の記事のプルミエスイートでした。

(さすがにスイート連泊はムリっす……)

 

まず、

東京駅で会った このブラウンメタリックな電車はなんですか?

掲示板は「回送」としか書いてないので なんだかわからず。

 

かっこいいな、このヤロー。

 

いったん、ホテルに荷物を預けまして

江の島へ。

 

小田急片瀬江ノ島駅 おりてすぐの光景。

南国ですなー

おなじ「関東地方」とはとてもおもえん。

 

いい天気。

 

島の入口の鳥居をなんとなく撮ったのですが、

文政4年(1821)創建の歴史あるものだそうな。

市指定文化財だとか。

 

さっそくごはんだったのですが、

ここは結果からすると失敗だったかも。

 

「とびっちょ 江の島弁財天仲見世通り店」

るるぶとかまっぷるとかに載ってる店は選ぶべきではないですな。

 

とびっちょ丼というものだったとおもう。

んーまあ おいしかったけど。

 

店の雰囲気が完全に「ティーン向け」なのね。

かかってる音楽とか 店員さんの雰囲気

コンクリート打ち放し風内装……(景色はまったくみえないんだわ)

 

で、実際 ティーンがわんさか押し寄せてくるんですわ。

 

何回か前の記事で ザ・カフェでの食事に文句につけましたが……

ザ・カフェに文句付けたわけじゃなくて となりの席の若者に文句付けましたが……

 

んー……

今回のとびっちょの場合、

ティーンではない我々が ティーン向けの店に飛び込んでしまったのが間違いでした。

 

前回はこの階段をのぼりましたが、

今回はその元気はなし。

 

エスカー乗り場のネコちゃん。

人懐っこくはない。

 

去年の12月にはじめて江の島来まして

でも 辺津宮だけお参りしただけだったので

今回はいろいろ見ようという計画。

 

えーとここはどこだろう?↓↓

写真の並びから判断するに

「2区」のエスカーを下りたあとのようです。

 

江の島ヨットハーバーというのがあれだな。

 

「ここ。夜景が超キレイ。まじヤベエ」というティーンの会話が聞こえたのですが、

夜また通りましたところ

じっさいにキレイでした。

 

さっきから「ティーン」「ティーン」書いているのですが、

こんなに若者だらけとは思いませんでした。

去年行ったときは おとなりの某C国の人がわんさかいた記憶があります。

 

これは水琴窟。

 

なんかいろいろ効能が書いてある。

で、じっさいに澄んだいい音が聞こえまして、

「将来家を建てる時は 庭にこれを作ろう」

などというバカな会話をしたのですが、

 

……このうえのサムエル・コッキング苑の前の広場で

大道芸人(?)みたいな人が

大音量で クイーンの曲をかけてまして……

 

そのあたりの事情がわかったのはサムエル・コッキング苑前にたどりついてからだったんですけど、

とにかく 上から聞こえてくる謎のクイーンの曲に邪魔されて台無しでした。

 

ここは「山ふたつ」ってところかな。

 

廃屋……だよね……

壊すに壊せないのかな。

こんな場所だから。

 

えーしばらく歩きまして

出会ったのが、タイトルに書きました「江之島亭」

 

さいきん、わたくし CSの「衛星劇場」というのを契約しまして、

で、もともとの目的は 松竹の戦前の映画がみたい!

というものだったのですが、

気づくと 寅さん映画がけっこう楽しみになっているという……

 

なにがいいたいかというと、

「江之島亭」は「寅次郎 あじさいの恋」の舞台になったらしいのです。

 

あじさいの恋は未見なのですが。(といいますか、三作品しかみてないです)

 

しかし、江之島亭は立ち寄らず 奥へ進みまして

奥津宮ちかくのトイレはすごかった。

 

ワオ、ドラゴン! ファンタスティック!

なんですが、水の勢いが強すぎましてね。

 

手を洗うにも 水が服に飛び散ります。

 

酒井抱一の八方睨みの亀。

 

これはオリジナルなんですか?

妙にきれいなんですけど。

 

で、

龍宮(わだつみのみや)というところ。

 

そもそもテレビで 「龍宮がすごいパワースポットでうんぬん」というのを

T子さんがみたそうで、ここに来たのですが、

 

申し訳ないがなんだかよくわからない。

T子さんも自分が来たがったくせに たいして盛り上がっていない。

 

で。その龍宮にお参りしたので

また引き返します。

 

ふたたび奥津宮じゃないかとおもうのですが↓↓

 

古びた狛犬さん。

 

で、さっき気になった江之島亭に行ってみることにしました。

 

3時近くなので お客さんもほとんどいない。

ので、すんなり窓際のお座敷へ。

 

窓の外は絶景。

 

とびっちょなんかじゃなくて ここでお昼にすればよかった。

というか、今度きたら絶対江之島亭だな。

 

 

 

 

このあと、夕食はザ・カフェで。

という予定があったので、

 

軽く コーラフロート&クリームソーダ

 

船が行く。

お座敷の様子。

寅さんがいたのはどのあたりなのか?

 

「やあ、おめえ、絶景じゃねえか」とか言ってたのかな。

衛星劇場でやらないかな。

 

しかし……これだけスペースがあると撮影もやりやすそうだな。

などとテクニカルなことを考えたりした。

柱の配置も映画の画面にしっくりきそうだ。

 

かすかに富士山が……

↓↓↓↓

左端のほうに……

 

グッズがいろいろ。

 

左下の似顔絵は……

愛川欽也にしかみえないんですが……

 

江之島亭をあとにしまして……

 

これはサムエル・コッキング苑へむかう道中

みかけたお店。

 

ガラス細工。

旅行のあとになって あの白蛇は買っておけばよかった、などといっている始末。

 

わかりますかね、カップルの白蛇。

その左隣に 弁天様もいて……(このサイズの画像だとわからないか)

 

今度行ったら買おう、などといっているがいつになるのやら。

そもそも売れ残っているものかね?

 

ふたたび廃屋(推定)

 

オサレな雑貨店(?)

 

写真を撮っただけ。

 

サムエル・コッキング苑に入場。

で、シーキャンドルという展望灯台にのぼります。

 

てっぺんからいろいろ撮る。

富士山……かすかに……真ん中ですが

 

 

 

 

以下、三枚。

魚眼。

 

 

 

 

 

灯台の根元にある サンセットテラスなるところから

夕陽を撮ってみようとしたが、

 

イルミネーション照明のコードが邪魔↓↓

 

けっきょく去年写真をとった 片瀬海岸西浜のほうが場所はよかった。

 

また灯台にのぼる。

ちょこちょこ場所を変えていますが、

こういう人はたいした写真は撮れません。

 

夕暮れ。

ですが、灯台のてっぺんは柵が邪魔で写真がうまく撮れません。

 

よっぽど背の高い人だったら柵が邪魔にならないとおもうが。

 

あ……タイトルに書きましたが……

この日、

湘南江の島クリニックで インフルエンザ予防接種の予約をしておりまして(笑)

 

なんでイバラキのイナカモンが「湘南」で注射を打つのかというと――

 

ここのお医者さんが超絶美人――

……というわけではなく、

(若いサーファーみたいなアンちゃん先生である)

 

そのサーファー(推定)先生が超絶注射がうまい――

……というわけでもなく、

(でも、僕は痛くなかった)

 

去年、江の島へ行った時に湘南モノレールを利用したのですが、

そのモノレール駅と同じビルに

湘南江の島クリニックがありまして、

 

で、「インフルエンザ予防接種 やってます」という内容の貼り紙があったもので

ちょうどいいや、と注射してもらった次第。

 

で、診察券も作ってもらったという次第。

 

とても感じがよかった。

 

論理が飛躍しますが、

 

――なので、今年も湘南江の島クリニックで注射を受けました次第(笑)

 

 

我ながら論理がよくわからないのですが、

夜の江の島の光景を撮り終わったあと……

 

けっこう歩きまして、

インフルエンザ予防接種を受けました。

ザ・カフェ・クリスマス特別コース・いちごフェア ガンダム 飛鳥Ⅱ入港風景 

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もうとっくの昔に終わってしまった

ザ・カフェのクリスマス特別コースをご紹介。

 

今回の記事。

さいごのさいごの画像は クリスマスツリーだし……

 

もとい……湘南江の島クリニックで二人そろってインフルエンザ予防接種を受けまして、

朝、荷物を預けた ホテルニューグランドに戻ってまいります。

で、ザ・カフェで夕食。

 

大好きな固めのパン↓↓

 

大好きなレモンスカッシュ。

 

けっこう遅めの到着だったこともありまして――

前回のようなイヤな思いもしませんでした。

 

ココア。

おいしかった。

けど、こんなにたくさんくるとはおもわなかった。

 

これはコースの、

たしかレンズ豆のスープ。

 

コースとは別に オニオングラタンスープというのを頼みました。

濃厚。コクがあっておいしかった。

冬にはこれはベストなチョイスなのではなかろうか。

 

で、お肉!

国産牛のリブロースステーキ

グリーンペッパーソースというのがかかっているそうな。

 

9月に那須でおいしいステーキを食べてしまったもので

ザ・カフェのステーキ どうなのよ?

などと生意気なこと考えてましたが、

なかなかよかったです。

 

和牛ステーキ桜が10点だとすると、

これは8点くらいか。

でも値段の差もあるから、公平な比較とはいえないか。

桜のステーキは高かったからな。

 

いちごフェアの いちごパフェ!

ドカーンと登場。

 

クリスマス特別コースは終っちゃいましたが、

いちごフェアは2月おわりまでやってるようです。

 

トマスがほぼ一人で食べちゃいましたが、

ザ・カフェのスイーツはどれも 甘さひかえめ さっぱりでおいしいです。

 

ひとつ残念だったのは、根元の方に ハートのチョコレートが

あったのですが、それに気づいたときはほぼ食べてしまったあと。

で、写真に撮ることができませんでした。

 

トマス:ハートのチョコは気づかなかった……

T子:あたしゃ、気付いてたよ。

トマス:なんで教えてくれなかった……

T子:ケッケッケッケ……

 

たぶん、ウェイトレスさん。

気を利かせて、

カップルの女性のほうにハートを向けたんでしょう。

 

日帰りで遊びに行くと、

ザ・カフェでの食事の後に、イバラキへ帰るという

めんどくさい作業が待ち構えているわけですが……

 

いいねえ、泊まりは。

一泊目は ベイフロントハリウッドツイン1401号室。

 

ハリウッドツインというのは、くっつけてダブルのようにもできますよ。ということだったとおもう。

たしか。

 

窓の外。真ん中にみえるのは氷川丸。

んで、右側になにやら光っているのはガンダム。

 

テレビなどの様子。

 

すみません。

二泊めのプルミエスイートの印象が強かったのと、

一泊目はとにかく江の島歩き回って疲れて ただ寝るだけだった印象があり、

 

あんましよく覚えてません。

 

 

 

水回りの配置の様子。

 

 

 

 

で、ガンダムですよ。

夜中も何だか光ってます。

夜の11時くらいだとおもうんだけど。

 

望遠ズーム手持ちで撮ってみる。

今から考えると三脚できっちり撮ってみたらよかったとおもうのだが、

 

ガンダムは、「まあなんとなく知ってる」という程度の人間なもので……

 

しかも動いてる。

誰にむけて動いているんだか。

とかおもってたら ギロッとこっちを見やがりました。

 

じつによく寝まして――

 

8時半前後だとおもいますが……

窓の外には飛鳥Ⅱ

 

小さなタグボートが健気です。

 

氷川丸とガンダムの位置関係。

 

 

 

 

あくまで健気なタグボート

 

なるほどこうやって着岸するわけですか。

 

 

 

いいねえ、

船の上からこの光景を見たいねえ。

 

こうやって 大さん橋におしりを向けまして

 

 

 

自動車の駐車を ものすごく大掛かりにするとこうなるわけだな。

 

 

 

ん。なにやらあやしげなフネが横浜に……

 

人間にたとえると 黒スーツにサングラス いかつい体格

ベンチプレス100kg余裕っす。

みたいな、近づいちゃいけないタイプの人だな……

 

トリミングしてみると――

US NAVAL SHIP  GUAM

 

一方の飛鳥Ⅱ

 

一方 悪そうなフネ

 

映画でこんな風に編集されてたら、

完全にもう 悪だくみの場面だな。

 

トム・クルーズが身を張ってスタントしそうな場面だな。

 

狙われる飛鳥Ⅱ

(違うって)

 

飛鳥Ⅱに近づく悪漢

(違うって)

 

まあ、軍関係の船なんでしょうけど。

 

とかなんとか撮影後、

朝ごはんは和食にしました。

 

氷川丸とガンダムがうっすらみえます。

 

 

 

 

朝食。

いつもおもうのだが、普段の朝食はあんまし食べないくせに

旅行先の朝食はしっかり食べるな。

 

おカネかかってるからかな。

 

朝食後、一旦チェックアウトします。

フロントに鍵を返します。

 

タワー館ロビーのクリスマスツリー。

 

そういや、根元にいるクマさんで思い出したが――

 

ホテルの売店にシュタイフの小さなクマさんが売ってて

すごくかわいかったんだよな。

小さいくせに 1万いくらだったけど……

村野藤吾展・ホテルニューグランド本館ロビーのクリスマスツリー

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あけましておめでとうございます。

 

新年一発目は、

会期がすでに終わってしまった展覧会と

メリークリスマスな記事。。。。

 

旅行の二日目は 横浜駅周辺で買い物をしまして――

村野藤吾展へ。

撮影可だったのは

会場の入口付近だけだったです。

 

以下、シロートの感想。

・模型が展示してあったのだが、

なんだろう、あれは紙製の模型だったようにおもうのだが、

個人的にはプラモデル的につくりこんだ建築模型が好きなので

(じっさい大学時代はそういうのを作ってて、まあまあ褒められた……過去の栄光……)

その点残念だった。

壁の材質がこうで、屋根の材質はこうで。といったテクスチャーがまったく再現されないとおもうのだが。

それって村野建築の最重要ポイントではないのか?

 

・日生劇場の天井の実物大の模型はよかった。

・扉の取っ手とか 時計の数字のフォントとか 村野先生実物大でデザインしてるのがまあ、すごい。

なんでもやるんですね。

 

・宇部市民館……とにかく見に行きたい。

 

・感想、じゃないですけど。

箱根プリンスホテルの模型についていた住所が間違っていたので

(東京都品川区とかなっていたような気がする)

それを受け付けの方に 「あの~」といってみたところ、

「え!?」と即座にすっ飛んで確認、

「ありがとうございました」などといわれた。

 

たぶんそのあとに行かれた方は修正された形跡をみたとおもいます。

 

↓↓会場。

こんなだった。というか、「旧帝蚕倉庫」

んー ちとオサレすぎて苦手な感じだな。こういうのは。

 

槇文彦展もセットでやってたんですが、

この日のメインイベントは

「ホテルニューグランドのプルミエスイートに泊まる」ということで

できるだけはやくチェックインしたかったので

行けませんでした。

 

おなじ施設内の

ジャン・フランソワというパン屋さんで軽く昼食。

 

軽く、といいつつ

いろいろ頼んでしまうのだよな。

 

手前左側 アップルパイだったとおもう。

 

タンシチューパン

なる田舎者はみたことも聞いたこともないやつです。

 

たんぱく質豊富な感じですね。

 

照明もオサレなので撮ってしまう。

 

入口の様子。

 

このあたり、こんな空間が広がっているとは。

 

マクロプラナー50㎜で撮ってみる。

 

んで、このあと、プルミエスイートにチェックインしまして。

飛鳥Ⅱの出港を 高みの見物しまして↓↓

 

(この画像はプルミエスイートの記事に載せました)

で、夕食は中華街。

 

これは本館中庭のイルミネーション。

たぶんもうやってないよな。

 

中華街。

だったのだが、いろいろがっかりしました。

 

二年前、同發別館行きまして、

けっこうおいしかった思い出があるのですが、

 

武漢肺炎パンデミックの影響で 豪華で広い「別館」は閉まってまして

本館しかやってないのですね。今は。

 

本館。

雰囲気はとてもいいんだけど。

 

フカヒレとか蟹の卵とかなにか入ったスープだとおもう。

しょっぱなのこれが なんか薄ぼんやりしたしょっぱい汁という時点で

なにか不吉な予感はした。

 

最近、水戸の京成百貨店に入っている「景山」という中華料理屋さんで

似たようなカニのスープをいただいたが、

何十倍もおいしかった。

 

料理人が変わったりしたのかねえ??

 

店内の雰囲気、最高……

とみえますが、

この画面のすぐ右横に 関西人のビジネスマン四人組が

酔っぱらって関東人の悪口を大声で叫んでいらっしゃいまして――

 

あーあ、それもがっかり。

北京ダック。

 

まあ、おいしいわな。

北京ダックだもの。

 

これは ワンタンのスープだとおもった。

 

チャーハン。これがすごかった。

見た目おいしそうでしょ。

でも、なんにも味がしないのよ。

 

おもわずコロナになったかとおもったアルよ……

 

こんなまずいチャーハンが 中華街の名店で出て来るとはねえ。

 

雰囲気はよかったんだけどねえ。

 

杏仁豆腐。

 

まあ、がっかりしましたが、

この数時間後、ルームサービスで

ナポリタンとクープニューグランド頼んで、たいへん満足するわけです。

 

部屋に戻る前に

本館ロビーへ。

こんなものを

無料で開放しているとはねえ。

 

 

 

横浜。ホテル激戦区でたいへんなんでしょうけど、

この重厚な雰囲気はホテルニューグランドの強みでしょうねえ。

 

これは作ろうと思ったって作れないからねえ。

 

えー

で、プルミエスイートで一晩過ごしまして――

 

翌日の朝食。

ル・ノルマンディなんですが、

いつものブッフェ方式ではないのですな。

 

セットで、「はいどうぞ」という形式。

 

 

ヨーグルト。

右側の気持ち悪い物体は T子さんのスマホ。

 

オムレツ。

いつもならば 目の前で作ってくれたんだけどな。

 

 

 

 

 

 


明月院の紅葉・峰本(そば)・鎌倉文華館・久しぶりの黒船亭

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前回に続き、タイムリーな話題。

紅葉ですよ、紅葉。

 

ホテルニューグランドのプルミエスイートをチェックアウトしまして――

北鎌倉にやってきました。

 

明月院。

仏教のお寺は正直あんまし好きではないのだが、

ここは毎年来てしまいます。

 

「紅葉情報」みたいなサイトだと

鎌倉はもう紅葉終わってる、という情報でしたが、

 

運良く、明月院は「見ごろ」でした。

 

月笑軒からみた紅葉↓↓

 

月笑軒 中の様子。

 

明月院内のカフェみたいなもの。

いつも誰かしらお客さんがいるのだが、今回はわれわれ一組だけだった。

 

月笑軒に限らず 明月院、人が少なかったです。

 

アンティークの指ぬきのコレクション。

 

これは、なんと説明していいのか、

テーブルがガラス張りになってまして――

中のコレクションがみえるという。

 

こういう構造のテーブル、なにかうまいコトバがあるんだろうが……

 

いつもジンジャーエールをいただくのだが、

 

寒かったので甘酒。

たしか紅麹とやらを使った甘酒で

とてもいい色をしていました。

 

味は変わらないです。甘酒です。

 

ほうじ茶……だったとおもう。

 

下にボケて写っているのがさっきの指ぬき。

 

 

 

で、かの有名な丸窓。

 

「悟りの窓」とかいうらしいですが、

仏教用語は正直苦手。

 

カネの匂いを それっぽい用語で隠蔽しているような気がする。

ただの「丸窓」でいいじゃないか。

 

ここも毎年行列なんですが、

今年は撮り放題でした。

 

あと、誰かしら後ろの庭園にいることが多いので

撮るタイミングが難しいのですが、

今年はとにかく人が少ない。

 

 

 

で、

後庭園にはじめて足を踏み入れました。(有料です)

 

いいなあ。

 

丸窓を反対側から見るとこうなるわけね。

 

これはマクロプラナー50㎜↓↓

 

あとの紅葉の写真は ニッコールの70-200㎜ズームです。たぶん。

 

丸窓撮影している人の邪魔をする。

二三人は並んでいるな。

でも例年行列ですからねえ。

 

 

 

一日中曇っていたが、

一瞬日が射したのだとおもう。

 

 

 

 

お地蔵さん。

正直仏教モチーフもあんまし好きではないので

なんで撮ったのだろう?

 

まあ日記みたいな意味もあるので載せておきます。

アンチ仏教みたいなこと書いたりして

仏教信者の方、申し訳なし。

 

――と、ここまで

明月院の様子です↓↓

 

↓↓これは 円覚寺の入口あたりの紅葉。

 

円覚寺はもう紅葉の盛りを過ぎている印象でしたが――

中には入っていないのでわかりません。

 

お腹がすいていたので通り過ぎます。

いったん円覚寺にはいると 小津先生のお墓参りとかしたくなってしまって

キリがないのでやめます。

 

鎌倉駅にて。

 

SLぐんまとかいうものの広告。

 

マスク。

 

マスク。

 

鳩サブレの豊島屋さん。

この日は休み。

どうやら遠方から来たらしい観光客の女の子二人組が

「休みなのかー」と肩を落としているのをみた。

 

あちこちに

原節ちゃん&李香蘭のポスターが貼ってあった。

 

で、峰本さんで昼食。

 

えーと、なんというメニューだったっけ?

海老天丼とおそば。

 

あと茶碗蒸しもでてきたような気がする。

峰本さんはいつも落ち着いて食事ができるから好きです。

 

八幡宮の目の前なのに 行くとどういうわけか空いてる。

土日祝はどうなのか知らないですが。

 

で、

カマキン――

が、生まれ変わって

 

正式名称は

鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム というらしい。

 

スペースを

神奈川県に貸していたのが もとの八幡宮のものになったということか。

 

坂倉準三先生の名建築が

ピッカピカになって生まれ変わった――というわけですが……

 

なんかピカピカすぎて興ざめ――

などとおもいました。

 

仏教にケンカを売って

返す刀で 神社の……名建築リフォームに文句をつけるという……

 

ただおもしろかったのは、

鎌倉文華館。

巫女さんが、あの巫女さん衣装の巫女さんが

何人か勤務されていたことですね。

 

いわゆる「美術館」の中で あの格好の女性を見にすることは

まったく予期していなかったので

かなり驚きました。

 

しかし、建築的にはなんだか気に食わない。

 

なにが自分的に気に食わないのか――

イマイチよくわからないので、

以下4枚

2015年11月5日撮影の

閉鎖間際の「神奈川県立近代美術館」の写真を並べてみます。

 

と、おもうのはやっぱり

中庭のピカソの彫像ですな……↓↓

 

この子たちがいなくなったのがさびしい……

 

リフォーム前は蛍光灯かな? リフォーム後はLEDのダウンライト。

 

あとリフォーム前 柱は濃いグレー

リフォーム後 ライトグレーですね。

 

あとピカソの彫像の写真をみると 床面の石材も変わってることがわかる。

 

そう、ところどころに展示品があったのか。

この違いは大きいか?

 

んー やっぱし展示品はなにか欲しいな。

中庭のピカソの彫像――あれみたいななにか。

 

あとは年月が……

経年変化がいい具合に進んでくれれば……

 

鎌倉のあと、

イバラキへ帰宅ついでに 上野の黒船亭へ。

 

しかし、画像をご覧の通り お昼 峰本さんで食べ過ぎたので

あんまりお腹が空かない。

 

ので上野をうろうろする。

 

上野はシャンシャンさようなら、というわけでパンダだらけ。

松坂屋なんですけど……

 

なんか薄気味悪い……

 

お腹空いたので黒船亭へ。

 

ヤマシロヤ(おもちゃ屋さん)で買った

ぬんちゃん(可愛い嘘のカワウソ)グッズを試してみる。

 

イマイチ使い方がよくわからない。

 

インスタ映えグッズなのでしょう。

スマホのカメラとかの方がうまくいくかな。

 

もとい、久しぶりのハヤシライス。

 

以前は月一とか 二カ月にいっぺんとか

黒船亭行ってた時期もあったのだが、

武漢肺炎パンデミック以降、行けなくなってしまった。

 

デザート。

 

レモンティー。

 

外の様子。

黒船亭、お客さん少なく……大丈夫なのかな? とおもってしまう。

 

以前は外国人のお客とかも多数いたんだけど。

 

テーブルの数。間引きして少なくなっていた。

 

このうえ、緊急事態宣言では踏んだり蹴ったりだろう。

 

上野の様子。

んーちと寂しげ。

そういや、シャンシャンは一度もみたことないや。

 

――と、ようやく二泊三日の旅行の記事が終わりました。

愛しのルナ。さようなら……(Panasonic Strada CN-HS400)

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本日、1月20日。

つい先ほど、愛しのルナとお別れをしてきました――……

 

□□□□□□□□

1月のはじめ。

13年間、約195000km酷使してきた 愛車のマツダ・アクセラが

急にクラッチがつながらなくなりまして――(MT車)

 

とうとう手放すことになりました。

 

ルナ、というのは、

新車の当時から ついていたカーナビ

 

ストラーダ CN-HS400 の……

 

なんといいますか、

起動時に出現するマスコットキャラクターの女の子でして……

 

公式の名前ではなく、

T子さんが勝手につけた名前です(笑)

 

このクルマとのお別れは近いな……

という予感はあったので、

ここ1年くらい、

ちまちまとルナの写真はスマホで撮っておりました。

 

それを今回――

……おそらく興味ある方は誰もおられないとおもいますが……

 

紹介したいとおもいます。

 

□□□□□□□□

 

・昼間のルナ

ルナは、ですね、

季節・時間帯によって ちまちまと服装が変わるのですね。

 

昼間はOLさんとして どこかで働いているらしいです。

 

ベージュ色のスーツ↓↓

以下にみるように 基本ルナはスカートが好きっぽいので

パンツ姿は珍しいです。

 

この日はお出かけでしょうか。

デニムのスカートに ブーツ。

 

ネイビーブルーのスーツ……

というか、ホコリ拭けばよかったですね……

 

以下、汚い写真が続きます。ご容赦ください。

 

ピンク色の なんか銀行員さんみたいな恰好。

ルナは基本、膝上のミニスカートが好きらしいです。

 

きれいな足に自信があるんでしょう。

 

あと髪の色は茶系が多いのですが、

黒髪の時も 何パターンかあります。

 

これもお出かけっぽいです。

彼女の持ってる中で一番短いスカートがこれ。

 

 

つづきまして――

・夜のルナ

 

ルナは夜遊びまわっているっぽいです。

去年の3月 緊急事態宣言の頃も こんな格好で遊びまわっていたので

まったく呆れてしまいました。

 

スリットからチラっとみえる長い足がやけにセクシー

きれいな背中も丸見えです。

髪もばっちりセットしています。

 

こんどはピンクのドレス。

これも背中がぱっくり開いているんでしょうか?

胸元のジュエリーの色と バッグの色を揃えているあたり、意識が高いですね。

 

ルナは遊んでるんじゃなくて

こういう恰好で働いている。

 

つまり、

昼間OL 夜、水商売

という説もあったのですが、

 

これはあとあと見るように

「ルナは寝るのがやけにはやい」

という事実から、否定されています。

 

ルナはこうみえてやっぱりカタギの女の子なのです。

 

めずらしく ボーイッシュなルナ。

 

これは珍しく 若奥様風のルナ。

この日は外で遊ばないで うちにいるようです。

 

急に ショートカットにしちゃったルナ……

しかし、髪の毛はすぐに伸びるらしいです。

 

しかし、洋服代とかバッグ代とか考えると――

ルナは相当にお金持ちのうちのお嬢さまのような気がします。

 

シックなワインレッドのドレスを着るルナ。

バッグといい、胸のジュエリーといい、

高価そうです。

 

誰とおデートなんでしょうか?

なにかのパーティでしょうか?

 

 

・季節ごとのルナ

 

これはレアキャラです。

小麦色に日焼けしてます。

ルナはあれですな、背中に自信があるっぽいです。

 

あと足はかならず見せつけてきます。

 

朝顔柄の浴衣です。

花火大会にでもいくんでしょうか。

 

これも夏っぽい格好。

スニーカーもたまに履きます。

 

冬のルナ。

厚着は珍しいです。

マフラーの色と手袋の色を揃えるあたり、

さすがルナ、という感じがします。

 

クリスマス限定ルナ。

Merry Xmas!! とあいさつしてくれます。

 

T子さんの感想 「ルナ、あんがい渋い声だな……」

 

お正月限定ルナ。

 

とにかく どんだけ衣装を持ってるんだ、という話です。

 

で、さいご、

・おやすみ、ルナ……

 

夜遊びまわっているんですが、

11時くらいにはもう寝てしまうあたり、

さすが育ちの良さを感じさせます。

 

門限が決まっているのかもしれません。

 

夜寝る時は パンダと一緒。

 

愛しのルナ。さようなら……

マツダ・アクセラ、さようなら……

 

つぎはトヨタのハイブリッド車になりそうです。

MTなんかないから AT車です。

 

□□□□□□□□

 

内容がないので 最近のゆり坊の様子です。

とても元気です。

 

3枚とも マクロプラナー50㎜です。

いいレンズだ……(自己満足)

 

しかし、年明け早々 ニコンの経営がかなりやばいって……

 

どうするんだ。

うちのコシナ・ツァイスのレンズは ニコンFマウントなんだぞ。

レンズ資産が無駄になってしまうのか??

 

キャノンに乗り換える気なんか今更ないぞ。

でも最大手のキャノンだって カメラ事業はやばいって――

 

とまあ、色々心配もあります。

ホテル日航つくば(磯崎新)・中国料理 桃李(桃花林)

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プイプイモルカーを新車で注文したい、今日この頃……

(でもトヨタの某ハイブリッド車にしました)

 

えー 一昨年に宿泊したホテルのご紹介。

なぜ、今頃? というと、

いろいろがっかりしたからです。

とくに趣味の悪い黒いソファにがっかりしたからです。

 

磯崎新設計のホテルにがっかり。

 

――はい。

ホテルの運営がどうこう、ではなく、

建築(とくにインテリア)にがっかりしちゃったわけです。

 

がっかりしちゃった経験を書いてもな―……と、おもって書きませんでした。

あとはこのすぐあとに軽井沢旅行に行ったりしてるので

そっちの記事を書くのも忙しかったのだろうとおもわれます。

 

□□□□□□□□

もとい、

2019年の9月

その当時、このホテルは 「オークラフロンティアホテルつくば」と名乗っていました。

今は 「ホテル日航つくば」という名前らしいです。

 

それと中国料理・桃李ですが

これまた2019年当時は 「桃花林」という名前でした。

 

□□□□□□□□

9月某日

まず 笠間稲荷にお参り、そしてうなぎ量深でうなとろろをいただきました。

(2019年10月2日の記事)

それから大谷資料館にむかいました。

(2019年10月3日の記事)

 

で、それからつくば市中心部。

Arata Isozaki & Associates による

Tsukuba Center Building のホテルに宿泊したわけなんですけど。

 

あこがれの磯崎新建築にとうとう泊まったわけなんですけど……

 

 

 

……1年以上経過して

今の今、この記事を書いている理由と言うのは、まず、

 

年明け、少々時間があったので、放ったらかしにしていた

「オークラフロンティアホテルつくば」の写真を ようやく整理した、

ということがあります。

 

それから、ですね――

 

重大なことがわかったんですよ。

 

それは、

竣工時のつくばセンタービルのホテル棟(当時、筑波第一ホテル)の

客室インテリアは倉俣志朗の手によってデザインされていたのだが、

2000年5月 第一ホテルの経営破綻により、

倉俣志朗デザインの家具は破棄されてしまった。

 

――という事実。

つまり、

1983年の竣工時は、

こんなダッサイ インテリアではなかった。

 

ということになるわけです。

 

ごめん、磯崎先生……

 

磯崎新のホテル泊まったんだけど、

くそつまらねえ――

ほんとダッサイの……

 

とか、おもってたんですけど。

 

磯崎先生は関与してない訳ね、このダサさ。

 

もとい……

この部屋、何階かは忘れたんですが、

「デラックスツイン」という部屋だとおもいます。

 

おわかりいただけるだろうか、

このダサさ。

 

T子さんのスニーカーだのバッグだのが転がっていますが。

 

なんだ、この椅子……

 

ダサさの極みが このソファ&椅子――

 

なんすか? このセンス……

ど田舎の成金の応接間的な、この薄っぺらさ……

 

このアグリーな物体を撮りながら

「え? 磯崎新って??……」

と頭の中に「?」マークがいっぱい浮かんでいたのを思い出します。

 

でも、繰り返しますが、

竣工時はこれじゃなかったわけです。はい。

倉俣志朗のインテリアが見たかったな……

 

窓。

 

磯崎新の代名詞みたいな

あの正方形窓です。

 

完全に忘れてますが、

たぶん 「A」のレバーをまわして↓↓

 

「B」の金具を操作すると開くのではないでしょうか。

すごく重かったような記憶があるな。

 

えーと、とつぜん水戸芸術館ですけど↓↓

去年の12月、クルマの免許の更新があったので水戸へ行きまして

ついでに撮ったのですが

(あの頃はルナと一緒だった……)

 

この水戸芸術館のタワー同様、

ホテルもやっぱり 視界は悪い。

外はほとんどみえない、というのが磯崎建築の特徴のようにおもいました。

 

総じて磯崎建築というのは

サービス精神というモノに欠けているとおもいます。

 

ホテルに戻りまして、

お風呂。

 

ビジネスホテルですね。

 

竣工時はもっとかっこよかったのかな??

とにかくインテリアにはがっかり。

 

「磯崎建築なのだ」「ポストモダン建築の代表的作品なのだ」

という意識は このホテルの運営会社には皆無らしいですな。

 

なんでオリジナルの家具 捨てちゃったんだろう??

 

廊下の様子。

 

自販機コーナー

 

エレベーターの天井部分。

これはかっこいい。

 

磯崎の磯崎による あの「正方形」が繰り返されております。

 

フロント脇のロビーみたいな空間。

 

いや、ロビーなんでしょう。

この椅子もオリジナルじゃないんでしょうなあ……

 

村野藤吾っちの 箱根プリンスのロビー――

あの村野藤吾デザインの椅子が並んだ壮麗なロビーを思い出します。

まあ、宿泊費高かったしねえ。

芦ノ湖畔というロケーションもあるし。

簡単に比較しちゃいけないけど。

 

ロビーから階段をあがって 2階は結婚式場なのかな?

 

↓↓凝りに凝ったドア。

こんなところにカネかけるかね。

従業員用のドアよ。

こういう狂気は好きです。

 

メインエントランス、だとおもう。

 

正直な感想をいうと、超豪華なラブホみたいな印象。

というか、ラブホ建築は 磯崎建築の影響下にあるのだろうか?

とか考えたりする。

 

えーと、ですね。

たしか国体が茨城で開催されていて、

で、その選手の団体がいくつか このホテルに宿泊されているようでした。

 

その悪影響があとあとありました、

が、あとで書きます。

 

「歓迎〇〇県〇〇選手団様」

とかいろいろ書いてあります。

 

メインエントランスを入るとこんな光景が目に飛び込んで来る、という図。

 

たぶん建築史に詳しい方なら、「ここは〇〇の引用」とかわかるんだろうが、

無学なのでわからない。

 

天井部分はオットー・ワグナーのウィーン郵便貯金局(1912)なのかな??

 

で、その右側がフロント。

 

いろいろ写真を撮ってはいるのだが……

 

2019年9月

その一か月前に 村野藤吾先生の箱根プリンスを見ちゃってるわけ……

 

あのすさまじいのを見ちゃってるので

どうしても比べてしまう。

 

つくばセンタービルというと ポストモダン建築の代表格みたいなシロモノですが、

んー、フロント&ロビーは

ちょっとがっかりだったな。

 

ホテル建築に関しては やっぱし村野藤吾が抜群にうまいのではなかろうか?

とかシロートが偉そうに書いてしまっています。

 

えーと、モンローチェアっていったっけ?

 

背もたれの曲線 マリリン・モンローの身体の曲線から導き出された、とか。

なにかで読んだ。

 

んー、なんか、すごいな……

 

天井の格子のリズムが

まったく階段と噛み合っていないわけですよ。

 

な、な、なんなんですか?

なんだかだまし絵みたいな世界。

 

べらぼうにカネをかけて

だまし絵の世界を作っている感じ。

 

日本国がめちゃくちゃカネがあった時代の産物。

 

で、ここが2階のエントランス↓↓

さっきのは1階のエントランス。

 

うまく説明できないんですけど……

かつてはこのドア↓↓

を抜けると、真正面に西武が見えたんですよね。

 

つくば……というかイバラキ県南の中心部、という感じが

ホントありました。

 

西武っていつ撤退しちゃったんだっけ?

 

↓↓2階から1階のエントランスを見おろしたのではないだろうか?

ちょっと空間がどうやって構成されていたのだか、わけがわからなくなっている自分がいる。

 

このあたりが磯崎マジックだろうか。

 

 

 

で、夕食は 別館に入っている 「桃花林」へ。

 

「蘭」という 7000円のコースをお願いしました。

 

とても美味しかった記憶があります。

当時のメモを見返しますと、

「ウェイトレスさん 黒い制服」

などと書いてあって思いだしたのですが、

シックな黒い、チャイナドレスっぽい服装でした。

 

あと、よくおぼえているのは 先ほど触れた「国体」関連じゃないかとおもうのですが、

となりの席の男性三人組が えんえんゴルフのはなしをしているのですよね。

やけに若くて、

ビジネスマンがゴルフやりに来た というような年齢ではないので

「国体」関係かな? と判断したんですけど――

 

とにかくそやつらの会話が なんだかバカっぽくて(失礼) うるさかった記憶があります。

 

しかし。

食事はよかった。

まずは黒ウーロン茶かな??

 

・前菜四種盛り合わせ

 

メモに 「キクラゲ 自家製チャーシュー タコ とあとなにか」

などと書いてあります。

 

レンゲにのっかってるのが、タコかな。

 

・蟹肉入りふかひれのスープ

 

メモに「スープ 上品なあじ」

と書いてあります。

 

・北京ダック

これだけですか。これだけですよ。

 

・帆立貝の貝柱湯引き葱、生姜風味

 

メモ 「ホタテ+セロリ セロリセロリしてない」

どうやらセロリが下にあるらしいです。

で、わたくし セロリが苦手なのですが、

セロリの苦みがなくて食べられたようです。

 

お箸。

金属製で珍しいので撮ったのでしょう。

 

韓国料理屋さんでみたことがありますが。

 

・常陸牛モモ肉の豆豉炒め

 

これはメモなし。

というか食べ物の感想は 時間がたつと無意味ですね。

アスパラガスがおいしそうです。

あとお芋がのっかってるのかな??

 

・海老のチリソース煮

 

大きなエビ。

・チャーシューとレタスのチャーハン

デザートを欲張って色々頼んだのだとおもう↓↓

 

一番下のやつがコースについてくるデザート。

・季節のフルーツ入り杏仁豆腐

 

メモによりますと「メロン パイナップル なし」だそうです。

 

そうそう、これがおいしかった↓↓

また食べにこようとおもったが 行ってない。

 

ここ。うちから近いのですが、

アクセスがどうも悪くて――

駐車場から歩くんですよね。けっこう。

 

モナカ杏仁アイスクリーム。

650円。

けっこういいお値段しますね。

 

これはなんだろう。

プレーンの杏仁豆腐も頼んだのかな。

 

ジャスミン茶、でしょう。

部屋に戻りまして カードキー

 

よく寝まして、朝。

まあ、また泊まることはないだろう、とおもいます。

 

というか、書かなかったけど……

このホテル、うちから車で3、40分くらいの距離にあるんですよね。

 

で、たしか当時じゃらんのポイントがたまっていて

ポイントで泊まれるじゃん、

という贅沢な理由で泊まったのだとおもいます。

 

魚眼でフロントを撮ってみる。

磯崎新設計のホテル。

建築目当てで泊まると、がっかりするかも。

泊まらないで見物する分にはおもしろいですな。

 

というか、このあたり。つくば市中心部。

伊東豊雄の立体駐車場とか 谷口吉生建築とか

菊竹清訓の塔とか すさまじい建築スポットだったりするけどね。

ウォークマン・PEANUTS Collection (NW-A55)など

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年始早々 ルナ(マツダ・アクセラ)が壊れまして

 

2月中旬。赤いカバ子(トヨタ・C-HR)がやってきたのですが、

 

カバ子で音楽を聴くために

ウォークマンを買ったというおはなし。

 

さすがのトマス・ピンコも スマホで音楽が聴けるということを知っているのですが、

せっかくなら、音楽専用の機械が欲しい。

 

で、ソニーのウォークマンのサイトをみると

PEANUTS Collection とやらいうものが 3/31までやっているということで

まんまとひっかかった――

まんまとおカネを使わされた――

 

……わけです。

 

ウォークマン本体のカラーが5色

で、スヌーピーの刻印のパターンが5パターン

5×5=25パターンの中から、自分の好みのものを選べるという仕組み。

 

自分は 「黒」で、ウッドストックと一緒の刻印を選びました。

 

これにプラスして 何文字かメッセージが入れられたりもするみたいです。(有料)

 

かわいいのがやってきました。

ただ注文してからしばらく時間がかかります。

 

「ウォークマン」というと はっきり申し上げて

カセットテープを「ガシャ!」とセットする メカニカルなアイツの印象が強いもので……

 

あと、こういう携帯用のミュージックプレイヤーには縁がない生活を送ってきたもので……

 

今のウォークマンはこんななのね!?

すっきりしちゃってますね。

小型のスマホみたいな感じです。

 

↓↓ おなじくソニーの Xperia XZ3との比較です。

 

とりこんだCDのジャケット写真が表示される↓↓

ははぁ、今はこうなってるのか。。。

 

百恵ちゃん。。。

最近NHKでやった山口百恵ラストコンサートに感動してしまったクチです↓↓

 

じっさいは TBSラジオの「アフターシックスジャンクション」(アトロク)を

録音したものを車の中で聞くというパターンが多いです。

 

今までは 宇多丸さんのラジオ(アトロク)を、ICレコーダーに落としこんで

そこからFMトランスミッターとかいうものでFM電波を飛ばして聞くという原始的なやり方だったのですが……

 

ようやくクルマが……

というか、トマス・ピンコの野郎が時代に追いつきまして Bluetooth対応になりましたので

今までの雑音だらけの生活が ウソのようにクリアになりました。

 

スヌーピーの刻印を傷つけたくないので

アマゾンで中華製の透明ケースを購入↓↓

 

Maxku とかいうインチキくさい名前の会社の 899円のモノだったのですが、

(社長は「馬」さんかね??)

これはたいへんよろしかったです。

 

というか、ソニー公式のケースもあるにはあるのですが、

公式は「透明」じゃないんですよね。

こういうかわいらしい刻印をつけて売る以上、透明なのも出すべきではなかったか?

 

でも、中華製には勝てないという賢明な判断か。

 

音質、とかそういうことは 判断できる人間ではないのですが――

 

うちのオーディオ(マランツのプリメインアンプ+JBLのスピーカー)に繋いでみたりしましたが、

とてもいい音です。

 

ヘッドホンを繋ぐことはほとんどないのでよくわかりません。

 

じっさいは 上記のように

ひたすらカバ子を運転中に 宇多丸さんのラジオ(アトロク)を録音したモノを聞く、という使い方です。

つまり、Bluetoothで聞いてるわけですが、

たいへんいい音で聞ける、とおもいます。

 

あ。スヌーピーの刻印の保護がメインなので

液晶画面は保護してないです。このカバーは↓↓

 

あと、2月らしい話題。

いただいたチョコレートを記録しておく。

自慢?――

 

T子さんはさすがに スヌーピー関連を与えておけばOKという法則がわかっているらしい。

 

帝国ホテルのもの。

おしゃれな……おしゃれすぎの缶にはいってます。

 

ベルちゃんがたくさん。

 

ちなみにベルは スヌーピーの妹です。

たまに、スヌーピー&ベルが 結婚式の格好のぬいぐるみとか お雛様の格好のぬいぐるみとかみるんですが、

あれでは近親相姦になってしまいます(笑)

 

↑黄色の包装が マンゴー  ピンクがイチゴラズベリー

 

↓成分。

 

中身。

たいへん美しいです。

 

あと、おいしいです。しっかり果物の味。

甘すぎない……品のある甘さ。

 

あと。野田の美魔女様にいただいたもの。

フーシェの惑星チョコ。

 

たいへん「映え」ます(笑)

 

黄色いイガイガしたやつだけいただきましたが、

ミルク風味がきいてておいしかったです。

ありがとうございます!

 

ついでに何年か前にいただいたもの。

同じシリーズなのでしょうな。

 

右から――

水星 木星 天王星 海王星 地球 土星 金星……

 

ときて、一番左側は火星だろうとおもうのだが、

Cupidon とはなんだろう?

と調べてみると どうも天王星の衛星らしい。

 

なんで火星は無視? とおもいましたが、

マルス……「戦争」 諍いの神だからなのでしょう。

よく考えられてますね。

 

そのかわりにキューピッドを持ってきたわけね。

 

いやはや 「映え」ますねえ。

京マチ子の「顔」または小津安二郎「浮草」の構造 その1

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京マチ子たんの「顔」を中心に

小津安二郎監督「浮草」(1959)の分析をしようとおもいます。

 

 

□□□□□□□□

 

そもそもの出発点は、

宮川一夫キャメラマンの

京マチ子の「顔」

についての発言でして――

 

(↓↓左:宮川一夫 右:小津安二郎)

 

日本映画専門チャンネルというところで

ずっと前に NHKの「訪問インタビュー」なる番組の再放送をやっておりまして

NHKのアナウンサーが 岸恵子とか冨田勲とか

有名人のインタビューをやっているのですが――

(ついでにいうとテーマ曲の作曲を冨田勲先生がやってたりする)

 

そのなかで 名キャメラマン・宮川一夫先生の回がありました。

それを見返しましたところ、

京マチ子の「顔」

をめぐって なかなか興味深い部分がありましたので、以下紹介します。

(当番組、この部分のほかは さすが天下のNHK様で……

いかにも試験秀才が作りそうな 当たり障りのない平々凡々たる内容です……)

 

当時、宮川さんは75歳。「瀬戸内少年野球団」の撮影をしておられたようです。

以下、「アナ」と書いているインタビュアーは 川野一宇アナウンサーという人で、

上記のようにすこぶる平凡なインタビュアーだとおもいます。

(もっと他に適任者はいるとおもうのだがなぁ……)

 

アナ:たとえばですね、女優さんの顔をひとつ撮るのでも、

その、光の加減でずいぶん変わってくるとうかがいますが。

宮川:ええ、そうですね。

あの、なんかとってもソフトな顔にもできるし、

たいへん厳しい「キッ」とした顔にもできるという――

そういうライティングってものをよく……

レンズも使い分けたり、ライトも使って

まあ、だいたい光でそういうことはよくやりますけども、

ま、今のおはなしで女優さんでただ困ることはね、

ま、名前出してアレだけど、

京マチ子なんてのはね、

こちらの顔がとてもきびしい顔なんです。

(トマス注:自分の顔の右側を示す)

アナ:右っ側が。

宮川:右っ側が。で、こちらの顔が

(トマス注:自分の顔の左側を示す)

とってもやさしいね。いわゆるお多福形っていうね。

ふっくらしたかわいい顔にみえるんですよ。

アナ:はぁー……

宮川:で、こちらとこちら

(トマス注:自分の顔の右側、左側を順に示す)

すごくタイプ的に違うわけですよね。

アナ:ええ。

宮川:そういう女優さんもいますしね。

(1984年2月 NHK「訪問インタビュー」より)

 

ようするに 京マチ子たん。

顔の右側と左側でタイプが違うっていうんですよね。

右側は厳しく、左側はやさしい、という……

 

なるほどねえ。そんなことはついぞ意識したことがなかった。

 

□□□□□□□□

で、そういう目で――

京マチ子の「顔」

中心に、小津安っさんの「浮草」(1959)をみてみますと、

非常に興味深い結果になりました……

というのが 以下の記事になります。

 

最初に結論を書いてしまいますと――

①京マチ子は、中村鴈治郎に対して常に「左側の顔」(やさしい顔)を向けている。

②京マチ子は、中村鴈治郎以外の人物に対して常に「右側の顔」(きびしい顔)を向けている。

以上の法則が導きだされます。

 

そして物語の終盤、「S97 人のない客席」以降、この法則は変化を見せまして――

③S97以降、京マチ子は、誰に対しても常に「左側の顔」(やさしい顔)を向けている。

 

京マチ子の「顔」をめぐって 以上のような3法則が導きだされるわけです。

(以上の3法則ですが、カットバックで「対話」や「睨みあい」が行われた場合の話です)

(また、法則にはいくつかの例外があります。座主である笠智衆に「右側の顔」を向ける、等々)

(「左」「右」は京マチ子からみて、です。人物正面からみると当然逆になります。ややこしい話ですみません)

 

□□□□□□□□

 

理屈ばかり書いていても仕方ないので、

以下、実際のプリントを見てまいります。

 

S8 船室

 

京マチ子の登場シーンですが、

まず注目していただきたいのは、鴈治郎さんとの位置関係です。

 

京マチ子―中村鴈治郎 この二人が横並びになる場合、

必ず 京マチ子(右)―中村鴈治郎(左) という並び方になります。(京マチ子からみて)

この並び順には例外がありません。

①京マチ子は、中村鴈治郎に対して常に「左側の顔」(やさしい顔)を向けている。

この法則を実現したいために 必ず京マチ子は 鴈治郎さんの右に座るのです。

(くりかえしになりますが 「左」「右」は京マチ子からみて、です)

 

すみ子「加代ちゃん、あんた、それ持ってって」

 

加代ちゃん……若尾文子たんには 右側の顔をむけているわけです。

はい。

②京マチ子は、中村鴈治郎以外の人物に対して常に「右側の顔」(きびしい顔)を向けている。

 

ついでに……

観客の我々の側からすると、

はじめにきびしい横顔をみせられて、ふいにやさしい方の顔を向けられるという動きになります↓↓

 

↑↑このショットからも なるほど、宮川一夫先生のおっしゃることがわかります。

京マチ子。確かに 顔の右側と左側の雰囲気が違う。

目の形がポイントなのかな? 輪郭?

 

NHKのボンクラアナウンサーは この意味がいまいちわかっていないようだったが、

このブログをご覧の聡明な読者の方はおわかりいただけるだろう。

この顔の特徴が 京マチ子を大女優にしたのではないだろうか?

 

そうそう、鴈治郎さんの背中が対角線してます。

 

すみ子「みんな、忘れ物ないようにな。六さん、ええか?」

 

忘れ物というコトバ。

ラストのS119 鴈治郎さんのセリフ

駒十郎「お前、あこの荷物忘れたらあかんで」

と響き合います。

さらにラストの夜汽車のシーンの京マチ子。これと同じ着物で 同じ白いバック、

そして中村鴈治郎の右側に座るわけです。

 

さらにさらに、中村鴈治郎-川口浩の秘められた親子関係などを考え合わせると

「忘れ物」というワードのチョイスは完璧だという気がします。

毎度ながら 小津・野田コンビのシナリオはおそろしいほどの完成度です。

 

S12 町

 

えー↓↓

記事のテーマとはまったく関係ないんですが、小津作品には珍しい「俯瞰ショット」なので――

以下、宮川一夫先生の発言を引用します。

 

宮川=「浮草」のロケーションで、どうしてもローにならない場所があって、俯瞰が出て来た。屋根越しに見る絵で、どうしても伏せなければならないので訊いたんですが、「別にこだわりませんよ」とパッと言った。みんなが「小津さんの俯瞰があった」と言っている。その時「いいですよ、そうして下さい」と言われた。「アラッ」とぼくは思った。初めてですからね。ちょっと間違えたかなという気もした。もう少し崩した方がよかったのかなという気もした。前後のつながりがありますからね。

 だから必ずしもロー・ポジということに、固執はしておられなかったんじゃないかと思います。あくまで的確な所へ持って行こうというところがあったんだと思う。

(蛮友社「小津安二郎・人と仕事」310ページより)

 

どうも宮川キャメラマンの提案だったようです。

で、当然ながら疑問が浮かんでくるのは、

京マチ子の「顔」

なわけです。

 

京マチ子の「顔」をめぐる演技プラン・撮影プラン。

これもやっぱり巨匠・宮川一夫の発案だったのか??

そのことに関しては「小津安二郎・人と仕事」は何も触れていません。

 

S20-b 階下 楽屋

すみ子「アア、暑い暑い」

 

京マチ子が左側の顔(やさしい顔)を向けていますので――

 

駒十郎「オイ、ちょっとわいの着物出して」

 

当然、中村鴈治郎との会話なわけです。

 

すみ子「どうするの?」

駒十郎「ご贔屓さんへご挨拶や」

 

というのですが、ウソをついているので目を合わせません。

鏡……というと女性の二面性を表わすのに小津安っさんがよく使うアイテムですが、

「浮草」では 鴈治郎+鏡というシーンがよくでてきます。

 

S22 楽屋

すみ子「どうぞお引き立てを……」

 

ここは……法則①

①京マチ子は、中村鴈治郎に対して常に「左側の顔」(やさしい顔)を向けている。

が、唯一破られるところです。

 

というのも、座主相手だからで……

あと当然ですが、

「笠智衆」という ザ・小津映画 という俳優さんだから、というのもあるかな。

 

あと気になるのは――

背景の……テレビの広告? 左右 目の色の違うネコちゃんのイラスト。

 

――これ……京マチ子のこと?

そして、公開から60年後、京マチ子の「顔」をめぐって

作品を分析しようという トマス・ピンコへの隠されたメッセージなのか(笑)

 

……いや。半分本気です。

これは深い意味がありそう……

 

S34 舞台

「国定忠治、赤城山の場」

 

妙に太ももがセクシーな国定忠治……

もとい、京マチ子は、観客に「右側の顔」を向けております。

当然 法則②です。

 

対角線をひっぱってみると……

なるほど。きまった……

 

忠治「加賀の国の住人、小松五郎吉兼が鍛えた業物、万年溜の雪水に清めて……

(と刀を抱き)

俺にァ生涯手前という強い味方があったのだ……」

 

と、あくまで右側のきびしい顔をみせます。

 

S40 楽屋(二階)

駒十郎「ま、見ててみィ、尻上りや」

 

すみ子「ならええけど……」

 

と、鴈治郎さんには左側の顔を向け

それ以外の人物(ここでは若尾文子)に右側の顔を向けるといういつものやつ。

 

そろそろ飽きてきた方も多いかと思いますが、

見事に法則通りになっているのはお分かりいただけるかとおもいます。

 

んで、

S48 楽屋(二階)

すみ子「どこ行ったんやろ?」

 

湯上り、という設定の京マチ子は 右側のきびしい方の顔を向けていますので――

とうぜん一座の誰かとの会話なわけです。

まあ、田中春男(矢太蔵)なんですけど。

 

このS48は 地味だけどすさまじいシーンのような気がする。

有名な夕立のシーンよりも 本当にすごいのはこういうなにも起こらないシーンだったりする。

背景で一座のおっさん達が将棋だかなんだかをしているあたりも深い意味がこめられていそうな気がする。

(「すべてはゲームにすぎない」とでも言いたいのだろうか。小津安っさんは?)

 

京マチ子・田中春男・三井弘次・潮万太郎・中村鴈治郎の豪華な面々による

ちぐはぐな……アバンギャルドといってもよいような会話といい――

 

なにか「小津映画の極北」を目にしているような気さえしてきます。

で、その中心にいるのが 「京マチ子」という「右」「左」正反対の顔をもつヒロインなわけです。

 

矢太蔵「親方、魚釣りにいたンと違いますか」

すみ子(不審そうに)「魚釣り?」

 

カットバック。

 

矢太蔵「ヘエ、床屋で顔あたってもろてましたらナ、若い男の人と釣竿持ってナ」

 

毎度おなじみ、対角線。

すべてがピエロ・デッラ・フランチェスカみたいにきまってる……

むさくるしいおっさん達が写っているだけのカットなんですけど……

 

そういえば、小津映画のヒロインはよく手ぬぐいだのタオルだのを持ちますが――

やっぱり日本舞踊からきてるんでしょうね。

たぶん 小津が戦場から帰って来て第一作 「戸田家の兄妹」の高峰三枝子様が最初にやったんじゃないか?

 

原節子が手ぬぐいだのタオルだのをいじるのが一番ポピュラーですが――

↓↓このショットからして、この作品「京マチ子の映画」なのだな、というのがよくわかる。

 

すみ子「若い男って?」

 

矢太蔵「知ってやなかったンでっか。郵便局の人やたら言うて――。鏡に映りましてン」

 

「鏡」というキーワードもでてきます。

ひたすら丁寧なカットバックで淡淡と処理していきます。

 

すみ子「そう、あんたここどうしたん」

 

このショットはすさまじい……

完全にこれは

「右側の顔」「左側の顔」中心に映画が組み立てられているというメッセージ――のような気がしてしょうがない。

 

またもや六十年後のわたくし、トマス・ピンコへのメッセージか(自意識過剰!笑)

 

「鏡」という 「右」「左」を逆にしてしまう装置もありますぜ↓↓

 

矢太蔵「へえ……ちょっとイカレマシタンヤ……床屋で」

 

すみ子「そう……(と不審そうな顔で)」

 

すみ子「じゃ加代ちゃん、あんた先ィ入ンなさい、お風呂」

 

加代ちゃん、若尾文子にも「右側の顔」を向けます。

腕の角度は見事に対角線。

 

カットバック。

 

加代「そう。じゃ――」

 

カットバックしたそのカットも見事に「対角線」してます。

 

子役の島津雅彦くんの座る位置は あらかじめ計算されている、ということです。。。↓↓

恐ろしや。

 

駒十郎……鴈治郎さんが帰ってきます。

(息子の川口浩と釣りをしていた)

 

しつこいようですが、この二人の並び順は必ず

中村鴈治郎(左)京マチ子(右)です。

で、京マチ子は左側の顔を 鴈治郎さんに向けます。

 

すみ子「釣れた?」

駒十郎「何が?」

すみ子「おサカナよ」

駒十郎「アア……」

と稍々まごつく。

 

畳すれすれのローポジションのカメラなので

京マチ子の足の指が写っているのが妙にセクシーです。

 

あと、鏡に映りこんだ鴈治郎さんの顔にもご注目。

 

すみ子(問い詰めるように)「どこ行ったのよ?」

 

駒十郎「釣りやがな」

 

すみ子「そお。――だれやの、一緒に行った若い人って」

 

駒十郎「ウ?――アア、ご贔屓さんのぼんぼんや」

 

すみ子「郵便局の人やって?」

 

すみ子(探るように)「なんぞあンのとやろ? おかしいわ」

 

二人の表情の微妙な変化がすばらしいところです。

 

駒十郎「何がや?」

 

タバコの角度が対角線してます。

すみ子「……トボけとんのと違うか」

 

駒十郎「お前がおるのに、そんなこと出来るかいな。阿呆らしィ、この年して、若いころと違うがな。わかっとるやわな、わかっとるやろ……」

 

またまた鏡に映りこんでます。ウソをついている顔。

 

すみ子「ふん……うまいこと言うて」

 

と、京マチ子の「左側の顔」――宮川一夫のいう、やさしい顔――で、

すさまじかったS48は終わります。

 

その1 終わります。

 

 

京マチ子の「顔」または小津安二郎「浮草」の構造 その2

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小津安二郎の「浮草」(1959)には、

京マチ子の「顔」

……をめぐって以下の3法則があるのではないか?

という記事。

2回目です。

 

3法則とは。

「S96 楽屋口」以前……

法則①京マチ子は、中村鴈治郎に対して常に「左側の顔」(やさしい顔)を向けている。

法則②京マチ子は、中村鴈治郎以外の人物に対して常に「右側の顔」(きびしい顔)を向けている。

 

「S97 人のない客席」以降……

法則③京マチ子は、誰に対しても常に「左側の顔」(やさしい顔)を向けている。

以上となります。

 

この3法則――つまり、作品全体の撮影プラン・演出プランの発案者は

キャメラマンの宮川一夫だったのではないか?

という推測を前回書きましたが、根拠は何もありません。

ただ、京マチ子とのつき合いの長さからいえば 圧倒的に小津安っさんより宮川先生の方が長いわけで、

(言わずもがなですが、クロサワ「羅生門」の撮影はもちろん宮川一夫)

そう考えるのが自然。だとおもえます。

 

ついでに書きますと、

蛮友社「小津安二郎・人と仕事」によると S12の俯瞰撮影の他、

カラー撮影のいろいろなテクニックに関して

宮川一夫のアイデアがどんどん採用されたらしいことがわかります。

(最近読みました マガジンハウス「人は大切なことも忘れてしまうから ――松竹大船撮影所物語」

によると、蒲田・大船は 最先端テクノロジーを積極的に採用する撮影所ではなかったらしい)

 

□□□□□□□□

もとい、ものすごく中身の濃かったS48に続きまして

ものすごく美しいS50-S52が続きます。

 

かき氷という涼しげで色鮮やかなアイテム。

京マチ子たんの肌の色艶も 他のシーンではなにやらくすんでみえることが多いのですが、

(まだカラー撮影のテクニックが確立されていないのか?)

このシーンでは光り輝いてみえます。

 

S50 氷屋

すみ子(京マチ子)が 一座の古株の扇升さんを尋問しています。

法則②京マチ子は、中村鴈治郎以外の人物に対して常に「右側の顔」(きびしい顔)を向けている。

 

この法則通りの並び方に、当然なりますな↓↓

対角線してます。

というか、S50 S52は一貫して対角線で攻めます。

 

すみ子「なあ、あんた知っとるンやろ? ええやないの、ねえ、教えてくれても――なア、あんたから聞いたって言わへん」

 

はい。「右側の顔」です。一貫してこちら側です。

 

ばっちり「対角線」

かき氷をスプーンでかき混ぜます。

 

有名な話で 吉川満子が「母を恋はずや」の1カット。

カップの紅茶をスプーンでかきまぜる1カットに24時間かかったという……

えんえん絞られたという……(24時間‼!)

 

京マチ子は、さて、すんなりいったのかな?

池辺良は 小津の指示通りタバコの箱をくるくる廻すのに苦労したというが。

 

対角線を保ちつつ、

小津の指示通りにスプーンを廻して、

しかもセリフをいう。

おそらく目線の細かい指示だってあるだろう。

考えるだけでゾッとするな。

俳優さんってすごい。

まあ、それができない三流芸人の方が多いだろうが。

 

「かき氷」というアイテムの選定も完璧だとおもう。

 

小津映画において 男女が共にeatするというのは、 家族か将来結婚するカップルに限られている。

 すみ子―扇升は もちろんそんな仲ではない。

といってこの作品世界に「喫茶店」などは持ち込めない。

酒を飲みながら、というのもおかしいだろう。

 

そこで登場したのが「かき氷」なのだろう。

もはや固体ではなく……ほぼ液体になってしまった「かき氷」

 

二人はeat ではなく drinkしているのである。

さらに小津の大好きな「赤」でもある。

 

対角線。

扇升さんのスプーンの角度は対角線に対して直角↓↓……深読みか?

 

小津作品はとにかく1カット1カットがおもしろすぎるんです。

ぜったいにこの人は将来 ビデオ装置的なモノの出現を予測していたんじゃないのか??

自分の作品がそうやってマニアックにみられることを期待していたんじゃないのか??

 

S52 氷屋

すみ子「あんた、親方とは古いつきあいやし、なあ、知っとるんやろう? うちが知らんころにもここへ来とるんやし……言うて、言うて頂戴、ねえ」

 

「対角線」

しつこいですが……

 

あと。

背景の鯉のぼり……

「出来ごころ」のかあやん(飯田蝶子)の店の「引用」ですね。

 

あと、なにかにも出てきたような気もする。なんだっけ?

 

扇升(呟くように)「……仕様がないわィ……」

 

すみ子「何が仕様がないの?」

 

スプーンは垂直に立てるように指示されているんでしょうか?

上記のように、このシーンの京マチ子たんは本当にキレイです。

楽屋のシーンだと、なんか肌の色がくすんでみえるんですよね。

 

すみ子「何がや? ねえ、なんで仕様がないのや?」

 

あ。スプーンを置きました。

はっきりいってセリフは何にも内容がないのですが――

画面上の情報が多過ぎる。

 

扇升(ボソリと)「……この土地ィ来たらな……(呟くように)一世の縁や……」

 

と、万事が万事こんな調子で 何も語ろうとはしないシナリオ。

 

小津のシナリオはなにかというと「空間論」に持って行くような気がする。

(野田高梧とコンビを組む前からそうだったとおもう。現存最古の「若き日」からしてそうなのだ)

 

「土地」というコトバにご注目いただきたい。

すぐあとのS55で 京マチ子はこの「土地」というコトバを口にするんである。

「どうしてこんな土地ィ来たんやろねえ」と。

 

すみ子「そおか……やっぱり……ね、どこ人? どこの人や?」

 

というから、やっぱり「空間論」

どこ? というんだからおもしろい。

美人なの? いくつの人? などとは聞かないんである。

 

そしてトマス・ピンコが今回こだわっている 京マチ子の「右側の顔」「左側の顔」というのも

やっぱり「空間」の問題なんである。

一体なんなんでしょうね? 小津安二郎作品というのは??

 

すみ子「六さん知っとんのか、そうか、六さんも知っとんのやなァ」

すみ子、じっと考え込む。

 

というので、ものすごく美しかった氷屋のシーンは終わります。

 

S55 楽屋

 

はい。お決まりの並び順。

中村鴈治郎(左)―京マチ子(右)

 

当然ながら……

法則①京マチ子は、中村鴈治郎に対して常に「左側の顔」(やさしい顔)を向けている。

 

すみ子「ええのか、親方――」

 

はい。対角線してます。

おそらくタバコの角度も決められているのだとおもわれます。

 

駒十郎「何がィ?」

 

鴈治郎さん。

真正面の顔も強烈ですが、横顔も迫力あるな。

 

すみ子「こんな入りで」

 

「どうしてこんな土地ィ来たんやろねえ」

 

でました。「土地」なるワード。

タバコの角度は水平。

 

S56 舞台裏

六三郎(声をひそめて)「来てますンや」

 

すみ子「そうか」

 

!!

ようやく出ました。

京マチ子の真正面のバストショット!!

真正面。

 

おもしろいのはですね。

121シーンからできているこの作品。

 

我々が京マチ子を真正面からみるのは ようやくこのS56なんですね。

このショットがはじめてなんですね。

それまでは真横から・もしくは斜めからのショットなんですね。

 

ここは真正面のカットバックなので 法則②

法則②京マチ子は、中村鴈治郎以外の人物に対して常に「右側の顔」(きびしい顔)を向けている。

の例外……ともいえますが、

しかし、「左側の顔」を向けている、わけでもないので

法則通りとも言えます。

 

あと、注目したいのは↓↓

左側(京マチ子からみて)から照明を当てていることですかね。

これはおそらく……

 

次のシーンで 京マチ子の「左側の顔」を

我々が目にするのと関係があるのでしょう↓↓

カットのつながりに関係があるのでしょう。

 

S57 下座の囃子部屋

六三郎(格子窓から客席を覗いて)「あれです」

すみ子「どれ?」

六三郎「向うの隅の、柱の前の……団扇の……」

と教えて戻ってゆく。

 

ここは京マチ子は「左側の顔」を六さんに向けているので

法則②が破られているようにもみえますが。

はじめに断ったように この法則はカットバックで対話が行われた場合のことを言っていますので、

法則は破られていません。

 

というか、このショットの見どころは↓↓

六さんのアゴがきちんと対角線上に乗っているところか。

(そんなことに注目する奴はだれもいないって!)

 

で、以降、われわれは

えんえん京マチ子の「左側の顔」を目にします。

ここはどう解釈すべきなのかな。

 

 

 

S58 客席

お芳が見に来ている。

 

S59 囃子部屋

じっと見ているすみ子。

 

座主である笠智衆とのカットバックのように法則の例外が行われている――

と、みるべきなのか。

(杉村春子も小津映画のアイコンといっていいビッグネームですし、この作品世界において京マチ子のライバルでもあります)

 

京マチ子はただ覗いているだけなので カットバックではない、と解釈すべきなのか。


どちらにしても、

京マチ子の「顔」

をめぐって、基本プラン通りに撮影されている、といっていいのではないか?

 

うん。「基本プラン」などといって

トマス・ピンコの野郎が勝手に推測しているだけなんですけどね。

 

S64 楽屋

すみ子(不機嫌に独り言)「フン、バカにして」

駒十郎(聞き咎めて)「どうしたンや?」

すみ子「どうもこうもあらへん」

 

駒十郎……鴈治郎さんとのカットバックなので

当然 法則①で 「左側の顔」を向けます。

 

駒十郎「さッきからひとりで何ボヤいとンのや、ウダウダと……」

 

すみ子(吐き出すように)「フン、あたりまえや! 初めからわかっとるわ!」

 

で、以下、

京マチ子が「つるや」に乗りこんで来て大暴れ、というシーンを見て行くのですが、

(S69~S72)

最大のポイントは

「つるやのシーンでの 京マチ子の真正面のバストショットは

必ず「右側」(きびしい顔)の方向から照明を当てている」

というところなのかな? とおもえます。

 

先ほどのS56 六さんとのカットバックでは 正反対の「左側」から照明を当てていましたので

あらためて比較するとおもしろいです。

これもやっぱり宮ちゃん――宮川一夫先生の仕事なのでしょう。

 

S56 左側(やさしい顔)の方から照明を当てている↓↓

 

 

S69 右側(きびしい顔)の方から照明を当てている↓↓

 

 

右側からの照明だと 能面みたいなのっぺりと冷たい顔の印象です↑↑

にしても、NHKの番組でおっしゃっていたように如実に変わりますね。すごいな。

照明技術の成果、でもあるのでしょうが。

 

もとい、

S69 店

お芳「おいでやす」

 

すみ子「一本つけて」

 

真正面のバストショットのカットバック。

先ほどの すみ子―六さんの真正面のカットバックはこれの準備だったのでしょう。

しかも 上述のとおり、照明のあて方をガラッと変化させている。

 

すみ子「うちの親方来てまへんか、駒十郎――」

 

つまり、

「全部お見通しよ」

という決定的なセリフです。

このセリフのあと おもしろいことをやっていて――

 

というか、ごく当たり前の技法なんですが……

 

京マチ子→杉村春子 のカットの繋ぎ……

なんと。小津がディゾルヴやってる……

んですよね↓↓

 

というか、DVDを一時停止→再生→一時停止 なんてことを繰り返していて

たまたま気づいたんですが……

小津のディゾルヴなんて 二十代の……サイレント時代しかお目にかかれないと信じていたのですが、

後期作品……しかもカラーの「浮草」で ディゾルヴですか……

 

これもやっぱり宮ちゃん案件……宮川先生のアイディア??

 

お芳「アア、見えてます」

 

京マチ子も杉村春子も 抑制された演技が素晴らしい……

日本映画の黄金時代……

今まで褒め忘れてましたが、セットもすんばらしいですよね。

 

すみ子「ちょっと呼んでおくれやすな」

 

で、鴈治郎さん登場、なんですが、

ここはまだ真正面のカットバックではないのがポイント。

「真正面の対決」は このあとの夕立のシーンにとっておいてあるわけです。

ホント丁寧すぎる作りです。

 

S71 店

駒十郎「何や? 何の用や?」

 

すみ子の顔に微かに冷笑が浮ぶ。

はい。ここも法則通り。

法則①京マチ子は、中村鴈治郎に対して常に「左側の顔」(やさしい顔)を向けている。

 

きっちり対角線。

 

ここは、ですね。

戦前の「浮草物語」(1934)S51ですと、真逆の向きなんですね。

おもしろいなぁ。

 

駒十郎「何しに来たんや?」

 

すみ子「来たらあかんのか」

 

駒十郎「なんやと?」

 

すみ子「ご贔屓の旦那って、ここのおかみさんやったのか?」

と立上って奥へ行きかける。

 

駒十郎(止めて)「どこ行くんや」

 

もう、明白におびえていますね(笑)

というのも、京マチ子が真正面だからです。

中村鴈治郎-京マチ子の真正面のカットバックというのははじめて。

 

すみ子「お礼言うとくんや、あんたの旦那に」

 

旦那……鴈治郎・川口浩を 一種の同性愛カップルとみると

じつに深い意味……

 

S72 奥

すみ子「おかみさん、えらいお世話かけますなア」

 

ものすごい笑みの京マチ子……

 

こんな顔で迫られたら さすがの杉村春子先生も怖いのか……(笑)

 

すみ子「なあ、おかみさん。トボけないでや」

 

と実際のプリントではそう言ってますが、

これは全集のシナリオにはないセリフ。

 

に、しても怖い……京マチ子……

宮川先生のいう「きびしい顔」……右側に照明が当たってます。

 

はい。完璧な対角線。

鴈治郎さんの立ち位置 バミってます。

京マチ子の位置もバミってないと こうは撮れないか。

 

ものすんごく豪華な1ショットなわけです。

これは今 地球上の誰もやれない1ショットでしょう……

まあ、似たようなことはやれるだろうけど……

 

CGやらなにやらで作れる画像なんてものは大したものじゃないんですよ。

本当にすごいのはこういう 人の手でチマチマ作ってる画像なんですよ。

(なにが言いたいか、というと――PUI PUI モルカーは本当にすごい! ということだ(笑))

 

すみ子「ちょっと、あんた、ここの息子さんか――」

 

川口浩とのカットバック。

会話はないですけどね。

 

ちなみにこのシーン 杉村春子・川口浩親子は「白」系の衣装。

京マチ子が「黒」

この対照もおもしろいですね。

 

すみ子「あんたのお父ッさん、どういう人? 何してる人?」

 

分析 その2終わります。

みはしのあんみつ・国立映画アーカイブ①(田中絹代・小津安二郎・山中貞雄)

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3月某日。

国立映画アーカイブ常設展 「日本映画の歴史」をみてきた、という記事です。

小津「浮草」の記事が途中なのですが、

コレは記憶が新鮮なうちに書いておこうと思いまして――

 

まずは上野。みはしさん。

 

甘党カップルがひたすらに甘い物を食べるの図。

 

わたくしは 苺クリームあんみつ。

 

甘すぎずおいしかった。

ですが、もちっと暖かくなってからのほうが良かった。

体が冷えてしまった。

 

T子さん 白玉クリームあんみつ。

 

老舗のくせに

若い女の子のアルバイト(推測)が多いような気がしたが

制服がレトロでかわいいからだろうか(邪推)

でも、皆さんとてもきちんとした方たちだった。

 

前はもっとオバサンウエイトレス(失礼) が、多かったような気がするのだが。

 

みはしから 松坂屋上野店まで歩いて

そこから銀座線。

京橋でおります。

 

嗚呼。

憧れの「国立映画アアカイブ」はこんなビルヂング街にあるのだつた。

 

クソつまらねえビルだったのでがっかりしましたが↓↓

中身は充実してました。

 

というか、事前に

「ライムスター宇多丸と見る、国立映画アーカイブ常設展 日本映画の歴史」

(TBSの 33Tabとかいうアプリで聞けるもの 有料)

で、予習していたので 充実しているのは知っていたのですが。

 

ただ……同行のT子さんはあっという間に飽きましたので……

本当に「日本映画の歴史」に興味のある人でないとキツイかもしれないです。

 

というか、入口にいるのが

「目玉の松ちゃん」ですもの。。。

くぅーっ、たまんねえ。

 

佐藤忠男御大の「日本映画史」を引用しますと――

 日本映画史上、最初のスーパースターは尾上松之助だった。一九〇九(明治四二)年から一九二六(大正一五)年までに彼は一〇〇〇本以上の作品に出演している。

(岩波書店、佐藤忠男著「増補版 日本映画史Ⅰ」130ページより)

 

リアルタイムで松ちゃんをみてた人。2021年現在でほとんど生き残っていない……

オープニングからして、「マニア以外お断り」な雰囲気プンプンだね(笑)

 

あと、ご存知クロサワのあれね。

セブン・サムライね↓↓

たしかレプリカです。

 

蓮實重彦先生が

クロサワは下がグチョグチョで 上がパタパタが好きだ

とかどこかで語ってたな。

 

目玉の松ちゃんとミフネ・パタパタのダブル攻撃で

日本映画ファンはオープニングからノックアウト確実‼

 

で、会場内に入りますと

大河内伝次郎の丹下左膳ですからねえ。

 

えらくかっこいいポスターですわね。

「ウエスタン式時代劇」というのがすごい

 

ふむ、「大河内伝次郎=丹下左膳」ってのは「記号」として完成されているというか、なんというか。

一種のポップ・アイコンだったのであらう。

(などと 山中貞雄のしか見たことないのだが、すべて見てきたようなことを書いておく)

 

これ↓↓

 

山田洋次先生の「キネマの天地」だったか、なにかで

こんなのをみたような気がするんだが――

気のせいかな。

 

これがあれです。

宇多丸さんのいう

「神々の集い」ってやつです↓↓

 

日本映画監督協会創立の集い……

 

トリミングしてみると――

 

ど真ん中に小津安二郎!!

当時の彼の立ち位置がわかります。

世界は彼中心に回っていた。

 

あと、説明なしで自分がわかるのは、清水宏(前列左から2人目のデカい顔!)

山中貞雄(清水の右側に写ってる人)

溝口健二(中列 一番右はじのメガネ君)

 

この端っこというのも溝さんらしい。

 

説明を読む。

 

小津安っさんのうしろは 成瀬巳喜ちゃんですか。

成瀬作品何本かみてるのですが、どうも「成瀬さんの顔」というのはイメージに残らない。。。

 

前列右端は松竹の巨匠たちか。

島津保次郎(にやけたオッサン) 牛原虚彦(ちといかつい人。でも東大卒よね)

 

それ以外、どの人も「名前は聞いたことがある」というビッグネームが並ぶ。

(というか、佐藤忠男「日本映画史」読んだからな)

 

まったく、宇多丸さんのキラーフレーズの通りで――

神々の集い、なんである……

 

これも日本映画監督協会関連。

挨拶状だかなんだか――たぶん

 

あ。御挨拶申上候……って書いてあるね。

 

田中絹代たんコーナーもあった。

 

――ん、よりによって

「人生のお荷物」って

 

戦前松竹のキャスト、たまんねえ。

佐分利信は 絹代ちゃんのダンナなのだろうか? 恋人か?

坪内美子は 絹代ちゃんの妹か?

とか色々想像できて楽しい。

「時計」は、なんなんでしょうねえ?

 

「マダムと女房」のスチル。

伊達里子が写ってるな。

上の写真。左端のセクシーなモガ。

一時期 小津安っさんが惚れていた。

 

絹代たんのブロマイド。

 

ファンのあなたのために トリミング――

右下の絹代ちゃんが特にかわいいとおもう。

 

というか、おそろしいのは、マクロプラナー50㎜

手持ち・薄暗い照明……で よくまあくっきり写りますね。

 

あ。館内はフラッシュを使わなければ撮影可。でした。

ただ注意書きに 「シャッター音を立てるな」というのがあって……

そんなのムリだ、とおもいつつ 静音モード(正式名称は忘れた)で撮影しました。

結果、とくになにも言われなかったです。

 

田中絹代愛用文具。

 

田中絹代コーナーのとなりに小津安二郎コーナー

たしか、そんな並びだったとおもう。

 

これは――

なんかいい雰囲気の 桑野ミッチー&小津安二郎

なんですが、この写真ははじめて見た、かも。

 

小津関連本はいろいろ見ているつもりだったですが。

 

高杉早苗たんが 「小津先生は桑野通子さんと結婚するとばかりおもってました」

とか 「小津安二郎・人と仕事」で発言していたが、

この写真の、この雰囲気を見ちゃうと↓↓ 納得。

 

あと、大船撮影所の火事で焼けてしまった小津の部屋というのはコレでしょうね。

佐分利信が「囲炉裏を切ってあって」云々いってましたが、

なるほどこういう雰囲気だったのか。

 

これは有名な写真。

笠智衆 厚田雄春 佐野周二 小津安二郎

 

これも有名な写真。

佐野周二&小津安二郎。

中国大陸にて。

 

佐野周二の帽子の崩し方がおもしろい。

あと小津安っさんはいいかげんくたびれてる雰囲気で哀れです。

 

これも……どこかで見たことあるかな??

記憶にない。

 

妙にかわいいお蝶さん(飯田蝶子)&小津安二郎

 

有名な。あまりに有名すぎるポートレイト。

 

こんな感じで展示されてます。

 

「淑女は何を忘れたか」のポスター

 

これは「小津安二郎物語」に載ってて知っていたが、

こんなにデカいものだとは。

 

でも。ポスターだからな。大きいわな。

 

 

 

栗島すみ子がピストル持ってるが……

実際はそんなシーンはない。

だが、ポスターの作者は

「その夜の妻」(八雲恵美子+ピストル)

「非常線の女」(田中絹代+ピストル)

をみていたに違いない。

 

桑野ミッチーが

ものすごい ボン・キュッ・ボンにデフォルメされていておもしろい。

 

ええと……

実物の写真を撮り忘れまして……

 

説明書きだけ撮る、という……

 

「東京物語」の台本 というのもありました。

 

一年一作小津安二郎作品

 

トーキョーストーリーです。

でも、考えてみると 香川京子&原節子のこんなシーンはないな。

 

小津安二郎コーナーの真向かいが山中貞雄コーナーというのは

なんだか粋な計らいだとおもいました。

 

人情紙風船のスチル↓↓

 

戦場での山中貞雄。

ニコニコしているのが救いです。

 

山中貞雄碑 山中貞雄のお墓ですね。

京都・大雄寺

お墓参り行きたいものです。

 

小津ファンならわかりますね。

小津の字です。

 

②に続きます。


国立映画アーカイブ②・海老屋総本舗・ニコニコ亭(牛久)

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国立映画アーカイブの記事。後編です。

 

会場内あちこちで、小さな液晶モニターで いにしえの名品を紹介していたが、

それとは別に16mm映写機での映写もありました。

 

こんな機械が 30分ごとにオートマチックに作動するわけです↓↓

正直、動作音がうるさいですが、

(カタカタ・ゴトゴト・ガチャン、といったような感じ)

自動車すらおとなしい現代に、また良し。

 

 

 

内容。

1941年に作られた「日本映画史」というフィルム。

解説中の「映画法」↓↓に関しては 他の場所で展示もあったが、

あまり興味ないので写真は撮ってません。

 

ナチスドイツがいい例だが、国家が映画なるメディアに異常に関心をもっていた時代だったのであろう。

けっきょく ハリウッドにはどうやっても勝てなかったわけであるが。

 

 

 

「ドイツ映画の勝利」――ねぇ……

カリガリ博士

そんなに大したものとは思いませんが。

 

でも、日本への影響は大きかったのかな。

 

意図したわけではないんですが、

次もドイツモノ。

 

個人的には、

日本人のドイツ崇拝ってなにか異常じゃね?――

誰か偉い人に、全面的に解剖していただきたい「病理」のような気がするんですけど……

 

こういうモノを見ちゃうとねえ。

やっぱしドイツはすごい、となっちゃうのもわかる。

アスカニア撮影機↓↓

 

あとで紹介する

アメリカ製の「ミッチェル」があまりにデカい

ということもあって、

このアスカニアの可憐さには魅かれてしまう。

 

あと、自分の撮影機材。

Gitzo三脚+ニコン・デジタル一眼レフ+ニッコール望遠ズーム

と似たり寄ったりのサイズ感なので

 

これだったら操作できる。

とおもえるのである。

ミッチェルは何が何だか想像すらできない……

 

Askania K.K.

TOKYO

 

とあるのですが、東京の代理店のことなのか?

日本でライセンス生産していたのか?

よくわかりません。

 

ひたすらマイナスねじというのが いい時代です。

レンズはカールツァイス。

 

テッサー210㎜ F3.5

この時代では最高峰の望遠レンズだったのではあるまいか?

 

カールツァイス(マクロプラナー50㎜)で

いにしえのカールツァイスを撮る、の図。

 

満州における撮影風景。

 

満映……満州映画協会関連の展示も少しありました。

ご存知 李香蘭/山口淑子↓↓

 

最近、とくに理由はないのですが、

李香蘭やら 甘粕正彦やら 満州関連の本を読みふけっているので

そういう自分からすると、なんか物足りない展示。

 

まあ、

日本映画の黒歴史

という扱いなのかな。

 

山口淑子主演作品は クロサワの「醜聞」しかみてないので

今後いろいろ見ていきたいとおもいます。

清水宏作品にもでてるよね。

 

コニカラー という

んー ブサイクな機械。

 

アスカニアやらミッチェルやらと比べると、あまりにブサイク。

メイドインジャパンのクオリティはまだまだ低かった。

 

これはナトコ映写機。

 

宇多丸さんのやってる「日本映画の歴史」解説によると

戦後間もなくの日本を知ってる じいさんばあさんの世代だと

「ナトコ映画」というワードは馴染みがあるらしい。

 

サウンドというから 音も出るのでしょうねえ。

このサイズですごいな。

 

えー、で、

これがミッチェル

です。

 

一言

デカっ!

です。

 

解説を読みながら

いろいろ操作方法を想像したのだが、さっぱりわからない。

 

頭脳明晰なトマス・ピンコ(笑)がわからないのだから、

おそらく誰も理解不能なのではあるまいか??

 

イラスト付きの解説を希望します。

ボディをスライドさせて云々、といわれてもなんだかわからない。

 

これはファインダー??

 

カメラ、というより

天体望遠鏡の仲間、という感じがする……

 

正面から見ると、

装甲騎兵ボトムズ

なんである。

 

幾多の戦場をくぐりぬけて来た

歴戦のロボット兵器――

としかみえない。

 

宮川一夫先生みたいなガッチリした体格の人が操作するのは想像できるが、

厚田雄春先生みたいなスリムな人が操作するのは想像できない。

 

ターレット式、ということよね?

ここらへんもボトムズしてる。

 

とにかくこいつは一見の価値があります。

実物をみないとわからない、というモノもある。

 

たださっきも書いたが イラストなり映像なりで

操作方法を解説してほしい。

 

えー、なにがなにやらわかりません。

想像もつかない。

 

戦後の作品の扱いは小さかったです。

 

デコちゃんのアレ↓↓ です。

 

大松竹の壮挙!日本最初の

総天然色映画

 

「大松竹」って自分でいってる(笑)

 

これもカルメン関係。

フィルムを使った豪華なしおり。

 

解説不要ですね。

ゴジラってこんなにかわいかったっけ?

 

ミゾグチのデスマスク。

日本映画の黄金時代は終りを迎えます。

 

ミゾグチもオヅも 60歳前後で亡くなってる。

 

小津の場合、戦時中に毒ガスを扱っていたのが

早死にの原因かもしれないですが。

 

以上、国立映画アーカイブでした。

 

□□□□□□□□

当初の予定ではさっさと帰宅するつもりでしたが、

まだ時間がはやかったもので、

銀座線で浅草へ。

 

かっこいいフネ。

乗りたい。

 

海老屋総本舗さんで

たらこのつくだ煮を買って帰りました。

 

夕食はいつものニコニコ亭(牛久)

 

いつもの棒棒鶏。

というか、「いつもの」で通じてしまう(笑)

 

以下、どれも美味なのでいちいち解説はしません。

 

春巻き。

 

エビチリ。

 

これは、最近新しくはじめたやつで

たしかエビマヨ春巻き。

 

中身がみえないと意味がないね。

 

コーンスープ

 

カニ入りチャーハン

 

酢豚

 

酸辣湯麵。

 

杏仁豆腐

 

――と食べ散らかして一日が終わりました。

京マチ子の「顔」または小津安二郎「浮草」の構造 その3

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小津安二郎の「浮草」(1959)には、

京マチ子の「顔」

……をめぐって以下の3法則があるのではないか?

という記事。

3回目です。

 

3法則とは。

「S96 楽屋口」以前……

法則①京マチ子は、中村鴈治郎に対して常に「左側の顔」(やさしい顔)を向けている。

法則②京マチ子は、中村鴈治郎以外の人物に対して常に「右側の顔」(きびしい顔)を向けている。

 

「S97 人のない客席」以降……

法則③京マチ子は、誰に対しても常に「左側の顔」(やさしい顔)を向けている。

以上となります。

 

――……なのですが、厳密にいうと

法則①がなりたつのは S8~S71の途中まで 及び S119~S120 となります。

あと

S71の途中からS97まで

法則④京マチ子は、中村鴈治郎に対して常に真正面を向いている。

この法則も必要になるかもしれません。

 

見切り発車で書き始めてしまったので

なんかバタバタしてすみません。

 

□□□□□□□□

今回は一番有名な あのシーンから。

 

S74 倉庫などのある横丁

雨の中を、駒十郎とすみ子が見合っている。

 

京マチ子たん 鴈治郎さん

両者の頭は対角線に接しております。

 

そして傘は「赤」でなくてはならない。

 

DVD所収の撮影風景。

 

セットおよび雨を降らせる道具。

 

 

 

パイプを長方形状に組んだ道具、ですな。

これが大映オリジナルの道具なのか?

映画界共通の……雨といったら「これ」でしょ、というメジャーな道具なのか??

 

ご存知の方がおられたら

教えていただきたいものです。

 

最近CSの衛星劇場で 寅さんの撮影風景のドキュメンタリーをみたが、

あれはホースから直接ジャブジャブ雨を降らせていたような記憶がある。

でも、セットじゃなくて あれはロケだったな。

 

もとい、

このシーンに関する 宮川一夫先生の証言。

 

宮川=雨の街で鴈治郎さんと京さんがけんかする長い場面ですが、ワンカットで全部ガラガラまわしちゃったんです。そんな撮り方は一ぺんもしたことなかったという。

下河原友雄=小津映画には珍しいオクターブの高い演技のシーンだった。

佐藤忠男=でもあそこはカットバックでしょう?

宮川=引きっぱなしで全部撮っちゃって後からカットバック用をいくつか撮って入れたんです。小津先生としては、そういう撮影スタイルはないんじゃないですか。でも、あの場面はその方が面白いことになると思って提案したら直ぐ乗っちゃった。

(蛮友社「小津安二郎・人と仕事」311ページより)

 

と、溝さん……溝口健二みたいな1シーン1カットで撮ったらしいのです。

まあ、会話は丁寧にカットバックするわけですけど。

 

で、まあ、わたくしの興味もカットバックのところにしかないわけですが。

 

駒十郎「この阿呆! 馬鹿ッたれ! 何が何ンじゃい! ええ加減にさらせ!」

 

すみ子「何が何やッ!」

 

法則①のとおり、つねに「左側の顔」(やさしい顔)を鴈治郎さんに向けていた京マチ子。

それがS71の一瞬の会話

「どこ行くんや」

「お礼言うとくんや、あんたの旦那に」

ここで真正面のカットバックになり、

法則④京マチ子は、中村鴈治郎に対して常に真正面を向いている。

という法則④が発動し始めます。

 

でS74の 雨の中の大げんかで えんえん真正面のカットバックをくり広げる。という流れです。

京マチ子の「顔」

をめぐって実に丁寧な作りをしております。

 

以下、このシーン やりとりが長いので

適当なところを二、三とりあげます。

 

すみ子「フン、偉そうに! 言うことだけは立派やな!」

 

駒十郎「ぬかしやがったな!」

 

すみ子「ぬかしたらどうやって言うんや!」

 

すみ子、睨み返している。

 

驚くのは、京マチ子たんの表情のバリエーションの豊富さ、でしょうかね。

原節ちゃんあたりだと こうはいかないでしょう。

 

あと くるくる表情がかわる、というところでは「東京の女」(1933)の岡田嘉子を思いだしたりもします。

俳優の演技で作品を引っ張る、ということを 小津はあまりやらないので、

そういう意味でも特異なシーンだったのでしょう。「浮草」S74は。

 

大喧嘩が終わりまして

 

S77 二階(楽屋)

すみ子と加代「野崎村」のお光お染のこしらえで、鏡台に向っている。

 

↑法則②のとおりで 京マチ子は右側の顔(きびしい顔)を 若尾文子たんに向けております。

 

これは戦前の「浮草物語」の配置とは真逆↓↓

 

戦前サイレントの、ねっとりとどこか淫靡な雰囲気に比べて

戦後のカラー作品はカラッとしてますね。

 

撮影風景。

小津安っさん、何を見ているのかな。

健康そのものの雰囲気。

とても「晩年」の姿とはみえない。

すみ子「――なァ、加代ちゃん、あんたに頼みがあンのやけどね」

 

対角線。

 

戦前(1934)の坪内美子たんは 裸足の足をみせていたが、

戦後(1959)の若尾文子はそんなことはしない。

構図も含めて なにもかもキチッとしている印象。

 

ただ、あたりまえなのですが、1959年の作品のほうは トーキーですのでね。

若尾文子たんがロリータ顔のくせに 妙に色っぽい声を出すというのが

なんともエロい。

 

なにが言いたいのかというと、

きっちりした構図+足を見せない というS77ですが、

それでもエロ声のせいで いい意味で破綻している ということが言いたいのだとおもいます(笑)

 

加代(すみ子見て)「なに?」

 

そういえば 坪内美子という人も ベビーフェイスのくせに妙に色っぽい声の女優さんだったな。

1934年の「浮草物語」……もちろんサイレントなわけですが、

 

坪内美子→若尾文子というのは 実に正当な後継者を選んだという気がします。

 

すみ子「ここの郵便局にな、若い男の人がおるんや。……

 

対角線。

 

……清さん言うてな、ちょっとええ男――」

 

で、

「あんた、その人に会うてな、ちょっと誘いかけてみてンか」

というはなしになります。

 

加代「うちにやれるかなァ、そんなこと……」

 

すみ子「出来るよう。そやから頼むンや。あんたがニッコリして白い歯みせたら、海老でも章魚でも岸ィ寄ってくるわ」

 

このセリフはリズムもテンポも良くて、しかも海辺の話ということもあって上手いですね。

でも 戦前の「浮草物語」S54

おたか「お前さんの可愛い目で睨めば、大がいの男はお弁当持って追っかけて来るよ」

というセリフも秀逸。

 

加代「もろとこ、おおきに」

 

戦前の「浮草物語」はこのコトバに対応するセリフはない。

「いただきます」とか「ありがとうございます」とか

江戸弁でそういうことをいうといやらしくなってしまうからではないか?

 

その点、関西弁だと

「おおきに」と、

お金に対してきわめて明るく処理できるので

じつに便利なコトバである。

 

すみ子「ほンなら、明日な」

 

とひたすら「右側の顔」(きびしい顔)をみせつけてくる京マチ子です。

 

で、S78からS90まで

京マチ子はまったく登場しませんで

お話の中心は 若尾文子&川口浩 若い二人のラブストーリーとなります。

(小津映画のくせに なにかというとキスをする(笑))

 

で、S94で 鴈治郎さんが 若い二人が「デキてる」ことを発見。

で、問題のS97になります。

 

これは本当にすごいシーンで……

シーンの途中、京マチ子&中村鴈治郎が格闘、もつれあって

二人の位置がドンデンを返すところがあるのですが、

 

そこで照明の雰囲気を180度変えているのですよね。

 

S97の前半

京マチ子の「左側の顔」(やさしい顔)に照明を当てている↓↓

 

(注)あと、背景の「幕」および「座ぶとん」というワードの柔らかいイメージも

これは考え抜かれているのではないか??↓↓

 

で、

ドンデンを返しまして

S97の後半

京マチ子の「右側の顔」(きびしい顔)に照明を当てている↓↓

 

(注)背景はうって変わって硬質なイメージなんである↓↓

 

じつに丁寧な作り。

宮川一夫先生さすが。

 

そんなS97を見ていきましょう。

 

S97 人のいない客席(土間)

すみ子(冷たく)「何ぞ用?」

駒十郎「ちょっとこっち来い!」

すみ子「なんやね?」

と傍に寄る。駒十郎、いきなり引き寄せて殴りつける。

 

というバイオレンスシーン↓↓

 

駒十郎「このアマ、わいの倅をどうしよッちゅうんじゃッ! おのれ、どうしよッちゅうんじゃッ!、わいの倅をッ!」

 

ここらへん。駒十郎が激怒する理由が正直今の観客……わたくしにはわからない。

戦前の坪内美子だと タバコを吸い慣れてて すれっからしの不良っぽい雰囲気で

あと、まあ戦前の価値観(芸人=賤民)というのもあるだろうし、

理解出来るのだが。

 

「浮草」の若尾文子はそんな不良には描かれてないのよね。

まあ、川口浩に会ってすぐ ブチューっとキスしちゃうビッチではあるわけだが。

同時代の観客も違和感があったのではあるまいか。

このあたり この作品はファンタジー色が強い、というべきなのか。

 

全集のシナリオをみますと

一座の作家の杉山君というのが どうも加代ちゃん(若尾文子)に気があるように描かれていて

しかし、実際のプリントを見ると 杉山君うんぬんはまったく反映されていない。

そのあたり 1934年の作品を1959年にリメイクしようとする試行錯誤がうかがえたりもします。

 

すみ子(振放して、ふてくされ)「フン、お前さんの息子のことなんぞ知るもんかィ! 偉い息子さんや! 女役者イロに持って!」

 

まあ、ここらへんの価値観も理解不能なわけです。

若尾文子が彼女でおめでたいではないですか。としか思えない(笑)

ファンタジーとして見るべきなのでしょう。

 

しかし、当ブログの興味は

画面上に起こっていることがメインなもので。

 

対角線。

 

すみ子(冷笑して)「口惜しいか、フン、たんと口惜しがるがええわ!」

 

駒十郎、肩で息をしている。

 

という、小津作品でよくあるやつ。

 

このあと、土間を出て行く鴈治郎さんに京マチ子が追いすがるというところ……

で、またバイオレンスがあります。

 

駒十郎、身を翻して去る。

すみ子、途端に気を変えて追い縋る。

すみ子「待って、あんた!」

駒十郎「なんじゃイ! 放せ!」

 

ここでクルッと 二人の位置が180度変わりまして

背景・照明の雰囲気がガラッと変わるんですね。

おもしろいですね。

そしてすみ子=京マチ子の態度もガラッと変わります。

すばらしいです。

 

すみ子「お前さん、そんなにうちが邪魔なンか?」

 

駒十郎「何ィ?」

 

すみ子「うちの身にもなってみて。なァ、これでうちとあんたは五分五分やないか。なァ、もうええ加減に機嫌直してェな」

 

「なァ、ええやないか。仲直りしよ。芝居の方もご難やし、なァ、もう、どたん場まで来とるんやないか、ねえ」

 

駒十郎「やめとけッ! ウダウダ言うなッ、今更なんじゃいッ! 泣きごというなッ! 泣きごと!」

と見向きもせずに去る。

 

すみ子「あんた! 親方!」

そしてそのままそこにうずくまってじっと考えこむ。

 

対角線。

シーンのはじまりとおわりは 必ず芸術的なショットでなければならない。

と小津はいっていたそうで……

 

となると「芸術的」とはなにか?

ということになってきますが、

小津にとっては「幾何学的」ということと同義語なのかと思います。

 

もとい、

「S97 人のない客席」以降……

法則③京マチ子は、誰に対しても常に「左側の顔」(やさしい顔)を向けている。

ということで、

このショット以降、われわれは 京マチ子たんの「左側の顔」だけを見ることになります。

「右側の顔」は一切見せません。

 

S99 「梅廼屋」の店

 

三井弘次、潮万太郎、田中春男……一座の脂ぎった面々が呑んでいるところに

京マチ子がふらっとやってきます。

 

すみ子が這入ってくる。三人には気が付かず、

すみ子「小父さん、熱いの一本つけて」

と土間の卓に着き、何か暗く考えこんでいる。

 

これもまた「対角線」とみていいでしょう。

 

仙太郎「姐さん、いらっしゃい」

すみ子「アア、あんたたち、来とッたんか」

 

ここが実に驚くべきショットなのは、

今まで駒十郎にしか見せていなかった「左側の顔」(やさしい顔)を

一座の面々にみせている、ということです↓↓

 

先ほどのS97の ぐるっとドンデンを返したところ以降で、

京マチ子をめぐる演技プランはまったく姿を変えるということになります。

 

吉之助「先乗りからまだ音沙汰ありませんかィ」

 

このあと一座の金を持ち逃げする吉之助=三井弘次は――

戦前の「浮草物語」では 信吉役……

一座の座長、坂本武の隠し子の役を演じていたあたり、

なんとも性格が悪い小津安っさんです。

 

先ほど「シナリオの不自然さ」というのを書きましたが、

小津にはそんなことはどうでもよくて、

画面上の幾何学ゲームである、とか、

かつてのお気に入りのキャスト三井弘次をめぐるアイロニーとか、

そういうことがおもしろかったのでしょう。

 

すみ子「うん、……」

 

「……なんとも……」

 

ひとり暗く考えこんでいるすみ子――

 

記事の本筋とは関係ないですが、

このペンダントライト↓↓

 

軽井沢の三笠ホテルでみたペンダントライトに似てるな、などと思いました。

 

写真は女の子の幽霊が出る、とかいう部屋ですが↓↓

特に深い意味はないです。

 

金魚鉢をひっくりかえしたみたいな形です。

ピンク色はどうも「金」を使って出すらしいですな。

(三笠ホテルの解説に書いてあった)

 

万平ホテルまた行きてぇな……

野菜おいしかったな。

 

閑話休題。

以降、京マチ子はまったくセリフがなく、

ただ「左側の顔」をみせる、というシーンが続きます。

 

S101 客席

 

三井弘次が金を持ち逃げして 一座は解散、というシーンですが、

まったくセリフはありません。

 

S103 二階(楽屋)

 

別れの宴ですが、まったくセリフはなし。

 

仙太郎(すみ子に)「アア、姐さんもこっちィ来て、やって下さいよ」

 

潮万太郎の呼びかけにも無言です。

当然ながら 「左側の顔」を向けています。

 

んで、若尾文子&川口浩のゴタゴタが描かれますが、

そこは京マチ子たんが登場しませんので飛ばしまして

一気にラストシーン。

 

S119 駅の入口

駒十郎が来る。切符売り場の窓口に「暫くお待ち下さい」と書いた札が出ているので、そのままそこのベンチに腰をおろそうとしてふと見ると――

その待合室の片隅にすみ子がしょんぼり腰かけて、じっと見ている。

 

とうぜん 京マチ子がみせるのは「左側の顔」……

 

ふと、思ってしまったのだが、

1934年の作品をリメイクするにあたり、小津&野田がやるべきだったのは

性・ジェンダーをひっくり返すことだったのではないだろうか?

などともおもう。

京マチ子を座長に据えて――というわけにはいかなかっただろうか?

 

いかないよな。明治生まれの連中にそれは要求できないな。

清水宏あたりだと 平気でそういうことをやってのけそうな気もするが。

清水作品になると、当然こんなきっちりした作品にはならないわけで。

 

 

駒十郎、気まずい顔で、そのまま腰をおろし、タバコを銜えるが、マッチが見付からず、探す。

すみ子、黙って立って来て、マッチを擦って出す。

駒十郎、変な顔で見返し、また探す。

すみ子、マッチが短かくなって捨て、二本目を擦って出す。

駒十郎、吸いつける。

 

――という、美しいラブシーン。

京マチ子の立ち姿がなんともあでやかです。

京マチ子でないとこうはいかなかったでしょうねえ。

 

これはDVD所収の演技指導↓↓

 

俳優さん、

ミゾグチとは真逆で すべて小津の指示通りに動きます。

 

すみ子、並んで腰かける。

 

安定の二人の並び方が復活します。

 

すみ子(吸いつけて返し)「ねえ、どこいきなはんの?」

 

と、「どこ」という「空間論」です。

 

「ねえ、よりを戻して」「また一緒にやっていきましょう」

なんていうんじゃないんです。

小津のシナリオはあくまで「空間」を語るのです。

 

駒十郎「――桑名の……カネヨシの旦那にでも泣きついてみよかと思うとンのやけど……」

 

桑名、というから

伊勢松阪出身の小津家にとってはなじみ深い地名でしょう。

 

駒十郎「――もう一旗あげてみよか……」

 

すみ子「うん。やりましょ。やろ、やろ」

 

S120 夜汽車の中

ねむりこけている各種各様の乗客――

駒十郎とすみ子が向い合って、一つの駅弁のおかずを二人で突っつきながら瓶詰を呑んでいる。

 

戦前の「浮草物語」では

真逆の並び方になります↓↓

 

たぶん――

これはセットだな。この客車は。

そのあたり、厚田雄春先生は 「あーあ」と思ったかもしれない。

 

厚田さんなら実物にこだわっただろう。

というか、他社作品だから 小津も遠慮して セットですませたのだろう。

 

 

 

――と、

京マチ子の「顔」

をめぐる「浮草」の分析。終わります。

「少女革命ウテナ」と「マリア様がみてる」の比較・考察

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最近 アマゾンプライムで「少女革命ウテナ」ばかり見ているわけです。

1997年にテレビ東京で放映されていたそうです。

 

ついこないだ 一週間くらい前 全39話を見終わりまして

今、2回目 見直しているところです。

なんなんですかね? この難解極まるストーリーは。

グノーシス思想を少女小説に溶け込ませたような……

女の子向けのアニメとして正しい解答なのでしょうか?

 

あと、ですね。

みればみるほど

「なんかマリみて(マリア様がみてる)に似てる……」

という思いが膨らんできていますので

自分の頭の中の整頓のために この記事を書きます。

 

※注1 「マリア様がみてる」アニメ版はみたことがないです。

自分にとってのマリみてはあくまでコバルト文庫です。

※注2 以下、「実写映画 マリア様がみてる」の画像を使いますが、

個人的にはそれほど高く評価はしていないです。といってまったくの駄作というわけでもないとおもいますが。

文字だけだと華がないので 使わせていただきます。

※注3 なので、実写版マリみてへの批判をちょいちょい言及していきます。御容赦ください。

 

□□□□□□□□

以下、比較・考察です。

まずは似ているところを書き出してみたいとおもいます。

 

似ているところ①

薔薇・バラ・ばら……

 

両作品ともひたすらに薔薇イメージで突っ走ります。

(劇場版ウテナ・アドゥレセンス黙示録はとんでもない量のバラの花びらが振りまかれますが(笑))

 

「ウテナ」――

主人公天上ウテナは 「薔薇の刻印」という名の指輪をしていまして

「薔薇の花嫁」こと、姫宮アンシーをめぐる決闘ゲームに巻き込まれます。

 

画面上も薔薇にあふれているわけです↓↓

 

「マリみて」も薔薇だらけです。

 

生徒会「山百合会」の活動する施設は 「薔薇の館」と呼ばれており、

生徒会長は三人

紅薔薇(ロサ・キネンシス)、黄薔薇(ロサ・フェティダ)、白薔薇(ロサ・ギガンティア)

 

そしてそれぞれの薔薇さまに妹、その下にも妹がいて(ややこしい)

「マリア様がみてる」1巻のラスト、

主人公、福沢祐巳ちゃんは

 

紅薔薇のつぼみの妹(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン・プティ・スール)になる、という結末でした。

(コバルト文庫p249)

 

こういうわけのわからない用語が多用される……

(「ウテナ」→薔薇の刻印、薔薇の花嫁、エンゲージ、デュエリスト、等々)

(「マリみて」→山百合会、薔薇さま、姉妹(スール)、ロザリオ、等々)

というのも「似ているところ」ではありますが、

これはフィクション作品にはよくあることかとおもいます。

 

実写版↓↓

薔薇の量が足りない。もっと大げさでいいんだよ。

 

 

似ているところ②

温室

 

どちらも校内に温室があり、中で薔薇を育てているというのも似ています。

「ウテナ」の温室は鳥かご型をしていて なんとも意味深長です。

 

実写版マリみてですが↓↓

温室なのか、なんなのか、わからないですね。

 

原作では

「十八年通い続ければ温室育ちの純粋培養お嬢さまが箱入りで出荷される」

(コバルト文庫 1巻 p6-7)

と、リリアン女学園が説明されており、

「温室」というのが大事なのだから、そこはしっかり探さないと。

あるいはセットで作りこまないと。

 

あと、もっと「アメリカン・ビューティ」じゃないが、

薔薇・バラ・ばら、でとことん攻めるべきだろう。

素朴リアリズムでは「マリみて」の世界は描けないとおもう。

 

似ているところ③

儀礼とゲーム

 

儀礼とゲーム、というのは、トマス・ピンコの「マリみて」分析によく出てくる用語なので(笑)

興味ある方は 拙ブログの 「マリア様がみてる」というテーマをポチってみていただくと良いかとおもいますが、

 

「ウテナ」も儀礼とゲームが中心になった作品で……

ほぼ毎回、ウテナは誰かしらと決闘することになります。

 

個人的な感想ですが、この決闘ゲーム

 

・1~13話の生徒会編においては

勝者と敗者が存在するので 「ゲーム」といっていいとおもいますが、

 

・14~24話の黒薔薇編においては

ウテナが勝利するのが最初から決まっているような印象があり、

さらに、ウテナに勝負を挑む脇役さんたちが

決闘の後どこか「浄化」されるような印象があるので、

「儀礼」なんじゃないか? とおもっております。

 

その他、毎回毎回繰り返される音楽。決闘広場への道程。

アンシーの「わたしに眠るディオスの力よ、うんぬん」いう呪文めいたセリフも儀礼・ゲーム性を高めています。

 

一方、

「マリみて」の基本パターンもゲームと儀礼で……

 

 ゲームは離接的である。それは対戦する個人競技者ないしチームの間に差別を作り出す。ゲームが始まるときには、両方ともまったく平等であったのに、終了するときには勝者と敗者にわかれる。これと対称的に儀礼は連接的である。なぜならそれは、もともと離れていた二つの集団のあいだに結合、ないしはいずれにしても何らかの有機的関係を設定するからである。

(中略)

 ……儀礼と神話は器用仕事(ブリコラージュ)(工業社会はこれをもはや「ホビー」もしくは暇つぶしとしてしか許容しない)と同様に、出来事の集合を(心的面、社会・歴史的面、工作面において)分解したり組み立てなおしたりし、また破壊し難い部品としてそれらを使用して、交互に目的となり手段となるような構造的配列を作り出そうとするのである。

(みすず書房、クロード・レヴィ・ストロース著「野生の思考」40~41ページより)

 

クロード・レヴィ・ストロースの分析する未開部族のように、

部族内に構造的な危機が生じると、それを「儀礼」によって回復しようとするのです。

 

まあ、つまり、「姉妹」(スール)の契りの儀礼によって秩序を回復するわけです。

(マリア像の前でそれをする、というのが いかにも「儀礼」なわけです)

 

実写版の 祐巳&祥子がスールになるシーンですが↓↓

実写版は「儀礼」というのをまったく考慮しておらず、なんとも無味乾燥です……

ここは「リアリズム」で攻めてしまってはダメでしょう。

 

似ているところ④

生徒会=学園のスターたち

 

両作品とも 生徒会のメンバーが学園のスターたちである、というのが似ています。

 

しかし……「ウテナ」の生徒会メンバーはどうやって選ばれるのか?

謎です。

このメンバー構成をみていると、「腕っぷしの強い人間が選ばれる」システムのような気もするのだが(笑)

(フェンシング部二名。剣道部二名)

案外、正解かも。

 

あと、桐生冬芽がウテナに負けたあと不登校になると、

妹の七実さまが生徒会長代行とかいってしゃしゃり出てきますが、

中一のお嬢さまが 中高一貫校の生徒会長になる、というのですから、もうめちゃくちゃです。

明らかに民主主義ではなさそうです。なんらかの独裁的な権力・システムで決定されていますね。

 

ただ、七実さまは相当に腕っぷしは強いようなので 

(何話だったか、三人の子分たちを一瞬でボコボコにしたことがある)

やはりケンカが強いやつが生徒会に入れるのかもしれません。

 

あと、話がすこし逸れるのですが、

西園寺莢一は一体誰との決闘に勝って 「薔薇の花嫁」姫宮アンシーを手に入れたのか?

そのあたりもまったく言及されず、いろいろと無気味さを残します。このアニメは。

 

 

「マリみて」は 山百合会(生徒会)メンバーが憧れの存在であると同時に、

どこか畏怖される存在であることをきちんと描いております。

 

祐巳&蔦子が 薔薇の館を訪問するところ。

メガネ・カメラ女子を広瀬アリスちゃんが演じてますな。

 

このあたりのシークエンスはなかなか良いですぞ。実写版。

 

滝沢カレンちゃんが 聖さまというのもいい。

 

あと、十代の頃、年上のお姉さまたちはこう見えていたよな、

という感覚がきちんと描けているとおもう。

 

 

似ているところ⑤

「学校」の描かれ方

 

どちらも「学校」が世界のすべてで、

その他の世界の描写は希薄です。

 

「ウテナ」の鳳学園↓↓

 

ウィキペディアでは 前方後円墳に似ていると指摘されていて興味深いところです。

主人公ウテナは かつて棺桶の中に入っていたことも考慮すべきでしょう。

 

ついでに気になるのは――

両親が死んでしまったウテナの学費は誰が払っているんだろうか? ということです。

(かなり立派な寮があり、食事も充実している。学校の設備は相当充実している。学費は相当高額なはず)

 

一番あり得るのは親戚の誰かが保護者なんだろう、という説ですが、

ウテナ自身はなにも語りません。(兄弟はいないと言っていたので 経済力のある兄・姉がいるという説は消える)

 

天真爛漫な性格なので 隠しているわけでもなさそうですが、

と、なると、一体なんだかわかりません。

 

「マリみて」もリリアン女学園がすべてです。

 

他の世界の描写もありますが、

けっきょくリリアンの関係者が出て来て(リリアンの卒業生など)

学校内のおはなしになってしまいます。

 

 

似ているところ⑥

天真爛漫な主人公&若干病的な、しかし皆に憧れられる存在 というカップル。

 

「ウテナ」――

天上ウテナは、純情でまっすぐで皆に好かれますが、

姫宮アンシーは、影があって、いろいろと屈折した内面を抱えていそうです。

あとあと、お兄さんの暁生と近親相姦の関係があることが示されます。

 

声優さんの声の質が正反対なのもおもしろいです。

ウテナ→川上とも子、のびやかな高音

アンシー→渕崎ゆり子、陰のある低音

 

また、「薔薇の花嫁」(姫宮アンシー)を手に入れると 「世界を革命する力」が手に入るらしく、

皆が彼女を手に入れたがっています。

 

「マリみて」の主人公たちも同様で

 

祐巳→平凡だが、純粋、皆に好かれるタイプ。

祥子→超大金持ちのお嬢さまで美貌の持ち主だが、

家庭環境のせいで若干病んでいる。

 

となんか似ております。

ウテナ・アンシーも 祐巳・祥子も

わかりやすい「同性愛」ではない、というのも似ています。

 

劇場版アドゥレセンス黙示録では 完全に同性愛な感じですが。

 

あと、二人の関係性を象徴するワードとして――

 

「祐巳がそう言うなら、いいことにする」

祥子さまは案外簡単に引き下がった。

(中略)

確かに「祐巳がそういうなら」という祥子さまの言葉は、聞き捨てならなかったけれど。

(コバルト文庫、今野緒雪著「マリア様がみてる」159ページより)

 

このあたり、アンシーが口にする

「ウテナ様がそうおっしゃるなら」「ウテナ様がお望みなら」

を思い出させます。

 

ただ……

実写版マリみてですが、

なんかこう、まだるっこしいというか……

 

感覚・感情に突き刺さる描写ができてないんですよね。

 

キャストの責任ではないとおもう。

 

ダメ元で大林宣彦御大あたりにでも発注してみればおもしろかったんじゃないでしょうか(笑)

「ふたり」の中嶋朋子&石田ひかりは

実の姉妹ですけど、なんか祥子&祐巳の関係性に似ているような気がする。

 

ロリコンだから女の子の撮り方はうまいし(笑)

 

「同性愛」という話題がでてきたのでついでに書きますと、

 

「ウテナ」「マリみて」ともに いわゆる「百合作品」なわけですけど

「同性愛」らしい「同性愛」は

 

「ウテナ」→有栖川樹璃&高槻枝織

「マリみて」→佐藤聖&久保栞

このカップルだけなのですが……

 

※なんでどっちも

カップルの片方は

「しおり」という名前なんだよ??

 

という謎は残ります。(やはり 「ウテナ」は「マリみて」に影響を与えているのか??)

まあ、高槻枝織はものすごいクソ女だったりしますけど。

 

んー……

滝沢カレンちゃんの聖さまはすごくいいですね↓↓

 

蔦子ちゃんの広瀬アリスちゃんもそうだが、出世する人は存在感が違うなあ。

 

似ているところ⑦

ダンス・ピアノ・ドレス

 

似ている、というか、まあ、女の子向けの作品なのでねえ。

似て来ちゃいますわね。

 

「ウテナ」では……同じ画像を貼りますが↓↓

アンシーは決闘のたびに毎回ドレスを着ます。(大変だろうな)

ウテナもたまにドレスを着ます。

ウテナ&アンシーはダンスを踊り(劇場版はすさまじかった)

薫幹くん……ミッキーのエピソードでは、ピアノが登場します。

 

ただ、アンシーはピアノを弾きますが、ウテナは触りもしなかったような気がする。

まったく触らないというのは謎を残しますが。

「王子様」はピアノを弾かないのかしら。

 

一方の「マリみて」もご丁寧に

ダンス・ピアノ・ドレスが登場します。

 

二人は互いに手を取り合った。

リード合奏に合わせて、生徒たちは歌い始めたようだった。やさしい天使の歌声をバックに、ワルツのステップを踏む。

冷たい空気がおいしくて、肌に気持ちいい。

月明かりの中、いつまでも踊り続けられるような気がした。

 

祐巳が紅薔薇のつぼみの妹(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン・プティ・スール)となった夜。

 

月と、マリア様だけが二人を見ていた。

(コバルト文庫、今野緒雪著「マリア様がみてる」249ページより)

 

原作1巻は 月の光の下での美しいダンスシーンで終るのですが、

残念ながら実写版はそれを再現してませんねぇ……

 

原作では 年上の憧れのお姉さまとの

肉体的な接触→ドキドキがうまく描かれてますが……

 

実写版は、……まったくそれが感じられませんなぁ……

 

ドレスのシーン

⑥で紹介した「祐巳がそう言うなら」というセリフは

このシーンで登場します。

□□□□□□□□

以上、似ているところを7点あげていきましたので

以下、相違点を考えていきたいとおもいます。

 

ただ、メディアも違えば、テーマも違う作品なので

相違点をあげるときりがないですね。

 

たとえば、⑤でウテナの経済的な基盤がはっきりしないと書きましたが、

アニメ作品なので、そういう細かいことは描かないでいい(むしろ描くとつまらない)わけです。

一方、「マリみて」の祐巳ちゃんは お父さんの職業がはっきりしており、

子供二人を私立の学校に通わせるだけの経済力があることが書かれますが、

文学作品である以上、これは必要なことです。

これはメディアの差が大きいかとおもいます。

 

なので、以下相違点を書きますが、

「物語」の根幹に関わる点だけをあげていきます。

 

相違点① 近親相姦

 

「ウテナ」→兄・妹の近親相姦 もしくは近親相姦への願望が描かれる。

桐生冬芽&桐生七実

薫幹&薫梢

鳳暁生&姫宮アンシー

 

「マリみて」→近親相姦は描かれない。

祥子さまの近親相姦嫌悪は描かれる。

あと 祐巳&祐麒 の関係にうっすら近親相姦的な雰囲気を嗅ぎ取ることは可能――では、ある。

 

相違点② 異性

 

「ウテナ」→共学の学校が舞台なので、当然異性は存在する。

セックスに関するほのめかしも多い。

(明らかに梢ちゃんはそういう役回りですね)

 

「マリみて」→女子校が舞台なので、異性はあまり登場しない。セックスの話題も避けられる。

 

 男の人と女の人のことって、できれば避けて通りたい。アイドルグループの誰それが好きとか、隣の学校のあの人がいいとか、そういう話はクラスでも盛り上がるけれど。実際につき合うとかの段になったら怖くなって断ったっていう話も結構よく聞く。

 想像の世界はきれいだけれど、現実は生々しくて嫌。

(同書210ページより)

 

相違点③ 大人

 

「ウテナ」→基本的に大人はあまり描かれないが、どの大人も口うるさく利己的で邪悪な存在として描かれる。

一番「邪悪」なのはアンシーの兄の鳳暁生でしょうねえ。

 

 

「マリみて」→やはり、大人はあまり登場しないが、

登場した場合、主人公たちを暖かく見守るやさしい存在として描かれる。

 

相違点④ 暴力

 

「ウテナ」→暴力にあふれている。

とくに姫宮アンシーはなにかというと殴打される。兄との関係も性的虐待とみていいだろう。

 

 

「マリみて」→基本、暴力は描かれない。

祥子さまが従兄の柏木さんをひっぱたくところはあるが。

 

 

相違点⑤ 他者

 

「ウテナ」→不気味な、理解不可能な「他者」をきちんと描いている。

 

ウテナ&アンシーだが、けっきょくのところ お互いがお互いに理解不能な「なにか」を抱え込んでいたような気がする。

薫幹……ミッキーのような優等生的キャラでさえ、

 

例のストップウォッチという 病的・不気味なディテールが存在する。

双子の妹、梢ちゃんとの関係も謎めいている。

劇場版でははっきりと二人で一緒にお風呂に入っていて、性的関係がほのめかされるが、

テレビシリーズの彼はそんなことはしない、と我々ははっきり言いきる自信はないわけだ。

 

「マリみて」→他者は存在しない(?)

 

――ここは難しいところで、「マリみて」全体の構造が、

◎祐巳が「他者」である祥子を次第次第に理解していく。

というものであるとも、受け取れるわけです。

ただ、無気味な意味不明なディテールというのは、「マリみて」には存在しないような気がする。

「マリみて」の弱点はここでしょうねえ。

 

ただ白薔薇さま(ロサ・ギガンティア) 佐藤聖さまが興味深いのは「他者」だからだ、といえるかもしれない。

 

祥子さまもけっこう読めないところがある。でも、ストレートだから一度パターンがわかると応用きく部分があるからそう難しくはないのだ。白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)の場合は、もっとひねくれてて奥の奥に本質が隠されているような気がする。

(コバルト文庫、今野緒雪著「マリア様がみてる いばらの」106ページより)

 

「相違点⑤ 他者」は、最大の問題点で、

「だから 『少女革命ウテナ』は意味不明なんだ」

「だから 『マリア様がみてる』は薄っぺらなんだ」

と、躓きの石になるポイントかもしれない。

 

ただ、「ウテナ」に不気味で意味不明な「他者」が多いというのは、

このような重力無視の構造物が平気で建っている――

アニメ作品の特徴なのかもわからない。

 

 

□□□□□□□□

はい。以上です。

ほんとに中身はゼロ。

ただの頭の整理整頓ですね。

 

ただ、「しおり」という名の少女に思いを寄せるキャラクター(有栖川樹璃・佐藤聖)というのは、

今野緒雪の忍ばせた「暗号」のような予感もしないことはない。

 

さいごのさいご。

実写版をさんざんけなしましたが――

蔦子さん――広瀬アリスちゃんの愛機は

ニューFM2かな??

 

ここらへんなんか「わかってる」感じがします。

カメラ好きなら納得するポイントでしょう。

 

今野緒雪先生はメカ系(クルマ・カメラ)にはあまり詳しくないようですので

ここは唯一、原作を越えたところでしょう。

今野緒雪「マリア様がみてる ウァレンティーヌスの贈り物」感想

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まず、

久しぶりのゆり坊の画像。元気にしております。

 

□□□□□□□□

ふたたび わたくしの中で「マリみて」ブームが起きてしまいました――

 

前回記事に書きましたように、

「少女革命ウテナ」をみてたら、「マリア様がみてる」を思い出しまして――

で、1巻目から読み出したら止まらなくなってしまった次第。

今「子羊たちの休暇」読んでおります。はい。

 

久しぶりに読んでみた「マリみて」はやはりすごかったです。

今読んでいる「子羊たちの休暇」に

今野緒雪先生の天才ぶり……というか、完全に頭がおかしいところがありましたので

まずはそこを見ていきたいとおもいます。

 

以下、ようするに

主人公・福沢祐巳ちゃんが「お姉さま」小笠原祥子さまに

「夏休みは小笠原家の別荘で過ごさないこと?」

と誘われる場面なのですが、

とんでもないことになっております。

 

 けれど祥子さまからは、想像していた言葉は発せられなかった。その代わり、主語のない述語のみが祐巳の耳に届いた。

「来る?」

「え?」

 来る、とは。動詞のカ行変格活用における「来る」の終止形または連体形で――。

 いや、そんなことはテストの終了とともに忘れてしまっていいこと。

 今問題なのは、「誰」が「どこ」に来るのかという話であって。

 省略されている主語が、仮に一人称である「私」、つまり祥子さま本人のことを指しているとしたらどうだろう。その場合、目的語は「ここ」とか「学校」とかが適当だと考えられる。だって「私はパリへ来る」とは普通言わない。「ここ」とは今いる場所を示すのが普通だ。ここがパリでない以上、パリへは「行く」ものだ。

 しかし、「私は学校(ここ)に来る」なんて、わざわざ言うことだろうか。

(コバルト文庫、今野緒雪著「マリア様がみてる 子羊たちの休暇」20ページより)

 

↑↑これがいかに異様な文章か、ということは、

仮に……

・吉屋信子が「マリみて」を書いてみたら? 

・氷室冴子が「マリみて」を書いてみたら?

を、仮定してみると明らかになるのではないかとおもいます。

 

まず、吉屋信子御大の文体模写。

 

・吉屋信子版「マリア様がみてる」

「祐巳」――

 祐巳の憧れの紅薔薇の君、祥子さまが問いかけた。

 光あふれる薔薇の館に仄かに浮かぶその神々しい姿、艶艶しくも柔らかく匂うがごとき黒髪、汚れひとつなき清らかなセエラアを身にまといし、祐巳の女神!

 その……薔薇の如き唇がほころび……

「来る?」

「え?」

 なんという果報者!

 おのれの唇をかみしめ、おもわず下にうつむく祐巳の姿――……

 

(笑)……

つづきまして 氷室冴子大先生。

 

・氷室冴子版「マリア様がみてる」

 なんてかわいそうなの私。えーん。

 今度こそ完全に打ちのめされた。祥子さまにふりまわされるのは金輪際おことわりだわ!

 あたしゃ死ぬよ。

 そうよ、私はマヌエラよ!

(最近ビデオでみた独逸映画「制服の処女」のヒロインなのよっ! みんな見てみるといいわっ)

 えーい、 

 飛び降り自殺してやるのだ!

 私は、薔薇の館の窓を開け放った。

 「祐巳」――

 ふりむくとそこに、ベルンブルク先生ならぬ、祥子さまのお姿が。

「来る?」

「え?」

 一体どうゆうこと、祥子さまっ!

 

――はい(笑) まあまあうまいのではないか(自画自賛)

 

吉屋信子大先生の場合、大げさな美文、美文の嵐で攻めるわけですね。

で、けっきょくなにを言ってるんだかわからないまま、文章が終わって行く。

ただ、我々の中に「なんだか美しいものをみた」という感慨だけを残して去っていく。

 

かたや、氷室冴子先生は、コメディですね。基本。

しかし流れるような文章で(どの程度再現できているかは疑問ですが)

主人公の心理を鮮やかに描き出します。

なんといっても明るいです。「ネアカ」というやつですかね。

 

そこへ来ると、今野緒雪は、意味不明。

これは「小説」というものなのだろうか?(たぶん、違う)

日本語の文法を語り始めるんですね。

トマス・ピンコのお気に入りの用語を使いますと「構造」ですね。

 

そうです。今野緒雪は「構造」にしか興味がないのです。

姉妹(スール)制度なる構造

日本語なる構造

システム、といってもいいですね。

 

そして 「バレンタインデー」とは一体何なのか?

一体どういう「構造・システム」なのであろうか?

というのが 今回取り上げる「ウァレンティーヌスの贈り物」のテーマなわけです。

 

□□□□□□□□

はい。

前編・後編に分かれております。

 

前編の「びっくりチョコレート」で バレンタインデーをめぐるごたごたを描きます。

バレンタインデーの放課後に 新聞部主催で 「お宝探し大会」が開催されます。

商品は、つぼみ(ブゥトン)三人――小笠原祥子・支倉令・藤堂志摩子――

との「半日デート券」! というおはなし。

 

後編の「ファースト デート トライアングル」で、その「半日デート」の顛末が描かれます。

 

感想① けっきょく儀礼&ゲーム

 

けっきょく、「マリみて」はこれにつきるわけです。

一体何度引用しただろうか。

 

 ゲームは離接的である。それは対戦する個人競技者ないしチームの間に差別を作り出す。ゲームが始まるときには、両方ともまったく平等であったのに、終了するときには勝者と敗者にわかれる。これと対称的に儀礼は連接的である。なぜならそれは、もともと離れていた二つの集団のあいだに結合、ないしはいずれにしても何らかの有機的関係を設定するからである。

(中略)

 ……儀礼と神話は器用仕事(ブリコラージュ)(工業社会はこれをもはや「ホビー」もしくは暇つぶしとしてしか許容しない)と同様に、出来事の集合を(心的面、社会・歴史的面、工作面において)分解したり組み立てなおしたりし、また破壊し難い部品としてそれらを使用して、交互に目的となり手段となるような構造的配列を作り出そうとするのである。

(みすず書房、クロード・レヴィ・ストロース著「野生の思考」40~41ページより)

 

はい。

高校生活の「2月」なわけです。

そろそろ「3月」なんですよ。

……となると、高校3年生はそろそろ進路が決定。

3月には卒業式。という状態です。

 

となると、これまた毎度おなじみ、山百合会の構造をみますと、

以下のようになります。

 

状態A 1巻目(無印)のラストから成立した安定した状態です。

(白薔薇の項目にぽっかり空いたスペースをめぐって 「いばらの森」「ロサ・カニーナ」という作品が描かれるわけですが)

 

状態B 3年生の薔薇さまたちがあまり登校しなくなります。

 

状態C 薔薇さまたちが卒業した後、4月1日からの状態です。

小笠原祥子・支倉令・藤堂志摩子が 薔薇さまに繰り上がります。

 

また、福沢祐巳・島津由乃・藤堂志摩子の三人にはまだ妹(スール)がいませんので

山百合会のメンバーは一気に 3人減ることになります。

というような山百合会の構造の危機を 儀礼&ゲームによって救うというおはなしで、

「お宝探し大会」を 強引に推し進めるのが 三年生の薔薇さまたち……

引退間近の 水野蓉子・鳥居江利子・佐藤聖の三人というのは、そういうわけです。

 

自分たちがいなくなったあとの「構造」の危機を どうにか救わないといけない、ということなのでしょう。

 

んで、

ゲームによって 「半日デート券」をゲットするのは――

・紅薔薇のつぼみ(小笠原祥子)とのデート→なし

・黄薔薇のつぼみ(支倉令)とのデート→田沼ちさと

・白薔薇のつぼみ(藤堂志摩子)とのデート→ロサ・カニーナこと蟹名静

 

なのですが、それによって 姉妹のきずなは壊れることなく

逆に強化されました、めでたしめでたし。

というのが、「ファースト デート トライアングル」の中身です。

 

つまり、「ゲーム」ごときによって 「儀礼」で結ばれた姉妹の仲は引き裂かれませんよ、

ということなのでしょう。

 

感想② 民俗学者・今野緒雪

 

久しぶりに読んでみて、あらためて思ったのは

「マリみて」は小説ではない。

ということです。

 

さっき文体模写をして遊びましたが、吉屋信子大先生にしろ、氷室冴子大先生にしろ、

あれは「小説」というなにものか、なのだろうとおもいます。

 

しかし、今野緒雪は――

 

「いいですか、ハンバーガーとウーロン茶二つずつ、それにポテトのMを一つですよ」

祐巳が軍資金の入った封筒を手渡すと、祥子さまはうるさそうに受け取った。

「何度も言わなくたってわかっているわよ。勧められても追加注文はなし、でしょ」

「そうです。予定外の散財は、後々の予定に響きますからね」

「はいはい」

 いつもと立場が逆転だ。居心地悪いけど、何だかちょっぴり楽しかった。

 祥子さまはナゲットやアップルパイに迷うことなく、完璧に注文をやり遂げた。会計も完璧。しかし、最後の最後でしくじった。店員の差し出したトレーを受け取ることなく、席に向って歩いてしまったのだ。

(コバルト文庫、今野緒雪著「マリア様がみてる ウァレンティーヌスの贈り物(後編)」84ページより)

 

超絶お嬢さまの祥子さまのファーストフード初体験を描く、実に興味深いシーンなのですが、

今野緒雪の視線は、ですね、

ファーストフードの注文のルールが主体なのですね。

そしてこのあとハンバーガーの食べ方、というはなしにつなげます。

(祥子さまはハンバーガーの食べ方がよくわからない。一度は食べたことがあるらしい)

 

あり得ない仮定ですけど、このシーンを吉屋信子が書くとすれば、

人物の心情が主体になるわけです。

祥子さまはおそらく涙をこぼして自分の世間知らずさを嘆き、

祐巳はそんな祥子さまをたまらなくいとおしく思う、

その心情を 薔薇だの百合だの振りまいて書くわけで、

ウーロン茶がなんだ、とか アップルパイがなんだ、とかは書かないわけです。きっと。

 

片や氷室冴子だったら、こんなシーンは 「げ。な、なんと祥子さまはファーストフード初体験なのだった!」

の一文ですませてしまって

そのあとなにかしら「小説的な」ドタバタ劇を構成するだろうとおもう。

 

ファーストフードの注文の細かい描写。

こんなものは、はっきりいって「民俗学」なのであって 「小説」ではないとおもいます。

 

その他、「ファースト デート トライアングル」で描かれるのは

・高校生の女の子が休日出かけるとしたらどこへ出かけて、何をするのか?

・駅ビルのそれぞれの階にはどのような店があって、どのような売り場構成なのか?

というようなひたすら「民俗学」的描写。

 

(ついでにいうと 「びっくりチョコレート」も バレンタインデーとは何か? という民俗学であるとおもいます)

 

で――あの輝かしきジーンズ試着シーンへとつながるわけです。

 

「ちょっと失礼」

 祐巳は再度断ってから、今度は全身を滑り込ませた。もちろん、靴は脱いでから。

「説明不足でごめんなさい、お姉さま。これは折るんです」

 言いながら祐巳は、祥子さまの足もとにしゃがんだ。

「踏んづけているかかとを、一旦上げてください」

「ええ……こう?」

 ぐらり。

「あっ!」

 大きく傾ぐ祥子さまの身体を、祐巳はあわてて支えた。

「お姉さま、私の肩に手を置いてください。それで、かかとを上げるのは片方ずつにしましょう」

「……そうね、わかったわ」

 やがて祐巳の両肩に、重みがかかった。こんな時なのに、こんなことが不思議に嬉しい。今、お姉さまの身体を支えているんだ、っていう実感と、それからお姉さまが信頼して体重を預けてくれていること。

(同書98~99ページより)

 

今野緒雪が絶好調になるのは、民俗学描写(この場合、ジーンズショップでの買い物の仕方)とラブシーンの融合です。

どうも 今野緒雪にとっては「重力」というのがラブシーンに不可欠っぽい気がします。

キーワードは「傾ぐ」で、

これは「マリみて」の要所要所に登場するワードなのですが――

 

「あっ!」

「うわっ!」

人が飛び出してきたと思った瞬間、祐巳は身体の前面に軽い衝撃を受けた。次いで視界が傾ぎ天井が回って、その後すぐにお尻に激痛が走った。

(コバルト文庫、今野緒雪著「マリア様がみてる」39ページより)

 

1巻目(無印)の 祐巳と祥子さまの激突シーンにすでに登場したりしております。

―――というか、この「傾ぐ」分析は 前にどこかで書いてましたね。

 

んで――

「ウァレンティーヌスの贈り物」につづく 「いとしき歳月」があまりおもしろくないのは、

 

「卒業式」とは何なのか?

――という民俗学的な追求があまりなされないから、なのではなかろうか、と思われます。

 

あとは、「三年生の薔薇さまたちがいなくなる」という構造の危機は

「ウァレンティーヌスの贈り物」の儀式&ゲームにおいて解決してしまっているわけです。

 

「いとしき歳月」はまったく余計な存在だといえます。

(「黄薔薇まっしぐら」は好きですが)

三宅艶子「ハイカラ食いしんぼう記」感想(エスキモーの新橋ビューティ食いてえ!)

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モダンお嬢さま・ツヤコ

かわいすぎる……という本。

 

「マリみて」ばかり読んでるとおもわれるのもアレなので

(じっさいそうなのだが)

ご紹介いたします。

 

上流階級のお嬢さまが 戦前および戦後まもなくの 印象に残った食べ物の思い出をひたすら書く――という本。

 

アマゾンの評価で、文章が下手とかいうのを見たので

ちと心配だったのだが(文庫本だが、絶版?なのか、古本価格はまあまあ高いんである)

杞憂で――まっすぐのびのびしたお嬢さまらしい文体だった。

 

 なんで羨ましいかと言えば、軽井沢では人々が優雅に退屈しているように思えたからであった。

(中公文庫、三宅艶子著「ハイカラ食いしんぼう記」95ページより)

 

こんな文章を書く人をつかまえて

下手くそとは、どうかしている。

 

ただ――

蝶よ花よと育てられたお金持ち美女が、

(お写真拝見すると有馬稲子似の美人なんである)

贅沢三昧の日々を振り返る、という内容なので

左巻きのアナタには まったくおすすめしません。

(上記のアマゾン評価子も、今どき絶滅危惧種の左翼野郎なのだろうとおもわれる)

 

□□□□□□□□

 

といいますか、タイトルに書いたのですが、

「エスキモー」(ヱスキモ? エスキモ? エスキーモ?)という銀座のお店の

「新橋ビューティ」が気になって この本を読んだ、というのが実際のところです。

 

「エスキモー」とはどういう店だったのか?

そして「新橋ビューティ」とはなにか?

 

順を追って書きますと……

 

①まずは「全日記小津安二郎」

――に、「ヱスキモ」が頻出するのですね。

分厚い「全日記小津安二郎」のはじめの方から抜き出していくと、

 

1933年

11月7日(火)▲ヱスキモで東洋の母のストリーの相談

12月29日(金)皇太子 継宮明仁親王と御命名

夕方清水から電話でヱスキモで会ふ

12月31日(日)内田岐三雄から電話がかゝつて来て ヱスキモで会ふ

 

1934年

1月25日(木)ヱスキモにより一人車にて帰る

2月26日(月)夕方 岸松雄から電話 ヱスキモで会ふ

3月2日(金)ヱスキモで又してもグレープ・ジュウス

3月3日(土)夕景 岸松雄とヱスキモで会つて山中の風流活人剣を見る

5月17日(木)ヱスキモにてお茶をのみ帰る

9月2日(日)ヱスキモ→キリン→松しま→ドウトンヌ→ルパン

 

というかんじです。1935年以降はみてませんが。

銀座で人と待ち合わせをするときによく使うようです。

あとちょっとお茶したり 「ジュウス」を飲んだり。

 

ついでに書きますと、この頃の小津安っさんの様子は――

1933年→水久保澄子たんに恋をしている。

1934年→父が亡くなる。横浜のチャブ屋に入り浸る。山中貞雄と仲良くなる。

というようなものでした。

 

②つづいて安藤更生著「銀座細見」

に、「エスキーモ」が登場します。

「エスキモー」でも「ヱスキモ」でもなく、「エスキーモ」です。

 

エスキーモ

僕はここの看板を読んで、はじめてわれわれがエスキモーとばかり呼びなれていた北極の矮人の名の正しい発音を覚えた。ここは酒も少しはある。コーヒーはここが一番うまいと思う。店の感じはメタリックで冷い。床が坂のようになっている。ここの名物はアイスクリーム、新橋ビューテイなどだ。ここのアイスクリームはきめが細かくって好きだ。

(中公文庫、安藤更生著「銀座細見」112ページより)

 

――と登場します。

「正しい発音」というのがなんのことか? 手持ちのオックスフォード・コンサイス・イングリッシュをみても

発音は「エスキモー」(エスキモウ)だとおもうんですが?

仏蘭西語だと「エスキーモ」?? でもこの人 仏文出てるんですよね。

よくわかりません。

 

ともかくアイスクリームがおいしい。ということがわかります。あと……

◎新橋ビューティ

なる謎の単語が飛び出します。一体これは何なのか?

 

③んで「モボ・モガの時代 東京1920年代」

これは1983年にでた別冊anan なのですが、

けっこうまじめな本で、情報量も多いです。

 

ここに先ほどの「新橋ビューティ」が登場します。

戸川エマさんへのインタビューなんですが、

 

 キャラコ、くそくらえ。ストッキングもむろん絹。そして遊びに行くのは銀座である。『モナミ』という喫茶店で、“新橋ビューティ”を食べるのが流行った。

「パフェみたいなもの。ダンダンになってましてね。休みで田舎へ遊びに行っても、早く帰って銀座で“新橋ビューティ”を食べたい、そればかり。コロンバンはね、ひさしを出しテーブルを道にはみ出させて、テラスにしてあるの」

(平凡社「モボ・モガの時代 東京1920年代」7ページより)

 

新橋ビューティなるものが一体なんなのかが薄ぼんやりとわかります。

パフェか。

段々? ともかくアイスなのだろう。

 

ん? しかし――

モナミという喫茶店で 「新橋ビューティ」??……

「エスキモー」(ヱスキモ、エスキーモ)ではないのかい??

 

また新たな謎があらわれてしまいます。

 

④けっきょく「ハイカラ食いしんぼう記」

 

「モボ・モガの時代」に戸川エマさんと並んで 三宅艶子さんのインタビューものってまして――

 

……なのですが。

ここでは 「エスキモー」も「新橋ビューティ」も語られてはおりません。

(ちなみに ハイカラ食いしんぼう記でわかるのだが 戸川エマ・ツヤコお嬢さまは二人とも文化学院の卒業生で、

戸川さんは一学年上であったそうです)

 

ただ、ハイパーモダンな邸宅にお住いの ハイパーお嬢さまであることはよくわかる。

 

上の画像、右側の写真。

ピアノといういかにもブルジョワな小道具と一緒に写るボブヘアーのツヤコお嬢さま↑↑

 

だが、トマス・ピンコの天才的な直感(笑)で、

このツヤコお嬢さまを追っかけてみるとなにかわかるのではあるまいか? とおもった。

というか、

アマゾンでツヤコお嬢さま検索かけると

「ハイカラ食いしんぼう記」という いかにも食べ物テーマっぽいエッセイ集が登場するではないか。

 

で、読んでみると、ビンゴ。なのであった。

ちなみにツヤコお嬢さまは「ヱスキモ」でも「エスキーモ」でもなく、「エスキモー」とお書きになるのであった。

 

「エスキモー」はいつ出来たか(多分二、三年前だろう。銀座の喫茶店やレストランは大抵大正の末頃からたくさん新しいのが出来たから)、私にはその日以前に「エスキモー」に私なりの一、二年の歴史があった。

 それは「新橋ビューティ」というアイスクリームに関して。誰いうとなく、いつからか「新橋ビューティって食べた?」「エスキモーの新橋ビューティ知ってる?」という話が出た。それは今方々にあるクリームパフェとかその種のものに、外見は似ている。でも実物は似ても似つかない。今喫茶店やどこかにあるアイスクリームは、みんなふわっとして、どろっとして、私は一年のうち一度ぐらいなにかの羽目で口にすることがあっても、みんな嫌いだ。その頃(昭和四年頃)にはおいしいアイスクリームが方々にあった。私の口感覚が変ったのではなく、今のはわずかの店をのぞいて、コーンスターチかゼラチンか、そういうものをまぜることがきまりだからだろう。アイスクリーム談義はあとに廻そう。

 新橋ビューティは、ヴァニラとストロベリーとチョコレートと、そして挽き茶との四種のアイスクリームが、縞のように色をグラスの外に見せてはいっている。それだけのことなのだが、一つ一つのアイスクリームがおいしいし、そのとりあわせが微妙で、ほんとうに「こんなおいしいもの生れて初めて」と思ったくらいだった。銀座に来ると、何かと言えば新橋ビューティのためにエスキモーに寄らないと気が済まない。夏冬行く御宿から東京に帰った時も、エスキモーで新橋ビューティを食べて初めて帰京した、と感じたくらいだった。

(中公文庫、三宅艶子著「ハイカラ食いしんぼう記」153~155ページより)

 

はい。新橋ビューティの詳細がわかります。

(新橋ビューティに限らず 食べ物に関する記憶力に関して ツヤコお嬢さまは異常なほど詳細です)

 

戸川エマ先生のいう「モナミ」は間違いでしょう。

(インタビュアーのミスの可能性も高い)

 

まとめると――

◎銀座ビューティ

ヴァニラ、ストロベリー、チョコレート、挽き茶(今でいう抹茶?)四種のアイスクリームがグラスに入っている。

パフェ状で段々になっているらしい。

食感はさらっとしてきめ細かい口当たりであるらしい。

四種の味の組み合わせが絶妙。

外見も非常にきれいなものであるらしい。

ということがわかります。

 

どこかで食べられないものかしら?

と「新橋ビューティ」で検索したりしましたが、

でてくるのは新橋周辺のエステやら美容院やらばかり――……

 

□□□□□□□□

 

新橋ビューティ以外のところも、どれも楽しい本です。

自分の行ったことのある万平ホテルとか横浜ニューグランドとかの記述もあり、興味深かったです。

 

ただ……エスキモー問題。

「ヱスキモ」「エスキーモ」「エスキモー」

どれが正解なのか? 謎は残ります。

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