菊竹清訓(きくたけ・きよのり)(1928-2011)
という建築家がとても気になっている。
もちろん「巨匠」の一人であるからして、名前は知っていた。
菊竹―メタボリズム―代表作「江戸東京博物館」―つくばの松見公園も菊竹作品だな……
これくらいの知識はあった。
んーだが、この人、
「巨匠」どころか「モンスター」であるのかもしれない、と
おもうようになってきた。
きっかけは
日経BP 磯達雄(文)宮沢洋(イラスト)の三部作
「昭和モダン建築巡礼 西日本編」
「昭和モダン建築巡礼 東日本編」
「ポストモダン建築巡礼」
これはおもしろいっす。
「建築」という、まーマニアックな世界をどうやって布教していくのか。
この問題に関する、最良の答えがここにある!
…などと一瞬おもったが、
「イラスト」&「ちと強引なインテリ臭い文章」
という組み合わせは、良く考えれば
みうらじゅん&いとうせいこうの「見仏記」にそっくりであった。
いえ、べつに「マネ」してる、とか
「パクり」とかそういうんじゃなく……
フォーマットとして「見仏記」にそっくりだな、と。
(著者たちはちと意識している気がする。だがみうら先生の絵の強烈なエロさとかいとう先生のグジグジした私小説っぽい感じとかは皆無である。…あれはマネできないよね)
中身はこんな感じ。
絵だけみててもおもしろい。
んで。
↑の、三部作において、なにかと言及され、そして作品を取り上げられるのが…
建築家「菊竹清訓」なんである。
そこで、読者側から「菊竹特集」やってくれ! と要望があったか、なにか知らんが、
登場したのが、「菊竹清訓巡礼」なる本。
先述の「イラスト」&「ちと強引なインテリ臭い文章」のフォーマットで
ひたすら菊竹作品を語り明かす、という内容。
よくもまー出したものだ、という気がする。
「安藤忠雄巡礼」なら売れるだろう。
「ガウディ巡礼」もね。
でも、菊竹だぜ。メタボリズムの親分菊竹だぜ。
僕には容赦なくおもしろかったが…
あらためて「モンスター」だとしかおもえなくなったが…
一般的な需要はどうなのだろう。
少なくともSF好きな人は買い、だろう。
テクノロジー好き、万博好き、な人も。
(国内の万博には必ず菊竹先生からんでいます)
逆に建築好きは…好みがわかれそうな気がする。
妹島先生とか、ああいう「かわいい建築」好きな人は
こういう男っぽい世界、嫌いかもしれん。
一緒に菊竹清訓著「代謝建築論 か・かた・かたち」
も買った。
おもしろかった。
「か・かた・かたち」は、↑の巡礼シリーズ四巻でなにかと言及される
菊竹のデザインの方法論なんだが、
ちと説明するのが難しいのでここではやめておく。
ただひとつおもったのは、
菊竹というひとりの「モンスター」が…
おそらく宇宙規模の建築を作らないと気が済まない、
そういうおのれの爆発的な構想力(狂気ともいう)
に気づいてしまったひとりの若者が…三十代の建築家が、
狂気に呑み込まれないために、一種の修行のような形式で書いた、
そんな小難しい方法論ではなかったか、ということである。
しかし、読み込んでみれば楽しい方法論である。
「か・かた・かたち」
なんてかわいいではないか。
「建築」だけではない、美術関連ブンガク関連音楽関連…その他その他、
創作活動をしている人には参考になろうかとおもう。
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えー
さっそく菊竹先生のスカイハウス…
みてきた。
無論個人宅なんで、入れません。
印象?
本でみるとデカい印象があったが、
ちっちゃい、な、と。
あんまりうろうろもできないので、早々に立ち去った。
歩いて…十分かそこらで、例の東京カテドラル聖マリア教会にたどりつく。
遭難しそうな、強烈な坂道登りますが…
四月、五月……そして七月もここに来てしまった。
しかしこのあたり…
戦後住宅建築の世界的傑作「スカイハウス」あり、
戦後教会建築の世界的傑作「東京カテドラル」あり、
すさまじいところです。