塔の作家・小津安二郎 その8 「出来ごころ」②
その2です。おもてのテーマは「塔」なんですけど―― 今回の「裏」のテーマは◎「日本間」で映画を撮るテクニックということになりそうです。 □□□□□□□□ 前作「非常線の女」(1933)から 「出来ごころ」(1933)への過激なシフトチェンジに関して……...
View Article塔の作家・小津安二郎 その9 「出来ごころ」③
「出来ごころ」の分析は 今回でおわり。 個人的に「浮草物語」が好きなもので(八雲恵美子&坪内美子がたまらんのだとおもう)「出来ごころ」はあまりみていなかったのですが――丹念にみていくと、なんとまあ、緻密に作りこまれていますねぇ、この作品。 □□□□□□□□ 谷麗光の床屋さんでおめかしした喜八さん(坂本武)ですが、おとめ(飯田蝶子)から「あたしとしては 次郎さんに貰ってもらえば...
View Article塔の作家・小津安二郎 その10 「母を恋はずや」① すべてはここから始まった。
詰め込み過ぎのタイトルですが…… 「母を恋はずや」(1934)は 実はとんでもない傑作――小津作品史上、いや、……映画史上に残る傑作ではあるまいか?という珍説(笑)をこれからくり広げようとしております。 □□□□□□□□小津安二郎が 「塔」というモチーフをいかに描いてきたのか?ということを中心に小津作品をみてまいりましたが、この「母を恋はずや」...
View Article塔の作家・小津安二郎 その11 「母を恋はずや」②
大傑作(笑) 「母を恋はずや」(1934)の分析 続きです。はっきりいってしまいますと、相当な小津ファンでもほとんど見ることのない失敗作でしょう。...
View Article塔の作家・小津安二郎 その12「母を恋はずや」③ 萬翠楼福住と小津安二郎。
「母を恋はずや」「浮草物語」の1934年――「全日記小津安二郎」をながめていると…… 六月二十八日(木)井上金太郎上京湯本 福住に行く湯に這つて(トマス注:這入つて) ビールを呑み 明け方近く 就床まことに涼しいこの日ユニホームをきて野球練習をやる 九月六日(木)朝所長から電話あり 出社監督 脚本部長 宣伝部長 ニウス部長 庶務部長 箱根湯本福住にて会議江川宇礼雄退社の件 即決のち小田原...
View Article那須どうぶつ王国のスナネコの赤ちゃん‼・待ち時間・観覧時間など
2020年6月16日(火)に那須どうぶつ王国のスナネコの赤ちゃんに会いに行きましたのでその写真をべたべた貼ります。 いや、赤ちゃん、というか姫さま、ですね。この子は。なんともいえん気品がありましたですよ。 以下、画像は とくに断りのあるもの以外はニッコールの 70-200㎜ f/2.8 望遠ズームで撮りました。 また、以下の情報はあくまで6月16日の情報ですので...
View Article塔の作家・小津安二郎 その13 「浮草物語」① 暗号は平行線(=)
13、「浮草物語」(1934) その10で 失敗作「母を恋はずや」を 「すべてはここから始まった」などと持ち上げましたが――この↓↓ドンゴロスをバックにしたタイトルというのもあるいは「母を恋はずや」から始まったのかもしれませんね。なにぶんプリントが失われているので確かめようがありません。...
View Article塔の作家・小津安二郎 その14 「浮草物語」②
「浮草物語」の分析、つづけます。前回書きました この作品の特徴、繰り返しますと―― 「浮草物語」の特徴①平行線(=)という暗号②二人の人物の会話のシーンでは、視線が「水平」である。③複数の人物が「同一方向」を向くショットが異常に多い。 ――となります。 S35...
View Article塔の作家・小津安二郎 その15 「浮草物語」③
そもそも……兵頭二十八先生の「日本の高塔」を読んだわたくしが、小津作品の中の「塔」を集めてみたらおもしろいのではなかろうか?などと思いついてはじまったこのシリーズなのですが…… ようするに重要なのは「塔」ではなくて「視線」である。という、あたりまえのことに「出来ごころ」の分析あたりから気付いてきました。...
View Article塔の作家・小津安二郎 その16 「浮草物語」④
毎回毎回、「浮草物語」もしくは「浮草」をみるたびに疑問に思うのは―― なぜ、あれほど坂本武は激怒するのか?(なぜ、あれほど中村鴈治郎は激怒するのか?)ということで…… 大雨の中の怒鳴り合いの、あのシーンではなく、 信吉&おとき(三井秀男&坪内美子)のカップルの姿を喜八(坂本武)が目撃しちゃいました、さてどうなる?というあの場面です。 S73 小屋の露地喜八、ひょいと前方を見て「あれ?」と立ち止る。...
View Article塔の作家・小津安二郎 その17 森栄さん「考える人・小津安二郎特集」「東京の宿」
さて。つめこみすぎのタイトルですが――ようするに、ですね。 1935年(昭和10年)の小津安二郎は森栄さんと出会ってしまったためにつまらん作品しか撮っていない。 ということを書きたいわけです。 □□□□□□□□森栄さん。といえば小津安っさんが結婚したかもしれない唯一の女性。なわけですが――彼女に関して わたくし長年 思い違い……というかヘンな思い込み をしておりまして―― 「小津安二郎・人と仕事」...
View Article塔の作家・小津安二郎 その18 「一人息子」① 暗号は〇
15、「一人息子」(1936)現存小津作品15作品目。トーキー第一作です。1936年。二・二六事件の年ですね。 前回紹介した「東京の宿」(1935)と同時進行で六代目尾上菊五郎の「鏡獅子」(1935)を撮っていて、これはプリントが残ってますがただ舞台を撮影しましたというだけのことで「小津作品」とはいえなさそうです。 「東京の宿」の次回作は...
View Article塔の作家・小津安二郎 その19 「一人息子」②
小津安二郎 トーキー第一作「一人息子」の分析、2回目です。 S32 夜学の教室黒板に幾何の説明が書いてある(たとえばシムソンの定理)。やがて一生徒が質問を発する。良助はこれに明快に答える。生徒は鉛筆を走らせる。良助はぼんやり一隅に立つ。フト、思い当った感じで教室を出て行く。 シナリオの指定通り、シムソンの定理の証明です↓↓ 小津安っさん、この「〇」と「△」の組み合わせには妙にこだわっていて、...
View Articleスヌーピーと不思議な絵(新宿)・可愛い嘘のカワウソカフェ(池袋)
7カ月……たぶん7カ月ぶりのトーキョーでした。 久しぶりのトーキョーは 田舎モンの目にはコロナ前と、そう変わらない人出に見えましたが……さて?? どうなのか? まず、新宿の 東京ミステリーサーカスなるところで開催中の「スヌーピーと不思議な絵」というイベントへ。 しかし……ネタバレみたいなことは書けないし、画像も載せられないので、どう書いていいのやら。 ・「謎解き体験型ゲーム・イベント」というもので...
View Article塔の作家・小津安二郎 その20「一人息子」③ 「一人息子」は「東京物語」のルーツである。
「一人息子」3回目。まず、前回みた 肩たたき・支那ソバシーンなんですけど――S60 ↓↓ これが「東京物語」の原節子&東山千栄子のシーンに繋がっていくわけかぁ……ということばかりに注目してしまって、端正な構図に目が行きませんでした。 人物をきっちりと 画面の対角線上にのせております↑↓...
View Article那須温泉・山楽 西館展望和洋室411号室
9月の中旬武漢ウイルス蔓延下…… 久しぶりの旅行となりました。が、台風が来るぞ、来るぞ、という中の旅行。 おもえば去年の軽井沢・万平ホテルもそうだった。一昨年の東光園もそうだった。つくづく運がないです。(今回はけっきょく大したことにはならずにすんだが) またまた身分不相応な立派なお宿でしたが、GoToトラベルとかなんとかで...
View Article和牛ステーキ桜那須高原店・パンツショップアベニュー(那須塩原)など ニコニコ亭(牛久)も
前回に続き那須旅行の記事です。撮りました写真をべたべた貼ります。 まずは南ヶ丘牧場へ。ここに限らず――「平日」+「台風が近づいてます」という状況なのに那須はけっこう混んでました。 普段から那須は混んでいるのか?コロナ落ち着いてきたイメージがそうさせるのか?とにかく6月に那須どうぶつ王国に行った時よりもあきらかに人出が多い印象でした。 牧場売店のとなりのパン屋さん。おなじみのソフトクリーム...
View Article「劇場版・鬼滅の刃・無限列車編」=清水宏作品=鬼(モンスター)としての「女」
んー……今もっともホットなコンテンツとまったく注目されない戦前日本映画をムリヤリ並べて語ろうとしております。 キーワードは鬼(モンスター)としての「女」です。 □□□□□□□□10月19日 「鬼滅の刃・無限列車編」を見に行きました。 土浦のイオンの映画館へ行ったのですが、公開4日目で はやくも展示物(?)の下の部分が壊れちゃってる↓↓ 野蛮ですね~、イバラキ。...
View Article塔の作家・小津安二郎 その21「淑女は何を忘れたか」① 対角線の嵐!
16.「淑女は何を忘れたか」(1937) 現存小津作品16作品目。トーキー第2作。んで、小津安っさんが戦争に行く前、最後の作品ということになります。 はじめにざざっと感想を書いてしまいますと――・栗島すみ子はミスキャスト→ミスキャストも何も、「銀幕の女王」栗島すみ子の引退記念作みたいな作品なのでこの人がいないことには作品は成立しないわけなのですが、今の目からみると...
View Article塔の作家・小津安二郎 その22「淑女は何を忘れたか」② 中西文吾との交流
はじめに……撮影監督が 茂原英雄から厚田雄春に代った経緯に関しまして――「全日記小津安二郎」をみると これまた別のことが書いてあってなんだかわからなくなります。 茂原英雄関係の記述をひろっていくと――1937年1月27日(火)小宮階下 セット午后八時過ぎより高輪より電話あり茂原氏母堂死去されし由 早じまい 1月28日(水)早朝 茂原帰里 上野に送るセット 厚田本日からクランク...
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