はじめに うちのプリンス・ゆり坊の様子。
お気に入りのぬいぐるみと一緒です。
元気にしております。
お次。プリンス・オブ・ハリウッド――ティモシー・シャラメっちです。
わたくし、とにかく「デューン」一色です。
映画は どうにも我慢できず 非IMAXでもう一回みました。
(IMAX上映がとっとと終わってしまったのである。日本国。もうすっかり後進国家の仲間入りであろうな)
イーアスつくばのMOVIXというところでみたのですが、
・薄暗いシーンが若干見にくい。(とかいって薄暗いシーンだらけなんだよな、この映画)
・音は全然IMAXにかなわない。
・椅子が悪い。
と、あまりよくない環境でしたが、一度でもIMAX鑑賞できたことを感謝すべきでしょう(?)
もう一度繰り返します。
シャラメっち、最高‼
と――……(笑)
えーあと、
さっそく原作を(ハヤカワ文庫の翻訳ですが)読みました。
ハヤカワ文庫。
シャラメっちの表紙は今のうちだろうから、ティモシー・シャラメ・ファンは はやめにゲットしておくべきでしょう(笑)
以下、フランク・ハーバート「デューン 砂の惑星」ざざっと感想。
・とはいえ、ドゥニ・ヴィルヌーヴの映画の印象とごっちゃになって感想を書くのは難しいな。
・ようするに 後半部分は2023年公開予定の「デューン パート2」の内容なので
ついつい人に話したくなってしまう。……が、うかつにベラベラ喋ると激怒される。
・原作もやはり「おかあさんといっしょ」――母上べったりなので、なんだか笑ってしまった。
でもポール・アトレイデス君、15歳なのよね。
・引用してみます。
「われわれはあれをこう呼んでいる――ムアッディブと」スティルガーが答えた。
ジェシカはぎょっとした。それは以前、ポールの口からきいた名前――自分がフレメンに受けいれられて、そう呼ばれるようになるだろうといった名前だったからだ。自分の息子に対して突然の恐怖をおぼえると同時に、ポールの行く末が心配でたまらなくなった。
ポールはごくりとつばを吞みこんだ。心の中では、何度となく演じてきた場面ながら……にもかかわらず……いろいろと差異が多い。自分はいま、目もくらむ高山の頂にいるように感じる。さまざまなことを経験し、膨大な知識を蓄積していながら、周囲にはなにもなく、深い谷底のみが連なっているような、そんな感じだった。
(ハヤカワ文庫、フランク・ハーバート著、酒井昭伸訳「デューン 砂の惑星・中」247ページより)
ここはこの作品のとても特徴的な部分で、
ジェシカ(母)からポール(子)へ 視点がころころと自由自在に変わるところ。
それから ジェシカの「心配」は、どうしても福音書のマリアの描写を感じるところ。
ポールはもちろんナザレのイエスなわけだが、ニーチェのツァラトゥストラも感じるところです。
ドイツ哲学との格闘、というと当然 トマス・ピンチョン師を感じますし、
(完全余計なことだが、ピンチョンはドイツに一度も行ったことがないらしい、と最近知って驚いた……
アフターシックスジャンクション情報なのだが)
重厚に隅から隅まで設計された異世界、というと「指輪物語」のトールキンも感じます。
・ピンチョン・トールキン・ハーバートと、コトバで……コトバのみで世界を創造する試み、
これは日本人は誰もやってないことではないのか?
以上、原作の感想はこんなところにしておきます。
書こうとおもえば もっと書けるが、
映画のパート2のネタバレになってしまうのも……なあ……
ハヤカワ文庫だけではなく、
「デューン」が表紙の映画雑誌も買いました。
が、キネマ旬報は失敗でした。デューン情報はほとんどなし。
一方(左側に写ってます↓↓)
FLIX SPECIAL 『DUNE/デューン 砂の惑星』大特集 は、一冊丸ごとデューン特集というすばらしい本で
(表紙はフォントとかがダサいが)
これはデューンファンは買って損はないとおもいます。
写真も多数です。
インタビューも豊富。
内容ですが、ジェイソン・モモアとオスカー・アイザック この二人が二人とも「三船敏郎」の名前を出しているのがおもしろかったです。
あと――ティモシー・シャラメと
ベクトルが正反対な感じですが……
「古川ロッパ昭和日記・戦前篇」というのをちびちび読んでおります。
(あ。でもロッパも華族の坊ちゃんか(笑))
けっこう高い本なのだが、(7000円くらいした)
戦前日本好きにはたまらんものがあります。
(ようやく昭和11年2月……2・26事件のあたりまで読んだ)
元・活動弁士が トーキー時代になり
コメディの舞台に流れこんだらしく……
徳川夢声・生駒雷遊・大辻司郎・山野一郎などの弁士の名前が頻出します。
ロッパの日記、
徳川・生駒は大物らしく、悪口は書いてないが、
大辻・山野に向けては悪口ばかり。どうしょうもない連中に描かれている。
大辻は、芸もないのに自分一人で目立とうとする。
山野は、生活態度だらしなく、女優さんにセクハラまがいのことをする。
という風に……
少し前に 片岡一郎「活動写真弁史 映画に魂を吹き込む人びと」という本を読んだが、
大辻・山野のこういう行状はまったく書かれてなかった。
やっぱり同業者が同業者のことを書く本というのは あまりあてにならない面もあるのかもしれない。
(片岡さんとサイレント全盛期は、時代はもちろん まったく離れているわけですが)
「活動写真弁史」とてもいい本だったが、
やはりある情報を本気で解析したいのなら 複数の情報源にあたってみる必要があるのだな、
とあたりまえのことをおもいました。
もちろん古川ロッパの視線がキツイ――プロ意識があまりに高い、という点もあるのだろうが。
当ブログ……少し前に
アサヒグラフ昭和4年(1929)10月23日號
蒲田の竜田静枝さんが載っているのを紹介したのですが↓↓
この竜田静枝が、ロッパの日記では こてんぱんにやられていて――
サイレント映画のスターが落ちぶれていく様がなんとも哀れです……
竜田静枝だけではなく、
小津映画にも出てた 結城一朗・井上雪子ちゃんまで こてんぱんです……
昭和9年
7月21日(土)
本日になって、八月松竹座の興行には、蒲田から城多二郎・井上雪子・竜田静枝他もっとくだらないとこが沢山加入するときき、大くさり。
7月25日(水)
蒲田軍てものが既に忘れられた人々ばっかり、スターが竜田静枝のヅーヅーと来てるから何うにもハヤ。で結局、僕の「海・山・東京」には井上雪子だけを使ふこととした。
8月15日(水)
初日である。十二時に入る。入りは先づ上の部。「結婚適齢期」は、竜田静枝に結城一朗なんて素人の中へ僕一人だから、全く一人で浚っちまふ感じで、気まりが悪い程だ。
こう考えると、あのひどい訛りの笠智衆がよく生き残ったものだとおもいます。
あと、水久保澄子・逢初夢子の名前も登場します。
これもまた 芸能界の悲哀を感じる……
時代は既に 「三人娘」……高杉早苗・高峰三枝子・桑野通子の時代だったのだろう……
小津安っさんも 高杉早苗に惚れ、桑野ミッチーに惚れ、と
問題児の水久保澄子のことはすっかり忘れていたに違いない(??)
昭和9年
2月6日(火)
事務所で川口と話す、東宝との問題、東宝で引抜きはしたものの始末に弱っているらしい水久保澄子・逢初夢子の二人を、こっちへ借りようといふ話をすると大乗気。
――ただ、そのあとこの二人の名前は出てこないから……
どうなったのかはよくわからない。
最後に2・26事件の日の記述を引用しましょうかね。
この頃、ロッパはPCLで映画に出演してます。
昭和11年
2月26日(水)
七時半起き、四谷から砧へ。三島の宿の撮影してると、伏水が大変な事が起ったさうだと言ふ、今朝四時六時の間に、五・一五事件以来の重大な暗殺事件あり、首相蔵相等五六人、軍部の手に殺されたと言ふ、その後流言ヒ語しきり、何処迄本当か分らず、無気味な気持のまま、撮影を続ける。三島の宿五六カット。夕食後プレスコ。その合間合間に、「さらば青春」の案をねり、鉛筆で書きとめちゃあ清書する。此の分なら今晩書き上げる自信ついた。八時きっちり、砧を出る。渋谷からの環状道路にタンク出動物々しい、ラヂオのニュースきいたらやっぱり事件はほんとだった。恐ろしい世の中だ、だが日本人は偉いとこあるなァ。徳山と話し「こんな日は家へ帰って早くねるのが一番でしょ?」徳山曰く「さうだな」僕「こんな時だけが家がいいんじゃないか」徳山曰く「さうだな」「然し此ういふ時いいとこがほんとのいいとこさ。」
なんかのどかです(笑)
この頃は渋滞とかなかったんでしょうかねえ。
帰るのが遅れたとかいう記述はとくにないです。
そうそう、ロッパの日記
あとは食べ物の描写がこまかいんですが……きりがないので引用はやめておきます。
「アラスカ」というレストランがよく出てくるので気になります。
京都・名古屋にも支店があったようです。