しつこく感想その3
今回は 数字の「3」
が、いかに「戸田家の兄妹」をコントロールしているかみていこうとおもいます。
映画と数字。
というとまず思い出すのはヒッチコックだったりする。
THE 39STEPS なるタイトルの作品があり。
「裏窓」のグレース・ケリーが口にするのは……
「21」なる数字。
レストランの名前らしいですが。
「ブレードランナー」のオープニングはおなじみ「4」と「2」
ヌードル屋さんのおっさんが
「2つで充分ですよ!」
と叫びます。
「2」はデッカードが殺すことになるレプリカントの数をあらわし。
デッカード自身とレイチェル……2人のレプリカントもあらわしている。
……のか??
となると、前回見たように
「妹萌え」△
――徹底して三角形の問題を扱っていた「戸田家の兄妹」
数字はもちろん「3」です。
小津安っさんは恥ずかしがっているのか??
単に性格が悪いだけか??
はっきりそうはいいませんが……
冒頭のシーンが高峰三枝子・三宅邦子・坪内美子
の美女「3」人のシーンだというのは紹介しました。
つづいて…戸田家の家長(藤野秀夫)とその孫(葉山正雄)の会話があるのですが……
孫は…
My younger sister is 3 years younger than me.
を「わたしの妹は『3つ』でわたしより若い」と
テストで間違えてしまったと祖父さんに語ります。
これはそもそも英語としてこなれていないな
とか、これは「小津安二郎全日記」に
小津自身が電車内で聞いた会話として出てくるぞ、とか
そういうことはどうでもよく、大事なのは「3」です。
つづいて高峰三枝子たんが愛しの昌兄さま(佐分利信)を呼びに行くシーン。
あの壮絶なお着替えシーンの直前ですが……
戸田家の家紋がちらっと写る。
なんですか?? なんていうの?
六角形が「3」つ重なっているやつ。↓↓
記念撮影して家族でおでかけ。
(あー大事なこと書いてませんでしたが、お母さまの還暦のお祝いなのです)
で、帰ってきますが、お父さまが急に倒れます。
↑倒れる直前のシーン。
藤野秀夫、葛城文子、高峰三枝子の「3」人。
これが父母「2」人になった途端、親父が倒れます。
あたかも「3」が祝福された数字で
「2」が呪われているかのように……
で、三枝子たんが兄弟に電話しますが……
背後には例の六角形「3つ」の家紋。
しかもご丁寧に「3つ」並んで!!……↓↓
「3」のしつこい繰り返しは……
お葬式に遅れてきた佐分利信を
喪服姿の高峰三枝子がむかえる、とんでもなく美しいショットでも繰り返され、
で、お兄さまと「2」人になった途端、
感情をバーストさせる妹。
「2」人になった途端、父が死に、
「2」人になった途端、妹は泣く。
はい。母に挨拶しに行く佐分利信。
あくまで「3」の繰り返し↓↓
急須も「3」つ並んでいないかい???
で、↓この映画ではなんだか珍しい組み合わせなんだけど。
坪内美子・佐分利信・吉川満子。
お葬式ってこういう事あるよね~
普段合わない人が一緒になってさ~
とおもうよりも「3」人ということに注目してほしい。
これ以降も「3」の連続があくまで続くというのは、
感想その1でみました。
佐分利信が笠智衆たちと食事をするシーン。「3」人
天津へ転勤する佐分利信のパッキングシーン。「3」人
(ここでも「2」人になった途端、妹が泣きだす)
そしてあちこちをたらいまわしにされる母・妹・女中きよ
「3」人↓↓
そして「感想その2」でみたように
「妹萌え」△が、
高峰三枝子、桑野通子、葛城文子、の△で置き換わってしまうことで、
佐分利信は弾き飛ばされるというラスト。
これだって、「まだまだ妹萌えしていたい!」という感情から読み解くよりも、
「あくまで3という法則を保持しつづけたい」という
映画の法則からの要請のような気もします。
万有引力同様にパワフルな「3」の法則に佐分利信は弾き飛ばされたのかもしれません。
あ。
あと大事なこと忘れてた。
ヒロインを演じる女優。
高峰三枝子……
「3」枝子、なる名前。
やばいっす、小津安二郎。
というか、この暗号に僕以前に気づいた人はいるのでしょうか??