えー気取ったタイトルですが、
前回のちょっとした補足。
「東京暮色」のすべて その5 で、
「ブレードランナー」を出したのは……
「目」といや、「ブレードランナー」!!
――という
単純な思い付きだったのですが……
よく考えれば「この二作品、けっこう似ているぞ」
などと思いまして。
まず「父」、エルドン・タイレル(ジョー・ターケル)
はい。メガネ。
「目」の強調です。
ヴォイト=カンプ・テストは
もちろん「目」が強調される。
チュウの工房では「目」をつくっている。
で、レイチェル(ショーン・ヤング)の目はオレンジ色にひかり……
デッカード(ハリソン・フォード)の目もオレンジ色に光る。
はい。
ロイ・バティ(ルトガー・ハウアー)のイタズラ。
というように、
「ブレードランナー」=「目」なんですけど、
「東京暮色」同様、
数字の「2」の映画でもあるんだな、これが。
「ふたつで充分ですよ!」
そしてレプリカント達は
「母親」がいない。
もちろん、デッカード&レイチェルのカップルも母親がいないわけです。
はい。
「東京暮色」してます。
子が父を裏切る、というはなし、
というのも似ている。
↓↓ 前回 書いたように、「創世記」のような感じがしますが、
福音書の「放蕩息子」のエピソードのようでもあります。
ん、でも、ヘビ、が出てくるんだから、
やっぱり「ブレードランナー」というのは
リドリー・スコット版の「創世記」なのだ。
ちなみにこのヘビは、ゾーラ役のジョアナ・キャシディのペットだそうな。
んで、「東京暮色」にもヘビ……というか、
「創世記」のヘビめいた奴が出てくる。
須賀不二夫演じる、バーテンの富田。
「東京暮色」S85
「その青年のアパートに一人の悪漢がいましてねえ、その青年をおだてて、ともあれ、この二人をですねえ、実になんと申しましょうか、テもなくくっつけてしまったんですねえ」
で、
「ブレードランナー」に戻りますと、
そうそう、ブラッシングシーン、みたいのがあったっけ。
ショーン・ヤングがめちゃくちゃきれいなんだな。ここは。
ショーン・ヤングはピアノの前に座っていますんで、
「女」&「鏡」ではありませんが……
うん、そうみると、
小津作品歴代ヒロインの中で最も無表情な
「東京暮色」の有馬稲子。
彼女もレプリカントじみていますな。
このブラッシングシーンのぎこちなさ、機械的な動き。
それから、それから……
・とにかく暗い。
・カルト的作品である。
というのも似ている。
等々考えますと、
リドリー・スコットは「東京暮色」を見ていたのか?
という疑問が浮かび上がってくる。
いや、正しくはこう問うべきなのでしょう。
――小津安二郎は「ブレードランナー」の夢を見るか? と。