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国立劇場 文楽五月公演 感想

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国立劇場の文楽五月公演 みました。


第二部の

「祇園祭礼信仰記」(ぎおんさいれいしんこうき)

「桂川連理柵」(かつらがわれんりのしがらみ)


をみました。

ので、感想なんぞ。


ちなみに文楽みにいったのは二回目です。

前回見たのは

「曽根崎心中」


さて「感想」とかいって、

文楽知識なし。

古典文学の知識なし。

邦楽の知識もなし。


そんなヤツの書く感想です。


最近、この公演にそなえて

三浦しをん先生の「あやつられ文楽鑑賞」を読んだ。

以上。


数年前にみた「曽根崎心中」…感動したが、

とくに音楽面で感動したが、

といって熱中するほど、でもなかったのね。

そんなヤツが書く、「感想」


――んだが、結論を先に書いてしまうと。

とても良かった。

これはハマってしまうかもしれない……



まとまった「感想文」を書く自信がないので、箇条書きにしてみる。


○お人形がめちゃくちゃかわいかった。


前回「曽根崎心中」では、1等席だったのだが、限りなく2等に近い、

後ろのほうの席だったので、舞台上の出来事があんましみえなかった。

ので、その怨念がありまして

今回は一番前の席を確保した。(極端な性格)

結果、お人形がみえすぎるほどよくみえました。


文楽の人形の美、ってのは写真ではどうも伝わらないような気がします。

といって映像でも、どうなのか?

舞台で見るしかないんじゃあるまいか?


僕の感じだと

お人形自身がひとりでに動いて、

その動く人形に…人形遣いの人たちがそっと手を触れている、という感じ。


「がんばって動かしてます」感がまったくないのだから

そんなの文楽ファンにはあたりまえのことなのだろうが、

すさまじかったです。


○音楽はやっぱりすごかった。


グレイトフルデッドのジェリー・ガルシアが

「音楽はリズムでもメロディでもなくてけっきょくグルーブなんだ」

とかいっていたのを思い出して、

引用しようとしたが、今、本がみつからなかった。

でもたしかそんな感じのことをいってました。


えー

わたくしが、なにがいいたいかというと、

文楽もグル―ヴィだ、ということのようです。


音楽に関してはなにか書くとボロが出そうなのでやめておきますが、

「桂川」

「曽根崎心中」もそうだったけど


二人が心中しますよ、

死んじゃいますよ、

というシーンで

ぞろぞろと三味線さん、大夫さんが大勢出て来て

ジャンジャカジャンジャカ

大音量でたたみかける、というやり方は

エロすぎです。

秘境……じゃなかった卑怯です。




○「祇園祭礼信仰記」は山田風太郎である。


風太郎してて楽しかったです。

風太郎のポイントは

摩訶不思議(かつエロな)マジックアイテム

それと

清純な美少女の貞操がいかにまもられるか

であるわけですが、


「祇園」はもろにそれでしたので風太郎作品からの盗作をうたがったのですが、

パンフレットには1757年初演と書いてありました。

さすがに山田風太郎は生まれてないな……たぶん。

えー…あらすじ。

松永大膳といういかにも悪そうな名前の悪いおっさんが出て来て

雪姫、という美女の貞操を狙います。


さらに松永という悪い奴は、雪姫のお父さん雪村を殺して

倶利伽羅丸という宝刀をうばったという二重に悪いやつです。

(お父さんが雪村でおじいさんが雪舟、というあたり日本美術に関心ある方はおもわずプププ…な設定です)


倶利伽羅丸は、滝に刀身を写すと、

竜の姿が浮かび上がるというマジックアイテムだったりします。

まー山田風太郎が書くとすると…

「豊満な裸婦に竜がからみつく姿」とかだったりするんでしょうが。

さらにその竜をみた女性は皆エロエロな気分になってしまったり…

あー

文楽ではそれないです。ないです。

でも色々と風太郎っぽかったのです。


その他いろいろ書きたいことがありますが、

「武士は魂、人相の差別善悪によるべきか」

「すべて碁は勝たんと打たんより、負けまじと打つが碁経の掟」

とかかっこいいセリフにしびれました。


あと雪姫が松永から刀を奪って

「敵もこなたに極まつた、サア尋常に勝負しや」

というところなんぞしびれました。


風太郎が書くとすると、そのあと雪姫は素っ裸にひんむかれ、

貞操を奪われそうになるのですが、

文楽ではさすがにおとなしく、

雪姫は桜の木にしばりつけられるのでした。


そして桜の花びらでネズミを描いて

そのネズミが本物のネズミになりまして

姫をしばる縄をかみ切るのでありました。


ネズミ、かわいかったーー

あとなにげに竜もかわいかったーー


○「お半ちゃぁぁーーん!」と叫びたくなった。


休憩三十分はさんで 「桂川」ですが、

「お半、長右衛門」といえば、

あー年の差カップルの心中だな、とわかるわけですが、


前半が風太郎してて、僕的にはもりあがったので

なんか地味だな、と

ほんのちょっとがっかりしました。


さらにいうと「祇園祭礼信仰記」は金閣寺を舞台にして

・最初雪姫が閉じこめられていた空間にさいご松永が閉じこめられる。

・此下東吉なるヒーローが金閣寺の最上階にのぼり

 慶寿院なる偉いババアを救出する。

という上下左右、建築空間的にも興味深い点が多々あり、


その点でも建築的にハデではない

グジグジしたホームドラマの「桂川」は

がっかりしたのですが、


このがっかりは全部、お半ちゃんの登場シーンでひっくりかえりました。




お半ちゃんは、14歳のロリータで

アラフォーの長右衛門と心中しちゃう、

ま、過激な性格の持主なのですが、


おはなしの後半になるまで、えんえん登場しないのです。


「お半が~」「お半に~」「お半は~」

と会話に登場するのですが、本人はまったく登場しない。


その初登場シーン……


商家のお嬢様なんですが、

自分の家ののれんを一瞬だけくぐって外へ出る…

2秒?3秒? それとも5秒くらいか??


くぐって、またうちに入ってしまう。


一瞬拍手が起こるんですが、すぐにおさまる。


まーあの可憐さ。

一瞬出て、一瞬で引っ込む。

「型」なんでしょうけど。

「お半ちゃぁぁーーん!」と叫びたくなってしまいましたよ。わたくし。


あの一瞬がすべてでした。

いや、他にもいろいろおもしろかったんですけど……


長右衛門の人物設定がちと弱いような気がする……

個性、みたいのがない。

あんがい、女性から見るといい男かもしれんなーー

こういう脳みそ空っぽなイケメンってのは。。。


ま、ダンナにするにはどうかとおもうが、

心中相手にはいいわな。


□□□□□□□□


えー、ハマりそうな予感です。

舞台上にいるのが、生身の人間ではなく

「人形」である点、


脚本、物語の構造、

舞台の構造、

がよく見える気がする。いろいろ勉強になる気がする。


いや、なにより楽しいのですが。


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