んー わたくしは戸惑っております。
現場では正直、たいして感銘を受けなかったのですが――
やけに写真写りがいいな、この建物。
という感じ。
自分で撮った写真を見ると、なんだかかっこよくみえてくるから不思議。
逆のパターンはよくあるのですがね。
現場での感動が、写真ではまったく伝わらない。
伝えきれない。というのが。
もとい、江ノ電の石上駅というところから歩いて行きました。
帰りは藤沢駅まで歩きました。
どちらにしたところで、まあまあ歩きます。
↑↑
こんなシステムになっています。
近くの市民会館のお役人に声を掛けると鍵を開けてくれる。という仕組み。
見学し終わったら、また「終わりました」と声を掛ける。
例によって(?)わたくし、カメラ等重装備ですので、それをみながら
お役人「商業目的で使用するのではなければ 写真撮影大丈夫です」
ということでした。
まず玄関まわりのご紹介。
遠藤新先生というとやはりライトのお弟子さんだから、
ライト建築と比較すると――
・やっぱりドアは薄っぺらい。(自由学園・帝国ホテルも「え?」というくらい薄っぺらい)
・フランク・ロイド・ライト建築のエントランスの、あの迫力はない。
というところか。
建築家の技量というのは、空間上の特異点(エントランス・階段等)のデザインに最もあらわれる。
……と、おもってますので、
遠藤新。やっぱりそれほどの技量の持ち主ではないのではあるまいか?
アールデコ様式のドアですが、
アールデコの幾何学模様って「リズム感」がないと何の意味もない↓↓
ここらへんもお師匠のライトの技量とは雲泥の差を感じてしまう。
ライトはなにをデザインさせても、音楽を感じてしまう。
現に、ライトデザインのアールデコ模様を使った ノリタケの食器だの コップだの 本のしおりだの
いろいろ商品が出ていたりするわけです。
遠藤さんは、ただお師匠のマネごとだな。野暮。ボサッとしている。
玄関ホール。
ライトの場合、建物に一歩足を踏み入れると
「わー」とライト・ワールドに囲まれますが、
あの体験はない。
池袋の自由学園。
あれ、かなり遠藤新の手がはいっているんじゃないか? などということですが、
旧近藤邸のこの技量をみると……
自由学園はやっぱし、基本はフランク・ロイド・ライトのデザインなんだろうと確信してしまう。
あの流麗な空間デザインは、ここにはありません。
ドアノブ。
マイナスねじではないので、またトマス・ピンコの評価を下げてしまった(笑)
1980年に移築するときに付け替えたのかな?
玄関ホールの様子。
こじんまりしている。
お金持ちの近藤さんが 海岸沿いに建てた別荘ということですが、
このこじんまり感は施主の性格の良さが出ているようにおもう。
近藤さんは「オラオラ」と人を威圧するような人ではなかったんだろう。
それは玄関だけでなく、建物のあちこちに感じる。
パンフレットの経歴をみると
明治27年同志社大学を卒業後、北海道の牢獄教戒師、……うんぬん、
とありますから クリスチャンですかね。この人。
竣工時の写真とか図面とか
遠藤新の紹介、とか
展示物は非常に充実しております。
これは――写真を撮ったのですが↓↓
無料でいただけるパンフレットに同じ記載がありました。
ので、トマスのように撮影する必要はないです。
玄関ホールから 居間兼食堂
ダイニングルームに入ってきます。
ここがこの建築の一番美しい所でしょう。
ライトだと、天井に凝ってみたり、視界がぱぁーっと開けたり、
おもしろいことをやるのですが、この建築ではそれはないです。
この建築 少し前まで 「すかいはーと」とやらいう喫茶店みたいなものだったらしいのですが、
(公営の? でしょうね??)
お客さんはここで食事したのかな。
ご存知の方、教えていただきたい。
暖炉。
大谷石ですね。毎度おなじみ。
ベストショットかな↓↓
これで向う側に海なんか見えたら最高でしょうねえ。
この記事。しょっぱなから この建築をディスってますが、
移築されてしまっている、という点は大きいでしょうねえ。
あと、遠藤新先生。
建物の内側よりも外側
エクステリアのほうがうまい気がします。
(外観はその2でとりあげる予定です)
赤い革のソファですが……もともとこういうものだったのかな?
竣工時から?
よくわかりません。
趣味がいいのだか、悪いのだかよくわからないが、
ボロボロだったのは確かです。
かわいらしい模型。
ダイニングの棚。
ローポジションから撮ってみる。
同行のT子さんは
このソファの上でずっとグダグダして
ハンディ扇風機の風を浴びていた。
ので、どいてもらって撮ったのがこの写真。
二階に行ってみましょう。
階段はまったく凝っていません。
デザインする意志を感じません。
階段の作り方をお師匠から学ばなかったのか? 遠藤新。
フランク・ロイド・ライトとの関連で 建築史の本などには「遠藤新」という名前は目立つところに登場するんですが、
建築家としての技量は やっぱり二流なんじゃないか、とおもう。
「階段」それ自体をエンターテインメントにしてしまう村野藤吾あたりとは雲泥の差です。
しょせん「ライト信者」にすぎないのではないか?
…………………
と、けなしてしまいましたが、
性格の良さ、素直さ。まっすぐさ。
は、すごく感じるんだよな。
この建物が愛されるのもそのあたりが理由か。
施主の近藤さんもきっといい人だったんだろう、とは玄関のところで書いた。
二階。
えー……冷房がないので、
ムッと暑いです。
二階はとくにムシムシだったのですが、
一階も暑かったです。
冷房の設備はありましたが、稼働はしていませんでした。
そりゃ、そうだ。
いつ来るかわからん見学者のために
無駄な電力を使う訳にもいかないでしょう。
というわけで この建物の見学に行くのなら、春・秋 気候のいい季節がおすすめです。
二階。
こうやって写真をみると 二階はなかなか良い空間のようにおもえますが、
前述のように あまりの蒸し暑さに
ただ写真を撮っただけ。というところです。
二階の謎の空間↓↓
小さい子供とか、ネコとかが喜びそうです(笑)
ここはもう一回行ったら、
一体何なのか? 確かめたいところ。
謎のディテールです。
コーナー
美しいといや美しいですが、
大味なアールデコが足を引っ張ってる感じがする。
お師匠のデザインの模様だったら、さぞかし美しかったことでしょう。
階段を上から見下ろす。
トマス・ピンコがけなす理由がよくおわかりでしょう。
ただ「階段がある」というだけで、
デザインする気がまったくない。
というわけで、その1 終り。
いろいろ不平不満を書いていますが、
・空調が稼動しておらず、蒸し暑かった。
・お腹がすいていた。
というこちらの問題も大きいかとおもいます。
旧・近藤邸のファンの方にはご容赦いただきたいとおもいます。
このあと、「クア・アイナ片瀬江ノ島店」という 前から気になっていたハンバーガー屋さんに行く予定だったのですよね。
T子さんなどは 完全に意識がそっちにいってましたね。