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アサヒグラフ 昭和3年(1928)1月11日號 「ニノチカ」の元ネタ?・日本婦人の足

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昭和3年(1928)にひたっております。

いい時代です。

関東大震災から4年5年後の復興の時代。

明るく前向きな大正の香りがあちこちに殘っていて 戰争の影はまだどこにもない。

この頃のアサヒグラフが何かというと話題にするのは

普選(普通選挙)

で、ようやく日本も一人前の民主主義國家になるんだ、という希望に滿ちている。

 

世界に目を向けても 世界恐慌はまだ起こっていないし、

ヒトラーはまだ政權をにぎっていない。

のどかです。

 

まあ、表紙も明るいです↓↓

アサヒグラフ 第十巻第三號 昭和三年一月十一日

の紹介です。

 

美しい雪人形

赤倉でスキー練習中の東京府立第六高女生

とのこと。

 

黨時のスキーヤーのファッション……

トップスは――セーターで着ぶくれして、マフラーして

ボトムスは――キュロットにタイツですかね。スカートじゃないよな??

 

約十年後、1937年の「女醫絹代先生」の田中絹代は、

ミリタリー風の気合の入ったスキーウェアを着ますが、

この頃はまだ 日常着の延長のようです。

 

p6

ルビッチの「ニノチカ」(1939)みたいな話。

というか、「ニノチカ」の元ネタかね?

 

ロンドン市場に出た舊露國皇室の重寶

最近ロンドンの貴金屬商、ワーツキー氏が、久しい間ソビエート政府と折衝の末、遂に手に入れた舊露皇帝、皇后、皇女などの御所藏品、凡そ八十點……

 

共産党・共産主義者というのは偉そうなことをいって、こういうことをします。

 

p12

米國の飛行機工場の樣子。

これまた手作業で作っていて――「紅の豚」みたいな世界です。

のどかです。

 

p17

昭和三年は辰年だそうで、龍の繪の特集なんですが……

雪村の繪が載ってる。

 

雪村って評価されたのは戰後からなのか、と勝手におもってたが、

そうでもないのだな。

 

今は大和文華館にあるこの作品も、

この頃は 個人所藏だったことがわかります。

 

p22

今でいう クルマの「ウィンカー」のはなしなんだが……

のどかです……

はやい話、この頃、ウィンカーは大して必要ではなかった、ということなんでしょう。

 

交通信號標識

最近ロンドン街頭にあらはれた自動車の交通信號で、信號標の末端に、電燈のつく丸い輪があり、ボタン一つ押せば自由に上げ下ろし出來、その光力も晝夜共十分識別出來るくらゐ強いもので、後方から來る自動車の運轉手の注意を喚び起すに足りる。車の兩側にあるからどちらへ曲るにでも都合がよろしい。

 

……今の感覺だと当たり前の装置なのだが、

技術の發展というのはこういう風になされていくものなのでしょう。

 

ちなみに……戰前 日本を走る自動車にくっついていた方向指示器は「アポロ」というもので

(アポロなるメーカーが作っていたのでそう呼ばれていた)

この寫眞みたいに フロントガラスの脇にくっついておりました。

寫眞のモノのように「電燈」は付いていなかったとおもいます。

 

p27

折りたたみ傘のはなしなんだが……

現代の眼からみると――

あ。その手があったか!

という、噴飯ものというか、落語というか、コントというか……

そんな話。

 

ジョーン・クロフォード似のモデルさんが持っている傘……

「柄」がパカッと取り外せまして……

んで、バッグの中にしまえます、という……↓↓

 

今、我々が知っている折りたたみ傘、あれはいつ發明されたのだろうか??

 

p28

いよいよ動き出した 地下鐵道

日本に於ける最初の地下鐵道上野淺草間はいよいよ完成し、十二月三十日から開通することになつた

【寫眞】は上野驛

 

そうか。銀座線の開業は 1927年(昭和2年)ですか。

年末も年末 12月30日開業というのはすごい。

 

しかし……殺風景な寫眞である↓↓

「開通式」みたいのはやらないのかね?

綺麗なお姉さんだの可愛い子供達だの出て來て テープカットやったりはしないんだね。

 

p30

おなじみ カールツァイス。

ウムブラール鏡玉(レンズ)……どうもサングラス的なものらしい。

 

おなじく p30

朝日新聞の飛行機の格納庫らしい。

 

堅牢な組立式格納庫

というから、今でいうプレハブ式なんでしょう。おそらく。

これも獨逸製らしい。

 

今號で一番氣になった記事はこちらです。

引用長くなりますが……

ちうごく人の足フェチぶりがよくわかる……

というか、若干氣持ち惡くなるような……

そんな記事。

 

紙上漫歩

日本婦人の足

(大連)多生

 

……其若者は暫くしてから日本人の家にボーイとして住込んだ、すると半月程して暇をくれと申出た。そこの家では日本語は話せないが、よく働くボーイなので給料を增すからと言ったが、無理に出て行つて了つた。そのボーイをつれて來た支那人の肴屋に話をすると、お宅の奥さんは何時も足袋を脱がないからですよと笑つてゐる。

 要するに女の素足を朝夕見られるのが樂しみで、厭な日本人の家に住込んだのだつた。

 尤も〇〇人のある階級の細君連が、市場へ行つて支那人から物を買ふとき、素足で行つてそれをさすらせ、たくみに値切るといふことを聽いてゐたので、そこの主人は妻君に對して、絶對に支那人には素足を見せるなと禁じていたからだ。

 

滿洲の田舎の若者が「女の素足が見られる」という理由で

日本人の家に雇われたが、その家の奥さんはいつも足袋を履いていたのでやめた……

というはなしなのですが……

 

逆に言うと、日本にいた時同樣、家で裸足で過ごす日本人の奥さんもたくさんいた、ということでしょう。

そしてそれを

「た……たまらねえ……」

とよだれをたらして見ていたちうごく人のボーイもいたんでしょう。

 

今のちうごく人はこういうことはないでしょうが……

しかし、大陸の人たちと付き合うことの難しさを感じます。

というか、日本人というのが若干ズレているのか??

 

文中の「〇〇人」というのは何でしょうね?

亡命ロシア人なのか、朝鮮人なのか??

 

裏表紙は 

おなじみ日蓄……株式會社・日本蓄音器商會の ニッポノホン・ワシ印レコード

 

さっきネットで調べて知ったのですが、

今の「日本コロムビア」なんですね。

 

昭和2年(1927)5月 英コロムビアに買収されて傘下になり、云々と

「78MUSIC」というサイトに書いてありましたので……

 

この頃(1928)外資系企業じゃないですか。

 


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